image credit:Fu et al., Science, 2019
2007年に中国湖北省で発見されたカンブリア紀の化石層を調査したところ、その半数がこれまで知られていなかった新しい種であることが判明した。
カンブリア紀(5億5000年前)を境に、生物の特徴はがらっと変わった。それらの古代生物は、現在我々が目にしている生物の特徴を備えている。
だが、なぜカンブリア紀に生物の大きな変化が現れたのか?本当にカンブリア爆発によってもたらされたものなのか?
様々な仮説はあるものの未だ議論が繰り返されている。
今回の発見された化石を調べることで、古代生物の生態系や多様化を知る大きな手がかりを得られるかもしれない。
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カンブリア紀に訪れた生物の変化の謎
複雑な動物の痕跡が最初に見られるのは、6億年前のエディアカラ紀ことだ。しかし、これらが今日の生物とどのように関係しているのか知るのは難しい。
その理由の1つは、氷河時代に岩石が削り取られてしまうらしく、その時代の化石が少ないからだ。当時の生物の姿がその後の生物とはっきり関係しているように見えないことも一因である。
ところが、カンブリア紀(5億5000年前)になるとがらっと様変わりする。
たとえばカナダの有名なバージェス頁岩などの化石層で発掘される化石は、今日私たちが目にしている生物の特徴をはっきりと備えている。
しかしそれでも、こうした変化が本当に当時のカンブリア爆発によって出現したものなのか?どのような環境の変化がこの多様化をもたらしたのか?といったことを巡り、相変わらず多くの議論が交わされている。
photo by istock
幸運が重なり5億年の化石が残されていた
この地域に化石が残されていたのは、いくつもの幸運が重なったおかげである。
「清江生物相」と呼ばれる堆積層から発見された生物は、繁殖するために水の中に豊富な酸素が含まれていなければならない。
しかし酸素は、こうした生物の死骸を分解してしまう生物をも繁殖させる。
そのため、化石の生物は、かつて比較的浅い大陸棚の海で繁殖していたが、死んだあとで海流によって酸素の乏しい深いところまで引きずり込まれたらしい。
その海流は同時に、堆積物に安定した流れをつくり、軟体生物の体が傷まないうちに地中に埋めてもくれた。
堆積物が圧縮されて堆積岩になってからは、熱や力で化石を破壊してしまう火山のような地質活動とも無縁でいることができた。
image credit:Fu et al., Science, 2019
発掘された半数が未知なる新種
こうした珍しい条件が重なり、特に保存状態の良い化石を産する土地のことを「ラーゲルシュテッテン」という。今回の場合、湖北省を流れる清江流域だ。
ここには目でも確認できる明るい岩石層と暗い岩石層が交互に重なった地層が、最大50メートルの厚さで埋まっている。
これらの岩石はバージェス頁岩よりも若干古く、およそ5億1800万年前頃に、ユネスコの世界遺産に登録されている澄江の化石産地と同時期に堆積したらしい。
清江からは100種以上ものカンブリア紀の化石が大量に発掘されているが、特筆すべきは、その半数以上がこれまで発見されたことのない種だったことだ。
また清江と澄江で同じ種の化石は8種しか見つかっておらず、両地域が別個の生態系だったことが示唆されている。
image credit:Fu et al., Science, 2019
内臓まで残された驚きの保存状態
化石の保存状態は素晴らしく、海綿動物、クラゲ、イソギンチャクといった軟体動物が、触手や口にいたるまで細かいところまで残されている。それどころか、多くの場合は、内臓まで確認できるほどだ。
これらの化石は、新種として正式に記載されないままでも、例の疑問に答えてくれる。
たとえば、動物の系統樹の最初期の枝に位置しているクシクラゲ類は、現在では触手を持つ。
ところが、これまで発掘された初期の化石にそうした特徴はなく、その進化が比較的最近のことである可能性も主張されていた。
しかし清江の化石にはきちんと触手が揃っており、この議論に決着らしきものをつけている。
image credit:Fu et al., Science, 2019
初期の生態系について新たなる知見
素晴らしい発見であるが、これは始まりにすぎないかもしれない。
清江は、バージェス頁岩や澄江と違い、熱や風化の影響を受けていない。軟体動物の保存状態については両地よりも良好である可能性すらあるのだ。
また中国の清江地域にはカンブリア紀の堆積層が広まっているようだ。研究チームの最初のサンプリングからは、同じような化石が同地域のほかの場所からも発掘できる可能性が示されている。
もし本当にそうした化石が発見されれば、地上最初の動物たちが織りなした生態系の多様性や、これらの種が形成された条件が、これまでよりもはっきり理解できるようになるだろう。
個人的には、今回発見された新種の古代生物の再現画像とか立体イラストが楽しみでならないんだ。
この研究は『Science』に掲載された。
References:Half the species in a new Cambrian fossil site are completely new to us | Ars Technica/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
お菓子で海老そのまま入っているせんべいと思ってしまった
ちょっとおいしそうだ
2. 匿名処理班
現代のフナムシにそっくり。
それはそうと宇宙さえ創造したエ.ラ.土.人の化石はなぜでないんだろう?
創造主ならカンブリア紀には存在しているはずなのに。
3. 匿名処理班
舐めたら塩味がしそう(小学生並みの感想)
4. 匿名処理班
ミジンコ・・・
5. 匿名処理班
綺麗に残ってるもんだなぁ
発見されるのを待っていたようだ
6.
7.
8. 匿名処理班
>>1
それ、思った(笑)。
サクサク香ばしくいただけそうだ。
前肢が二股でムチみたいに長く伸びてるから、レアンコイリアの仲間かな?
ほかのは、なんだかわからんけどクラゲやソフトコーラルみたいな刺胞動物かね?
それにしても、恐ろしくキレイな化石だわ。
模造品って言われたら、そっちの方を信じてしまいそう。
楽しみだね。
9. 匿名処理班
えーと、たしかハルキゲニアもこの地層から
発見されたんじゃなかったけ?
10. 匿名処理班
神様達も若くて面白半分に色々作りまくった時期あったんやろ
11. 匿名処理班
ヨコエビっぽいね
12. 匿名処理班
こういう化石の復元図ってどういうワケかおどろおどろしいのが多いけど、現生してたらありふれた広義のエビの仲間として普通に違和感なく見えちゃうんだろうな。
詳しく観察すればヘンテコなところ一杯あるんだろうけど、今いるエビとかシャコとかだって相当ヘンテコなのいっぱいいるしね。
13. 匿名処理班
水中に酸素と栄養が豊富だったから、現代では微生物レベルの簡素な構造でも生命として存続可能だった時期だったのだろうかな?