大男「トロッコが猛スピードで走ってきた! このままじゃ五人死ぬ! コースを変えりゃ一人死ぬ! どうすりゃいいんだ!?」
- 2018年10月10日 23:40
- SS、神話・民話・不思議な話
- 2 コメント
- Tweet
ゴォォォォッ!!!
大男「トロッコが猛スピードで走ってきやがった!」
大男(このままじゃ五人死ぬ! かといってコースを変えりゃ一人死ぬ!)
大男(どうすりゃいいんだ!?)
大男「…………」
大男「へっ、そんなの決まってんじゃねえか」
大男「オレが止めるッ!!!」バッ
ガシッ!
大男「ぐっ!?」グンッ
大男(なんつう衝撃だ……!)グググググ…
大男「ぐぐぐ……!」
大男「ぐぐぐぐぐ……!!!」
ギャギャギャギャギャギャギャ……!
大男「止める……ッ!」
大男「止まれええええええっ……!!!」
シュゥゥゥゥゥ…
大男「ぐぅぅぅ……」
大男「ハァ、ハァ……と、止まった……」
五人「俺たちを助けてくれてありがとう!」
一人「コースを変えないでくれてありがとう!」
ワイワイ…
大男「へへっ、みんな無事でよかったぜ!」
大男(しかし、まだ事件が解決したわけじゃねえ……)
大男(トロッコ暴走の原因を突き止めないとな!)
トロッコ「!」ギクッ
大男「なんでこんなことした?」
トロッコ「くっ、壊せ!」
大男「壊さねえよ……」
大男「わけを話せ! おめえは理由もなくこんなことするトロッコじゃねえはずだ!」
トロッコ「…………ッ」
大男「やっぱりな……で、誰にだ?」
トロッコ「……社長」
大男「社長?」
トロッコ「俺を作ったトロッコメーカーの社長だよ……」
大男「な、なんだとう!?」
トロッコ「分からねえ……が、我が社の発展のためだっていわれて……」
トロッコ「俺だってやりたくなかったが……やるしかなかった!」
大男「そりゃそうだろう!」
大男「トロッコが主人に逆らったら、スクラップにされちまうからな!」
大男「お前のような良トロッコにこんなことさせるなんて、トロッコメーカーの社長……許せねえ」
大男「許せねえええええええええ!!!」
トロッコ「!」
大男「お前はここで待ってろ……」
大男「オレがトロッコメーカーの社長になんでそんな命令したか問いただして、ブン殴ってやるから!」
大男「じゃ、行ってくるぜ!」
五人「行ってらっしゃーい!」
一人「お気をつけて!」
警官「…………」ピクッ
大男「おまわりさん、聞きたいことがあるんだが」
警官(デカイな……。2メートル10……いや2メートル20センチってところか)
警官「なにを聞きたいのかね?」
大男「トロッコメーカーはどっちにある?」
警官「ああ、それなら……」
大男「そんなに遠いのか!?」
大男(うむむ、どうしよう……)
大男(行くまでにものすごい時間を食っちまうぞ……)
ゴォォォォォッ!!!
大男「ん?」
トロッコ「こんなこったろうと思ったぜ!」
大男「トロッコ!」
トロッコ「会社はものすごく遠いんだ! 乗りな! 連れてってやるぜ!」
大男「ありがとよ!」ドスッ
トロッコ「忘れ物はないか!?」
大男「おう!」
トロッコ「しっかり掴まってろよォ! 飛ばすぜぇ!」
ゴォッ!!!
大男「ヒューッ! 速い速い! 新幹線より速いぜぇ!」ガブッ
トロッコ「おいおい、あんまりしゃべるなよ! 舌噛んじまうからな!」
大男「もう噛んだ」
トロッコ「え」
大男「だが、オレは舌も鍛えてあるから大丈夫だ!」
トロッコ「なるほどな!」
トロッコ「本社ビルが見えてきたぞ……どうする?」
大男「決まってる! このまま社長室に突っ込んでくれ!」
トロッコ「ラジャー!」
ギュオオオオオオッ!!!
社長「今頃、あのトロッコは人を轢き終わった頃だな」
秘書「はい、破壊力を知らしめてくれるはずです」
社長「クックック……こうしてトロッコの破壊力を宣伝できれば」
社長「我が社のトロッコを兵器市場に売り込めるというもの!」
社長「そうすれば、我が社はさらに発展するというわけだ! ハッハッハ!」
ドガシャァァァンッ!!!
