【SF】彡(゚)(゚)「ワイがドラゴンボールに?」
彡(^)(^)「いやあ面白かったわ、鳥山明って天才ちゃうか」
彡(゚)(゚)「ワイも、あの世界で冒険してみたいもんやで」
彡(゚)(゚)「あ、流れ星や」
彡(゚)(゚)「ドラゴンボールになりたい! ドラゴンボールになりたい! ドラゴンボールになりたい!」
彡(゚)(゚)「ふう、なんてな」
願いは叶えてやった
ではさらばだ
彡(゚)(゚)「えっ」
ギュオッ
彡(゚)(゚)「ほげ! なんやここ!? 海の底や!?」
彡(゚)(゚)「ま、周りにサンゴとか小魚とかが泳いでる……」
彡(゚)(゚)「というか指一本動かれへんで」
彡(゚)(゚)「どうしたんやワイは、別に寒くも息苦しくもないけど……」
彡(゚)(゚)「お、魚の目玉にワイが映って……」
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「ど、ドラゴンボール……?」
ドラゴンボールになるんかいな
彡(゚)(゚)「うーん、海の中はキレイやけど、飽きてきたなあ」
彡(゚)(゚)「ワイどうなってまうんやろ、このまま忘れられるんかな」
彡(゚)(゚)「おや、でっかい魚が来たわ」
魚「……」コポコポ
彡(゚)(゚)「この魚にどっかに運んでもらえへんかな」
ビコーン ビコーン
彡(゚)(゚)「なんてな、声も出せへんし、通じるわけが……」
魚「……」パクッ
彡(゚)(゚)「お、魚がワイをくわえたで」
彡(゚)(゚)「上昇していくようや、これでどっかに行けるわ」
彡(゚)(゚)「海面に出たわ、ひさびさの陽の光やで」
彡(゚)(゚)「おお……荒野っぽい眺め、モコモコっとした岩山、ドラゴンボールの景色や」
彡(゚)(゚)「あいつの方が遠くまで行けそうやな……」
ビコーン ビコーン
翼竜「!」ギュオッ
彡(゚)(゚)「おお!? 急降下してきたで」
バクウッ
彡(゚)(゚)「ワイごと魚を捕まえたで、でっかい口やなあ」
彡(゚)(゚)「広い空やで、なんやワクワクしてきたな」
彡(゚)(゚)「……焦ってもしゃーない、とりあえず行けるとこまで行ってみるか」
彡(゚)(゚)「だんだん分かってきたで」
彡(゚)(゚)「どうやら、ワイにはテレパシーみたいなもんがあるらしい」
彡(゚)(゚)「生き物に呼びかけると、ワイが価値のあるものに見えるようや」
彡(゚)(゚)「そうやってプテラノドンに巣まで運んでもらって」
彡(゚)(゚)「そこから大蛇、ゴリラ、ペンギンと乗り継いできたけど」
彡(゚)(゚)「行けども行けども人の姿がないなあ」
彡(゚)(゚)「ドラゴンボールの世界って人口どのぐらいなんやろ、街がまばらな印象もあるけど」
(´・ω・`)「おや」
(´・ω・`)「このペンギン、変な玉を温めてる、卵と間違えてるのかな」
彡(゚)(゚)「お!? 人間や!」
ビコーン ビコーン
(´・ω・`)「持ち帰ってみよう、ごめんね、この玉もらうね」
ペンギン「……」スタスタ
(´・ω・`)「去っていく……もらっていいってことかな」
彡(゚)(゚)「おーい! ワイの声が聞こえるかー! 助けてくれー!」
(´・ω・`)「さて、材料集めも終わったし帰ろう」
彡(゚)(゚)「ダメやな……聞こえてへんわ」
彡(゚)(゚)「ボロい家やなあ」
彡(゚)(゚)「うわ、中もガラクタばっかりやんけ」
(´・ω・`)「この玉、なんかボンヤリと光ってるな、何だろう」
(´・ω・`)「電波でも出てるのかな、測定してみるか」
彡(゚)(゚)「電波……そうや、ドラゴンボールは微弱な電波を出してるんや」
彡(゚)(゚)「……待てよ、せや!」
(´・ω・`)「何か電波に波があるみたい……」
(´・ω・`)「短く3つ、長く3つ、また短く3つ……」
彡(゚)(゚)「はあはあ、つ、疲れるわコレ」
彡(゚)(゚)「モールス信号のSOSやけど、この世界では通じへんかな……」
彡(゚)(゚)「もいっちょ」
(´・ω・`)「よし、発明したばかりの翻訳ユニットにかけてみよう」
(´・ω・`)「もしもーし、僕の呼びかけが聞こえますか」
彡(゚)(゚)「聞こえてるわ! はよ助けてくれ!」
(´・ω・`)「うわ喋った!?」
