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現代にも通じるのか? 古代ローマで使用していた呪いの石板、7つの呪い : カラパイア

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 「呪いの板(Curse tablet)」は、紀元前5世紀〜紀元5世紀のローマ帝国で頻繁に用いられていた。

 再生金属、陶器、岩の破片などにラテン語やギリシャ語で書かれた1500以上の呪いの板が、イギリスから北アフリカにかけて見つかっている。

 呪いの板は釘で封印され、墓や井戸、自然の泉に隠された。板に書かれた文字の多くは形式的な短い文章だ。その文章によって板には魔術がかけられ、願いが叶うと信じられていた。

 ごく一般的な呪いは、憎むべき対象者の体を動けなくして、その力を削ぐよう神頼みするものだ。他にも、報復、盗み、愛、スポーツでさえお願いの対象となった。
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1. "腐敗した血の塊のように老いさらばえよ"


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呪いの言葉:Vetus quomodo sanies signeficatur Tacita deficta
(訳)この石板によって呪われたタチタは、腐敗した血の塊のようにおぞましく老いていくことになるだろう。

 タチタって奴がどんなことをしたのか知らないが、このような深刻な呪いをかけられるとは、よほど極悪な人間だったに違いない。

 紀元2世紀始めのローマン・ブリテン(ブリタニア)の墓から見つかったこの呪いは、鉛の板の最後のほうに書かれていた。おそらくより強力な呪いをかけるためだったのだろう。


2. "心と目を失ってしまえ"


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呪いの言葉:Docimedis perdidit manicilia dua qui illas involavit ut mentes suas perdat et oculos suos in fano ubi destinat.
(訳)ドチメディスは両手の手袋を失った。盗んだ泥棒が女神の神殿で心と目を失うよう祈った。

 気の毒なドチメディスは、現在のイギリス、サマセットにあるローマ風呂Aquae Sulis(バース)で水浴を楽しもうとしていたとき、誰かに手袋を盗まれた。

 これが書かれた石板は紀元2〜4世紀のもので、風呂場泥棒に関する呪詛が大量に書かれていて、相当怒りが抑えられなかったと思われる。


3. "蛆虫、ガン、毛虫に全身をむしばまれますように"


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呪いの言葉:Humanum quis sustulit Verionis palliolum sive res illius, qui illius minus fecit, ut illius mentes, memorias deiectas sive mulierem sive eas, cuius Verionis res minus fecit, ut illius manus, caput, pedes vermes, cancer, vermitudo interet, membra medullas illius interet.
(訳)ヴェリオの外套や持ち物を盗んだ者、彼の財産を略奪したした者は、心と記憶を奪われ、手、頭、足、四肢、脊髄もすべて蛆虫、ガン、毛虫にむしばまれますように。

 ヴェリオの服を盗んだ悪党に向けた実に恐ろしい呪い。蛆虫にたかられるのは、それはおぞましく、とても尊厳ある死を迎えられるとは思えない。この石板は、紀元1世紀頃のもので、ドイツのフランクフルトで発見された。


4. "しゃべることができないようにしてやる"


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呪いの言葉:Qui mihi Vilbiam involavit sic liquat comodo aqua. Ell[…] muta qui eam involavit.
(訳)わたしからヴィルビアを奪った者は、水のような液体になってしまえばいい。忌まわしいほど彼女に懸想した奴はしゃべることができなくなるといい。

 この壊れた鉛の板には、何者かによってヴィルビアという名の女性が奪われたことについての恨みが刻まれている。

 ヴィルビアが、この呪いをかけた者のガールフレンドなのか、内縁の妻なのか、奴隷なのかははっきりしない。これもまた、ローマ風呂の遺跡から見つかった。


5. "クマを鎖でつないでおくことができなくなりますように"


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呪いの言葉:Inplicate lacinia Vincentzo Tzaritzoni, ut urssos ligare non possit, omni urssum perdat, non occidere possit in die Merccuri in omni ora iam iam, cito cito, facite!
(訳)ヴィンセンサス・ザリーゾの罠に細工をして、彼がクマを鎖でつないでおくことができなくなりますように。彼がすべてのクマとの戦いに負けて、水曜日にクマを殺すことができなくなりますように。一刻も早く、これが実現しますように。

 この呪いは、紀元2世紀に北アフリカのカルタゴで戦っていた、グラディエイターのヴィンセンサス・ザリーゾを標的にしたもの。呪いの主は、ザリーゾのクマとの戦いにかなりの金を賭けていたのだろう。


6. "馬を殺してしまえ"


