890 名前:ゲームセンター名無し[] 投稿日:02/02/23(土) 01:29 ID:RWzzcaSQ [1/3]
フォースの話を見て、オラタンのことを思い出した。
ゲーセン通いしてて、泣いたことが一度だけある。
いい話かどうかはわからない。ただ、自己完結な話でよければ。

バーチャロン・オラトリオタングラム(オラタン)が登場した直後の頃。
会社から出張を命じられ、地元を遠く離れたいなかで半年過ごすことになった。
小さなゲーセンが一つあったのが救い・・の、はずだったけど。
仕事が忙しくて、終電以外で帰った覚えが無い。ゲーセン行ってる暇なんて無
かった。たまに閉店間際で店に入っても、目の前で筐体の電源が切れたりして。
たまに休みが出来れば、電車で1時間の大きな街へ行ってオラタンをやった。
バーチャロンは大好きなゲームで、他の人に置きざりにされたくなかった。
クリアもできないまま時間が過ぎ、楽しみにしていた大会予選の観戦も仕事で
流れた。
それでも貴重な休日にオラタンを続けた。とにかく、ゲーセンから離れたくな
かった。仕事漬けの毎日だったが、俺はゲーマーだ、と叫びたかった。
(続きます)


891 名前:ゲームセンター名無し[] 投稿日:02/02/23(土) 01:30 ID:RWzzcaSQ [2/3]
(続きです)
ある日、いつものように深夜0時をまわって帰宅した俺は、疲れて床に座り込
んだ。ちょっと休むつもりだったのだが、気が付いたら翌朝になっていた。
また会社へ行こうか、と顔を洗って鏡を見た。昨夜のままの無精ヒゲ顔だった。
そのとき「ああ、もうやめよう」と思った。もうどうでもいいや、と感じた。
それから数ヶ月、出張の仕事が終わるまで、何も覚えていない。

記憶は、半年の出張が終わり、地元へ帰る電車に乗ったあたりまで飛ぶ。
ああ、これでまたゆっくりゲーセンへ行ける。そう思いながら、俺ってさっそ
くゲームのこと考えてるのかよ、と苦笑した。
途中、とても大きな街で我慢できなくなって途中下車した。駅のそばにあるゲ
ーセンでオラタン筐体に座り、コインを入れた。嬉しくてたまらなかった。
しかし、ゲームが始まらない。かわりに奇妙な画面が表示された。乱入!
まったくマヌケなことに、俺はオラタンが対戦ゲームであることをすっかり失
念していたのだ。対戦はスタートし、終わった。
そのときの内容ははっきり覚えている。ジャンプキャンセル2回。それだけ。
対戦相手の姿はまったく視界に入らず、俺はスタート地点から一歩も動いてい
なかった。(後で考えたが、これって捨てゲーだと思われたかも知れない)
俺はゲーセンを出た。置き去りにされてしまったんだ、と思った。
地元へ帰っても、ゲーセンには行ったがオラタンはやらなかった。
(また続きます)


892 名前:ゲームセンター名無し[] 投稿日:02/02/23(土) 01:30 ID:RWzzcaSQ [3/3]
(また続きです)
ある連休に、遠方から友人が訪ねてきた。一緒に酒を飲んで、カラオケ、そし
てゲーセンへ行った。そこで、オラタンをやったことが無いから教えてくれよ、
と言われた。俺だって少ししかわからないぞ、と言ってプレイ開始。
友人のプレイは全然ダメダメだったが、そんな動きじゃダメだぜとか、隠し技
の出し方はこうだ、とか言ってるうちに、胸がつまってきた。
俺は今、初心者にオラタンを教えてる。教えることができる。
ああ、俺は、ほんの少しだけ、オラタンが上達していたんだ。
あのつらい日々の中で、ゲーセンに通ったのは、無駄じゃなかった。
  友人「お前、どうしたんだ?」 
  俺 「何が?」
  友人「泣いてるぞ。」
俺は泣いてた。
そして、大事なことを気付かせてくれた友人に、ありがとうと言った。
俺はまた、オラタンをやり始めた。

そして俺は、たいして強くも上手くもないプレーヤーになって、今もゲーセン
に通っている。かつての日々を思えば、ゲームが出来るってことだけでもう、
なんとなく満足してしまう。
対戦ゲームは勝利こそすべてだろ、という人もいて、それはもちろんアリなの
だが、一人一人のプレーヤーにはそれぞれドラマがあるのだということを実感
するようになった現在、どんな楽しみ方もあって良いのだと思うようになった。
かつてのギラギラした、熱い思いはもう感じない。

俺はひょっとして、枯れてしまったのかな?
なんて思いながらも、俺は今日もゲーセンに行く。また何か、熱いゲームに会
えたらいいな、と強く願う。

俺の話はこれで終わりです。
読み返してみると、ホント、いい話かどうか、さっぱりわからないけどね。