(´・ω・`)「ドラゴンボール?」
彡(゚)(゚)「せや、7つ集めるとどんな願いでも叶うんや」
(´・ω・`)「うーん、僕あんまり願い事とかないけど」
(´・ω・`)「ここでガラクタを集めて発明してるだけで幸せだからね」
彡(゚)(゚)「確かにすごいガラクタの山やな」
彡(゚)(゚)「とはいえ、ワイは元の世界に戻りたいんや、元の体にも戻りたいし」
彡(゚)(゚)「この体って星が2つの二星球やからなあ、四星球やったら永住したのに」
(´・ω・`)「ボールの格差がすごい」
彡(゚)(゚)「それはともかく、ボールを全部集めたら戻れる気がするんや」
(´・ω・`)「わかった、協力するよ」
(´・ω・`)「でもどうやって集めるの? 世界中に散らばってるんでしょ」
彡(゚)(゚)「ドラゴンレーダーや」
彡(゚)(゚)「ボールの出す微弱な電波をとらえるレーダーがあるんや」
(´・ω・`)「いや……ちょっと燃えてきた、発明してみよう」
彡(゚)(゚)「ほうか、頼むで原住民」
(´・ω・`)「原住民?」
彡(゚)(゚)「この世界の人間やから原住民や」
彡(゚)(゚)「ワイのことはやきうと呼んでくれ」
(´・ω・`)「野にあった球だからね」
彡(゚)(゚)「あ、偶然うまいことになってる!」
彡(゚)(゚)「いろいろ考えるうちに、分かってきたで」
彡(゚)(゚)「そうや……本家ナメック星のドラゴンボールや」
彡(゚)(゚)「あれは最長老と六人の長老が持ってた」
彡(゚)(゚)「願いを叶えるには全員と会って、知恵比べをしたり、力比べをしたり」
彡(゚)(゚)「願いの理由を話したり、そして勇者と認められて、やっとボールがもらえるんや」
彡(゚)(゚)「地球のボールも同じや」
彡(゚)(゚)「ボールを持つにふさわしい、門番みたいなやつにボールが渡るようになってるんや」
彡(゚)(゚)「アニメの設定やけど、ボールの中には龍がいる」
彡(゚)(゚)「ドラゴンボールの出す電波ってのは、つまりボールの脳波とちゃうか」
彡(゚)(゚)「そうや……孫悟飯、牛魔王、実力者がボールを持ってたのはけして偶然やないんや」
(´・ω・`)「できたよ」
彡(゚)(゚)「うわ早っ、漫画で言うたら3コマぐらいやで」
(´・ω・`)「それじゃ、これでボールを集めに行こうか」
彡(゚)(゚)「せやな」
彡(゚)(゚)「そう……ワイには分かる」
彡(゚)(゚)「こいつはボールで願いを叶えようとする欲がない」
彡(゚)(゚)「本来、そういうやつがボールを持つんや」
彡(゚)(゚)「ボール自身が持ち主を選ぶんやなあ」
彡(゚)(゚)「おおー、これやこれ、こういう小さなジェット機」
彡(゚)(゚)「鳥山先生は機械のデザインが秀逸なんや」
彡(゚)(゚)「小さくまとまってるけど、ちゃんとエンジンの位置とか着陸とか考えたデザインが」
(´・ω・`)「僕が作ったやつだよ」
彡(゚)(゚)「え、お前が!?」
(´・ω・`)「うん、壊れたドアノブとか扇風機とかで」
彡(゚)(゚)「ドアノブの可能性すごいな」
(´・ω・`)「順調に集まってるね、これでやきう君を入れて3つだ」
彡(゚)(゚)「せやな」
彡(゚)(゚)「ほんまにこいつは優秀なやつや」
彡(゚)(゚)「素人の発明家って言ってたけど、必要なもんを何でもその場で作ってしまう」
彡(゚)(゚)「どのぐらい頭がいいのかと言うと、豆腐と醤油からジェット燃料を作るほどで」
(´・ω・`)「何ブツブツ言ってるの?」
彡(゚)(゚)「毎日のキャンプだけで大変やな」
彡(゚)(゚)「家の入ってるカプセルとかないんか?」
(´・ω・`)「カプセル?」
彡(゚)(゚)「ホイポイカプセルや、乗り物でも家でも入れとける小さなカプセル」
(´・ω・`)「そんなの見たことも聞いたこともないよ?」
彡(゚)(゚)「……ん? まだ発明されてへんのか?」
(´・ω・`)「今? エイジ728だよ」
彡(゚)(゚)「エイジ728? えーと確か、セルがタイムマシンに乗り込んだのがエイジ788やろ?」
彡(゚)(゚)「60年も前……たぶんこれ本編も始まってないんちゃうか」
