都市伝説。この根拠のない恐怖話は、わたしたちの想像力を刺激し、人から人へと伝わるたびにどんどん恐ろしげなものに変遷していく。
今はインターネットのおかげで、こうした話は一瞬にして拡散されるが、人はこれまで何世紀もの間、こうした不気味な逸話を人づてに語り継いできた。
心理学者によれば、わたしたちがこうした話にどうしても耳をそばだててしまうのは、おぞましいものにどこか惹かれてしまい、無責任にゴシップ話を楽しむという傾向があるからだそうだ。
当然のことながら、都市伝説はあくまでも都市伝説と、懐疑的にとらえる人も多い。しかし、中にはこうした話が実は本当だったことがわかる場合もある。
次にあげる話は、都市伝説として尾ひれがついて広まったものだが、実はまんざら嘘でもなかったというものなのだ。
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1. ポリビュオス伝説
The Legend of Polybius | Gaming Historian
1980年代の始めごろ、ポートランドのビデオゲーマーたちの間で、コイン投入式のあるアーケードゲームのことが語り継がれていた。
「ポリビュオス」というこのゲームは、プレイヤーたちに妙な影響を及ぼすというのだ。このゲームにはまった人たちは、見当識傷害、健忘症、ゲーム中毒症という状態に陥り、果ては自殺することもあるという。
このゲームの筐体は完全に真っ黒に塗られていて、ときどきいかめしい顔をした男たちが巡回してきて、ゲーム機から情報を回収して姿を消すと言われている。
MKウルトラ計画(マインドコントロール実験)から派生したCIAの新たな実験なのか? なんの疑いももたない被験者を対象にした薬物研究か? いろいろな噂が流れた。
この話全体はちゃんと精査されていないが、細かい断片は事実に基づいている。
Skeptoidというポッドキャストを運営するブライアン・ダニングは、いくつかの事例を調べて、12歳のブライアン・マウローという少年が、1981年にポートランドで行われたビデオゲームの28時間マラソンに出場中に具合が悪くなった事実があったことを発見した(ソーダの飲み過ぎて胃の調子が悪くなったらしい)。
そのわずか数日後、ポートランドじゅうのアーケードに連邦捜査官がどっと現われて、ゲームに使われたポリビュオスのマシンを撤去したという。
こうした事実や、実在するポリプレイというアーケードゲームとごっちゃになって、ポリビュオス伝説ができあがったようだ。
2. キャンディマン
Candyman (Urban Legend)
1992年に公開された映画『キャンディマン』は、クライヴ・バーカー原作の短編をベースにしている。1890年代に白人女性と関係をもったために殺された黒人アーティスト、トニー・トッドによる復讐劇だが、これがかなりコワいホラー話として今でも語り継がれている。
鏡に向かって、その名前を何度かとなえて彼をよみがえらせる、なんてことはできそうにないが、洗面所の戸棚から殺人者が飛び出してくるという、ちびりそうなほどの恐怖のアイデアは、実は事実に基づいている。
1987年、シカゴ・リーダーが、ルース・マッコイという女性の話を紹介している。
シカゴの公営住宅に住むルースが、半狂乱になって911に電話してきて、自分のアパートの部屋で襲われたと訴えた。かけつけると、銃で撃たれて死んでいるルースが発見された。襲撃者はルースの隣の部屋と連結している壁を壊して、洗面所の棚から彼女の部屋へ忍び込んだのだ。
建物が意図的にこのような構造で建てられていたのは、配管業者が水漏れの調査をするとき、簡単に棚を取り外してパイプをチェックすることができるからだ。
これが強盗がしのびこむときの格好の侵入口になってしまい、マッコイのケースも例外ではなかったのだ。
3. クロプシー
アメリカ・ニューヨークのスタテン・アイランド周辺に住む子供たちは、ずっと「クロプシー」の話に鳥肌をたてながら育ったことだろう。
クロプシーは、森の中に棲み、夜な夜な、子どもの腹を裂いてはらわたを取り出して歩くと言われている怪人のこと。親たちは、そんな怪物は存在しないと宥めて、子供たちの恐怖を鎮めなくてはならなかった。
だが、クロプシーは本当にいた。1987年、アンドレ・ランドという男が、児童誘拐の罪で裁判にかけられ、有罪になった。その後、ランドは、1970年代に頻発した子どもの失踪事件に関与しているらしいということがわかった。
そして、彼はかつて、現在はもうない精神病院ウィロウブルックに入っていたことがあった。本人はほかの事件への関与は否定したが、彼のこうした来歴が、その後出てきた言い伝えに極めて強い影響を与えたことは確かだ。
4. 飛び降りる弁護士
