人々が祈りを捧げる宗教建築物。その中には著名な建築家が手掛けた有名な観光スポットも多々あるが、たった1人で大聖堂の建築を行っていた男性がいた。
スペインに住む91歳の元修道士は、20代で結核にかかり、余命あとわずかと宣言された。彼は、もし助かったら聖堂を建てると神に誓った。
その後奇跡的に回復した男性。再び生を得た感謝から、その誓いを守るべく1人で聖堂の建設を始めた。
それからおよそ50年。周囲に狂人と言われながらこつこつ作業を続けた結果、高さ40メートルもの大聖堂がついに完成しつつある。
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The Lone Man Building a Cathedral By Hand
元修道士が手がける40メートルの聖堂
元修道士のフスト・ギャレゴ・マルティネスさんはスペインのマドリードに聖堂を建設している。聖堂はキリスト教においては礼拝施設のことを意味し、典礼儀式が行われる建物のことである。
かつてのフストさんは建築の知識もなく、煉瓦を扱ったことすらなかった。
image credit:Denis Doyle
だが現在手がけている大聖堂は40メートルもの高さとなり、あらゆる困難を克服する信仰の象徴とも言われている。
image credit:youtube
結核から生還、誓いを守って聖堂を建設
かつて信心深い農夫からトラピスト修道士になったフストさん。しかしそれからわずか8年後に結核を患ってしまった。
病のために修道院から追い出され、20代で余命わずかと宣告された彼は、苦しい闘病生活を余儀なくされた。
image credit:youtube
それでも彼は、もしこの病気を乗り越えたら聖母マリアを礼拝する建物を作りますと誓い、懸命に祈り続けた。
すると熱心な祈りが届いたのか、奇跡的に結核から回復。命を救われて感謝した彼は、亡き母が遺してくれた広い土地に聖堂を建て始めた。
リサイクル資材で50年以上も作業を続行
それから53年が過ぎ、かつて狂人と言われていたフストさんは人々を驚嘆させる大きな聖堂を建てつつある。
資材は地元の建設会社が寄付してくれたリサイクル材や余った材料だ。
image credit:youtube
image credit:Gianfranco Tripodo
彼はそれをうまく組み合わせ、巨大なドームや複雑な階段、美しいステンドグラスなどを自らの手でこつこつ施工していったのだ。
image credit:youtube
無認可ながら観光スポットに。今後の話し合いも
この建物はおよそ2,200平米という広さがある。だが残念なことに図面無しで建てているため正式には認められていない。
image credit:youtube
しかし今は人気の観光スポットになったため当局も見逃してくれている。
image credit:Gianfranco Tripodo
image credit:Frank O. Sotomayor
「もしふたたび人生を与えられたとしたら、またこの聖堂を建てるでしょう。今度はもっと大きいのがいいな」
物もお金も家もいらないと語り、すべてを聖堂に捧げるフストさん。91歳という高齢のため完成を見られないことも承知だが、淡々と作業を続けている。
image credit:Gianfranco Tripodo
現在フストさんは地元ボランティアや友人から援助を受けている。献身的な姿に感銘を受けた人々が彼を支えており、今後の聖堂に関する話し合いもなされているという。
References:designyoutrustなど /written by D/ edited by parumo
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コメント
1.
2. 匿名処理班
これがこの人の生きがいなんだね
うちの爺ちゃんは五円玉で兜を編んでたな
3. 匿名処理班
予想以上に広大で立派な建築だった。
そしておじいちゃん何気にオシャレ。
4. 匿名処理班
尿意や腹痛がキツイ時に
不特定の神様にタスケテと祈願するけど
「引き換えに聖堂を建てますので」
までリアルにお願いした事無いから
祈りが届かないのか。
5. 匿名処理班
狂人と言われる一方で余った材料を譲ってくれる人もいたのだね
6. 匿名処理班
凄い!
まさに超人の域といっていい、とてつもない仕事だ。
でも、図面も認可もなし?
ってことは当然構造計算もしてないだろうし、さすがに現代でそこまで牧歌的なのは問題だわ。
災害時には極めて危ないわけで(偶然に耐震性が確保できている可能性もなくはないが)当局が観光スポットにしてしまうのはマズいんじゃ?
外から見るだけなら、まあ・・・だけど。
日本人的には、ちょっと無理。
構造チェックくらいはして欲しい。
7. 匿名処理班
すげーなあ
8. 匿名処理班
耐震化も全く考慮されていない素人が作った巨大建造物が
地震で崩壊し人命をうしなったとき
現在賛美していた人が手のひら返してボロ糞に言うだろうなあ
9. 匿名処理班
ひとりでできるもん Lv.9999
10. 匿名処理班
この人の人間としての力が為せる技。この人が一番神に近いかも。
11. 匿名処理班
こういう段階になってから皆もてはやすんだよね.
はじめは出来るかどうかも分からなかっただろうに....
今の御時世、ゴールが見えなきゃ誰もやらないし,
やること自体を蔑む風潮だから,
こういう偉業はなおさら光って見える.
