1: 2018/09/24(月) 02:24:13 ID:OGS6tOqQ
俺の名はD

…そうスレタイでは名乗ったのだが、当然の事がこれはあくまでイニシャルだ

本名は寺田 大輔(てらだ だいすけ)

みんな大好き“Tさん”と名乗っても問題ない名前だが、俺は「破ぁ!」1つで悪霊を倒せるほど強くないなので“D”と名乗っている

まあ、ぶっちゃけ名前の所は霊能力者になるのだから本名とかイニシャルとかは割とどうでもいい話なのだが

引用元:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1537723453

2: 2018/09/24(月) 02:34:49 ID:OGS6tOqQ
因みに寺生まれのTさんとは違い、俺はガッツリこの力を主に使う職業に就いている

別にそういう会社とか組織がある訳じゃなく、個人事務所ではあるのだが

勿論インチキではない

正真正銘のモノホンの悪霊退治だ

そう、例えば

息子さん「クケッ……!クケケケッ!」

母親「先生っ、息子は……!」

霊能力者「任せておいて下さい」

こんな風に

3: 2018/09/24(月) 02:41:33 ID:OGS6tOqQ
息子さん「クケーッ!」

じたばた

霊能力者「物理的に縛ってるとはいえ、あんまし時間はかけられないね」

母親「息子は助かりますか!?」

霊能力者「んー、多分大丈夫かと。さて、」

助手「“D”先生、どのセットを今回は使いますか」

霊能力者「セットXで」

助手「了解しました」

パカッ

霊能力者「これでよし、と」

母親「あのー、先生……。それは……?」

霊能力者「霧吹きと十字架ですけど」

4: 2018/09/24(月) 02:50:37 ID:OGS6tOqQ
母親「まあ、それは見れば……」

霊能力者「……まあ、言いたいことは分かりますよ?ただ最近の除霊はマルチにカバーしないとやってられないんですよ」

母親「は、はあ」

霊能力者「助手ー、霧吹き頼む」

助手「はい」

プシャッ

息子さん「ギィィヤァァァァァア!!」

母親「!!」

助手「ただのオリーブオイルなので大丈夫ですよ」

霊能力者「効いたってことはやっぱりかー。やっぱりあれかー」

母親「あれとはなんですか!息子には何がついてるのですか!?」

霊能力者「悪魔です」

母親「」

5: 2018/09/24(月) 02:59:09 ID:OGS6tOqQ
助手「正確には映画『エクソシスト』に出てくるようなアレです」

霊能力者「コイツがモノホンなら面倒だな。一応本も用意しておいてくれ」

助手「かしこまりました」

母親「あ、悪魔って」

霊能力者「なんか最近外来種的なノリで日本にもきてるみたいなんですよー」

母親「外来種って……」

霊能力者「さっきも言った通りモノホンのガチ悪魔なら俺の“本業”とは少し違う分野になるので面倒ですけど。多分違うと思うので安心してください」

母親「違う?」

息子さん「クケーッ!」

霊能力者「まあ見といて下さい」

6: 2018/09/24(月) 03:07:47 ID:OGS6tOqQ
助手「先生、全ての準備が整いました」

霊能力者「じゃあやりましょか」

息子さん「クケケケーッ!」

じたばた

霊能力者「オラッ!」

ギンッ

息子さん「グゲッ」

助手「霧吹きもどうぞ」

プシャッ

息子さん「グゲゲッ」

霊能力者「十字架見えてんだろ、名前を言え」

息子さん「グギッ、グギゲゲゲッ……!」

7: 2018/09/24(月) 03:16:11 ID:OGS6tOqQ
霊能力者「こりゃどっちか分からんなぁ……。助手、」

助手「銀で出来たフォークもどうですか?」

プスッ

息子さん「グゴギィィイイイイイイイ!!」

霊能力者「名前を言えば外に出られるよ?」

息子さん「べ、ベリアル!我が名はベリアルッ!!」

ボワンッ

母親「ひっ!あ、悪魔っ!?」

助手「先生」

霊能力者「……」

8: 2018/09/24(月) 03:19:28 ID:OGS6tOqQ
ベリアル?「このエクソシスト共め!次は貴様らにとり憑いてやるっ!!」

母親「ひいっ!」バタリッ

助手「先生」

霊能力者「分かってるよ」

ベリアル?「怖気付いたか」

霊能力者「……可哀想だからお前にさいごに1つ教えてやるよ」

ベリアル?「な、何をいきなり」

霊能力者「本物の悪魔は日本語じゃ喋らんぞ」

ベリアル?「え」

霊能力者「破ァッ!」

チュボンッ!

