image credit:theshellworks
イギリス・インペリアル大学とロイヤル・カレッジ・オブ・アートのデザイン学科の学生が、ちょっと変わった原料から、再利用可能な生分解性のバイオプラスチックを作り上げた。
その原料とは、食べ終わったら捨てられてしまうロブスターの殻だ。
シェルワークスと名づけられた研究チームが、新たな製造機械を開発して、従来の使い捨てプラスチックに替わる持続可能な代替え品を開発した。
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注目される生分解性バイオプラスチック
バイオプラスチックとは、バイオマス(生物資源)から作られたプラスチックである。
技術的には様々なバイオマスからの製造が可能であり、その多くはは生分解性プラスチックとしての性質を持つ。
微生物によって水と二酸化炭素に分解され、その二酸化炭素を元に植物が光合成によってデンプンを作り出し、デンプンからまた生分解性プラスチックの原料を作り出すことができる。最終的には自然環境下で分解され、地球を汚さないことも大きな利点だ。
順応性の高いバイオプラスチックは、極めて用途が広く、厚さ、透明性、柔軟性、固さを自由に調整でき、さまざまな製品を作ることができる。
image credit:theshellworks
甲殻類の殻を使ったバイオプラスチック
シェルワークスのバイオプラスチックの主要な成分は、甲殻類や昆虫の外骨格に多く含まれるバイオポリマー(生体高分子)であるキチン質だ。
キチン質そのものを購入するには高価なので、研究チームは独自にカスタマイズした小型抽出機と、3種の製造機を作ることにした。
image credit:theshellworks
3Dフォームを作るディップモルダー、ディッピー、成形包装のための蒸気加熱真空生成器、ヴァシー、きっちりと平らなシートを作るシート成形装置、シーティだ。それぞれ、さまざまに異なる用途に対して、材料特性の特異性を最大限に活用することができる。
試作品は、抗菌性のブリスター包装材(プチプチ)から、自家受精する植木鉢まで多岐にわたる。
image credit:theshellworks
繰り返し使えて最後には天然の肥料になる
当初から、製品のリサイクル性というシェルワークスの設計目標はブレない。
実験中、添加物を入れるのは避け、基本の原料の割合を調整することで、バイオプラスチックの特性を操作できることを発見した。
使い道が極めて広く、再生のきく原料は、固体からもとのバイオプラスチック溶液に簡単に戻すこともでき、そのサイクルの終わりには天然の無公害肥料として使用することも可能だ。
拡張性のある製造プロセスを設計することで、材料やエコポジティブな廃棄物の流れに合わせた応用がきく。
いかにキトサン(キチンの脱アセチル化した誘導体)バイオプラスチックが、今日わたしたちが使っている多くのプラスチック製品の代替になりえるかを実証することができるという。
image credit:theshellworks
ロブスターの殻から作られたらカップで飲むと、ロブスターの香ばしい風味がしたりするのだろうか?それはそれで魅力的だ。
References:Shellworks/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
カニの缶詰工場なら殻は大量にあつめられるだろうな
2. 匿名処理班
※1
殻というゴミが金になるのか すげぇな
3. 匿名処理班
ええやん!
アレルギーが心配ではあるけど選択肢が増えるのはいい事、後はコストだね。
木質系にコストでどの程度迫れるかね
4. 匿名処理班
そういやインドの田舎では素焼きのカップが今も使われてるそうだ
あっという間に水分しみてくるから一回こっきりの使い切りだが
使い終わったらその辺にポイして割れば普通に土にかえるそうな
進むだけ進んだ科学が実現しようとしているものが
一周回って原点と同じところに到達しているようで何だか不思議だ
5.
6. 匿名処理班
これのプロテクター付けたら回避性能と回避距離が同時に付きそう
7. 匿名処理班
どれだけコストダウンと効率化ができるかだろうなあ
類似の研究は沢山あるんだろうけど、スタンダードの代替になるのはそのうちのひとつだけだろうな
8. 匿名処理班
元がタンパク質だから大量生産した時に保管場所に気を付けないとカビや虫が心配
9. 匿名処理班
世の中こういうモノに置き換わって行くんだろうけど、甲殻類アレルギーの人は果して大丈夫なのだろうか?
10. 匿名処理班
安価に生産できるなら素晴らしいアイデア!
ぜひ普及してほしい
11. 匿名処理班
やればやれるじゃん人間!以前、カラパイアでアボカドの種のスプーンとかもあったよね。ビックリしたけど可能性を見出だす人達はいるわけで、応援します!!
12. 匿名処理班
早く世界中で普及してくれ
13. 匿名処理班
で、食べたらうまいの?これ
14. 匿名処理班
甲殻アレルギーの人はダメかな?
15. 匿名処理班
バイオプラスチックはすでにいろんなものからつくられた製品があるんだけど、いずれもコストや素材性能に問題があってあんまり普及しないのな
つくれる、と言うのと、プロダクトとして生産して採算が取れると言うのは違う問題なんで、そこをクリアできるかどうかだよねえ
まだ決定打と言えるような発明は出てきてない感じだよね
16. 匿名処理班
すでに蟹の殻は化粧品に利用されてるからな
17. 匿名処理班
※2
蟹の殻から取れるキトサンは今でも創傷被覆材
(火傷の傷を再生するの使う)や重金属の吸着剤を
作ったりするのに使うからゴミではないですよー
※14
やっぱり気になるのはそこよね
18. 匿名処理班
※8
虫が涌いたら再処理すれば涌いた虫すら原料に早変わり
なんちゃって
19. 匿名処理班
近頃エビカニさん出番多いですな。
20. 匿名処理班
そういえば鳥(鶏)の羽毛を高圧で固めると
べっ甲のような材料になるらしいんだけど
あれってどうなったんだろう?
べっ甲細工の代替材料になったのかな?
21. 匿名処理班
あのですね。アート作品な側面的にはSHELLYのスタイルがセクシーで個人的には一番推し。ですんでSHELLYも記事内で紹介してもらえるとうれしいなって。動画内でも稼働シーンが微量なんだよなあ…もっと見せて欲しかった。
(ついでにといってはなんですが、Drippyも紹介してあげてください…成型ゴミやヤレの解決もしてくれるこの子は循環の輪を補強する大切な子)
Turning waste lobster shells into bioplastic - The Shellworks(Youtube)
撮影などにはOpen Cell(Shepherd's Bush, London)を利用しているらしいですが、このバイオビレッジというかコンテナ群の存在もへええってなりました。おもしろい場所を創ったものですね。
22. 匿名処理班
※17 サプリにもなってるじゃん?
年配者向けの。あと園芸資材にも。