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カンピョウを作ってその正体を知りたい - デイリーポータルZ

 

特集 2018年9月10日
 

カンピョウを作ってその正体を知りたい

ユウガオを苗から育ててカンピョウ巻きを作ってみた。
ユウガオを苗から育ててカンピョウ巻きを作ってみた。
カンピョウがものすごく好きという訳でもないのだが、ずっと頭の隅で気にしている自分がいる。カンピョウという言葉の響きも良い。クロヒョウとかユンピョウみたいで。

海苔巻きでしか見かけたことがないカンピョウとは何なのか。元々はどんな形をした食材なのか。どんな加工によって生まれるのか。

その正体、薄々知ってはいるのだが、やはり一度はきちんと向かい合ってみるべきではないだろうか。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。

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カンピョウの苗を買いにいく

細かいことまでは覚えていないけど、カンピョウといえば前にテレビで栃木の農家さんが、大きな瓜を専用の機械でクルクルと回し、特殊な刃物を当ててシュルルル〜と削っているのを観たことがある。

カンピョウは瓜の仲間なのだろうということで、5月の初めに種か苗があるのかなと園芸店へいったところ、ユウガオという瓜がカンピョウの正体であることが判明した。
大長夕顔。『カンピョウです』と書かれているので、これがカンピョウなのだろう。
大長夕顔。『カンピョウです』と書かれているので、これがカンピョウなのだろう。
ちょっと調べてみたところ、ユウガオはアサガオやヒルガオの仲間ではなく、ヒョウタンと同一種であり、苦味(ククルビタシンという有毒成分)の少ないものを食用として選別していったそうだ。

カンピョウは漢字で書くと干瓢。なるほど、干した瓢箪(ひょうたん)のことなのか。
ユウガオ、おまえに決めた!
ユウガオ、おまえに決めた!
我が家には庭というものがないし、鉢植えではちょっと難しそうなので、こいつを母親がやっている家庭菜園に植えさせていただこう。

都合の良い場所を確認したところ、もうすぐ収穫されるタマネギの隙間を指定された。問題はないのだろうけれど、現時点での違和感がすごい。
タマネギの隙間に植えられた苗。ユウガオというか新顔の登場である。
タマネギの隙間に植えられた苗。ユウガオというか新顔の登場である。

ユウガオの花が咲いた

その後はたまに雑草を抜いたり、タマネギをいただいたりしつつ、ぼんやりとユウガオを観察した。今のところ、特に世話をすることがない。
5月下旬の様子。タマネギの収穫は終わった。
5月下旬の様子。タマネギの収穫は終わった。
そして6月後半、畑の野菜がすっかり入れ替わった頃、ユウガオは白い花をつけてくれた。

この花の形、やはりアサガオではなく、ウリの仲間だ。花の色と身の色の関係は知らないが、この白い花はカンピョウにふさわしいなと思った。
ユウガオの栽培はけっこう場所をとり、他の野菜エリアまで侵攻するのではという懸念がでてきた。
ユウガオの栽培はけっこう場所をとり、他の野菜エリアまで侵攻するのではという懸念がでてきた。
夕方に花が開くからユウガオだそうです。これは開花直前の雌花かな。
夕方に花が開くからユウガオだそうです。これは開花直前の雌花かな。
ウリの仲間は自然の昆虫任せだとうまく受粉してくれない場合があるので、オシベの花粉をメシベにつけてあげたほうがいい。人工受粉というやつだ。

そこで雄花っぽいやつからオシベらしき部分をとって、なんとなく雌っぽい花の芯に押し付けるという、あやふやなおせっかいを焼く。
これが雌花のメシベだと思うんだ。
これが雌花のメシベだと思うんだ。
この天然パーマのようにクルクルしている親近感が沸く花は雄花だろうか。
この天然パーマのようにクルクルしている親近感が沸く花は雄花だろうか。
いまいち雄花と雌花の違いがはっきりしないし、受粉させるべきタイミングなのかも怪しい。もうちょっと義務教育をがんばればよかった。

もしかしたら私が間違えて雄花のオシベ同士をくっつけてしまっていたら、とても申し訳ないなと思ったりもした。
雄花も雌花もまだちょっとタイミング的に早かったかも。
雄花も雌花もまだちょっとタイミング的に早かったかも。
不正確は人工授粉は今回だけにして、今後のキューピットは虫と成り行きにまかせることにした。

ユウガオがでかい

7月中旬、畑に行くと立派な瓜が転がっていた。

おお、丸い。でも、違う。

これは母親が植えたトウガンだな。冬の瓜と書いて冬瓜だができるのは夏。冬まで持つから冬瓜だと教わったことがある。
夏の畑は、ズッキーニ、キュウリ、トウガン、ユウガオ、ニガウリと瓜だらけだ。
夏の畑は、ズッキーニ、キュウリ、トウガン、ユウガオ、ニガウリと瓜だらけだ。
それではユウガオはどうなったかというと、これ以上横に伸びることは許さぬと設置された棚を伝って縦に育ち、ご立派な実をドーンとぶら下げていた。
こっちがユウガオだった。
こっちがユウガオだった。
ドーン。写真だと大きさが伝わらないけど、でかいんだ。
ドーン。写真だと大きさが伝わらないけど、でかいんだ。
あらまあ、すごいボリュームだこと。私のふくらはぎよりも立派である。

これがどれくらいまで育つものなのか、どこまで熟すのを待つべきなのか、そのあたりがいまいちわからないのだが、これ以上大きくなられても困るよなということで(あと3つくらい実がついているし)、まだ若いかなという段階で収獲してみることにした。
でかい。
でかい。
服にユウガオの表面にあるフワフワがついた。
服にユウガオの表面にあるフワフワがついた。