国語の問題「作者の気持ちを答えよ」男「この作者、死にたがってる!」
え~っ!!!
友人「うえー、かったりい……」
男「そうか? むしろ普通の授業より楽だろ」
友人「お前はよく本読むし、国語系は得意だからなぁ。親父さんが社長だし」
男「親父は関係ないだろ」
友人「なんだこの問題? くっだらねー」
友人「作者の気持ちなんて、“早く仕事終わらせたい”とか“晩飯何にしよう”とかに決まってんじゃん!」
男「……」
教師「コラ、テスト中に喋るな! 0点にするぞ!」
たかしは必死に叫んだ。
「さあ、決死の死闘をしようではないか!」
すると、花子は死神のような微笑みを浮かべる。
「派手に死に化粧してあげるわ!」
その時、死語が大好きなひろしが現れ――
男(問題に使われてるこの小説、やたら“死”って文字が多いな……)
太郎は高らかにこう宣言した。
「人生の終着点は死だ。そして、誰もがその終着点にたどり着くためのスイッチを持っている。
あとはそれを自分で押すか、他人に任せるか、それだけの違いなのさ。
もちろん、この私は自分でスイッチを押させてもらうよ」
男(この作者、まさか……!?)
教師「どうした?」
男「俺にはこの作者の気持ちが分かりました」
教師「ほう、さすがだな」
男「この作者、死にたがってる!!!」
教師「な、なんだと……!?」
男「見ろ、問題に使われてるこの小説を。やたらと“死”という文字が使われてる」
男「しかも、この太郎の台詞……自殺を暗示しているものだというのは明らかだ」
友人「た、たしかに……!」
男「先生、今すぐこの作者のところに行きましょう!」
教師「しかし……今は授業中でテスト中……」
男「こうしてる間にも、作者は死んでしまうかもしれないんですよ!」
教師「わ、分かった……すぐに向かおう!」
男「このテスト問題は、どこから入手したものなんです?」
教師「問題集からコピーしたものだが……」
男「だったら、その問題集を出版した会社に問い合わせれば分かるかも!」
教師「なるほど!」
教師「ダメだ、個人情報は教えてくれんそうだ。大手出版社だから、こういうところはしっかりしている」
男「でしたら、次は俺に電話させて下さい」
教師「無駄だと思うよ?」
……
男「教えてもらえました」
教師「なんだと!? これじゃ私の教師としてのプライドがズタボロだ!」
男「そんなことより、すぐ作者の自宅に向かわないと!」
教師「そうだな、車を出そう! 二人ともついてこい!」
男「はいっ!」
友人「え、俺も!?」
教師「しゅっぱーつ!」
男「急いで下さい、先生!」
教師「ああ、分かってる! 舌噛むなよ!」
友人「……」
男「どうした?」
友人「今の俺の気持ちを答えよ」
男「“なんで俺まで”ってところかな」
友人「正解」
友人「ひいいいっ! 飛ばしすぎィ! ここ40km/h制限っすよ!?」
男「先生、運転上手いですね」
教師「これでも教師になるかF1レーサーになるかギリギリまで悩んでたからね。ふんっ!」
ギャルルッ
友人「公道でドリフトしないでぇぇぇ!!!」
教師「着いた、このマンションだ」
友人「ひゃ~、さすが作家様、立派なマンションに住んでやがる」
男「さっそく部屋へ向かおう! 404号室だ!」
友人「4が多いな……ちょっと不安になってきたぜ」
タタタッ タタタッ タタタッ
教師「……誰も出ないな」
友人「カギもかかってるし、留守なんじゃないっすか?」
男「……」サッ
友人「本のしおり? そんなもんどうするつもり――」
男「……」カチャカチャ
ガチャッ
友人「しおりでピッキングしやがった!」
男「!」
教師「!」
友人「!」
女「……」ブラーン…
友人「や、やべえ、首吊ってるぞ!」
男「床に下ろすんだ!」
友人「よかった、首を吊って間もなかったのか、まだ生きてる!」
教師「だが、あと数分遅ければおそらく……よく作者の気持ちに気づいたな、偉いぞ! 100点だ!」
男「えへへ……」
女「わ、私は……ゲホッ、ゲホッ!」
男「無理にしゃべらないで」
友人「まったく人騒がせな作家様だぜ……」
男「なぜ、こんなことを?」
女「私は若くして作家になれたのだけど、すぐにスランプに陥ってしまって……」
女「自分が納得できるような作品を書けなくなってしまったの」
女「才能が枯れてしまったことに気づいた私は、絶望して……」
男「才能が枯れた? そんなことはありませんよ」
女「えっ?」
男「あの作品は、すぐ才能が枯れてしまうような作家が書ける代物ではない」
男「納得できる作品を書けなかったとのことですが、きっとすぐ書けるようになりますよ」
男「なんだったら、いっそ本を書き下ろしてみませんか」
女「なんなの? あなた何者なの?」
友人「実はこいつの親父、大手出版社で社長をしてるんです」
女「ええっ!?」
教師(そうか、さっき住所を教えてもらえたのも社長の御曹司パワーだったのか! おのれ御曹司!)
