(社説)安倍政権2018年 政治責任とらぬ悪例残す
ことしは日本政治史に大きな汚点を残した。
財務省による組織的な公文書の改ざんと廃棄である。国会と国民を欺き、歴史を冒涜(ぼうとく)する。民主主義の根幹をずたずたにする大事件だった。
それなのに、安倍首相は麻生太郎財務相を続投させた。麻生氏もみずから身を引くことはなかった。
未曽有の不祥事でも、政治責任を取らない。悪(あ)しき前例をつくってしまった。
(略)
時代状況は違うが、安倍政権のもとで、民主主義はいま危機的状況に陥っている。
典型例が、国会での採決強行や沖縄の辺野古の海への土砂投入だ。「上意下達」で異論を切り捨てる姿勢は、少数意見も尊重し、自由な討議を通じて政策や法律を練り上げる民主主義のあるべき姿からはほど遠い。
それでも政権への支持は底堅い。朝日新聞の12月調査でも内閣支持率は40%あった。
理由は「他よりよさそう」が圧倒的だ。経済はそれなり。野党は頼りない。だからとりあえず現状維持でいい、ということなのだろう。
だが、年の瀬に改めて問う。
政治責任を顧みず、「多数に従え」という政治を、来年も続けますか。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13832932.html