【モバマス】高森藍子「ねえ夕美ちゃん…キス、したことありますか?」
フライングですが相葉夕美ちゃん誕生日記念SSです。
藍子ちゃんの『夕美ちゃん』呼びに関してはこちらの過去作をご覧ください。
高森藍子「夕美ちゃんと私の秘密」
要約すると、二人きりの時は夕美ちゃん呼びになる、という解釈です。
私と藍子ちゃんは次のツアーライブでユニットの新曲を発表する事になり、その為の打ち合わせを藍子ちゃんのお部屋でしていたのです。
一通り打ち合わせも済んで、持ってきたお菓子を食べながらいつものように世間話なんかをしているうちに、ふと藍子ちゃんが私の方を見て口を開いたのです。
藍子「ねえ夕美ちゃん…キス、したことありますか?」
夕美「ど、ど、ど、ど、ど、どうしたの藍子ちゃん、いきなりっ!」
そりゃ、私たちもお年頃だしそういう話題に興味が無い訳じゃないけど、でもまさか藍子ちゃんから振られるなんて。これが早苗さんとかシューコちゃんが言うなら私をからかってるんだなって分かるんだけど。
藍子「えーと、夕美ちゃんならしたことあるかなって思って聞いてみたんです、私よりも年上ですし」
藍子ちゃんが少し照れながらも期待の眼差しで私を見つめている。
夕美「も、もちろんそれくらいあるよ。うん。私だってだ、大学生だからね。うん。恋愛経験の一つや二つくらいはね。うん」
藍子「わぁー、凄い!さすが夕美ちゃんは大人ですね。その時のお話を聞かせてもらえませんか」
藍子「それで、いつだったんですか?お相手は誰ですか?」
まずい、予想以上に喰いついてきたよ。考えて見れば藍子ちゃんは乙女力の塊、そして女の子は恋愛トークが大好物。法子ちゃんにフレンチクルーラー、志保ちゃんに夏季限定トロピカルパフェだよ。
夕美「そ、それにしてもどうしたのいきなり?藍子ちゃんがキ…そんな事に興味持つなんて珍しいね」
ここは何とかして時間を稼がないと。
私の脳味噌はフル回転で今までに見たドラマや映画や少女漫画の知識を繋ぎ合わせていく。
藍子「えーと、今度ドラマのお仕事でキスシーンを演じる事になったんです。けど私はキスした事がないのでどんな気持ちで演じたらいいんだろうって。それで夕美ちゃんに体験談をお聞きしたいんです」
夕美「ちょっと待ってキスシーン!?藍子ちゃんがっ!?」
藍子「はい」
夕美「よくプロデューサーさんがOK出したね」
藍子「プロデューサーさんも、『藍子なら大丈夫だろう』っていってくれましたから」
ちょっと信じられないよ。あの過保護かってくらいに心配症のプロデューサーさんがOK出すなんて。
夕美「プロデューサーさん♪難しい顔してどうしたの、なにか悩み事?」
モバP「ああ、夕美か……。藍子に雑誌のグラビアの仕事を打診されていてな」
夕美「わぁ、いいじゃない」
モバP「それが水着なんだよ!!」
夕美「あれ?藍子ちゃん水着NGだった?」
モバP「いや、仕事を狭めたくはないから明確にNGとは言ってないけど」
夕美「うん」
モバP「藍子もあんまり露出が多いのは抵抗があるみたいだから避けてたんだよ」
夕美「それじゃあ今度も断ったら?誰か代役立てるとか。あ、私がやってあげてもいいよ」
モバP「けどなあ夕美、想像してみろ。青い空、白い砂浜、どこまでも続く水平線、燦々と降り注ぐ陽射しの下、水着姿の藍子」
夕美「う、うん…」
モバP「すらりと伸びた太もも!うっすらと脂肪のついたお腹!ちょこんと可愛らしく存在をアピールするおへそ!水着の紐で強調される鎖骨!」
夕美「……」
モバP「そして恥じらい頬を染める藍子っ!!!最っっ高ぅに決まってるじゃないかっ!」
夕美「………」
モバP「夕美はこのチャンスをみすみす見逃せと言うのか!」