12. 匿名処理班
世界の【作ってみた】シリーズでも1、2を争う規模だな。
ただ、スペインは地震が起きる国だからちょっと心配。
13. 匿名処理班
「ブラザーサン・シスタームーン」の主人公みたいな人だ。
14. 匿名処理班
すごい。
すごいけど、せっかく健康な体を手に入れたんだし、
「好きに生きていいんだよ」って神様も思ってるんじゃないだろうか。
15. 匿名処理班
これもある意味ひとつの宗教といえるかも?
建設的な(文字通りw)目的とか目標がある人生っていいよね
16.
17. 匿名処理班
発病当時は死病だったから仕方がなかったのかもしれないけど
重病の修道士を追い出す修道院てどうなのよ
マリア様がきっと見守ってくれてるとは思うが
フストさん元気なうちに聖堂が完成してほしい
18. 匿名処理班
安全性が懸念されるけどなかなかできることではない。称賛に値すると思う
19. 匿名処理班
安易に神頼みしてしまう自分が恥ずかしくなるな
20. 匿名処理班
俺も今からでも頑張ろう
21. 匿名処理班
一生ものの信仰心だなぁ
若い身空で爆散して他人に迷惑かけるだけのバカどもとは大違いだ
22. 匿名処理班
ノアの箱舟を思い出した
23. 匿名処理班
ワクワクさんがユーチューブを始めたそうだが、
これぐらいのものを作ると再生数が伸びそうな気がする。
24. 匿名処理班
今の時代にこんな人生もあるんだと感銘を受けた
ネジが外れてる人なのかもしれないけど、昔なら教会から聖人認定されるレベルだと思う
25. 匿名処理班
※6
耐震に関しては、日本より地震は少ないだろうから大丈夫だと思われる
他の補強は、見た目が変わらないように後から付け足せるだろう。
素人が失礼しました
26. 匿名処理班
流石に、安全基準を満たしてない建物がこの質量は危険だとは思うのですが
そんなこと言うに言われません…
27. 匿名処理班
病気が治っても約束を忘れない心が美しい
28. 匿名処理班
結核で教会から追い出されたって、最近よく聞く抗生物質が効かないというタイプの結核だったのだろうか?
29. 匿名処理班
すげーな
文字通りハデスの門にも対抗する教会を建てたのか
30. 匿名処理班
耐震性や安全対策の心配は残るが、お歳が91歳ということは半世紀以上無事ということで
生きている間はそれこそ神のご加護で守られ、後の世で何かが起こってしまったらそれは神の怒りを買ったと人々は思うのかもしれない
31. 匿名処理班
「虚仮(こけ)の一念、岩をも通す」とはよく言ったもんだ。
日本でも、東北のどこかで、崖に大きな観音像を掘ってた人がいた話を思い出した。その人は亡くなったし、観音像は大震災で顔が崩れちゃったということだけど、信仰心って凄いよね、良い方に働くと。
32. 匿名処理班
この人にそんな気はないだろうから、できれば基金みたいなものをつくって、構造補強などをする建築士を雇い、うまく残す方法を考えてほしいなあ。
市が観光スポットにするつもりならなおさら。
33. 匿名処理班
この一途さはちょっと憧れる
34. 匿名処理班
>>17
追い出したのは結核が感染病だと判明して以降だからかも?
20代だと1950年代だろうから結核菌による感染症だというのはわかっているけど、ストレプトマイシンなどの結核に対抗できる抗生物質はまだ普及していなかったのかも。
人が集まる修道院で集団感染にならないように結核患者を隔離したことを「追い出した」という表現になってるような気がする。
結核患者は結核療養所(ゴルリス病院とか)に集められた…?
35. 匿名処理班
日本だとまず耐震基準がーって考えちゃうけど国によっては数百年前の石造りの建物が平気で残ってるから何とも言えない
狂気の沙汰に思えるけどこういう人がのちのち聖人って呼ばれるんだろうか
36. 匿名処理班
こういう人が本当にかっこいい人だと思うんだよ
37. 匿名処理班
御年91で、このシャキッとした背筋。
38. 匿名処理班
これもアウトサイダーアートと言われるものの一つなんじゃないだろうか。
建築のことを何も知らず図面もなしに作り続ける…しかも50年以上、一生かけて…。狂人は狂人だと思う。
悪いけどこれを「建物」とするのはダメだと思う。危なすぎる。あくまで「アート作品」。
39. 匿名処理班
人生の全てを捧げてひとつのものを作るなんて絶対真似できない
きっと神様から恩寵を賜ることだろう
40. 匿名処理班
※28
それは比較的最近発見された結核菌で、この方が当時患ったモノとは別だな。
当時は結核と言う病に関して各国の薬剤及び診療事情や、一般人の考え方も今と違うだろうし。
まして集団生活を送っている修道士であれば、致し方無し、だったんだろうな。
それでもこの方は病を克服したどころか、ここまでの感謝の気持ちとモチベーションを維持し持ち続けるのはスゴい。
41. 匿名処理班
建築に関しては素人であるはずの人が建てたと思えないレベル
この聖堂の出来こそ「神懸かり」的だと思う