2: :2017/01/03(火) 18:51:43.93 ID:
遡ること数年前。
私たちにとっては、二十代最後の冬。
久しぶりに、高校時代の美術部仲良しメンバーで飲み会をやることになった。
卒業後もちょくちょく集まってたんだけど
やっぱり、就職や結婚で、男性陣とは段々と疎遠になっててさ。
でも女子会wはしょっちゅうやってたので、ある日のノリで
久しぶりに男どもも呼んで、ちょっと早めの忘年会やろう!と。
そしてその日の連絡で、Aちゃんは私に、ほぼ消えかけてた人の記憶を蘇らせた。
私たちにとっては、二十代最後の冬。
久しぶりに、高校時代の美術部仲良しメンバーで飲み会をやることになった。
卒業後もちょくちょく集まってたんだけど
やっぱり、就職や結婚で、男性陣とは段々と疎遠になっててさ。
でも女子会wはしょっちゅうやってたので、ある日のノリで
久しぶりに男どもも呼んで、ちょっと早めの忘年会やろう!と。
そしてその日の連絡で、Aちゃんは私に、ほぼ消えかけてた人の記憶を蘇らせた。
3: :2017/01/03(火) 18:52:34.33 ID:
「なんかねー、意外な人が来ることになったんだけどさ」
「えっ!まさかの顧問しまピー登場!?」
「違うよw
ほらー、いたじゃん?美術部の隠れキャラと呼ばれてた男子が」
「んん?…………………あー、M君?」
「うん。O君から誘ってもいいか聞かれてさ。
断る理由も特になかったし…いいよね?」
「別にいいよ。私、あの人ちょっと苦手だったけどねw」
「そうねー、私もそんなに得意じゃなかったかなー。
たぶんM君としても、O君が誘ったから来るんだろうし」
「あ〜。飲み会とか、絶対参加しなそうなイメージだよねえ」
「まあお互いもう大人なんだし、そこらへんは上手くやろう」
「もちろん!楽しみにしてるよー」
「えっ!まさかの顧問しまピー登場!?」
「違うよw
ほらー、いたじゃん?美術部の隠れキャラと呼ばれてた男子が」
「んん?…………………あー、M君?」
「うん。O君から誘ってもいいか聞かれてさ。
断る理由も特になかったし…いいよね?」
「別にいいよ。私、あの人ちょっと苦手だったけどねw」
「そうねー、私もそんなに得意じゃなかったかなー。
たぶんM君としても、O君が誘ったから来るんだろうし」
「あ〜。飲み会とか、絶対参加しなそうなイメージだよねえ」
「まあお互いもう大人なんだし、そこらへんは上手くやろう」
「もちろん!楽しみにしてるよー」
4: :2017/01/03(火) 18:53:48.76 ID:
M君は美術部員じゃなかった。
彼は、顧問しまピーと同じバンドのファンってことで仲良くしてて
放課後の美術準備室で、いっつもしまピーのCD聞きながら本を読んでいた。
その彼にデッサンモデルを頼んで、準備室から引っ張り出したのがO君。
どうもM君の本を読む姿がO君の感覚にツボったっぽい。
M君、なかなかのイケメンだったんだ。
美術室に出てきたM君は、そのうちO君以外の男子とも打ち解けて
モデル契約が終わってからも、なんとなーく美術室に顔を出していた。
でも私は、どこか陰気でトゲトゲしさのある彼が、どーにも苦手だった。
その後もあまり接触なく卒業したので、私にとっては
M君=準備室で仏頂面してる怖くて邪魔な男子
それで全てだったんだ。
彼は、顧問しまピーと同じバンドのファンってことで仲良くしてて
放課後の美術準備室で、いっつもしまピーのCD聞きながら本を読んでいた。
その彼にデッサンモデルを頼んで、準備室から引っ張り出したのがO君。
どうもM君の本を読む姿がO君の感覚にツボったっぽい。
M君、なかなかのイケメンだったんだ。
美術室に出てきたM君は、そのうちO君以外の男子とも打ち解けて
モデル契約が終わってからも、なんとなーく美術室に顔を出していた。
でも私は、どこか陰気でトゲトゲしさのある彼が、どーにも苦手だった。
その後もあまり接触なく卒業したので、私にとっては
M君=準備室で仏頂面してる怖くて邪魔な男子
それで全てだったんだ。
8: :2017/01/03(火) 18:58:31.27 ID:
とりあえず見てるぞ
10: :2017/01/03(火) 18:59:35.23 ID:
>>8
どうもありがとう!
