1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:05:06.24 bWJBGEdO0
狐娘「ねぇ?」

男「いや知らないですけど…」

狐娘「そっかぁ」

男「最近随分とその辺きにしますね」

狐娘「この年になって刺激を求めるようになってきた」

男「細かく言うと何歳なんでしたっけ」

狐娘「600と19歳、この言い方だとワンチャン未成年っぽく聞こえない?今度から使おう」

男「聞こえないと思いますよ」

狐娘「だよねぇ」


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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:05:27.72 bWJBGEdO0

狐娘「仮に私が未成年だとして」

男「はぁ」

狐娘「ケモ耳ケモ尻尾つけてバイトに臨むヤバめの女性になっちゃうね」

男「未成年特に関係ないヤバい人ですね」

狐娘「年齢で化け狐を証明できるからまだいいか」

男「けどお客さんからしたら小槻音さんの年齢なんかわかんないんで結局ヤバい女性では」

狐娘「…まあそこは気の持ちようよ」

男「えぇ…」

狐娘「値札に年齢書こうよ、(619)って後ろにつけて」

男「誤植に間違われて終わりな気がする…」

狐娘「どうにもならんね」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:06:06.44 bWJBGEdO0
狐娘「けど実際もっと刺激が欲しい、崇め奉られたい」

男「現状神社みたいなところに住んでるじゃないですか」

狐娘「あれはねーなんか違う」

男「肝試しの名所ですもんね」

狐娘「幻術で見せてるだけで本当は綺麗だからセーフ」

男「最近雑誌に『冬こそ!話題の心霊スポット特集』みたいなので紹介されてましたよ」

狐娘「えっ知らない」

男「『触れることすら許されない、特S級危険スポット』って、なんか霊媒師が『これには強い狐の霊が見える』とも言ってましたね」

狐娘「その霊媒師凄いね、あたし霊じゃないけど」

男「俺見たとき笑いましたけどね」

狐娘「そりゃあ真相知ってるとね」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:06:34.91 bWJBGEdO0
狐娘「通りで最近冬のくせに人来るなーって思った」

男「姿見られたりとかないんですか?」

狐娘「無いねぇ」

男「崇め奉られたいなら姿見せればいいのに」

狐娘「悪霊扱いされそうじゃん」

男「それもそうか」

狐娘「それに神様方面で崇められてもお金もらえなくない?」

男「金っスか」

狐娘「結局金よ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:07:04.36 bWJBGEdO0
男「最近流行りのyoutuberにでもなってみたらどうですか」

狐娘「あー」

男「乗り気でない」

狐娘「ほら、今でてってものじゃロリおじさんのパクリ扱いされそうだし…」

男「思いのほか知ってる感じですか」

狐娘「そりゃインターネットやってたらね」

男「ちなみに誰が好きですか?」

狐娘「ときのそら」

男「この人ガチだわ」

狐娘「なんのガチだよ」

男「というかそんな感じだから化け狐感が薄れているのでは…?」

狐娘「そうかもしれない」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:07:32.56 bWJBGEdO0
狐娘「けど現代社会でインターネットやってないのもヤバくない?」

男「キャラ的に…」

狐娘「おっ狐差別か?戦おうじゃねえか」

男「目指してるキャラがわかんないんですよ」

狐娘「ありのままの自分を好きになってもらいたい」

男「婚活女子みたいなこと言いますね」

狐娘「うるせぇ」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:08:05.04 bWJBGEdO0
狐娘「崇め奉られたいとは言ったけどさ」

男「はい」

狐娘「結局お金が欲しいんだよ」

男「まあ、そうですね」

狐娘「面倒な動作抜きで金だけ欲しい、家から出たくない、玉の輿に乗って家政婦雇ってだらけたい」

男「ひどい」

狐娘「けど結婚もしたくないんだよなぁ…ケモにつられるような輩もヤダ…」

男「めっちゃ我儘ですね…」

狐娘「狐はずるいからしゃーない」

男「ずるい割に真面目に働きますよね」

狐娘「真面目に働かないと食ってけないし遊べないし…」

男「世知辛いですね」

狐娘「世知辛いのじゃあ」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:08:35.43 bWJBGEdO0
狐娘「でもまあここのバイトは楽だし」

男「お客さんもトラックの運ちゃんぐらいですもんね」

狐娘「北海道のクソ田舎だからね、深夜帯だし」

男「クソ田舎故に遊ぶところも無いですけどね」

狐娘「飲み屋だけは妙に多いんだけどな」

男「車がないと遊ぶことすらままならない」

狐娘「それな」

男「そういえば狐でも免許取れるんですか?」

狐娘「とれるよ、ほら」

男「免許写真にケモ耳って…あれ!?無い!?」

狐娘「一時的に見えなくするくらいはできるからね、疲れるからあんまりやらないけど」

男「はー違和感が凄い」

狐娘「これが普通の人間の姿なんだけど」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:09:04.07 bWJBGEdO0
男「免許の誕生日が書かれてないのも凄い」

狐娘「特例みたいなもんだし」

男「でもこうなると本当に人と変わんないですね」

狐娘「まあ500年はヒト型で過ごしてるからねぇ…」

男「狐娘っぽさもっと出していきましょうよ」

狐娘「急に乗り気になってきたな」

男「端的に言うと尻尾出してください」

狐娘「素直なのは嫌いじゃないよ」

男「さすが」

狐娘「けど出すとも言ってないよ」

男「そうですか…」

狐娘「露骨にテンション下がるなあ、後で飲みに行こう、そこで見せよう」

男「ッしゃオラ」

狐娘「君のそんなテンション初めてみるわ」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:09:30.83 bWJBGEdO0
オツカレッシター

狐娘「冷えるねぇ」

男「本当ですね」

狐娘「元動物が動物の毛皮でできたコート来てると背徳感が凄い」

男「まあ人間も動物なんで…」

狐娘「いや狐時代に殺しにかかってきた奴らの死肉や毛皮をこうして人の姿で使うのは楽しいね」

男「めっちゃ物騒」

狐娘「まあ冗談だけど」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:09:57.03 bWJBGEdO0
狐娘「600年生きてると」

男「はい」

狐娘「友人や仲間ができてもみーんな消えていく」

男「…まあ、それは」

狐娘「近所のジジババがガキの頃から知ってる奴らだと、ボケちまってるのを見るのもなんだかね」

男「辛いっスね」

狐娘「本当は金もそうだけどもう一人くらい不老不死がいてほしいね、いないこともないんだけど」

男「いるにはいるんですか」

狐娘「んー一応ね、しばらく会ってないけど、そんな仲もよくないし」

男「不老不死かぁ」

狐娘「あたしの力で増やせるとかでもないし、そもそも自分がどうやってこうなったかも覚えてないしなぁ」

男「不思議なもんですねぇ」

狐娘「本当にね」

男「…昔やったゲームで見たんですけど」

狐娘「うん」

男「こう、手のひらを互いに切って血を流して、それを互いの傷に合わせて血を入れたらどっちも不死身になりましたって」

狐娘「あー、汚くない?エキノコックス感染するよ」

男「持ってんですか?」

狐娘「持ってないけど、けどまあいいかもね、血の盃、不思議な力がありそうだし、やってみる?」

男「…まだいいです、エキノコックス感染も怖いし」

狐娘「持ってねえっての、…まあいつかね、いつか」

男「そうですね、いつか、また今度」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 22:10:50.44 bWJBGEdO0
おわり

狐娘「世知辛いのじゃあ」
ここが書きたかっただけなので満足です