北朝鮮、目を疑った最先端授業 見えた正恩氏の本気度
北京特派員をしていた6年間。北朝鮮の内情に迫ろうと、国境に数十回出向いて定点観測をした。1300キロに及ぶ中朝国境は、車でほぼたどってみた。国境を隔てる金網越しに朝鮮人民軍の兵士に声をかけ、装備や食糧の事情について探った。北朝鮮から来たばかりの脱北者からも最新の情勢を聴いた。両国を隔てる小川越しに北朝鮮の農民と話をした。中国側で漁船を借りて中朝国境を流れる鴨緑江から対岸に向かってシャッターを切り、朝鮮人民軍の監視船に追いかけられたこともあった。
それでもなお、一度も越境したことはなかった。私にとってはこんなに身近にありながら、その境界線は果てしなく高く、そして深く感じていた。
幸運にも今回、北朝鮮の建国70周年の関連行事にあたり、米CNNや中国中央テレビ、一部の日本メディアなど約150人と共に当局から取材許可を得て訪朝することになった。
(略)
30分ほど飛んでいると、アナウンスがあった。
「当機はただ今、鴨緑江の上を飛行しています」
とうとう一線を越えてしまった――。胸の高鳴りがわかった。悪いことをしてしまったような罪悪感も覚えた。そして不安もよぎった。日本人男性が8月に北朝鮮当局に拘束されていたからだ。
そうこう考えているうちに、機…
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