彡(゚)(゚)「ドラゴンボール世界とはいえ、だいぶずれた時間に来てもうたなあ」
(´・ω・`)「潜水艇が必要かな、用意しないと」
彡(゚)(゚)「いや、それは多分カメハウスや」
彡(゚)(゚)「三星球は亀仙人が持ってるからな、100年ほど前に海で拾ったとか」
(´・ω・`)「……ん?」
彡(゚)(゚)「どうした?」
(´・ω・`)「なにか妙だ」
(´・ω・`)「北の方にあったこのボール……まっすぐこっちに向かってる」
(´・ω・`)「すごいスピードだ、たぶん戦闘機なみの」
彡(゚)(゚)「なんやて!?」
彡(゚)(゚)「こ、この時代にもボール集めてるやつがおったんか!?」
彡(゚)(゚)「ピラフ一味にしても早すぎるし……」
彡(゚)(゚)「と、とにかく逃げるんや、鉢合わせしたらどうなるか分からへん」
(´・ω・`)「わかった、すぐ逃げよう」
(´・ω・`)「やっぱりこっちを追ってきてる」
彡(゚)(゚)「このジェット機で逃げ切れるかなあ」
(´・ω・`)「向こうのほうがずっと早い……逃げ切れないなあ」
彡(゚)(゚)「ボールの電波を追ってきてるんや、電波を消せれば……」
彡(゚)(゚)「確か、生き物がボールを飲み込んだら電波が消えるんやけど」
(´・ω・`)「ちょっとこの大きさは飲めないなあ」
彡(゚)(゚)「ワイもあんまり飲まれたくない」
(´・ω・`)「都合よくいたとしても、飲んだらこっちも探せなくなるよ」
(´・ω・`)「ウ○コになって出てきたら、また奪い合いになるし」
彡(゚)(゚)「せやなあ」
ギュオオオオ
彡(゚)(゚)「うわ!? もう見えてきてるで!」
(´・ω・`)「やっぱり戦闘機だ、しかも大型の」
ドパラタタタタタ
彡(゚)(゚)「ほげ!? 撃ってきたで!」
(´・ω・`)「うーん、身を隠す場所もない……」
(´・ω・`)「仕方ない」ポイッ
ギュオオオオン
彡(゚)(゚)「お、戦闘機が引き返してくで」
(´・ω・`)「手持ちのボールを一つ捨てた」
(´・ω・`)「でも時間稼ぎにしかならない、回収したらすぐにまた追ってくるよ」
彡(゚)(゚)「ど、どうしたらええんや……」
彡(゚)(゚)「もうええ、原住民、ワイを捨ててくれ」
(´・ω・`)「えっ」
彡(゚)(゚)「あの戦闘機の狙いはワイや、ワイを捨てればお前は逃げられる」
(´・ω・`)「でも、あの戦闘機の人、きっと悪人だよ」
(´・ω・`)「そんな人がボールを集めたら、どんな願いを叶えてしまうか」
彡(゚)(゚)「それはそうやな……」
彡(゚)(゚)「どの時代も同じやな、神様だって、人間が欲のためばかりにボールを使うのにあきれ果てて……」
彡(゚)(゚)「ん? 神様?」
彡(゚)(゚)「せや! こうなったら神様に助けを求めるんや!」
(´・ω・`)「え??」
(´・ω・`)「それどこ?」
彡(゚)(゚)「えっ」
彡(゚)(゚)「聖地カリンやで! 有名とちゃうんか!?」
(´・ω・`)「さあ……? 僕、発明以外にはあまり興味なくて」
彡(゚)(゚)「えらいこっちゃ、ドラゴンボールってあんまり世界地図とか出てけえへんし」
彡(゚)(゚)「あとは確か、レッドリボン軍の本拠地から北東に2300キロやったはず」
(´・ω・`)「レッドリボン軍、それは有名だよ」
(´・ω・`)「本拠地から2300キロ……そうか、あの辺か」
彡(゚)(゚)「言うてみるもんやな!」
(´・ω・`)「そういえば聞いたことがあるなあ」
(´・ω・`)「どこかの森の中に、大きな塔があって」
(´・ω・`)「その上は飛行機も飛べない、不思議な場所があるとか」
彡(゚)(゚)「そうなんや、神様がバリヤーか何か張ってるんやろう」
彡(゚)(゚)「本来は自分の力で塔を登って、そこから如意棒で登らんといかん」
彡(゚)(゚)「孫悟飯がまだ生きてるはずやから、最初に出会えてれば如意棒も借りられたんやけど」
彡(゚)(゚)「そこに寄ってる時間は……」
ギュオオオオオ
(´・ω・`)「あ、また戦闘機が来た」
(´・ω・`)「了解」
ヒュオーーーン
(´・ω・`)「すごく高い塔だ……飛行機で登ってるのに頂上が見えない」
ドパラタタタタ
ガン ガン
彡(゚)(゚)「うわ!? 撃ってきたで! 被弾した!」
