戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://karapaia.com/archives/52264829.html


ヒゲワシにサンキュー!動物の死骸を跡形もなく処理、その骨も砕いて食べる「地球の清掃係」 ヒゲワシはリサイクルの達人 : カラパイア

1_e1
image credit:commons.wikimedia

 母なる地球の大地には多種多様な生き物が暮らしている。どの種も自然を維持していく上で何らかの役割を持っているのだ。

 中でも地球の清掃係として知られるヒゲワシは「リサイクル上手」でもある。
 
 ヒゲワシは動物の死骸などを主な食料とするのだが、ヒゲワシがその死骸を処理してくれなかったら、恐ろしい伝染病が世界にはびこっていただろう。
スポンサードリンク

巨大な猛禽類、ヒゲワシ


 ヒゲワシは、タカ科ヒゲワシ属に分類される巨大なワシである。全長115センチメートルくらいだが、翼を広げると3メートル近くになる。

 喉部から、ヒゲのようにふさふさとした黒い羽毛が生えていることから「ヒゲワシ」と呼ばれている。

 ヨーロッパ南部、コーカサス、 アフリカ、インド亜大陸、チベットの高い岩山に生息している。

 英語では「ラマールガイル」と呼ばれているが、これはドイツ語で「ヒツジワシ」を意味する。昔の人ははヒゲワシが羊を狩っていたと考えていたからだ。

 アラビアンナイトに登場する怪鳥ロックは、この鳥がモデルという説もある。

iStock-147302347_e


死骸の肉だけでなく骨すらも食べて消化する


 人気の無い道路に動物の死骸を見つけたとしよう。だが一夜あけると跡形もなくなくなっているころがある。それはヒゲワシが死骸を処理してくれているからに他ならない。

 ヒゲワシはタカ科の中でも特異な性質を持っている。彼らは主に動物の死骸の腐肉や、栄養価の高い骨髄を食べる。

 彼らは動物の骨も栄養分に変えて処理することが出来るのだ。

 小さい骨は丸呑みして、強力な胃酸で骨もろとも骨髄を消化する。一度に飲み込めないほどの大きな骨や亀の甲羅などの硬い獲物は、上空から岩の上などに落として割り、飲み込みやすいサイズにしてから食べる。

iStock-178368624_e


なぜヒゲワシは死骸の骨を栄養に変えることができるのか?


 成熟したヒゲワシの約80%が、動物の肉を食べずとも、骨だけ食べて、それを栄養に変えて消化吸収できるという。

 これは他の猛禽類との生存競争の中で獲得した彼ら特有の能力である。

 この特有の能力はどのようにして身に着けていったのか?

 大昔、ヒゲワシの祖先が偶然獲物を地面に落とした時、獲物の骨が真っ二つに割れ骨髄が露わになった。賢いヒゲワシの先祖はそこから栄養分が補えることを学び、遺伝子に刻み込んでいったのではないかと言われている。

 大自然によって引き起こされる進化というのは偶然の連続によって発生するものだ。


Wild African vulture birds scavage bones of dead animals - BBC wildlife


ヒゲワシの高度な知能と驚くべき消化能力


 またヒゲワシが素晴らしいのはその頭脳である。

 一度に口に入れることのできない大きな獲物は上空50〜80メートルの高さからから落として岩に叩きつけて砕くのだが、彼らは岩に叩きつける角度や風向きやスピードをきっちりと計算しているのだ。

 更にヒゲワシの胃の中には強力な酸が存在する。これはヒゲワシの食事である骨を溶かすための進化であり、一度に4キロほどの食料を消化できるという。

真の知性とは、知識ではなく創造力である
ー アルベルト・アインシュタイン

 天才物理学者アインシュタインが正しいとするならば、我々人類も、動物たちの発想と機転を理解し、自らの創造力を鍛える必要があるだろう。

References:everwideningcircles/ written by riki7119 / edited by parumo
あわせて読みたい
猛禽伝説。自然界のスーパーハンター、最強の猛禽類トップ10(捕食注意)


猛禽最強。ワシについての驚くべき10の事実


先輩超かっこいいっす!猛禽類最大の鉤爪と握力を誇る、生粋のプレデター「オウギワシ」


永久保存版:リアルに生きる猛禽類たちを捕えた鮮明高画質動画「BIRDS OF PREY 4K」


生きる為に狩る。野生の猫のハンティングスキルを激写したドキュメンタリー映像

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
この記事をシェア :    

Facebook

コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 20:54
  • ID:rcEBBSCe0 #

ワシは日本語にするとハゲだかヒゲだか散々なネーミングだな

2

2. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 20:55
  • ID:FNwi5ZWC0 #

全然関係ないけどハゲヒゲワシとかいるのかな

3

3. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 20:58
  • ID:NFMN9Jgf0 #

その能力や生態から出で立ちまでなにもかもが美しい
信仰の対象になりそう

4

4. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 21:09
  • ID:lZHUuL5q0 #

カッコいいね\(^o^)/
大したもんだ!(^^)

5

5. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 21:18
  • ID:FnYLHfKV0 #

ハゲワシの間違いだろ?と思いながら開いたらヒゲワシで合ってた
しかしこの記事、ヒゲワシの性質は詳しく解説してるけどどこに住んでるのか全く触れてないね
道路が引き合いに出されるということは市街地にもいるのかな

6

6. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 21:20
  • ID:Mp5lwcL30 #

生態系の頂点にいるはずなのにスカベンジャーとか、狩の危険を避けた選択なのかな?
ヒゲクジラにも似てる(向こうはショーカットだけど)、多様性とかニッチの利用とかで様々な生き物がいて、だから自然は面白いし、

7

7. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 21:29
  • ID:EtbH4rVS0 #

美しくてかっのいい鳥だな

8

8. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 21:43
  • ID:S0RxoyVx0 #

ゲワシ!

9

9. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 21:47
  • ID:1SdghWSB0 #

鳥葬とも関係あるのかな?

10

10. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 22:53
  • ID:oT8pfXSu0 #

ハゲワシ
ヒゲワシ
フゲワシ
ヘゲワシ
ホゲワシ

11

11. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 22:54
  • ID:ayT7myeK0 #

軟骨食べるくらいのノリで味わってそう

12

12. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 23:01
  • ID:VvyvyatG0 #

蠅の王ベルゼブブは、「腐敗による浄化」だと言うことを思い出した。

「腐敗→分解→消滅」の工程が無ければ、地球上は遺骸が増えるばかり

13

13. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 23:28
  • ID:8uTwzAYK0 #

夢枕獏の[鳥葬の山]はかなり前に読んだ記憶あるがなかなか雰囲気あって良かった

14

14. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 23:29
  • ID:3lpaApIL0 #

アナコンダやパイソンの類も獲物を骨ごと食べるけど消化には何週間かかかる。一般的に鳥類は消化が早いけれども、このワシが骨を消化するのに何時間くらいかかるんだろうか。それとも消化液である程度柔らかくしたら胃石で砕いて硬い部分はペリットとして吐き出すのかな。

15

15. 匿名処理班

  • 2018年09月15日 23:43
  • ID:.ZqEekhp0 #

ハゲタカとヒゲワシか…

お名前
スポンサードリンク
記事検索
月別アーカイブ
スマートフォン版
スマートフォン版QRコード
「カラパイア」で検索!!
スポンサードリンク