3: :2010/11/23(火) 03:44:09.89 ID:
僕(棚の裏に自分で商品隠してさ……何がちゃんと棚を整理しろだよ)
僕(こっちは知ってるんだよ、そっちがネチネチと嫌がらせしているのを……)
そして僕は、お説教が一段落した所で「それなら辞めます」と言ってしまった。
何がそれなら、なのか。
ああそう、と言った具合で切り出された後、人手が足りないとか何とか言っていた気がする。
話を聞く前に、僕は店の外まで足早に逃げていた。
明け方の空気が清々しくて、冷たい。
僕(こっちは知ってるんだよ、そっちがネチネチと嫌がらせしているのを……)
そして僕は、お説教が一段落した所で「それなら辞めます」と言ってしまった。
何がそれなら、なのか。
ああそう、と言った具合で切り出された後、人手が足りないとか何とか言っていた気がする。
話を聞く前に、僕は店の外まで足早に逃げていた。
明け方の空気が清々しくて、冷たい。
4: :2010/11/23(火) 03:50:08.14 ID:
僕(よく……もったよね)
コンビニで働いていた二年間で、僕が手に入れたのはほんの僅かな貯金だけだった。
大学を卒業したのはいいものの、フリーターとして過ごした二年間。
彼女もいない自分にとっては、バイト先と自宅を往復するだけの面白味のない毎日。
コンビニで働いていた二年間で、僕が手に入れたのはほんの僅かな貯金だけだった。
大学を卒業したのはいいものの、フリーターとして過ごした二年間。
彼女もいない自分にとっては、バイト先と自宅を往復するだけの面白味のない毎日。
5: :2010/11/23(火) 03:54:13.89 ID:
何かいい事無いかな。
毎日そう考えて、ただ無気力に過ごしていた。
気持ちが滅入っている時に、店長からの嫌がらせの連続。
僕(……辞める時期が少し早まっただけだもの)
少しだけど貯金もある、そろそろフリーターは卒業して就活でも始めようか。
僕(だから、今辞めるのはちょうどいい……)
そうでも考えないと、やってられない。
僕「……」
秋風が吹く中、寒いのを我慢しながら……僕は家まで戻ってきた。
毎日そう考えて、ただ無気力に過ごしていた。
気持ちが滅入っている時に、店長からの嫌がらせの連続。
僕(……辞める時期が少し早まっただけだもの)
少しだけど貯金もある、そろそろフリーターは卒業して就活でも始めようか。
僕(だから、今辞めるのはちょうどいい……)
そうでも考えないと、やってられない。
僕「……」
秋風が吹く中、寒いのを我慢しながら……僕は家まで戻ってきた。
7: :2010/11/23(火) 03:58:34.75 ID:
大学時代から六年間住んだこの場所が、今の僕の帰る所。
僕「……おやすみ」
帰ってそのまますぐに眠ってしまった。
明日からは何もない、そんな日が始まる。
僕(今はただゆっくり……眠りたい……)
自然と、僕は泣きそうになっていた。
明け方のこんな時間に一人で起きている……それがなんだか寂しかった。
僕「……おやすみ」
帰ってそのまますぐに眠ってしまった。
明日からは何もない、そんな日が始まる。
僕(今はただゆっくり……眠りたい……)
自然と、僕は泣きそうになっていた。
明け方のこんな時間に一人で起きている……それがなんだか寂しかった。
9: :2010/11/23(火) 04:04:17.49 ID:
……。
僕「ん……」
意識が戻り目を少し開けると、カーテンの隙間からオレンジの光が見えた。
僕(夕方……四時くらいかな?)
枕元の携帯を見ると、緑のランプが光っている。
これはメールがあった時の光だ。
僕はボーッとする頭で携帯を開いてみる。
僕「……女から?」
メールお昼の時間に送られていた。
携帯の音なんて全部消している僕が、気付くわけはない。
僕「ん……」
意識が戻り目を少し開けると、カーテンの隙間からオレンジの光が見えた。
僕(夕方……四時くらいかな?)