(´・ω・`)「そんなことより、もっと重要な問題が」
彡(゚)(゚)「なんや?」
(´・ω・`)「燃料がもうない」
彡(゚)(゚)「えっ」
プスン プスン
彡(゚)(゚)「うわあああああ」
(´・ω・`)「まあ仕方ない、落ちるまでに発明のアイデアでも書き残しとくか……」
(´・ω・`)「ん?」
彡(゚)(゚)「な、なんや?」
(´・ω・`)「下にいたはずの戦闘機が消えてる」
(´・ω・`)「それに、こっちの機体は空中に止まってる」
(´・ω・`)「というか、上に引っ張り上げられてるような……」
彡(゚)(゚)「ま、まさか、神様が」
(´・ω・`)「すごいねえ、どういう理屈で浮いてるんだろう」
彡(゚)(゚)「お、機体が水平になったわ、運ばれてるみたいやな」
(´・ω・`)「上に降ろしてくれるみたいだ、車輪を出しとくよ」
彡(゚)(゚)「おおー! 神様や、ホンマモンや!」
(´・ω・`)「か、顔が緑色だ、触覚みたいなものも……」
彡(゚)(゚)「ナメック星人とかは神様も知らんはずやな……黙っとくか」
神様「本来、人間たちのボールの奪い合いには手を出さないつもりでいた」
神様「だが、お前はどうやらこの世界の住人ではないようだ、だから特別にここに呼んだ」
神様「うむ……、何かのはずみで、この世界と、違う世界が一瞬だけ混ざったようだ」
神様「神龍の力がお前の世界に漏れ出し、願いを聞き届けてしまったのだろう」
神様「私の責任とも言える……、元の世界に送り届けてやろう」
神様「人里の近くまで飛ばした、ついでにドラゴンボールに関する記憶は奪っておくことにした」
彡(゚)(゚)「そこまでやってくれるんか、珍しいなあ」
神様「殺生をしようとしたことだしな……。それに、あいつのためでもある」
彡(゚)(゚)「せやな、亀仙人や孫悟飯の持ってるボールはどうせ手に入らんやろうし」
(´・ω・`)「よく分からない……」
彡(゚)(゚)「え、もうか」
彡(゚)(゚)「せやったらお別れやな、世話になったで」
(´・ω・`)「うん、無事に帰れそうでよかった」
神様「申し訳ないがそこの人間、お前からも我々と、ボールの記憶を奪わねばならん」
神様「このボールの人物は、この世界の未来を知っているようだ」
神様「お前が聞いたこと、それは残しておくわけにはいかぬ知識なのだ」
(´・ω・`)「そうですか……仕方ないですね」
神様「この魂を送り返した後で、ボール自体はお前に預けよう」
(´・ω・`)「分かりました。光栄です」
彡(゚)(゚)「なんや、忘れてしまうんか」
彡(゚)(゚)「しゃあないな、じゃあ名残惜しいけど、これでお別れやで」
(´・ω・`)「うん、帰っても元気で」
彡(゚)(゚)「原住民も……」
(´・ω・`)「僕の名前? 僕は」
神様「ポコペンポコペン……」
(´・ω・`)「ブリーフだよ」
彡(゚)(゚)「えっ」
ヒュオッ
彡(゚)(゚)「ここは……ネットカフェやないか」
彡(゚)(゚)「机の上には、ドラゴンボールのコミックが山積みに」
彡(゚)(゚)「今までのは、ワイの夢……?」
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「もう深夜やな……早いとこ帰らんと」
彡(゚)(゚)「……せやけど、もしさっきの夢が現実やったら」
彡(゚)(゚)「そうや……たしか二星球はブルマの家にあったんや」
彡(゚)(゚)「あれがブルマの父親、ブリーフ博士の、若いころの冒険やったんかなあ」
彡(゚)(゚)「あ、流れ星や」
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「ToLOVEるになりたい! ToLOVEるになりたい! ToLOVEるになりたい!
ToLOVEるになりたい! ToLOVEるになりたい! ToLOVEるになりたい!
ToLOVEるに……」
(おしまい)
乙やで
おつやで
http://world-fusigi.net/tag/星新一的な
乙やで
乙
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