9: 2018/09/24(月) 03:23:46 ID:OGS6tOqQ
助手「起きて下さい」

母親「あれ?悪魔は……」

霊能力者「あのもどきは無事除霊したので問題はありません」

母親「で、では息子は!」

霊能力者「ご覧の通り」

息子さん「Zzz......」

母親「ああ…!」

霊能力者 「これでもう大丈夫ですよ」

10: 2018/09/24(月) 03:36:13 ID:OGS6tOqQ
──────
────
──

助手「それにしても最近増えましたね、“悪魔もどき”」

霊能力者「……正直今さら感あるけど、どっかで流行ってんのかねぇ」

本来ならば地縛霊という存在で産まれる筈であった悪霊

しかし、現代のネット社会では誰もが簡単にイメージの共有を行い、拡散する時代

人の恐怖に対するイメージの変化はハッキリとこちらの世界にも影響していた

積もり積もった多くの“ソレ”が現実のものとして現れる様になったのだ

既存のものとは比べ物にならない形で

11: 2018/09/24(月) 03:41:13 ID:OGS6tOqQ
霊能力者「……」

助手「……私の顔になにか」

霊能力者「別にー」

これはそんな徐々に無理ゲー化していく悪霊たちと仕事で戦う霊能力者、“寺生まれのD”の日常の物語

12: 2018/09/24(月) 03:43:20 ID:OGS6tOqQ
第1破ァッ!「こっくりさん」

13: 2018/09/24(月) 03:51:26 ID:OGS6tOqQ
教頭「やあ、大輔くん!よく来てくれたね」

霊能力者「お久しぶりです、先生」

教頭「あれから8年か。職業が職業だからこうして君の元気な姿が見れて嬉しいよ」

霊能力者「先生も変わらずお元気のようで」

教頭「今ではお陰様で教頭さ」

霊能力者「その頭がようやく似合う役職に着きましたね」

キラーン

教頭「減らず口も変わらんなぁ」

14: 2018/09/24(月) 04:01:16 ID:OGS6tOqQ
助手「……」

教頭「ところで君の隣の可愛い娘さんは……」

霊能力者「仕事の助手です」

助手「どうも」ぺこり

教頭「おーこれはこれは、こちらこそ。それにしても大輔の隣りに女性とは。お前もようやく……」

霊能力者「そんなんじゃないですよ」

助手「……」

ゲシッ

霊能力者「いたいっ。事実だろ」

教頭「ふむ……、」

16: 2018/09/24(月) 23:38:49 ID:OGS6tOqQ
霊能力者「それにしても凄いもん呼んでますね」

教頭「この距離でも分かるのかね」

霊能力者「グラウンド挟んだこの校門からもハッキリとその教室の前に浮かぶ“社(やしろ)”が見えますし」

教頭「社?は見えんが、やはり我々では対象不能レベルだったか」

霊能力者「最近のヤツらはドアを開けてこんにちはをしても立ち向かって来ますしね。鳩と同じですよ」

教頭「学長を説得するのに苦労したが、やはり君を呼んで正解だったようだ」

霊能力者「少なくとも不正解ではなかったと思いますよ」

17: 2018/09/24(月) 23:47:18 ID:OGS6tOqQ
助手「先生、そろそろ」

霊能力者「そうだね。そろそろ気づかれるかもしれないし行こうか」

教頭「……事前に伝えてはいるが、」

霊能力者「分かってますよ。教室の中には女子生徒が3人、少なくとも脱出の痕跡は無く監禁状態は2時間半。“最悪の場合”だった時のアフタフォローも仕事の内ですから」

教頭「すまない……」

霊能力者「大丈夫ですよ。邪神でも降ろしていなければまだ間に合いますよ」

助手「準備はしておいた方が宜しいですか?」

霊能力者「“最悪の場合”は有り得なくもないからね。すぐに出せるように」