日産のクーデター失敗で西川社長が明智光秀になる日 ゴーン再逮捕も特捜部敗北の危機
「公判は大荒れだな」
2010年に金融相として1億円以上の役員報酬の開示制度を導入した亀井静香・元衆院議員は、法務省の現役幹部に電話をかけてこう話した。カルロス・ゴーン日産前会長(64)が逮捕された当初、特捜部はゴーン氏の特別背任や横領を視野に入れて捜査していると思われていた。しかし、今ではその兆候はみえない。
東京地検は10日、ゴーン氏とグレゴリー・ケリー同社前代表取締役(62)を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴。同時に、法人としての日産も起訴した。また、特捜部は同日、2015~17年度の報酬計約40億円分も有価証券報告書に過少に記載したとして、同容疑で2人を再逮捕した。一方、特別背任や横領については捜査の進展はない。
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ある特捜部OBは「特捜部は捜査に行き詰まっているのでは」と見ている。
「司法取引をしたんだから、逮捕前に証拠は十分にそろえたのかと思っていた。それが同じ金商法違反で再逮捕して、勾留延長なんて信じられない。これから新しい証拠が出てくるとも思えない。特捜部は、崖っぷちに追い込まれたけど、あきらめたくないから再逮捕しただけではないか。いつもは検察寄りの特捜部OBからも捜査批判が上がっている」
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ゴーン氏が無罪になったらどうなるのか。今年6月に新たに導入された日本型司法取引をフル活用してまで捜査に失敗したとなれば、世界から日本の司法制度への批判が高まることは間違いない。特捜部だけではなく、混乱を招いた日産経営陣の責任も厳しく問われることになるだろう。その時、西川氏は現代の明智光秀になる。(AERA dot.編集部・西岡千史)
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