なにぶん不慣れで、ちょっとモタついてます…
どうもありがとう!
なにぶん不慣れで、ちょっとモタついてます…
9: :2017/01/03(火) 18:58:35.55 ID:
飲み会の当日。
お店に着くのが遅れてしまった私に、Aちゃんからイマドコ電話が入った。
「ごめん、もうちょっとで着く!」
「うん、気を付けておいで。玉山鉄二もいるよ」
「……はい?」
店に着いて案内された個室のドアを開けると、なるほど、確かにいた。
メガネをかけた玉山鉄二が、そこに。
まーご想像どおり、それがM君の成れの果てだった。
お店に着くのが遅れてしまった私に、Aちゃんからイマドコ電話が入った。
「ごめん、もうちょっとで着く!」
「うん、気を付けておいで。玉山鉄二もいるよ」
「……はい?」
店に着いて案内された個室のドアを開けると、なるほど、確かにいた。
メガネをかけた玉山鉄二が、そこに。
まーご想像どおり、それがM君の成れの果てだった。
11: :2017/01/03(火) 19:00:25.82 ID:
「はい、あんたたち独身席ねー」
Aちゃんに押されてM君の隣に追いやられる。
この日集まったメンバー中、結婚のケの字すらないのは、私とM君だけだった。
「え、う、あ…どーもお久しぶり……玉山クン」
「お久しぶりです。
まだ嫁入り前だから、名前変わってないはずなんですけどねw」
苦笑いしながら、私のためにちょっと体をずらすM君。
「Aちゃんなに言ってんだろ?と思ったけど、ほんと似てるね。
どーして高校生のとき気づかなかったかなあ?」
「あー。あのころはまだデビューしてなかったもんで」
「ご本人様かww」
「はいはい、人の顔見下ろしてないでさっさと座る」
「あ、ごめんごめん」
M君の隣ということでちょっと身構えたけど、
冗談ぽくウザそうにされただけで、高校時代の陰気なトゲトゲしさはなかった。
大人になって、ずいぶんと丸くなったんだなあ。
つーかこれ、あれだ。
きっとよそでも玉山玉山言われまくってんだろうな…。
Aちゃんに押されてM君の隣に追いやられる。
この日集まったメンバー中、結婚のケの字すらないのは、私とM君だけだった。
「え、う、あ…どーもお久しぶり……玉山クン」
「お久しぶりです。
まだ嫁入り前だから、名前変わってないはずなんですけどねw」
苦笑いしながら、私のためにちょっと体をずらすM君。
「Aちゃんなに言ってんだろ?と思ったけど、ほんと似てるね。
どーして高校生のとき気づかなかったかなあ?」
「あー。あのころはまだデビューしてなかったもんで」
「ご本人様かww」
「はいはい、人の顔見下ろしてないでさっさと座る」
「あ、ごめんごめん」
M君の隣ということでちょっと身構えたけど、
冗談ぽくウザそうにされただけで、高校時代の陰気なトゲトゲしさはなかった。
大人になって、ずいぶんと丸くなったんだなあ。
つーかこれ、あれだ。
きっとよそでも玉山玉山言われまくってんだろうな…。
12: :2017/01/03(火) 19:01:34.55 ID:
「でもほんと久しぶり。M君とは卒業以来だもんね。
前はよくこういう飲み会やってたんだよ?来ればよかったのに」
「俺は部員じゃなかったから、やっぱり気が引けてさ」
M君はこの二年間、資格取得のために勉強漬けの毎日だったとのこと。
そして試験終了して、それまでの断酒生活にサヨナラしようと
O君と飲む約束をしていたら、この飲み会の話がきた、と。
どうやらそんな流れで、偶然の参加だったようだ。
「なんかごめんね、部外者がいて」
「んん?だって男子とはまだ付き合いあるんでしょ?