カナダ・トロントの住民なら遅かれ早かれ、ある弁護士の話を聞くことになるだろう。彼は自分のオフィスの窓がいかに強くて割れないかを実証するために、酔狂にも自ら全速力で窓に体当たりしてみせるのが好きだった。
だがそれがついに、最悪の結果をもたらすことになった。
1993年7月9日、法律事務所長のギャリー・ホイは、24階の自分のオフィスを訪ねてきたロースクールの学生を感心させようと、例のごとく窓に体当たりした。何度かぶつかるうち窓ガラスが割れ、彼は窓から真っ逆さまに落ちて死んだ。
5. ベッド下の遺体
ホテルに滞在するすべての人が、都市伝説の対象になる。至福の眠りについたのに、ベッドの下もしくはマットレスの間から、なにやらひどい悪臭がして目が覚める。
よくよく調べてみると、遺体が押し込まれていたというもの。当然のことながら、自然死した人の遺体ではないだろう。
このトラベル都市伝説は、何度も報告されていて、少なくとも12の新聞が、ホテルの部屋の細部を事細かに描写した。そのせいで遺体遺棄の場として、ベッド下というケースが大幅に増えた。
いずれにしてもにおいですぐにわかってしまうはずだが、1999年のアトランティックシティのケースでは、少なくともひと組のあるカップルは、遺体入りのマットレスの上でなにも知らずに眠っていた。コロラド、フロリダ、ヴァージニアでも、同じようなケースが報告されている。
2010年、メンフィスのバジェット・ロッジに泊まった客は、自分たちが行方不明になっていたソニー・ミルブルックの遺体の上で寝ていたことを知って驚愕した。
柔軟剤が天井のタイルの中に詰め込まれていてにおいが封じ込められていたせいか、ミルブルックが姿を消して以来、少なくともほかに3人がその部屋をかりていた。結局、ミルブルックのボーイフレンド、ラキース・ムーディが有罪になった。
6.メイン州の世捨て人
何十年もの間、メイン州のノースポンド地区で休暇を過ごす人たちは、さまざまな備品がなくなるのに悩まされていた。キャビンからバッテリーや食糧、キャンプのテントから懐中電灯などがいつの間にか消えるのだ。
この森に住み着いている人間が、生きていくための生活品を漁っているという噂がたった。そのとおりだった。
27年もの間、クリストファー・ナイトは森の中でひとりで暮らし、ハイカー、カヌーをする者、その他一時的な滞在者に目をつけていたのだ。
2013年、この区域の管理者とはちあわせしたとき、ナイトは年間平均40件の盗みはすべて自分がやったと認めた。
世捨て人が森のどこかに潜んでいるという主張は、まともに耳を傾けられることはなかったが、ナイトの身元がわれて、森の中で30年近くもずっと、人々を監視し待ち続けていた人物がいたことが現実だったと証明された。
7. なりすまし警官の詐欺
ひどく心配性の親や友人から、警官を装い、相手が気を許したところを襲う輩がいると、警告されたことがあるかもしれない。
ばっちり警官の制服で決めて、パトカーをがっつり乗り回している奴はそれほど多くないが、法の執行人を語って悪さをするケースはけっこうある。この夏だけでも少なくとも2件あった。
イリノイ州ブルーミントンで、警官を装った男が点滅灯を使って一台の車を停めさせた。車に近づいて運転手に権力をふりかざそうとしたが、車が逃げたため、これは失敗に終わった。
ジョージア州フェイエットヴィルでは、やはり制服を着た男がバイクに乗っていた十代の少年を停め、有り金をまきあげた。その少年が本物の警察にした話によると、男の特徴は二週間前のなりすまし警官の人相とマッチしていたという。
8. バニーマン伝説
The Bunnyman Urban Legend
1970年代のアメリカ・ヴァージニア州周辺に住んでいたら、バニーマンの話をよく耳にしたかもしれない。
精神病院から逃げ出した患者が、ウサギの内臓を取り出して、橋の下に吊るしたという話。これがのちに、内臓を抜かれて吊るされたのはウサギではなく、人間の少年たちというおぞましい話になっていく。
地元の人たちは、ハロウィーンの夜には、現在は"バニーマン・ブリッジ"として知られる橋の下には決して行かないよう注意される。
この話は、この地域に本当に狂人がうろつきまわっていたという事実から発生したようだ。1970年10月、カップルが白いスーツを着て、ウサギの耳をつけた男に私有地に入るなと怒鳴られたと通報した。男は彼らの車のフロントガラスに斧を投げつけ、粉々にしてしまったという。
再びバニーマンが目撃されたのは2週間後。警備の男性が、斧を振り回していたウサギ男が、玄関の手すりを叩き切るのを目撃したという。
警察が男を特定しようとしたがわからずじまい。男は誰かのはらわたも抜いたりすることはなかったが、大の大人が斧を振り回し、ウサギの耳をつけていると思うと、なんとも不穏なものがある。
9. 顔なしチャーリー
Green Man's Tunnel Haunted by Charlie No Face?
