【昭和の怪奇事件】寒空の下に愛娘を放置・・・文字通りの「箱入り娘事件」

2019年02月09日：22:00

「大事に育てられた娘」のことを古くから「箱入り娘」という。
今回ご紹介する昭和の怪奇事件は「箱入り娘」は「箱入り娘」でも悪い意味での「箱入り娘」の話である。

幼い命が消えかけている！

1973年（昭和48年）4月24日の毎日新聞に「幼い命死の隣この現実」という記事にて、世にも恐ろしい幼児虐待の事件が報じられている。

4月23日、午後4時頃、東京都中野区の某アパートの軒下に大きなダンボール箱が放置してあった。不審に思った近所の主婦がダンボール箱を開封したところ、中になんと小さな女の子がうずくまっていたのだ。

ダンボール箱は縦53センチ、横70センチ、高さ38センチのテレビ用の大きいもので、女の子は手足を紐で縛られたうえ、子供用おまるに座らされ、箱の上には週刊誌の束やポリバケツなどの重しが乗せてあった。

「まあ！この子Mちゃんだわ！」

ダンボールに入っていた女の子は、このアパートの三号室に住んでいたMちゃん（4歳）で、発見当時、Mちゃんは下半身裸で目を閉じ、グッタリとしていた。
Mちゃんは幸い命に別状はなかったが、寒空に晒されたことでかなり衰弱しており、救急車で病院へ運ばれ元気を取り戻した。

事件を報じている毎日新聞には、保護されたMちゃんの写真、そしてMちゃんが押し込まれていたダンボール箱の生々しい写真が掲載されている。写真を見ていただくとわかると思うが、幼児用のおまるが入っていたこともあり、かなり狭く4歳児の女の子が詰め込まれていたとはとても思えない。

犯人は・・・

さて、Mちゃんがダンボールに押し込まれていた経緯だが、犯人はMちゃん母親だった。
警察署の調べによると、Mちゃんの母親は1969年（昭和44年）、20歳の頃に某暴力団の若手組員の男性と結婚。この男性には以前交際していた女性との間に娘がおり、それがMちゃんだった。

その後、夫との間に娘を授かり4人家族となったのだが、夫の暴力に耐えかねた母親は娘二人を連れて脱走。実姉の住む中野区のアパートへ身を寄せた。
しかし、実姉にも生活があり、姉は単身で埼玉県へ引越してしまった。母親は仕方なく次女を親戚の家に預け、血のつながっていないMちゃんと二人暮らしになったが、Mちゃんは生まれつき足が不自由で、彼女の面倒をみるために働ける仕事にも制限が出てしまっていた。

「なんで血の繋がっていないこの子で苦労しないといけないの……」

悩みぬいた母親は、Mちゃんをおまる付きのダンボール箱に閉じ込め仕事へ向かうことにした。

最初は大人しかったMちゃんだが、やはりダンボールの中は窮屈だったのか、ダンボールから抜け出し、尿を散らしながら部屋のなかを駈けずりまわってしまった。
怒った母親は、翌日から仕事に出る際はMちゃんを外のダンボールに詰め仕事に出るようになってしまったのだ。母親はその後、幼児遺棄の容疑で書類送検となった。
これが「女児ダンボール事件」の全容である。

Mちゃんはその後、児童相談所に預けられ、現在49歳～50歳の年齢になっていると思われる。
今から45年前、新聞の片隅で報じられた小さな幼児虐待事件。幼児虐待が今再び社会問題と化している今、改めて考えたい事件である。

【参考文献】毎日新聞縮刷版

文：穂積昭雪（昭和ロマンライター / 山口敏太郎タートルカンパニー / Atlas編集部）

【Atlas関連リンク】
心霊スポット過密地帯！！多摩と連続幼児殺害事件
https://mnsatlas.com/?p=32463

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