男「世の中、欠点がちゃんと欠点になってないキャラクターが多すぎじゃね?」
女「そんなにイライラしてどうしたの?」
男「世の中さ……欠点が欠点になってないキャラクターが多すぎじゃね?」
女「欠点が欠点になってない? たとえば?」
男「たとえばお前だァ!」
女「えっ、いきなり私!?」
男「性格だっていい。困ってる人がいたら率先して助けるし、リーダーシップもあり、男女問わず人気がある」
男「そしてなにより美少女だ。お前が町を歩いてると、大抵の男が『お』って振り返るほどだ」
男「こうしてスペックを並べると、俺ごときの彼女なのが不思議なくらいのカンペキ女だ」
女「な、なによ……いきなり。照れるじゃない。ま、まあ……悪い気はしないけどさ」
男「だが、そんなお前にも一つだけ欠点がある!」
女「け、欠点……!?」
男「料理の腕が壊滅的だ」
女「!」ガーン
男「一口食えば顔が青ざめ、二口食えば泡を吹き、三口も食えば失神だ」
女「ううう……ひどい……そこまではっきり言うなんて……」
男「まあ聞け。このように、超絶ハイスペックなお前にも『料理が苦手』という欠点が用意されている」
女「用意って言葉はなにか引っかかるけど……それと欠点が欠点になってないって話となにか関係あるの?」
男「あるさ」
男「ぶっちゃけた話……お前ほどのスペックなら、料理が苦手でも今さら困ることなんて何もないだろ」
女「!」
男「なーんもない。自炊しなくても食事をする手段なんていくらでもあるし、そこに目をつぶる男もいくらでもいる」
男「たとえば、もしお前の将来の夢が料理人だったり、マズイ料理が原因で本当に他人を怒らせる事態になったり」
男「俺が『料理ができない女は嫌いだ、別れよう』ってお前を拒絶するような場面があったりすれば話は別だ」
男「お前の料理が苦手という欠点は欠点になってると言える」
男「だけどお前は料理人目指してないし、マズイ料理で恐れられこそすれ怒られることもないし、料理できなくても俺はお前が好きだ」
男「ようするに、お前の『料理が苦手』って欠点は、メシマズギャグのためだけの設定で、全然デメリットになってないわけだ」
男「デメリットどころか、むしろプラスになっちゃってるわけだ」
男「つ、ま、り!」
男「その欠点のせいで深刻な事態に陥る場面もなく、足も引っぱらず、プラスにしか作用しない欠点のどこが欠点なんだよ!」
男「そんなケーキのイチゴみたいなトッピング欠点は欠点とは呼べねえよ!」
男「――ってことだ」
女「褒められてるんだか、けなされてるんだか……」
女「なんとなく言いたいことは分かったけどさ」
女「あら、イケメン君! ……え、えぇと、相変わらず独特なファッションね」
イケメン「そうかい? このドクロと平等院鳳凰堂がプリントされたシャツ、イカしてるだろ?」
女「ア、アハハハ……」
男「ほらまた出た! 欠点になってない欠点を持ってるキャラが現れたァ!」
イケメン「えっ!?」
男「男なら誰だってお前を羨むし、女なら誰だってお前に抱かれたいと思うだろう。俺が女だったら確実にコクる」
イケメン「なんだい、いきなり? 照れるじゃないか」
男「だが、ファッションセンスは壊滅的だ。どこで手に入れたんだ、そのシャツ。イカすどころかイカれてるぞ」
イケメン「!」ガーン
女「さっきの私の時と似たような流れね……」
男「むしろ『黙ってればイケメン』『残念なイケメン』だのと持てはやされるんだ!」
男「残念なイケメン? ――ハッ! 俺から言わせてもらえば『あざといイケメン』だぜ! ふざけんなボケ!」
イケメン「ううう……このシャツ気に入ってたのに……」
女「今のあいつには逆らわない方がいいわよ」
男「根暗ァ! ちょうどいいところに来たなァ!」
根暗「ひっ!?」
男「お前はパソコンオタクで、機械に関する知識はピカイチだが、『コミュ障』という欠点があるって設定だ!」
根暗「ひどいや……」
男「だけど、もし本当にコミュ障だったらまず俺に話しかけることすらできないし、『ひどいや……』とすら言えねえよ!」
男「お前のどこがコミュ障だ! 全然欠点になってねえんだよぉっ! このファッションコミュ障!」
根暗「ぼくってコミュ障じゃないの? どうもありがとう……」
男「どういたしまして!」
男「天才だけど音痴? 音痴なんてカラオケ行かなきゃいいだけの話だろうが! どこが欠点だ!」
男「下ネタ大好き美少女? いきすぎた下ネタが原因で皆から疎外される……なんてことはどうせないよね」
男「依頼が来なくて万年金欠? そのわりにオシャレな服着てたり、ろくな食生活してないのに悪人ブッ倒せる体力は備えてる!」
男「ドジな美人メイド? でもクビにはならんし、戦闘シーンだと一切ドジらずメチャクチャ強かったりするよねえ!」
男「世界最強だけどオバケが怖い? 最強なのにオバケが怖いだなんておっもしろーいってためだけの設定だろ!」
男「人前ではエレガントなレディだが部屋は汚い? はいはいギャップ萌えギャップ萌え」
男「モテない? おいおい、どう見ても美少女に囲まれまくってるじゃねえかよぉ! このハーレム野郎!」
