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のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」 : 【2ch】ニュー速クオリティ

のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」



のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」


samisii


1
: :2014/08/10(日)19:27:56 ID:
思わず、曇り空に向かって呟いてしまった。

高校を卒業した後、僕は大学には行かなかった。確か、ドラえもんは僕が1浪して大学に行くと言ってたけど、大学は到底無理だった。
今僕が働いているのは、しがない中小企業だ。これも、ドラえもんが言っていたのとは違う。就職活動に失敗することもなく、起業することもなく、高校卒業した後に、いとも普通に就職をした。

……まあ、これが人生なのかもしれない。ちょっとしたことで、未来は変わるのかもしれない。

未来ってのは、なんとも脆いものなんだろうな。
6: :2014/08/10(日)19:33:33 ID:
いいね
8: :2014/08/10(日)19:38:49 ID:
会社での生活は、学校の時と何一つ変わらない。
毎日上司に怒られて、落ち込んで……

――だけど、あの頃と違うものもある。

ローカル線沿いにある小さな古いアパートが、今の僕の家だ。
実家から通うことも出来たけど、父さんも母さんももう歳だ。僕が独り立ちすれば少しは安心するだろうし、穏やかな老後を過ごすことが出来るだろう。

薄暗い部屋の電気を付ければ、1Kの小さな部屋に明かりが灯される。
部屋には必要最低限のものしかない。テレビ、冷蔵庫、コンロ、電子レンジ……
寂しい部屋ではあるが、これが、僕の住まいだ。
11: :2014/08/10(日)19:50:43 ID:
誰もいない部屋の隅に鞄を置き、スーツのままボロボロの畳に寝転がった。
もう見慣れた天井。相変わらず染みだらけだ。スーツもずっと着続けているからか、ところどころ色落ちしている。

「………」

――ふと、部屋の片隅にある事務机に目をやった。
机の上には仕事のために買ったノートパソコンと、仕事で使う資料が置かれている。マンガはない。
布団から立ち上がり、机に歩み寄る。そして、しばらく机を見つめた後、静かに引き出しを開けてみた。

――当然だけど、引き出しの中には、何もなかった。
13: :2014/08/10(日)19:52:40 ID:
泣ける
15: :2014/08/10(日)20:02:30 ID:
次の休みの日、久しぶりに、僕らは集まった。

「――ホント、久しぶりだな!!」

ジャイアンは、相変わらず豪快に笑う。
彼は今、企業の社長をしている。高校を卒業した後、彼は一度就職した。だが、そこはかなりのブラック企業だったらしく、部下を何とも思わない心無い上司に激怒し、半ばケンカ別れのように辞職した。そして、自分で会社を立ち上げたんだ。
会社は好調のようだ。それは偏に、彼の人柄のおかげだろう。部下を大切にし、得意先に社長自ら赴き交渉する。引く時には引き、行くときには行く。彼のいい部分が、全面的に作用しているようだ。

「ジャイアン、相変わらず声が大きいなぁ……」

スネ夫は苦笑いをしながら、ビールをちびちび飲んでいた。
彼は今、デザイナーを目指している。なんでも、その道で有名な人に頼み込んで、弟子入りをしたとか。
彼は父親の会社を継がなかった。両親とはかなり口論となったようだが、父の会社を振り切り、自らの道を切り開いたんだ。今では、両親も彼を応援している。だが彼は、両親の支援を一切受けていない。『夢は自分の力だけで叶えたい』……それが、彼の言葉だった。
17: :2014/08/10(日)20:09:38 ID:
「二人とも、本当に立派になったよな……」

笑ながら話す二人を見ていて、言葉が漏れていた。

「よせやいのび太。そんなんじゃねえよ」

「そうそう。お前だって、ちゃんと働いてるじゃないか」

「……僕は、ただそれだけだよ。何かをしようとしているわけでもない。ただスーツに着替えて、会社に行って、怒られてるだけだ……」

「……そんなに卑屈になるなよ。働いてるってのは、大人になったってことなんだよ」

「そ、それより、今日はしずかちゃんは来ないの?」

スネ夫は慌てながら話題を逸らした。気を、遣わせてしまったかもしれない。

「……しずかちゃんは、今日は仕事だよ」

「そっか……残念だな」

「しょうがないよ。しずかちゃんは、大手の企業に勤めているからね。――出木杉と一緒に……」

「………」
18: :2014/08/10(日)20:13:35 ID:
19: :2014/08/10(日)20:16:27 ID:
それから、僕らは夜遅くまで宴会をして別れた。

二人とも、立派に自分の道を歩いている。……片や、僕はどうだろう……

(……僕は、ダメだな……)

考えれば考える程、鬱な気持ちになってくる。もしドラえもんがいたのなら、助けてくれたかもしれない。
……でも、彼はもういない。そして、いくら考えても、何か現状が変わるわけでもない。

(……帰るかな……)

考えるのを止めた僕は、夜道を再び歩き出した。空を見上げてみたけど、あいにく星は見えなかった。雲に隠れた朧月だけが、逃げるように光を放っていた。
20: :2014/08/10(日)20:25:58 ID:
「――野比!!何度言わせるんだ!!」

「す、すみません……!!」

オフィスの一角で、僕は相変わらず上司に怒鳴らていた。提出した書類に、不備があったからだ。

「……まったくお前は、なぜそういつもいつもミスばかりするんだ。お前が作ってるのは、ただの紙きれじゃないんだぞ?この会社の、必要な書類なんだ。少しは自覚しろ」

「はい……」

この上司は、本当に口煩い。だけど、本当は優しいのも僕は知っている。以前僕がとても大きなミスを犯した時、必死に僕を守ってくれた。そのおかげで、なんとか始末書だけで済んだことがある。
感謝はしているが、こう毎日毎日怒鳴られては凹むものは凹む。
……まあ、僕が悪いんだけど……


「――大変だったね……」

落ち込み通路のソファーに座ってると、突然横から声をかけられた。

「咲子さん……」

「お疲れ様。のび太くん」

……咲子さんは、いつもと変わらない笑顔を僕に向けていた。

21: :2014/08/10(日)20:28:02 ID:
ほう…ここで咲子さんか…
22: :2014/08/10(日)20:30:03 ID:
咲子って何者だ?
細かい登場人物はわからねぇ
23: :2014/08/10(日)20:31:12 ID:
>>22
のび太の同僚
原作でもいる
25: :2014/08/10(日)20:33:27 ID:
>>22
花賀咲子で検索検索!
29: :2014/08/10(日)20:41:15 ID:

31: :2014/08/10(日)20:48:04 ID: