火の四天王「剣の乙女よ、私はどうすれば良い?」
火の四天王(以下、火王)「私には……もう、わからない」
乙女「だから、何が?」
火王「奴に……婚約者に、何と言えばいいのだ!」
乙女「酔って、朝起きたら剣の乙女がベットに居た」
乙女「どっちも裸で、覚えてないけどヤっちゃったらしい」
乙女「……じゃない?」
火王「……うわあああ!!」
火王「私は! 私は、裏切ってしまった!」
乙女「ねえ、聞いてるの?」
火王「浮気……しかも、事もあろうに敵とだ!」
乙女「あのね、声を抑えてくれない?」
乙女「そんなだから、あの時も声が大きいのよ」
火王「どの時――」
火王「――……言うな! 頼む、言わないでくれ!」
火王「……わかった」
乙女「そうそう、良い子ね」
火王「私は……どうすれば……!」
乙女「……あのね、火の四天王」
乙女「あまり、被害者ぶらないで貰えるかしら?」
火王「……」
火王「えっ?」
火王「ばっ、馬鹿な! 有り得ん!」
乙女「……何? 本当に、覚えてないの?」
火王「覚えていたら、正気を保てているものか!」
乙女「――んー、ちゅ~っ! ちゅ~う~っ!」
乙女「って、貴女――」
火王「わ――っ!?/// わ――っ!?///」
乙女「良かったわね、火の四天王」
火王「! やはり嘘か! 驚かせる――」
乙女「いえ、そうじゃなくて」
乙女「結婚していなくても、ブレスは出なかったわよ」
乙女「もんのすごいディープなキッスをしても」
火王「ひああああ!?(ボワッ)/// ひああああ!?(ボワッ)///」
乙女「まあ、最初のキスは恐る恐る……チュッって感じだったわね」
火王「だろう!? そこから、無理矢理――」
乙女「ええ」
乙女「チュッとしたら、目を見開いてね」
乙女「そこからはもう、スリスリベタベタ……」
乙女「言葉遣いも、なんだか幼くなっちゃって、もう」
火王「おぶっふ!?(ボワァッ)///」
火王「そんな! そんなっ……!」
乙女「ずっと、探してただの……」
火王「探してなどいなかった……!」
乙女「――本当に、見せつけてくれたわ」
乙女「恋人の私が見てるっていうのに」
火王「……」
火王「えっ?」
乙女「当たり前でしょう?」
火王「なっ、何だと!?」
乙女「……はあ、本当に何も覚えてないのね」
乙女「……貴女としたのは、私の恋人」
乙女「大地の魔女のお姉様よ」
火王「おっ……お姉様……?」
乙女「一対一の決闘じゃなく、集団戦闘だったの」
火王「はっ……ほっ……!?」
乙女「まあ、結果は私達の惨敗だったけれど、ね」
乙女「交互でも、一対二でも……凄かったわ、お姉様///」
乙女「……ふふっ!」
乙女「今度は、二人がかりででも、一矢報いましょうね?」
火王「……すまない、少し時間をくれ」
火王「は、破廉恥すぎて……理解が追いつかない……!」
火王「ういっ!?(ボワッ)///」
乙女「あと……一つ、お願いがあるんだけど」
火王「おっ、お願い……!?///」
乙女「貴女、盛り上がると龍の翼が出るみたいなの」
乙女「ただ、あまりパタパタされると邪魔なのよね」
火王「つっ……つつつ、翼まで出ていたのか!?(ボワァァッ)///」
火王「わ……私の魔力の源は、喜びの感情なんだ……」
乙女「ふぅん、そうだったのね」
火王「強者と戦える喜びが溢れた時、龍の翼が出るんだが……」
乙女「性の喜びが溢れて、翼が出たのね」
乙女「戦闘狂かと思いきや、色情狂だったって事かしら」
火王「っ……!(ボワッ)/// っふぅっ……!(ボワァッ)///」
乙女「残念だけど、事実は変えられないわ」
火王「う……うあぁっ……!」
乙女「……ふふっ」
乙女「――ようこそ、火の四天王」
乙女「貴女はもう……私と同じ」
乙女「――お姉様の、妹なのよ」
火王「やめろ……! やめてくれぇっ……!」
乙女「それは、運命の相手じゃなかったのよ」
火王「そんな……そんな事……!」
乙女「いいえ、貴女の体は知っていたわ」
乙女「貴女の運命の相手は――大地の魔女」
乙女「これは、何があろうと揺るがないわ」
火王「う……ううっ……!」
…ガクッ!
火王「……」
乙女「私は、貴女のあの時の喜び様が忘れられないわ」
火王「……」
乙女「大地の魔女のお姉様と、唇が触れ合った時」
乙女「あの時の貴女は、とても嬉しそうな顔をしていたわ」
乙女「――まるで、探し求めていたものを見つけたみたいに」
乙女「……ね」
火王「……剣の乙女」
火王「お願い……?」
乙女「私も、貴女だから……許してあげるんだから」
火王「何をだ……?」
乙女「酔っていない状態で、大地の魔女のお姉様とキスをするの」
乙女「その時、貴女が感じた想いに……素直になれば良いわ」
火王「……少し」
火王「少しだけ……考えさせてくれ」
乙女「……はぁ、本当に世話が焼けるんだから」
乙女「……」
乙女「――そこに居るのは、わかってるわよ」
乙女「隠れてないで、出てきなさい」
風の四天王(以下、風王)「……」
乙女「御機嫌よう、とは言わないのかしら?」
風王「……ああ、まあね」
風王「……ああ、見つけるには見つけたよ」
乙女「あら、良かったじゃないの」
風王「だけど、まだ戻れないと……言われてしまったんだ」
風王「――女の僕を選ぶ、と」
風王「……そう、言ってくれはしたんだけどね」
乙女「……」
乙女「ん?」
風王「ああ、そうだよ」
乙女「……そうよね、私の勘違いよね」
風王「勘違い?」
乙女「貴女の想い人が――」
乙女「――私の恋人、大地の魔女のわけないものね」
風王「……」
乙女「何? 意地悪?」
風王「僕と君は、元々敵同士だからね」
乙女「……何を勿体ぶってるのかしら」
風王「――僕と、大地の魔女は……ある秘密を共有している」
風王「それも……とてもとても、重大な秘密を」
乙女「……何なの、それは」
フワッ…
乙女「っ、待ちなさい! 話は終わってないわ!」
風王「気になるなら、直接本人に聞いてみると良いさ」
風王「――私に、何か隠し事をしてませんか?」
風王「ってね! ははははっ!」
乙女「風の四天王! 待ちなさい!」
乙女「……」
乙女「……逃げ足の早い……!」
大地の魔女(以下、地女)「光の勇者よ、気付いているか?」
光の勇者(以下、勇者)「……ああ、二人の様子がおかしい」
地女「剣の乙女は――最近、剣筋に迷いが見られる」
勇者「祝福の聖女は――近頃、何か思い悩んでるみたいだ」
地女「どうするのだ、リーダー」
勇者「……」
勇者「……」
地女「光の勇者よ」
地女「お前との、恋の行方に関する事だろう」
勇者「……多分、そうなんだろうな」
勇者「そして、剣の乙女の迷いってのは……」
地女「……うむ」
地女「……サッパリわからんなぁ」
地女・勇者「……」
勇者「何?」
地女「なぁに、お前には世話になっているからな!」
勇者「まあ……本当にそうだな」
地女「今の俺は、見た通り美少女だ!」
地女「つまり、ガールズトークすらお手の物よ!」
勇者「……今みたいな状況は、初めてなんだ」
勇者「だから……何だ、その……」
地女「ええい、皆まで言うな! 光の勇者よ!」
地女「大船に乗ったつもりで――」
地女「地の四天王に、全て任せておけ!」
おわり
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コメント一覧 (8)
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- 2018年11月16日 21:19
- 火の四天王のライフゼロどころかブラジルまで突き抜ける勢いでマイナスになってんぞ……。
-
- 2018年11月16日 21:21
- わかんないけどこれシリーズ化してんの?
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- 2018年11月16日 21:48
- ワロスケピーポー笑笑
-
- 2018年11月16日 22:09
- 今回は祝福の乙女いないじゃないですが。
剣の乙女といい、風の四天王といい、火の四天王といい紛らわしい呼称の上に敵なのか味方なのか上下関係なのかさえわからないフレンドリーっぷり。
勇者との関係もそうですが、魔王は元気そうですね。良かった。
-
- 2018年11月16日 22:47
- あれ?これもしかしてガールズナイトトークに発展して勇者禿げ上がる流れ?
-
- 2018年11月16日 23:05
- ちじょ
-
- 2018年11月17日 00:00
- ※3
シリーズ化してるっていうか、まだ終了してない
一つのスレでいまだに続いてるのを細切れでまとめてる
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