だったら部外者ってわけじゃないじゃないw」
前はよくこういう飲み会やってたんだよ?来ればよかったのに」
「俺は部員じゃなかったから、やっぱり気が引けてさ」
M君はこの二年間、資格取得のために勉強漬けの毎日だったとのこと。
そして試験終了して、それまでの断酒生活にサヨナラしようと
O君と飲む約束をしていたら、この飲み会の話がきた、と。
どうやらそんな流れで、偶然の参加だったようだ。
「なんかごめんね、部外者がいて」
「んん?だって男子とはまだ付き合いあるんでしょ?
だったら部外者ってわけじゃないじゃないw」
13: :2017/01/03(火) 19:02:20.22 ID:
ちょっと縮こまり気味なM君の態度に
そんな遠慮しなくても、その顔ならわりとどこもフリーパスなのでは…?
と思ったけども、話してるうちに段々と気づいた。
彼は、そういう馴れ馴れしさや、調子づいたところがない人だった。
久しぶりのM君はトゲトゲしさが抜けたどころか
控えめな雰囲気の、感じのいいイケメンに進化していた。
きっと高校時代のぶっきらぼうな陰気さは
大人としての落ち着きへ変化したんだろうな、と思った。
そんな遠慮しなくても、その顔ならわりとどこもフリーパスなのでは…?
と思ったけども、話してるうちに段々と気づいた。
彼は、そういう馴れ馴れしさや、調子づいたところがない人だった。
久しぶりのM君はトゲトゲしさが抜けたどころか
控えめな雰囲気の、感じのいいイケメンに進化していた。
きっと高校時代のぶっきらぼうな陰気さは
大人としての落ち着きへ変化したんだろうな、と思った。
14: :2017/01/03(火) 19:03:21.78 ID:
「なんか印象変わったねえ、M君。
ホント言うと、高校のころはちょっと怖かったんだー」
「あー…。ごめん、それはお年頃ってやつですよ。
あのころは俺も女子が怖かったんだ」
「へええ、そんな奥手だったんだ?
まー喪女の私が言えたこっちゃないけどw」
「うん、いまも似たようなもんだよ。どうぞお手柔らかにw」
はい、それは絶対ウソだね。
私は、彼氏いない歴=年齢の、正真正銘の喪女。
「君は友達」「妹みたいな存在」なんて、フられ続けて十数年。
だけど、男性ばかりな職場なので、ある意味で男の人には慣れている。
お付き合い経験ゼロなのに、見る目ばっかり肥えちゃっていた。
なのでこの日も、M君と話しながら冷静に観察もしてて
好青年に大変身してる彼に驚きつつも
「こいつ女慣れしてるなー。この顔なら当たり前かー」
なんて、生意気なことを思ってもいたんだ。
しかも私の男性の好みは、ゴツゴツした顔のいかついタイプ。
イケメンには全然興味なくて、M君みたいな人といても全然ときめかない。
ホント言うと、高校のころはちょっと怖かったんだー」
「あー…。ごめん、それはお年頃ってやつですよ。
あのころは俺も女子が怖かったんだ」
「へええ、そんな奥手だったんだ?
まー喪女の私が言えたこっちゃないけどw」
「うん、いまも似たようなもんだよ。どうぞお手柔らかにw」
はい、それは絶対ウソだね。
私は、彼氏いない歴=年齢の、正真正銘の喪女。
「君は友達」「妹みたいな存在」なんて、フられ続けて十数年。
だけど、男性ばかりな職場なので、ある意味で男の人には慣れている。
お付き合い経験ゼロなのに、見る目ばっかり肥えちゃっていた。
なのでこの日も、M君と話しながら冷静に観察もしてて
好青年に大変身してる彼に驚きつつも
「こいつ女慣れしてるなー。この顔なら当たり前かー」
なんて、生意気なことを思ってもいたんだ。
しかも私の男性の好みは、ゴツゴツした顔のいかついタイプ。
イケメンには全然興味なくて、M君みたいな人といても全然ときめかない。
15: :2017/01/03(火) 19:03:52.59 ID:
_______________________________
このお話はフィクションです
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このお話はフィクションです
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18: :2017/01/03(火) 19:07:24.99 ID:
>>15
そんな感じで読んでもらえると、実は助かるw
そんな感じで読んでもらえると、実は助かるw