「これはこれでうまい」という言い方があるだろう。
定石通りの解りやすい共通言語としてのおいしさとは離れたところにある、まあちょっとアレだけどこういうのもありっちゃありだよね、というタイプの食べ方だったり食べ物である。
あるとき私の生活圏内にはこの「これはこれでうまい」を積極的に愛している人間が複数存在することに気づいた。
様々かたちの「これはこれで」に対して意見を持ち寄り横断的に知見を広めるべくサミットを開催した、これはその記録である。
ふやけの乙幡、湿気りの安藤、冷めの古賀そして固くする石川
集まったのは私を含め4人。それぞれがある種類の「これはこれでうまい」を愛しそれを声高に叫ぶことに抵抗を持たない者々だ。
メンバー紹介をしながらその食癖についても紹介していきたい。
よろしくお願いします
今日はこの4人がそれぞれ2品ずつ、それぞれの食癖に関するおすすめの食べ物を持って集まった。
4人は同じく「これはこれでうまい」を愛する者たちである。仲間意識を持ってお互いを認め合っていきたい。
なお悪食ともいえる食行為であり、万人に勧められるものではないことは確かである。どうかどうかどうか、その点ご了承いただきつつ寛大にごらんいただければ幸いです。
お吸い物の汁でサラダせんべいをふやかす
トップバッターはふやけの乙幡。
お吸い物は永谷園の「松茸の味お吸いもの」を使う
ふつうに作って…
サラダせんべいを投入
お麩だと思うとかなり普通だ
まさかの「ふつうにうまい」に見事な白目が撮れた
ふやけの1品目は思ったよりもまともであった。
ほかのメンバーに緊張が走る。なんだ今日は食ってるものがまともじゃなくてもいい日ではなかったのか。
次は湿気り担当、安藤のターン。
キャラメルコーンはバリエーションとして「1晩」、「2晩」を売るべき
この状態のカバンを持って会場入りした安藤
カバンに入っていたのは、封をあけた状態のキャラメルコーンだ。そしてまだふやけ食を食べている石川
写真ではわかりにくいですが、湿気てます
湿気たキャラメルコーンの「サクッ」ではない「きゅっ」という食感がおいしいというのはおおむね他メンバーにとっても理解できる範疇の主張であった。
「言ってること、わかる」という状況である。マイノリティ同志の手がつながれた瞬間だ。
続いては石川。固いグミが好きで、もともと固いハリボーをもっと固くすべく封を開けた状態で乾かすことで有名である。それ、うまいのか。食べさせてもらおう。
高反発なグミの魅力とは
グミを固くし慣れている者の発言である
こちらが今回1週間乾かして固くしたものたち
そもそもが固いグミとして有名なハリボー
本人も予想通り、かなり異端な趣味である
果汁グミも固く
「味についてはあんまり考えていませんでした」という石川。食べ物の価値にはまず味があり、そのあとしばらくしてから食感があると思っていたのだがそうではないのだ。
食感だけを過激にいつくしむという食行動にちょっとしたショックが広がった。
ざわついた会場はそのままに、続いて筆者である冷めの古賀のターンである。
冷めたピザこそがうまい
またせたな
パーティ―の残り物という幸せ
パーティ―の翌日を感じさせるこの固定感
こういう端っこがうまい
これは違うわ、と吠えだした石川
思いもよらないことであった。私がこだわっていたのは「冷めていること」ではなく「即食べること」だったのだ。言われてみれば完全にそうだ。
「冷めているもの」が本当に好きな新担当者も決定するというよどみない流れである。
ここからターンは2周目へ。各自の嗜好をより明らかにしていきたい。次のページへ続きます