男「欠点が設定だけの欠点になってたり、萌え要素や親しまれる要素になってるだけの奴多すぎぃ!」
男「その欠点のせいで深刻なトラブルにあったり、悩んだり苦しんだり、克服しようってなってこそ欠点だろうが!」
女「ちょ、ちょっと少し落ち着いたら?」
女「え?」
男「俺は『平凡なフツメン主人公』って設定だけど、このとおりイケメンほどじゃないにせよ顔立ちは整ってる」
男「顔面偏差値でいや、確実に50より上……60前後ってとこじゃねえか」
男「なによりお前という超絶パーフェクト美少女が彼女な時点で平凡でもなんでもねえだろ!」
男「っていうか、こんだけゴチャゴチャとわめき散らしてみんなから嫌われない『平凡』がどこにいるんだよ!」
男「もし俺みたいな奴が現実にいたら、イジメの標的にされるか、村八分にされるかに決まってるぞ!」
男「こうなりゃ、欠点になってない欠点を持ってるキャラクターを徹底的に糾弾しまくってやる!」
男「てめえら全員あざといだけなんだよ、って説教しまくってやるぅぅぅぅぅ!」
女「ねえ、熱くなってるとこ悪いんだけどさ」
男「なんだよ?」
女「そろそろオチをつけなきゃまずいわよ。どうするの?」
男「あっ……(やべえ、なんも考えてなかった……)」
女(こりゃなにも考えてなさそうね……)
男「オチがないのがオチでーすって開き直っちゃえば、きっと『斬新なオチ!』『グダグダさが逆にいい!』ってなるに決まってる!」
男「そうすりゃ『オチがない』という欠点をプラスにすることができる……!」
女「……結局、あんたも似たようなことしてるじゃない」
終
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コメント一覧 (13)
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- 2019年02月01日 18:38
- 愉しかったぁー♪
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- 2019年02月01日 18:41
- 久米田の漫画のようなノリ
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- 2019年02月01日 18:51
- この勢い、嫌いじゃない
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- 2019年02月01日 18:53
- > 男「お前のどこがコミュ障だ! 全然欠点になってねえんだよぉっ! このファッションコミュ障!」
> 根暗「ぼくってコミュ障じゃないの? どうもありがとう……」
> 男「どういたしまして!」
この勢いよ
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- 2019年02月01日 20:19
- べつに?
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- 2019年02月01日 20:29
- 本当のコミュ障は何か話す度に言葉の最初に「あ」って付けたり適切な返事をできず会話が途切れたりする奴のことを言うんやぞ
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- 2019年02月01日 21:12
- 下ネタ好きは学生のうちなら身内ノリでいけるかもしれないけど20、30あたりからどちゃどちゃに嫌われるから改めような
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- 2019年02月01日 21:42
- 球磨川もなんやかんやハーレムだったしなあ
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- 2019年02月01日 21:45
- お前は地味なんじゃない!キャラが死んでるんだよ!
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- 2019年02月01日 22:23
- バカテスのヒロインは
料理ベタで有害物質作るので
現実なら即逮捕でもおかしくないけど
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- 2019年02月01日 22:23
- てっきり
最弱と言いながら実は最強
みたいな話しかと
-
- 2019年02月01日 23:39
- 普通キャラクターって言うか?
-
- 2019年02月01日 23:51
- 取り敢えずステータスに料理好きって書いときゃええやろ!
↓
料理シーン無し
こういうのは駄目だな
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