image credit:ESO / M. Kornmesser
宇宙的には地球からほど近い、太陽系から約6光年の距離に位置する恒星「バーナード星」に何か移動する物体があるという確かなサインが発見された。
研究者によると、これが太陽系外惑星である可能性は99.2パーセントの確率だそうで、その可能性は高そうだ。
また、スーパーアースの可能性も高いという。
スポンサードリンク
太陽系に2番目に近い恒星「バーナード星」
バーナード星は、我々の太陽系が誕生する以前から存在した赤色矮星である。
太陽から6光年という距離にあり、2番目に我々に近い恒星系である(最も近いのはケンタウルス座α星系)。
赤色矮星は太陽よりもずっと小さく、温度が低い一方、磁気活動が不安定で、薄暗かったかと思えば、突然派手にフレアを吹き上げたりすることで知られている。だがバーナード星の場合、赤色矮星としては珍しいほど静かだ。
バーナード星のイメージ図
image credit:IEEC / Science-Wave - Guillem Ramisa
バーナード星で確認された星のゆらぎ
近くにあって大人しいという特徴から、バーナード星は外惑星を探すにはうってつけの場所とされてきた。
これまで長い間、期待されていた外惑星の存在を示す証拠は発見されてこなかったが、星の動きのゆらぎという、その存在をほのめかすヒントはあった。
そこでスペイン、宇宙科学研究所(Institute of Space Sciences)の研究チームは、そのサインが何を意味するのか徹底的に観察することにした。
彼らは7つの分光計で20年分の視線速度の測定結果を分析。注意深く統計上の偶然や計測機器による干渉の可能性を排除していった。
その結果、毎秒1.2メートルという星のゆらぎが233日の周期で現れるという確証が得られた。
バーナード星と周回する太陽系外惑星のイメージ図
image credit:M. Kornmesser/ESO
ゆらぎが惑星によって生じている可能性は99.2パーセント
だが、同じような現象は恒星の黒点によっても説明できる。
そこで、そちらの線でないことを確かめるために、膨大なシミュレーションを行いその可能性を検討してみた。
シミュレーションからは、恒星の黒点活動が原因で233日周期のサインが現れる可能性は、0.8パーセント未満という結果が得られた。
このようにあらゆる検討を重ねた結果、バーナード星のゆらぎは、惑星によるケプラー反射運動によって引き起こされたものだと結論づけられた――少なくとも研究者は99.2パーセントの確率で確信を抱いている。
太陽系から2番目に近い恒星、バーナード星
image credit:
凍てついたスーパーアースである可能性も
この太陽系外惑星は、スーパーアース(地球の質量よりは大きいが、天王星のような巨大氷惑星よりも小さい惑星)とも考えられるそれは、バーナード星の雪線付近にあることが分かっている。
つまり、水やガスなどの惑星素材が凝集して惑星が誕生できるギリギリの距離にあるということだ。
しかし、その詳細については依然として大きな謎に包まれている。
質量は地球の4倍ほどで、そのために岩石か、もしかしたら小さな海王星のような惑星である可能性もある。
image credit:ESO / M. Kornmesser
地球外生命体は発見できるのか?
だが、いずれの場合でも、平衡温度(流入するエネルギーと流出するエネルギーとが等しくなり、一定に保たれた温度状態のこと)マイナス170度という凍てついた世界であることはほぼ間違いない。
これは、私たちが知っている生物にとって優しい環境ではないだろう。
だが、この惑星の発見を皮切りに、別のもっと地球に似た惑星がバーナード星の周囲に発見される可能性だってある。
2020年代から稼働し始める次世代の観測機器ならば、そうした比較的近くにある惑星の写真や光のスペクトルを直接撮影することができるはずだ——そんな未来が待ち遠しい。
この研究は『Nature』に掲載された。
References:eso / smithsonianmag/ written by hiroching / edited by parumo
あわせて読みたい
2つの地球型外惑星に地球と似たような安定した気候と季節があるというさらなる証拠「ケプラー186fとケプラー62f」
最も太陽系に近い惑星「プロキシマb」に、生命が生存できるかもしれないという新たなる希望(NASA研究)
太陽系外惑星「HAT-P-26b」の大気に大量の水蒸気が発見される(NASA研究)
太陽には”ネメシス”という双子の伴星が存在し、それが恐竜を絶滅に追いやったとする説(米研究)
中性子星の衝突により5度目の重力波を検出、発生源を初めてピンポイントで特定
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「知る」カテゴリの最新記事
「自然・廃墟・宇宙」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 3520 points | 筋トレに取り憑かれた男性はうつ病のリスクが高まる(ノルウェー・アメリカ共同研究) | |
2位 1658 points | これからは顔もDIYする時代。特殊メイク用のワックスで鼻や顎を自ら成形するメイク術が世界的大ブームに | |
3位 1627 points | 大きくても小さくても猫は猫だった。猫たちのポーズに関する海外の反応 | |
4位 1166 points | 「ママ?ママ?」狩ってはみたけれど……。自分に甘えてくるヌーの赤ちゃんを守るメスライオン | |
5位 899 points | 浮世絵からゴッホやピカソも!シカゴ美術館が5万点以上の所蔵作品の画像を無料ダウンロード公開 |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
不用意に近づくと、反射衛星砲とか撃ってきますから気をつけた方がいいですよ。
2. 匿名処理班
2001夜物語で人工知能KARCが目指したのもこの星系だったな。200年後の到着を目途に光速の3%という空前の速度で航行していたら50年後に地球から来た超光速調査船に追い越されちゃうんだが。
3. 匿名処理班
実はこう言う惑星のほうが
宇宙移民とか
しやすいんじゃないかと思う
そもそも完全に生命を宿せるような
惑星があれば当然先に生物が
住んでるわけでしょ?
だったら細菌やウイルス感染の
可能性もある
あとその星の侵略行為に
なってしまう
むしろこんな生命体のいない惑星を
開拓していった方が安全だし
問題も起きず理想的なんでは
ないだろうか?
4. 匿名処理班
灼熱環境なら無理だろうけど極寒ならまだ生命体ワンチャンありそう。地球の科学の常識にとらわれないものがいる可能性だってあるしね
5. 匿名処理班
ラム艦長・・
6. 匿名処理班
凍った氷の下に液体の海があり、そこで知的生命が栄えてる可能性はないのか?