女「はい……」
女「それに私、あなたと話してたらどんどん執筆意欲が湧いてきちゃった!」
女「これならきっと、いい小説を書けそう!」
男「それはよかった!」
女「ようし、さっそく執筆を始めよっと!」カタカタ
教師「ああ、若い命が失われてしまうところだった」
友人「しかし、分からないなぁ。スランプだったのにどうして急に意欲が……?」
教師「分からないのかね?」
友人「ええ、なんでだろ……?」
教師「だとしたら、君はまだまだ人生経験が不足しているということさ」
男「タイピング速いですね!」
女「私、調子がいい時は指が速く動くの!」カタカタ
アハハハ… ウフフフ…
プルルルル…
男「もしもし」
女『新作、出来たわよ!』
男「え、ホント? 編集部に話は通してあるからすぐにでも出版できるよ!」
女『ありがとう!』
女『でも、もし売れなかったら……』
男「大丈夫、自分の力を信じて! 絶対に売れるよ!」
こうして女の新作書き下ろし小説は発売の時を迎えた。
女「ありがとう、嬉しいわ」
友人「これぞ重版デライ!」
教師「出来(しゅったい)な、0点」
女「あの……」
男「ん?」
女「よかったら、私の新作読んでみて」サッ
男「もちろん読ませてもらうよ。今までずっと読むのを我慢してたんだ」
男「!」
男「ああ……絶対正解してみせるよ」
女「……」ドキドキ
好子(よしこ)は晩ご飯が大好物のハンバーグだったので、大いに喜んだ。
「わぁい、ハンバーグ大好き!」
好景気だった頃の日本経済を思わせる好子の大らかな笑顔は、
好色で知られる大次郎にとっても好感触であった。
男(やたら、“好”の文字が多いな……)
男(そうか、分かったぞ!)
女「えっ……」
男「答えてもいいかい?」
女「うん」
男「“あなたのことが好き”……かな?」
男「えっ」
女「正解は――あなたのことが大好き!」
男「くっ……やられたよ」
教師「50点だな。今日は学校休んで、二人で愛の補習に行ってこい!」
~END~
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コメント一覧 (15)
-
- 2019年03月02日 20:31
- 勢いの良さについ読み切ってしまった
-
- 2019年03月02日 20:38
- 女の小説部分がチープ過ぎるのに草
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- 2019年03月02日 20:46
- 先生いい人だ
-
- 2019年03月02日 20:56
- なんで俺までってとこかな
正解
が完全に洋画の吹き替えだった
-
- 2019年03月02日 21:13
- 正しくは「この文章の意図をどう解釈するのが日本語として正しいか」っツー出題だからな?
作者が実際にどう思ってたかなんて誰も聞いてないって気付けよアスペども。
-
- 2019年03月02日 21:23
- なおどう正しいかは出題者が決める模様
ようは媚を売れってことですね
-
- 2019年03月02日 21:29
- 問題集には作者の名前や作品名も載ってるものじゃないの?
-
- 2019年03月02日 21:30
- 登場人物の気持ちを答える問題はあっても作者の気持ちを答える問題なんてあるか?
-
- 2019年03月02日 21:37
- >>5
そんなんみんな気づいてるよ
それを知った上でネタにしてんだよアスペ
-
- 2019年03月02日 22:31
- ※5がネタで言っているのか本気で言っているのか判断が難しい
-
- 2019年03月02日 23:03
- ※5の気持ちを答えよ
-
- 2019年03月02日 23:32
- >>11
「ボクを構って!!」ってとこかな?
-
- 2019年03月02日 23:34
- 11
俺、かっけえー
かな。
-
- 2019年03月02日 23:58
- すげー面白かった
-
- 2019年03月03日 00:01
- ※11
「キ/チ/ガ/イのふりしてバカを釣ってる俺ってすげー!俺はこいつらよりも上の存在なんだ!」
なお壁にどっかで見たアルファベットを丸写しした落書きをしてイキってるクソガキと同レベルの模様
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