かつて閉鎖されていた土地で子どもの霊に追いかけ回された話【読者投稿】

2018年10月18日：18:00

管理人です！
今回、仕事である場所を訪れた際に体験したという話を投稿いただきました。
現れた子供の正体は・・・。ゾッとする内容の話です。
投稿してくださったトモ様、ありがとうございました。

灯台での体験

自分は仕事の関係で全国各地に取材に行くことが多い。
ある時、I県に取材に行くことになったんだが、その時の流行りもあって取材場所をドローンで空撮しようという話が社内で持ち上がった。俺もドローンには興味があったし面白そうだと思って、すぐさまドローン空撮を扱ってる会社に依頼して機材と人員を貸してもらうことになった。
取材当日にはドローンを操作する人と機材関係の人の二人が来てくれて、俺たちは三人でI県に向かうことになった。

基本的な取材の流れは、レンタカーで取材スポットに向かい、そこで必要な取材を行い、最後にドローンで全体を空撮するという感じだった。ドローン空撮ってのは意外にも時間がかかるもんで、セッティング・撮影・回収・チェックだけでも、ワンポイントの撮影で1時間くらい掛かる。俺たち三人はI県内に点在する色んな取材スポットを巡り、ほぼ1日掛けてドローン空撮をしていった。

その日の最後に取材したのがK灯台という場所なんだが、その場所で人生で初めて霊を見てしまった。

K灯台は切り立った崖の上にあるのだが、その場所まで車では行けなかった。途中の林道に車を置いて足元の悪い坂道を登っていかなくてはならず、三人で手分けして荷物を持ちながらえっほえっほと登っていった。

何とかK灯台に到着してカメラでパシャパシャ撮ってると、ドローン班の二人が俺のところにやってきた。

「すみません。ちょっとドローンの調子悪いみたいです」
「やっぱりダメでしたか？」
「はい。飛ぶには飛ぶんですけどカメラが……」

一つ前の場所を撮影してる時からドローンのカメラの調子が悪かったのだが、ここに来てとうとう映らなくなってしまったらしい。とは言ってもドローン撮影にはよくある話らしく、二人はこの取材のために予備のドローンを持ってきてくれていた。

「ちょっと取り替えてきますね」
「お願いします。自分はここで待ってますので」

二人はドローンが入った重たいケースを抱えて登ってきた坂道を下っていく。俺は待ってる間に灯台から見える綺麗な海の写真なんかを撮って取材を進めていった。

この時点で夕方に差し掛かっていたのだが、空撮する映像の関係から夕方なのはよろしくないので、早く撮影を済ませなくてはならなかった。そんなことを考えていると後ろの方で人の気配がした。二人が戻ってきたのかと思って振り返ったが、そこにいたのは二人ではなかった。

小さな女の子（もしかしたら男の子かもしれない）が痩せた木の後ろからこちらを覗いていた。その子供は少し薄汚れた白いTシャツ姿にボサボサのおかっぱ頭（金太郎みたいな髪型）で、はっきり言って不気味だった。

誰か家族に連れられてきたのかと思ったが、ここに来るまでも来てからも自分たち以外に人影は見ていないし、そもそもここは観光地と呼べるようなところではなかった。つまり子どもが一人で来るような場所ではないのだが、それでもその子が幽霊だなんて思わなかった。

近所の子（と言っても近所に民家はなさそうだが）が遊びに来たんだろうと思いながら写真撮影を続けていると、どうもずっと気配というか視線を感じる。時々チラッと後ろを見ると、俺が移動するのに合わせて子供もコソコソとついて来ていた。俺が撮影場所を変えると、その子も別の場所に移動する。というのを何度か繰り返していると、どうも変だと感じた。またチラッと子供の方を見ると、思った通り、子供はどんどん俺に近づいていた。この時に子供の顔がよく見えたんだが、俺を見つめながらずっと笑ってんの。

背筋がゾッとして怖くなった俺は走って逃げようとした。そしたら子供も同じように走り出して、俺はさらに怖くなってとにかく走った。だが、足場が悪い岩の上を走るのは簡単じゃなくて、坂道を下る手前で俺はバランスを崩して尻餅をついた。

そしたら子供はピタッと走るのをやめて、また木の後ろから俺を見て笑ってんの。これはヤバいと思った俺は立ち上がってひたすら坂道を下った。林道の車が見えるところまで来ると、車の後ろにドローン班の二人の姿が見えた。そこで少しホッとしたのだが、後ろを振り返ると、子供が俺と同じペースで坂道を下ってきてた。もうどう見ても明らかにヤバいものだった。俺は急いで車まで戻り、二人にバックドアを閉めるように言った。

「ヤバいのに追われてるんです。すぐに車に乗ってください、撮影は中止です」

二人はポカーンとしていたが、俺の動揺具合と俺が指差した先にいる子供を見てすぐに車に乗ってくれた。

「なんですか？」
「わからないけど追われてるんです！絶対ヤバい、早く逃げないと」

俺はすぐに車を発進させた。後部座席の二人は振り返って後方を見る。俺もバックミラーから後ろの方を見ると、子供がガードレールの下をくぐって林道に出てきていた。離れていく車をじっと見つめながら口元はニヤーって笑ってんの。後ろの二人もさすがに「ヤバイヤバイ」と怖がっていた。

その後、俺たちはそこで取材を終わらせ、予約していた宿泊先に向かった。ホテルに着くと二人が子供について気になることを言い始めた。

「なんか変だったよね？」
「はい。目が……こうなんていうか」

俺は気づいていなかったのだが、車の後部座席に座っていた二人には林道に下りてきた子供の顔がよく見えたそうで、ただ笑っているだけでなく目の位置がおかしかったらしい。左右でズレていて、いわゆる奇形っぽかったらしい。それを聞いてまたゾッとする俺。灯台のところでそれに気づいていたらパニックで漏らしてたかもしれない。

次の日も取材が残っていたのだが、俺たちは全く気乗りしなかった。適当（って言ったら会社に怒られるが）に取材を終わらせ、早々に東京に戻った。

その後、会社の人たちにこのことを話したんだが、「やだこわーい」とみんな他人事でちゃんと話を聞いてもらえなかった。その後、自分で灯台の場所について調べたのだが、予想通り心霊スポットだった。有名かはわからないが、ネットで心霊体験が出てくる程度には心霊スポットだった（子供の霊を見たという話は見当たらなかったが）。

しかも、どうやらそこは昔閉鎖された環境にあったらしく、近親〇〇がある地域だったみたいで、奇形児なんかも生まれていたそうだ。あの子供ももしかしたらそういうものと関係があるのかもしれない。

それからも取材で色んな場所を訪れているが、心霊体験はその一回きりだった。あの場所には会社命令でも絶対に行かないだろう。

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