photo by istock
ハクトウワシと言えばアメリカの国鳥だ。その国鳥がアメリカで問題行動を起こしているとして話題となっている。これは人間に対する警告なのだろうか?
近年、環境保護が叫ばれており、プラスチック消費の軽減やリサイクルなど、ゴミ問題に対する積極的な試みが行われているが、再利用できないゴミは依然多く、埋め立て地へ運ばれ処理され。廃棄されたゴミの量をなかなか減らすことができないのが現状だ。
アメリカ・ワシントン州シアトルの埋め立て地では、一時期絶滅を危惧されていたハクトウワシが、その数を増やし、埋め立て地のゴミを拾い、それを運び住民の敷地内にまき散らすという行為を繰り返しているという。
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埋め立て地から拾ったゴミを郊外の民家の敷地にばらまく
北アメリカ大陸の沿岸部に広範囲に分布するハクトウワシは、乱獲、森林伐採や餌の汚染の影響により一時期絶滅が危惧されたものの、保護活動が功を奏し個体数が戻り、2007年に絶滅危惧種保護法のリストから削除された。
だが依然として連邦法の保護下に置かれており、人がハクトウワシを撃ったり、罠にかけたり、虐待することは犯罪となる。
大切に保護しなければならないハクトウワシだが、200羽ほどがこの埋め立て地でゴミを漁り、キング郡の住民の庭などにそのゴミを落とし続けている。
image credit:seattletimes
毎日2,500トンものゴミが廃棄されるというこのシダー・ヒルズ埋め立て地は、過去20年間のゴミで既に溢れており、何年も前に閉鎖されるはずであった。
しかし、郡の新しい総合廃棄物管理計画では、閉鎖を2040年頃までに延期し、300億円以上かけて埋め立て地の拡大を行うという案が立てられた。
近隣住民のジレンマ
埋め立て地がすぐに閉鎖されないということは、それだけ住民がハクトウワシによる迷惑を被り続けることになる。
今年3月の公開会議に出席した80人ほどの住民のひとり、デイヴィッド・ヴォーゲルさんは、埋め立て地拡大に反対しており、ハクトウワシが庭に落としていったという人の血液が入った医療用容器を、ジップロックの中に密封したまま会場で見せ、このように訴えた。
埋め立て地から近い距離に住んでいる人なら、ハクトウワシがゴミを至る所に放棄することを誰でも知っています。
ハクトウワシの個体数がこの5年間で爆発的に増加したのはなぜか?彼らが埋め立て地に廃棄されたゴミを無料のランチとして食べているからです。
image credit: Seattle Weekly
埋め立て地を守ることはハクトウワシの保護にも繋がる。埋め立て地を旋回しているハクトウワシは、成長と幼鳥が混在し、狩猟スキルに精通していない幼鳥は、豊富な餌場となるこの埋め立て地に群がる傾向にある。
ハクトウワシは魚を主に獲物としているが、水鳥や小型の動物などあらゆる生物を捕食し、死骸なども食べる。ゴミも食べる。
しかし、汚染されたゴミを食べて死ぬハクトウワシも実在し、鳥に健康被害をもたらしていることも事実だ。
大量のゴミが生じる汚染問題も懸念の一つに
埋め立て地の閉鎖を望んでいる地域住民らは、ハクトウワシの被害だけに限ったことではないと主張する。
分解されたゴミから出る温室効果ガスの排出や、古いゴミの層を通って帯水層から染み出る有毒な液体が、人体の健康に害を及ぼす危険性も懸念されているからだ。それは、2016年の環境報告書草案でも予測されていたようだ。
埋め立て地が閉鎖になるまでは、何らかのハクトウワシ防止策を実行しなければならないのだが、現段階では何が最善なのかという明確な策は出ておらず、人々が頭を抱える事態となっている。
photo by istock
ハクトウワシの空爆防止対策に試行錯誤する郡
ゴミを撒き散らかしているのはハクトウワシだけではない。その他の大型の鳥やカラスなども、埋め立て地のゴミを漁り、あちこちにまき散らしている。我々は、埋め立て地近くの住民に起こっている空爆を減らそうと試みているのです。
このように語るのは、キング郡評議会の副議長レーガン・ダン氏だ。彼は、これまでも解決策が議論されてきたことを主張し、4月にはハクトウワシによる“ポイ捨て”防止対策も実行していることを明かした。
また、同郡の固形廃棄物処理局長のパット・マックラフリン氏も、過去にも異なる鳥に対する様々な戦略は試行されてきたと述べ、次のように話している。
昨年は、ドローンを利用して埋め立て地に群がる鳥を追い出そうとしたのですが、ハクトウワシはドローンに非常に攻撃的で、空中で破壊してしまいました。
次に、安全ベストとヘルメットを被せたマネキンを立たせて、動かす操作をすると、ハクトウワシはこれを避けることがわかり、まずまずの成功となりましたが、完全に埋め立て地からハクトウワシを追い出すには至っていません。
photo by pixabay
ハクトウワシも環境も守るためにできること
シアトルのハクトウワシは、ある意味、極端な消費を重ね、多くのゴミを生み出す我々人間が招いた結果であり、因果応報を思い知らさせてくれる。
ワシが庭に落としたゴミはもともと人間が捨てたゴミである。人間の捨てたものがまわりまわってまた別の人間に戻されているようなものだ。
誰が捨てたゴミでも人間のゴミ。我々のゴミであるという自覚を持ち、1人1人がゴミの量を減らす努力をしていくことで、それがハクトウワシにとっても人類にとっても地球環境にとっても有意義なものとなっていくだろう。
References:popularmechanics / seattletimes/ written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
博士じゃよ
2. 匿名処理班
日本の「カラスは山の守り神だったのに…」というやつのアメリカ版か
3. 匿名処理班
「空から魚が降ってくる現象の原因は鳥」
って、正しかったんだなぁ。
4. 匿名処理班
大魔神怒る
5. 匿名処理班
鳥さん両翼つかったフル抗議
6. 匿名処理班
現代のアメリカ文明に、大地の祖霊たちがが怒っているのだろう。野放図な文明を改める時が来ているんじゃないか。
7. 匿名処理班
さすが、ゴミの活用法をよく知ってるね。
8. 匿名処理班
※2
人間が動物を信仰しても、動物は人間を信仰しない
9. 匿名処理班
レッツジャスティス!!
10. 匿名処理班
前に「タカVSドローン」っていうのを見た事があるけど、ドローンじゃまるっきり歯が立ちません、文字通り瞬殺でしたよ。
11. 匿名処理班
このワシはきっと警鐘を鳴らすメッセンジャーなんだろうな
12. 匿名処理班
自然の人類に対する警告だ!
13. 匿名処理班
白頭鷲「ゴミを捨てるな地球を汚してるのなんて人間くらいだ。恥を知れ」
14. 匿名処理班
もともと国鳥選定のときにスカベンジャーだとか横取り鳥だとキレたエピソードのある鳥だからな
15. 匿名処理班
※8
「山」の守り神であって人間の守り神だった訳じゃないぞ
日本人の動物への信仰心は自分に直接還元するかどうかとは関係ない事も結構多い
山が平和なら自分達も多分平和だろうとか精々それくらいだ