明治時代に発展した日本画は、日本の伝統や文化に関心を持つ外国人の間でも非常に人気がある芸術品の一つだ。
その中には、時を経てその価値や魅力を再認識されるものも多いが、オンラインで無料公開となった『波紋集』というデザイン帖が海外で話題になっている。
それは森雄山という明治の日本画家が、全3冊にわたって残した波のモチーフ集で、波一つにも多様な表現がある日本画の奥深さがうかがえる素晴らしい本だ。
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明治時代の日本画家、森雄山による『波紋集』
これは森雄山(-1917)という日本画家が1903年(明治36年)に出版したもの。
この人物にまつわる情報はあまりないが、京都で活動した日本画家であり円山応挙の画風を引き継いだ森寛斎の弟子だといわれている。
職人のために作った波のデザイン集
上中下の3冊から成るこの図版集は、雄山が刀や宗教用品、陶磁器などを作る職人のために描いたもので、装飾にふさわしい波の図柄が多数収められている。
一言でいえばただの波。だがここには色々な形があり、渦を巻く波や砕ける波など多岐にわたる。
いわゆる装飾デザイン集のようなもので、現在見かける和食器などの日用品にもこの時代にあった絵柄がさりげなく受け継がれているのがよくわかる。
当時も国内で好評だった画風
この頃日本には、急速な近代化と西洋文化が押し寄せていたが、国内では『波紋集』のような画風が根強い人気で、その後1世紀以上も人気を博したそうだ。
この本は海外で伝統工芸や自然の美しい描写を大切にする日本ならではの作品と評されている。
無料の全巻閲覧とダウンロードが可能
うれしいことに『波紋集』は現在、非営利のデジタルライブラリ
Internet Archive Booksにて無料で公開中。
閲覧はこちらから上、中、下全3冊をそれぞれをチェックだ。(ダウンロードは開いた後、下スクロールして右にあるDOWNLOAD OPTIONS内のPDFから可能)
References:archiveなど /written by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
素晴らしい情報ありがとうございます。
ダウンロードできるなんてすごい!!
2. 匿名処理班
???「山吹色の波紋疾走!」
3. 匿名処理班
ふるえるぞハート!
4.
5. 匿名処理班
これで今日からキミたちも波紋の使い手だ!
6. 匿名処理班
素晴らしい
7. 匿名処理班
リンク先のサイトの検索欄(右上)で「Hamonshū」で検索したら出てきた。
8. 匿名処理班
波っていいよね
暗くなるまでずっと見てられる
9. 匿名処理班
まずは呼吸法をマスターしなければ。
…とジョジョネタはさておき、こんな本があるんだな〜。日本画は洋画とくらべて平面的な表現が多くて面白い。
10. 匿名処理班
テキスタイルの世界では今でもあるよ。こういうものは。
11. 匿名処理班
明治時代って、日本画は西洋画に比べて稚拙とか、日本建築の建物は西洋の建物より劣ってるとか、寺や神社は焼かれたりとか、
とにかく日本の文化が迫害されてた時代だという認識しかないんだけど
12. 匿名処理班
良いなこれ
自分の描くイラストの参考にしようかね
13. 匿名処理班
※11
趣味的かつ、漢籍の素養と書の技術を活かした南画(文人画)は維新志士の共感もあって維新後も栄えたが、世の中が落ち着く明治10年頃までは円山派も含め大半の職人的・御用画系の日本画には冬の時代だった。
森雄山の師匠の森寛斎は長州藩の下級武士出身で、維新前に活躍して新撰組に追われたような人物だったが、政治的影響力はなく、この人も冷や飯を食わされている。
岡倉天心とフェノロサが後に南画批判と他の職人的日本画派の再評価を行い、関東を中心に南画が凋落、円山派や狩野派、土佐派などが復興して現代日本画に続く。
ただ、南画は精神性を盛り込むという意味で近代芸術に近いんだが、東洋絵画の精神性・文学性という面にフェノロサが無知・無理解で批判し過ぎた面もあるね。
自分は南画を描いているが、この絵も参考にさせて頂くよ。
14. 匿名処理班
※3
燃えつきるほどヒート!
15. 匿名処理班
よくまとめたものだ
16. 匿名処理班
そういえば、少し前に
「青海波の模様を見た子供が『WiFiがいっぱい』と言っていた」
みたいなツイートを見たことがある。
ちなみに、私が子供の頃は
「鯉幟のウロコっぽい模様」と思った。
17. 匿名処理班
ターコイズブルーオーバードライブ‼︎
容易いぞ! 波紋がネットの海を伝わるのは‼︎