夜、ひとりで住宅街の暗がりを歩いていると、足音が近づいてくるのが聞こえ、突然、歪んだ顔の男が現われる。
ペンシルヴァニアじゅうで広まった顔のない男の話だ。
顔なしチャーリー(またはグリーンマン)とは、レイモンド・ロビンソンという実在の人物のことで、作り話ではない。
1910年生まれのロビンソンは、8歳のときに誤って高圧電線に触れてしまった事故で、顔をひどく損傷した。命はとりとめたものの、自分の崩れた顔が人を驚かせることがわかっていたので、ロビンソンは暗くなってから散歩をしていた。
彼はよくビーバー郡の351号線沿いの道を歩いていたという。彼の意思は尊重された一方で、真夜中に彼に出くわした人によって、町をうろつく怪人の噂が必然的に広まるようになった。ロビンソンは1985年に亡くなった。
10. 実はリアルな人間の死体
悪名高い犯罪者、エルマー・マカーディは、その死後も第二の人生を送ることになった。1911年、マカーディの防腐処理された遺体が、おぞましい見世物としてテキサスじゅうを巡ることになった。
人々は有名な無法者の"人形"をひと目見ようと、葬儀場やカーニバルに押しかけた。最終的に彼は、カリフォルニアのロングビーチまで旅することになったが、そこで誰かがマカーディのミイラを小道具と間違えて、遊園地のお化け屋敷にを吊るした。
位置を調整しようと動かしたとき、腕が折れてホンモノの人間の腕の骨が露出し、リアルな死体であることがまわりに知れることになった。翌年、彼はきちんと埋葬されたという。
References:mentalfloss/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
飛び降りる弁護士ってダーヴィン賞受賞者じゃなかったか?
伝え方で印象は変わるな
2. じょん・すみす
ベッド下の遺体に関する話。
地元の地方紙で見た記憶があるんだが、とあるラブホの
回転ベット内部に御遺体が隠されていたんだそうだ。
そして、それが見つかるまでに何人ものカップルが
そのベットで寝ていた、とかなんとか。
3. 匿名処理班
リアルな死体の展示なんて、
人体の不思議展で見た
4.
5. 匿名処理班
事実はフィクション以上になんちゃらだな
6. 匿名処理班
>ビデオゲームの28時間マラソン
ビデオゲームの種類や内容がなんであろうと12歳のまだまだ成長途上の子供の健康にはよろしくないって、やらせる前からわからないものだろうか…
7. 匿名処理班
俺も人体の不思議展行ったわ
ちょうど大分に帰ってる時でよかった
色々批判もあるけど見れて良かったと思ってる
8. 匿名処理班
こいう話は100件以上盛り上がっていいと思う。
9. 匿名処理班
確かエルマー・マカーディの死体を確認したのは
マリリン・モンローの検死もした日本人医師なんだよね
10. 匿名処理班
防腐処理されてたとしたって、何で遺体が遊園地のお化け屋敷に紛れ込む事になっちゃうんだよ…
犯罪者だからか管理杜撰過ぎじゃないですかね