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臨死体験は、英語で「Near Death Experience」と言う。死を現実的なものとして知覚したときによく起こる深い心理的現象だ。
新たな研究によって、仏教徒の瞑想家の中には臨死体験を意図的に引き起こすことのできる人がいることがわかった。
瞑想を行って死をより良く理解することは、仏教では長年行われてきたことだ。臨死に至るプロセスの準備をし、その洞察を得る精神的実行者の助けを目的とした古文書も存在する。
意図的に臨死体験を作り出せる高僧を研究することで、これまでわからないことが多かった臨死状態に関する研究が進むと期待されている。
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仏僧の瞑想における臨死体験の研究
これまで、仏僧が瞑想行為を続けると、どのような心理的精神的変化が起こるのか?どうして修業を積んだひと握りの瞑想者だけがそうした状態になれるのか?ということに関する研究はなかった。
今回研究を行ったイギリス・ダービー大学のウィリアム・ヴァン・ゴードン氏率いる研究チームは、12人の仏教徒の高僧に、瞑想が引き起こす臨死体験についての、半構造化面接(被面接者の回答に応じて、臨機応変に質問内容を変更しながら進める面接法)を行い、同時に心理測定も行った。
その後、臨死体験値が高かった高僧に、別の研究を受けてもらった。
高僧は瞑想によって意図的に臨死状態を作り出せる
西洋ではおよそ4%の成人が、死に瀕したり、臨床死を宣言された後に蘇生したその間に臨死体験を経験しているという。だがそれは偶発的なものだ。
仏教徒の高僧は瞑想によって意図的に臨死状態を作り出すことができる。これにより、死に関連したプロセスにおける心理や、もっと一般的な自己と現実の性質について深く洞察することができる。
瞑想が引き出す臨死状態は、時間と空間の変化した知覚と関係があり、見えない領域や存在と遭遇することがよくある。
仏教の高僧はこうした臨死状態を自らコントロールする力を得て、自由に始めたりやめたりすることができるという。
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瞑想で臨死体験ができる高僧を研究することが臨死の理解に
「通常の臨死体験(NDEs)と違って、実験に参加した高僧たちは、瞑想が生み出した臨死状態をちゃんと自分で意識していて、その内容や持続時間をコントロールできます。こうした意識的なNDEsは、3年にわたる研究の間に増え、これは時間をかけて学んでマスターすることができるという証拠といえるでしょう」とゴードン氏。
意図的に臨死状態を引き起こすことができる能力は、調査が困難だったこうした現象の理解を進めるのに役立つかもしれない。
これまでは、定期的に臨死を体験をすることなど不可能だったし、このような研究を行うのに健康リスクや道徳的な問題がつきまとっていた。
だが、瞑想で臨死状態を作れる高僧に協力してもらえば、臨死状態にある人間の神経活動の変化をリアルタイムで調べる研究が可能となる。
臨死体験中の人間の心身状態の理解が進むこととなると期待されている。
この研究は『Mindfulness』に掲載された
References:Study of advanced Buddhist meditators suggests inducing near-death experiences can be learned and perfected/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
お経ってトランスだと思うんだ。
2. 匿名処理班
むしろ、それ、禅や修験道なんかで修行に熱心過ぎる奴が陥りやすいとかいう「魔境」じゃね?
3. 匿名処理班
臨死を研究して臨死についてはわかっても、死そのものは結局わからんよね。どこまで研究しようとも。
4. 匿名処理班
鉄鼠の檻で読んだ
5. 匿名処理班
瞑想しようと静かなところで半眼になるとすぐ眠ってしまうんだ どうしたら瞑想できるのかな
6. 匿名処理班
不謹慎だが、私が座禅組んだら臨死体験する前にシビレが切れすぎて先にご臨終しそう。
7. 匿名処理班
哲学的だな
8. 匿名処理班
高僧「はい ! 今死んだ ! 」
9. 匿名処理班
瞑想中に居眠りして夢見てるだけでは
10. 匿名処理班
釈迦は、少女の差し出す一杯の山羊の乳を飲んだ時に悟りの境地に達した。
11. 匿名処理班
※1
> お経ってトランス
賛成です。
昔から特に密教系のお経には打楽器方面からの浮揚感が凄いと思っていました。
そして、世代交代を経て読経のメロディックさやタイム感が我々の感覚に近付いたので、表現が悪いですが「エンタメ」としても素晴らしい。
法事に行くたびに、痛感します。
※2 さん「魔境」という の指摘がありましたが、江戸時代でも臨済宗で、それを危険視しています。
京極夏彦先生も作品の中で、何と言うか「俄か悟り()」に関してはハイになった挙句の妄想でもあり得る、と書いていました。
まま、瞑想は人間にとって大事な行為なのでしょうけど、違法なドラッグみたいな危険な面もあるのかもしれませんね。
実践に当たっては、正しい導きが必要なのでしょう。
12.
13. 匿名処理班
※2
臨死体験を妄信しだすと魔境
普通はそんな瞑想体験なんて価値なしと受け流す
14. 匿名処理班
インドの森で瞑想中の僧侶がヒョウに食い殺されたってニュースがあった
彼も臨死体験中だったのかなぁ
臨死体験中に帰るべき肉体が食べられちゃうとは…
15. 匿名処理班
瞑想は自己暗示の一種と思うから臨死体験とは違うのでは
無我の境地と臨死状態の脳波が同じとか科学的に検証するのかな
16.
17. 7cg3
臨死はわからんが、千日回峰の前には五穀断ちで食生活を変えて修業に耐えられる代謝にするとか、
即身成仏の前も十穀断ちでミイラになりやすいように身体の組成を変えるとか、
長年の修業で解脱を体感する何かの秘伝があるのかもしれないとは思う。
18. 匿名処理班
臨死体験の定義って何なんだろう…
脈拍低下してるだけなら酸素欠乏で脳が幻覚見てるだけだろうな
19. 匿名処理班
ダライ・ラマ14世は瞑想の作用を研究するため学術機関へ高僧の派遣を行っている。「信仰と科学は対立する価値観ではありません。それらは同じ真実を求める異なった道筋に過ぎないのです。もしも科学が神仏の不在を証明したなら、全ての宗教はその在り方を見詰め直すべきでしょう。しかしそれによって信仰の意義が失われる事はありません」(ダライ・ラマ14世)
20. 匿名処理班
意図すればそのまま死ぬことも可能なのかな?
と言うか、それが即身成仏なのか?
21. 匿名処理班
日本人にチベットのカギュ教を生で聞いてほしいわ
口だけで唱えてるのに四方八方から響いてくる。あーいう環境なら 一種の催眠に似た状態になってこういう状況に成り得るよなっておもう。
22. 匿名処理班
※11
ほう、それで、どこにその正しく導いてくれるという、ブッダ並の境地に達した人がいるというんです?
少し前、日本でも、最終解脱したというおっさんが大勢の若者たちを集めていましたが。
23.
24. 匿名処理班
臨死体験って結局死んでないわけだから死後の世界があることの証明にはならないよね
25. 匿名処理班
※20
事前に止める設定をしてない滅尽定(止める設定期間最長七日)がそれかも。