388 実験

1004号室
ツェリとサルコフが修行中 絶に入るまでのスピードにツェリがやけに拘るのを訝しむサルコフ
サルコフ(こいつの性格的に パッと派手にオーラを拡散するような練の修行を好むと思ったんだが……)
その際に目を必ず瞑っている事に着目 一流の使い手であれば目を閉じずとも絶状態に切り換える事は出来る、戦闘中に一瞬でも目を瞑るのは命取りだと説くサルコフ
ツェリはこれでいいんだ 自分にあったスタイルってのが肝心なんだと返す
段々と間隔が狭まり、切り換わるまでに1秒の壁を切る
ツェリ(当然だが俺が望まない限り 刹那の10秒の予知夢は瞼の裏に現れない……)
(さて ここからが実験(お楽しみ)だ)
流を覚える為の手合わせを開始 下手な手加減は絶対にするなよと言うツェリ
始めはサルコフが優勢
左のジャブをフェイントに、右ストレートをツェリのガードに向けて撃つ
目を瞑って刹那の10秒を発動するツェリ
(！？急に絶ッ？馬鹿かこいつッ？？やべえ、生身で受けりゃ怪我しちまうぞッ！！)
瞼の裏に予知夢を視るツェリ
サルコフがツェリをぶっ飛ばし、慌てふためいているのが視える
(あちゃ～ありゃ骨が逝っちまってるな……)
目を開き、右ストレートを回避 サルコフの顔に念を込めた回し蹴りを叩き込む
それに一切動じず、予知夢通りに行動するサルコフ 10秒後、能力が解除されサルコフはツェリが無事でいるのに驚く
(……この追体験の10秒間で 他者への直接的な干渉は無理か……！！まあどんな天才でも 念ってのは制約の上に成り立つわけだな)
(もう一つ 攻撃に特化した能力が要るな……出来ればこれと組み合わせて 絶大なる効果を発揮するような……)
ツェリの背後に巨大な念獣が現れる
サルコフ(……！！何だ？？これは……！！)
ツェリ(そもそもこの予知夢は 一体誰の視点で視てる映像なんだ？)
(俺と他者を俯瞰して見下ろす図……俺の背後に巨大な守護神みたいなのがいるに違いない……！！儀式で得た守護霊獣とは別にもう一体……！！)
(俺がオーラを閉じて絶った時でさえ 常に俺を見守ってくれるやつが……！！)

1014号室
個室にてビルとクラピカによる講習会メンバーの水見式指導が終了
特質系が二人もいた事に驚くビル 常に凝を保ったまま個々を見張っていたので疲れている
精孔を開いたばかりのビギナーに比べ、念の熟練者になればなるほど水見式の際は無意識に小さい練を行うようになる
ビル「しかしなんでそんな小ネタ知ってんだよ？」
クラピカ「おせっかいな師匠だよ 認めたくないが 親の恩より義理の恩だ」
練が際立って小さかったのは
第9王子警護 シェジュール
第9王子警護 ユヒライ
第8王子警護 ムシャホ
第7王子警護 サドビ
暗殺者はこの4人の中にいる可能性が高いと言うクラピカ 彼等にダウジングテストを行う為の作戦を練る事になる

別の個室にてヒュリコフがバビマイナに第4王子について話している
人当たりの良い性格だが裏では女の解体を楽しみ、人体の一部に装飾を施しコレクションしているサイコ その本性はベンジャミン様から色々と聞かされている
話題はクラピカへ
特質系能力者だとすれば右手に少し違和感があると言うヒュリコフ 今から行う実験で、99％を100％にしたいと言う
ヒュリコフ「殆ど勘に近い推測だが 俺の能力の制約として……！！」
「念能力者の機微を見る眼に 曇りは無いと信じたい……！！」
無面目(エキセントリック)を発動 顔の無いクラピカの人形が具現化される
対象者を模した人形を具現化し、その系統を言い聞かせる 実際の系統と合致していれば顔が浮かび上がり、間違っていれば人形は破損する
人形は自我を持たないが、術者の命令を三回だけ聞き、その念能力も使用する事が出来る 命令を三回受けた人形はそれを遂行した後、破損する
同じ人形は二度と具現化する事が出来ない
ヒュリコフ「奴(クラピカ)は特質系を騙る具現化能力者、特異体質に依る何らかの能力でそれが切り替わった……！！」
人形にクラピカの顔が浮かび上がる
(そしてクルタ族の生き残りだ……！！)