枕元の携帯を見ると、緑のランプが光っている。
これはメールがあった時の光だ。
僕はボーッとする頭で携帯を開いてみる。
僕「……女から?」
メールお昼の時間に送られていた。
携帯の音なんて全部消している僕が、気付くわけはない。
10: :2010/11/23(火) 04:07:08.63 ID:
という夢を見た
――――完――――
――――完――――
11: :2010/11/23(火) 04:11:20.24 ID:
女『今日はお仕事? 夜暇だったらご飯行かない?』
……。
彼女は僕とずっと仲が良かった。
保育園から高校までを一緒に過ごした幼なじみ。
中学の時に一度だけ付き合ったりもした。
あまり覚えていないけれど、学生の恋愛なんてこんなものか、とイヤに斜に構えた終わり方で離れていったのだけは覚えている。
……。
彼女は僕とずっと仲が良かった。
保育園から高校までを一緒に過ごした幼なじみ。
中学の時に一度だけ付き合ったりもした。
あまり覚えていないけれど、学生の恋愛なんてこんなものか、とイヤに斜に構えた終わり方で離れていったのだけは覚えている。
12: :2010/11/23(火) 04:17:01.66 ID:
だからこそ一昨年、大学に通っている中でしていた就活の時、偶然彼女に出会った時は驚いた。
女「……あれ? あれ? もしかして僕ちゃん?」
僕「……?」
女「ほら、近所に住んでいた……」
スーツなんかを着て薄化粧をした彼女を久しぶりに見た時に思ったのは……単純に綺麗だったと言う事。
女「ふふっ、そのスーツ似合ってるよ」
女「……あれ? あれ? もしかして僕ちゃん?」
僕「……?」
女「ほら、近所に住んでいた……」
スーツなんかを着て薄化粧をした彼女を久しぶりに見た時に思ったのは……単純に綺麗だったと言う事。
女「ふふっ、そのスーツ似合ってるよ」
13: :2010/11/23(火) 04:22:14.15 ID:
女「そっか、同じ企業受けてたんだね。二人とも内定取れたら……同僚だね」
……優しく言ってくれたこの一言が、不合格の通知を貰ってからしばらくは胸に刺さっていた。
彼女はめでたくその会社に合格し、数年振りに会った僕たちはまた離ればなれに……。
……。
……優しく言ってくれたこの一言が、不合格の通知を貰ってからしばらくは胸に刺さっていた。
彼女はめでたくその会社に合格し、数年振りに会った僕たちはまた離ればなれに……。
……。
14: :2010/11/23(火) 04:25:56.43 ID:
……。
カーテンの向こうのオレンジは、いつの間にか真っ黒になっている。
携帯の光はとっくに消え、部屋の中に明かりはない。
僕(離ればなれに……なりたかった)
住む場所は近かったので、それから何度か会って交流は深めていたけれど……僕の気持ちは落ち込んでいた。
内定が貰えない男。
女「そんな事気にしちゃダメだよ。僕ちゃんならちょっと頑張れば大丈夫だよ!」
そんな風に慰められるのが、余計に惨めだった。
カーテンの向こうのオレンジは、いつの間にか真っ黒になっている。
携帯の光はとっくに消え、部屋の中に明かりはない。
僕(離ればなれに……なりたかった)
住む場所は近かったので、それから何度か会って交流は深めていたけれど……僕の気持ちは落ち込んでいた。
内定が貰えない男。
女「そんな事気にしちゃダメだよ。僕ちゃんならちょっと頑張れば大丈夫だよ!」
そんな風に慰められるのが、余計に惨めだった。
15: :2010/11/23(火) 04:29:59.03 ID:
あれからフリーターを続け、そのバイト生活も昨日で終わり。
僕(こんなの、女に言えるか……)
僕は小さなプライドを持ったまま、メールを返す。
僕『ごめん、風邪ひいたからまた今度』
今は誰にも会いたくない気分。
風邪なら無理に誘われる事もないだろう。
僕「……送信と」
僕(こんなの、女に言えるか……)
僕は小さなプライドを持ったまま、メールを返す。
僕『ごめん、風邪ひいたからまた今度』
今は誰にも会いたくない気分。
風邪なら無理に誘われる事もないだろう。
僕「……送信と」
16: :2010/11/23(火) 04:35:27.79 ID:
僕(……来週の天気は雨が続くかあ)
ワクワクする。
僕(ん)
……返事をしてから十分程でまたランプが光った。
見ていた携帯サイトを閉じ、メールを確認する。
彼女からだった。
女『風邪?! 大丈夫? 食料とかあるの?』
ビックリマークの絵文字が、可愛らしい。
僕『大丈夫だよ。寝てれば治るからさ』
嘘ばかりだ……送信。
ワクワクする。
僕(ん)
……返事をしてから十分程でまたランプが光った。
見ていた携帯サイトを閉じ、メールを確認する。
彼女からだった。
女『風邪?! 大丈夫? 食料とかあるの?』
ビックリマークの絵文字が、可愛らしい。
僕『大丈夫だよ。寝てれば治るからさ』
嘘ばかりだ……送信。
17: :2010/11/23(火) 04:38:19.12 ID:
……。
二十分程待っても返事は来なかった。
働いている身だ、忙しいんだろう。
僕「お腹空いたな……」
そろそろ夜だ、何か食べる物を買いに行こう。
僕は近くのスーパーに向かった。
僕(……ついでだ、やけ酒でもしようか)
カゴを持って店内へ。
今の僕には、食べる事と眠る事しか楽しみがないんだ。
二十分程待っても返事は来なかった。
働いている身だ、忙しいんだろう。
僕「お腹空いたな……」
そろそろ夜だ、何か食べる物を買いに行こう。
僕は近くのスーパーに向かった。
僕(……ついでだ、やけ酒でもしようか)
カゴを持って店内へ。
今の僕には、食べる事と眠る事しか楽しみがないんだ。
18: :2010/11/23(火) 04:45:17.02 ID:
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