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呪いの言葉:Adiuro te demon, quicunque es, et demando tibi ex hanc hora, ex hanc die, ex hoc momento, ut equos prasini et albi crucies, occidas et agitatores Clarum et Felicem et Primulum et Romanum occidas.
(訳)神さま、精霊さま、お願いです。どなたでもいいですから、今このときから、今日からいつでも、グリーンとホワイトのチームの馬を苦しめ殺してくださるよう、お願いします。クラルス、フェリックス、プリムラス、ロマナス、戦車の御者も殺してください。

 こうした石板で、もっとも頻繁に呪いの対象にされている動物は馬だ。戦車競走(chariot racing)では、彼らは欠くことのできない重要な存在だったからだ。

 この呪いの文句は、ハドルメトゥム(現在のチュニジア)で発見された、紀元3世紀頃のもの。裏には解剖学的に正しい神の粗野な姿が描かれていて、ライバルチームが確実に負けるようにするためのものと思われる。


7. "その道化役者よりも決して勝ることのないように"


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呪いの言葉:Sosio de Eumolpo mimo ne enituisse poteat. Ebria vi monam agere nequeati in eqoleo.
(訳)ソシオは道化役者のユーモルポスよりも決していい演技はできないだろう。若馬の上で酔っぱらった既婚女性の役が務まるわけがない。

 この石板では、ソシオという名の俳優の失敗を望んでいる。ローマの喜劇劇場では、馬上の酔っぱらった女性というのはお決まりのジョークだ。

 呪いをかけた者は、ソシオのお笑い芸がすべってまったくウケなければいいと望んでいる。これは、フランス西部のラウラナムの遺跡で発見された紀元3世紀後半のもの。

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 これらの呪いの板、本当に効果があったのだろうか?もしかしたら21世紀の現代生活でも応用できるかもしれない。

 ローマ人の名前を対象者に入れ替えて、板に文章を記し釘で封印し、それを墓や井戸に隠せば、暗黒の魔術で願いが叶うのかもしれないし、そうでもないのかもしれない。

References:7 Ancient Roman Curses You Can Work into Modern Life/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 20:47
  • ID:AQFgu6Iu0 #

人を呪わば穴二つ
真似しちゃダメよ

2

2. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 21:14
  • ID:Gq96HcJ70 #

紀元1世紀頃からガンは認識されてたのか

3

3. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 21:17
  • ID:JbrN3zkr0 #

今も昔も呪いの言葉って変わらんな
せめて死ぬ間際にはその怨みは消えているといいけど

4

4. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 21:22
  • ID:8pe61Iv80 #

ローマの呪術

5

5. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 21:27
  • ID:f6gdLlHQ0 #

祝ってやる !

6

6. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 21:28
  • ID:7tv0OodI0 #

>>2
私もソレ思いました。ガンて古くから存在してたんですね ⁉︎((((;゚Д゚)))))))

7

7. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 21:53
  • ID:7iOjHpOe0 #

自分が100パー悪く無いなら
呪いをかけてもいい
しかし成就したらすぐに
募金や献血などの自分が直接感謝されない
善行を行う事

8

8. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 22:01
  • ID:JuWw2wyH0 #

ガンじゃなくてカニかな?

9

9. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 22:21
  • ID:8b5t.GTx0 #

相性の問題って大昔からあったのね、と思った。合わない人とは関わらない。
人を呪うまで行ってしまうよりは、関わらないことを選ぶ方がいい。
その方が自分にとっても相手にとっても健全。

10

10. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 22:42
  • ID:z..PBEEh0 #

※2
癌(腫瘍)というと現代っぽい響きだけど、
「腫れ物」は普通に古代の物語でもちょくちょく出てくる。

乳ガンや肉腫、性器のガンなど
外側から異常増殖の塊が触れやすい位置のガンは、
昔から結構記録されている。

11

11. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 22:54
  • ID:z..PBEEh0 #

板の間稼ぎへの恨みつらみやら、
恋人盗られてチクショー!やら、
競馬や役者のライバル脱落の神頼みやら、
なんとなく、深刻な呪詛というより
twitterにでも「くそー! ムカつく、氏ね!」と
書き殴るノリに近いような気がしなくもない。

もちろん石板に彫る手間を考えたら、
もうちょっとは持続的で強い憎悪かも知れないけど。
(再生金属、陶器、岩の破片など、とあるから
石碑などよりはもっとお手軽?)

12

12. 匿名処理班

  • 2018年09月06日 23:17
  • ID:XmYHB.aj0 #

浮気した恋人の息子スティックに腫物ができて
腐れ落ちてしまえなんて書かれた
呪いの碑文(たしか鉛の板)なんかも見つかってます。

13

13.

  • 2018年09月06日 23:51
  • ID:8fim9Pev0 #
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