水の四天王「祝福の聖女よ、式が中止になりましたわ」
水の四天王(以下、水王)「ええ、何者かが侵入して……」
聖女「そ、それって一大事じゃないですか!?」
水王「……そうですわね」
水王「この私――水の四天王の顔も潰してくれましたの」
水王「犯人を捕らえたら……ふふっ、どうしてくれましょうね!」
聖女「と、とりあえず落ち着きましょう! ねっ!?」
聖女「水の四天王さん……お疲れ様です」
水王「うふふっ、貴女のその言葉だけでも癒やされますわ」
聖女「そ……そうですか?///」
水王「ええ、貴女のお陰でこれからも頑張れそうですわ」
水王「彼の――地の四天王の領地を侵略するのを!」グッ!
聖女「それは良かった……」
聖女「……って、侵略!?」
水王「うふふっ、まあ……ある意味ではそうですわね」
聖女「だっ、大丈夫なんですか!? そんな事して!」
水王「勿論、抜かりはありませんわ」
水王「地の四天王の領地の民達も……ええ」
水王「とても、感謝してくれているんですのよ」
聖女「か……感謝……?」
水王「貴女は、私と地の四天王の領地が隣なのはご存知?」
聖女「はい……知っています」
水王「それで……彼は、今不在でしょう?」
水王「その隙を突いて、ね?」
水王「――水の四天王が居ると、地の領地はとても助かる」
水王「……と、地の領地の民達が思う様に行動してるんですの!」
聖女「それって……どういう事ですか?」
聖女「は、はあ……」
水王「あとは、農耕に必要な河の流れを操作したり……」
聖女「……えっと、つまり」
水王「地の領地の民達に、感謝の言葉と共に聞かれますの」
水王「――水の四天王様は、地の領地のためにどうしてここまで……?」
水王「……うふふっ! なんてね!」
聖女「……外堀を埋めてるってことですか!?」
聖女「な、何て答えてるんですか……?」
水王「……うふふっ!」
聖女「……!」
水王「――貴方達は、彼の愛する領地の民達ですもの」
水王「――ならば、彼が不在の時に私が動くのは当然ですわ」
水王「……ってね! うふふっ!」
聖女「物凄く色んな憶測が飛び交いそうな返しですね!?」
聖女「なっ、何て!? 何て言われたんですか!?」
水王「小さな子供と言うのは、時に驚くような事を言いますわよね……」
聖女「えっ?」
水王「――地の四天王様と、水の四天王様っていつ結婚するの?」
水王「……ですって! うふふふっ!」
水王「私、驚いてしまって! もう! うふふっ!」
聖女「小さな子供まで、そういう風に思ってるんですか!?」
聖女「他の領地を収める四天王相手……ですもんね」
水王「けれど、小さな子どもに罪はありませんわ」
聖女「水の四天王さん……」
水王「だから、ね?」
水王「その子の頭を撫でながら――」
水王「――残念ですけど……水の四天王の私でも、わかりませんの」
水王「――地の四天王様に、聞いてくださいな」
水王「……と、微笑み、許してあげましたわ」
聖女「……想像しただけで和やかになります!」
聖女「地の領地で、伝統と言うと……」
水王「石工や、彫刻ですわね」
聖女「そうでした! 本当に、見事な細工ですよね!」
水王「その……職人の方達がね?」
水王「広場に建っている、地の四天王の像の隣に……」
水王「私の――水の四天王様の像を立てる……と、盛り上がってしまって」
水王「……うふふっ! 困ってしまいましたわ!」
聖女「……」
聖女(すみません、魔王さん……今だけは……!)