社長「なんだ貴様は!?」
秘書「きゃっ、風でスカートが……」フワッ
社長「むふっ!」
大男「むほっ!」
大男「おっと……てめえ、トロッコを兵器にするなんて許せねえ!」
トロッコ「社長、こんなことやめてくれ! あんたはそんな人じゃないはずだ!」
社長「トロッコ、貴様裏切ったな! スクラップになりたいか!」
トロッコ「人を轢くぐらいなら、スクラップになった方がマシだ!」
社長「貴様ァ……!」
社長「なんだ!」
大男「オレと勝負しろ! もしオレが勝ったらトロッコを兵器にするなんてやめろ!」
社長「いいだろう……」
社長「トロッコレースで勝負だ! 秘書、私のトロッコを用意したまえ!」
秘書「かしこまりました」
社長「貴様に乗るのも久しぶりだな。貴様の性能をとくと思い知らせてやれ!」
黒トロッコ「御意」ブオオオン…
大男「絶対勝とうぜ!」
トロッコ「おう!」ブオオオン…
実況『さぁ、二つのトロッコがスタートラインに並び、いよいよレースが始まろうとしております!』
実況『世紀のトロッコレース、勝つのは社長か、それとも大男か!?』
社長「ゆけい!」ゴォッ!!!
大男「飛ばすぜぇっ!」ゴォッ!!!
実況『両者一斉に飛び出したーっ!!!』
社長「クックック、その程度か! 早くもだいぶ差がついてしまったぞ?」
大男「は、速い!」
実況『社長の黒トロッコ速い! どんどん差が開いていくぅ~っ!!!』
社長「そこらの炭鉱で働いているトロッコなどに負けるはずなかろう!」
社長「このレース、最初から勝者は我々だと決まっていたのだ!」
黒トロッコ「…………」
トロッコ「くっ、すまねえ……!」
大男「なに謝ってやがる! 勝負はこれからじゃねえか!」
トロッコ「大男……」
ゴオォッ!!!
社長(コーナーか……減速せねば)キキッ…
大男「曲がれぇ!」
トロッコ「おう!」
ギュオオッ!
社長(なにっ!? コーナーを減速せずに!? バ、バカな……!)
社長「な、なぜだ!? なぜ減速せずに曲がれたのだ!?」
大男「オレはでかくて重いから、その分車体が安定してるのさ!」
大男「そしてなにより、オレはこいつを信頼してるからなァ! どんなカーブも怖くねえ!」
社長「……くっ! おい、もっとスピードを上げろ!」ビシッバシッ
黒トロッコ「……御意」ギュンッ
実況『ここでムチが入る! やはり直線では社長が速いッ!』
ゴォォッ!!!
トロッコ「くそっ、あっちのが速い!」
大男「だが、社長は減速するはず! チャンスはある! 最後まで諦めんな!」
トロッコ「おう!」
社長「…………」
社長「減速するな!」
黒トロッコ「無茶だ、社長! ここは一度減速して、最後の直線で勝負を――」
社長「私の命令が聞けんのか!」
黒トロッコ「……了解した」
ギュルルッ!
実況『黒トロッコ、なんと速度を保ったまま最後のカーブに突っ込んだ!』
実況『黒トロッコ、クラァァァッシュ! 線路の外に吹っ飛んだァァァ!!!』
社長(しまった! やはり私のテクニックでは曲がり切れなかったか!)
社長(あの大男に妙な対抗心を燃やしてしまったことが、運の尽きだったか……!)
社長(私は……ここで死ぬのか……)
社長(トロッコに人を轢けなどと命令した報いか……)
大男「ぐっ!」
実況『大男がトロッコに乗りながら、社長と黒トロッコをつかんだ!』
大男「うおおおおおおっ!」グイイッ
ズシンッ!
実況『しかも、見事に社長と黒トロッコを着地させたァ! なんというパワーだァァァ!!!』
社長「なぜ助けた? 我々など助けず、ゴールすればよかったものを……」
大男「へっ、んなこと決まってらぁ!」
大男「おめえはトロッコの生みの親みたいなもんだ……」
大男「親友のオヤジを……見殺しにはできねえだろ?」
社長「ぐうっ……!」
黒トロッコ「社長!」
秘書「社長!」
社長「ああ、分かっている……私の完敗だ」
社長「むろん、我が社の兵器市場参入は撤回する! これからは平和なトロッコメーカーを目指す!」
大男「やったぜ!」
トロッコ「大男、ありがとう!」
大男「オレのおかげじゃねえ……お前が頑張って走ったからだろうが!」
社長「…………」
秘書「社長、心なしか表情が晴れ晴れなさってますわ」
黒トロッコ「これからもあなたについていきます」
社長「二人とも、ありがとう……」
トロッコ「おう! 乗ってけドロボー!」
ゴォォォッ!!!
こうして、長年人々を悩ませ続けた「トロッコ問題」はついに解決したのであった……!
― 完 ―
元スレ
大男「トロッコが猛スピードで走ってきた! このままじゃ五人死ぬ! コースを変えりゃ一人死ぬ! どうすりゃいいんだ!?」
https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1539173615/
大男「トロッコが猛スピードで走ってきた! このままじゃ五人死ぬ! コースを変えりゃ一人死ぬ! どうすりゃいいんだ!?」
https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1539173615/
「神話・民話・不思議な話」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
今週
先週
先々週
コメント一覧 (2)
-
- 2018年10月10日 23:46
- 久しぶりのまともなss
-
- 2018年10月10日 23:47
- さすがだよ
スポンサードリンク
デイリーランキング
ウィークリーランキング
マンスリーランキング
アンテナサイト
新着コメント
最新記事
LINE読者登録QRコード
スポンサードリンク