聖女「……もおおおお! 困ってる顔じゃないですよー!」
聖女「えっ? それって……良い事じゃないんですか?」
水王「……いいえ、そんな事はありませんわ」
聖女「えっ?」
水王「――私は、支えに来たのです」
水王「――決して、あの方より目立とうとは思いません」
水王「……ねっ? わかるでしょう?」
聖女「すっ、凄いです! えっ、あっ、あっ、わっ!」
聖女「わ、私も……その台詞、どこかで使って良いですか!?」
聖女「えっ!? どうしてですか!?」
水王「……言い出した職人の方達が、ね?」
水王「地の四天王の像を作った方達だったみたいで……」
聖女「……どう断ったんですか?」
水王「――腕の悪い職人には、頼めませんわ」
聖女「ええっ!? そんな事言っちゃったんですか!?」
水王「――広場の、地の四天王の像を見れば……腕はわかります」
水王「――地の四天王は、もっと凛々しい顔立ちですわ」
聖女「うう――っ!?/// 聞いてるこっちが恥ずかしいです!///」
聖女「えっ、と……出来はどうなんでしょう?」
水王「私も、その原因なので見に行きはするんですけれど……」
聖女「その言い方だと、見られてないんですか?」
水王「私の意見を全て聞いたら、別人になってしまう、って」
水王「……うふふっ! だから、出来てからのお楽しみなの!」
聖女「もーっ、水の四天王さんったら!///」
聖女「ふふっ……似てない様に見えても、怒っちゃ駄目ですよ?」
聖女「えっ? 地の四天王に……妹さんが居たんですか?」
水王「ええ、とても可愛らしい子ですのよ」
聖女「へええ……でも、問題って?」
水王「――義姉上、と」
水王「‘まだ’そう呼んではいけないと、何度も言うのに……うふふっ!」
聖女「もう、妹さんも攻略済みなんですか!?」
聖女「えっ、それじゃあ……」
水王「彼が不在の今、留守を預かっているのは彼の妹ですの」
聖女「それは……大変そうですね」
水王「当然、不慣れな事もありましたわ……」
水王「けれど、水の四天王の私もフォローしましたもの」
水王「……あの兄には勿体無い――と、言われていますわ!」
聖女「……」
水王「? どうかしましたの?」
聖女「……!」
聖女「もし! もし……恋敵が出てきたら、どうしますか!?」
水王「……祝福の聖女?」
聖女「お願いします、答えてください!」
水王「……」
水王「――当然、戦いますわ」
聖女「……!」
水王「えっ!? そ、そんな事しませんわよ!?」
聖女「えっ!? そ、そうなんですか!?」
水王「もうっ! 貴女は、とんだ勘違いをしていますわ!」
水王「――水の四天王の戦いは、とても静か」
水王「それは……恋の戦争と言えど、同じ事ですわ」
水王「……うふふっ!」
水王「陣地の形成は……もう、済んでいましてよ?」
聖女「……水の四天王さん」
水王「まあ、最悪の場合は武力行使をしますけれどね?」
聖女「やっぱり、勘違いじゃなかったじゃないですかー!」
光の勇者(以下、勇者)「おい」
大地の魔女(以下、地女)「んー?」モグモグ
勇者「寝転がって菓子を食いながら返事をするな!」
勇者「お前……そういえば、自分の領地は良いのか?」
地女「うむ!」
地女「俺の配下の者達は、出来る者達が揃っているからな!」
地女「ふはは! それは、俺を見ればわかるだろう?」
勇者「ああ……お前が頭でも、うまく機能してたんだもんな」
地女「それは、まあ……多少はな?」
勇者「たまには、見に行かなくて良いのか?」
地女「大丈夫だろう」
地女「俺の――地の四天王の領地の民達」
地女「奴らは、心配せずとも大丈夫だ」
地女「ふっ……何せ、俺が帰るべき場所の者達だしな!」
勇者「……早く問題を片付けて、帰ってくれよな」
勇者「勇者を遊びに招く四天王が何処に居る!」
地女「ふはは! 罠の可能性を恐れているのか!」
勇者「罠の方が気分的にマシだよ!」
地女「俺の妹は、この姿の俺に似て美少女だぞ!」クネッ!
地女「お前が祝福の聖女にフラれたら、紹介してやろう!」
勇者「余計なお世話だ!」
勇者「地の四天王! 俺は、お前とは違う!」
勇者「……って、お前妹居たのかよ!?」
地女「……はっはっは!」
地女「何にせよ、領地に戻る時が楽しみだな!」
おわり
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コメント一覧 (4)
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- 2018年11月20日 23:27
- 勇者・聖女・風→知ってる
魔王・剣・火・水→知らない
これでいいんだよな
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- 2018年11月20日 23:50
- 長期連載ですね。
祝福の聖女の動転ぶりがメインでしょうか。
個人的には領民設定であることに驚きました。
自称とか軍統括以上の意味合いだったのですね。四天王同士が俗物的というか何と戦っているのか? 寧ろ、役職はオマケというか。
ある意味終わりが見えてきませんが。
勇者と魔王が共倒れしたら解決しそうですね。
大地の魔女といい、初めの頃から、随分と関係性も広がってきましたね。
-
- 2018年11月20日 23:55
- わからん……、今回の話見る限り少なくとも地と水の領地は人間界に侵攻するような事情が無けりゃ攻撃性もあるように見えんし、この世界の人間と魔族は何で戦ってるんだ?
人間界から侵略とも考えたが、んな事する連中に愛の女神が祝福をするとも考えられんし……
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