夕美「知らないよっ、もうっ!Pさんの変態っ!!」
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あっ、そう言えば私のときも……
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夕美「お疲れ様でした、私はこれで帰りますね」
モバP「おいおい夕美、もう遅いじゃないか。俺が車で送っていくよ」
夕美「えっ、まだ9時だよ。一人で帰れるから大丈夫だよ。私の家まで往復したら1時間はかかっちゃうよ」
モバP「いやいや、もう9時だぞ。こんな時間に未成年の女の子を一人で帰せるか」
夕美「ふふっ、プロデューサーさん優しいんだね。でも本当に心配ないよ、電車で帰るから」
モバP「待て待て。こんな時間の電車なんか酔っ払いでいっぱいだぞ。夕美みたいな可愛い女の子が一人で乗ったら絶対絡まれるぞ」
夕美「えー、可愛いだなんて、ふふふふふっ。でもそんなのはちゃんとあしらうから平気だよ」
モバP「いやいや、そういうのはしつこいんだよ。『おねえーちゃん、かわいいねぇ』とか『どこまで行くの、良かったらおじさんと一緒に遊びに行こうよ』とか」
夕美「ぷ、プロデューサーさん詳しいね」
モバP「そのうちに『あれ、アイドルの相葉夕美ちゃんじゃないの』とか顔バレしちゃうぞ」
夕美「えー、私のファンの人に逢えるならちょっと嬉しいかも」
モバP「そういうのは変態だから『この前の写真集良かったよ』とか『特に温泉でタオル一枚だけのところがセクシーだったよ』とか」
夕美「えっ、えぇー…」
モバP「『特に膝の裏から足首にかけてのラインがたまらなかったね』とか、『窓辺で切なそうに憂いている時の耳朶の形が最高だったね』とかそんなマニアックな部分に目をつけてくるんだ」
夕美「………」
モバP「そんな変態に出くわしたら危ないから俺が送っていくよ」
夕美「もうっ!Pさんの方がよっぽど変態だし危ないよっ!」
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いやいや、そうじゃなくて私の恋愛体験を捏造、じゃなくて記憶の底から呼び覚まして…
じゃなくてっ!
夕美「藍子ちゃん、お仕事だからって言われたままにキスシーン演るの?本当っにそれでいいの?」
藍子ちゃんだって…プロデューサーさんに想いを寄せてるのに。
藍子「はい、私も初めての事なんで挑戦してみたいんです」
凄いよ藍子ちゃんは。プロとしての意識が高いんだね。そうだね、トップを目指す為にはそれくらいの事……
藍子「だけど声だけでファーストキスのドキドキを表現しなくちゃいけないから難しいんですよね」
夕美「ふぇっ!?声?」
藍子「はい、私がパーソナリティをしてる番組でラジオドラマのミニコーナーがあるんですけど次はキスシーンがあるんですよ」
夕美「なんだぁ、ラジオドラマかぁ」
藍子「けっこう評判いいんですよ。この前は両親が再婚して血の繋がらないお兄ちゃんを好きになる妹の役をやりました」
夕美「え、えーと、その内容は誰が考えてるの?」
藍子「うーん、だいたい放送作家さんとプロデューサーさんが相談してるみたいですね。あ、その前は野球部のキャプテンに恋する後輩のマネージャーを演りました」
あ、これは完全に職権濫用だね。
でも目指せシ○デレラNo.1ってだいたいそんな感じかも。
しまった!
藍子ちゃんの純潔を心配してる場合じゃなかった。
あーもう、下手に恋愛経験なんて言わずに
『小さい頃に近所に住んでた男の子としちゃったんだ、てへぺろ(・ω < )』
とか誤魔化せば良かったよ。
もうこうなったら見切り発車するしかないねっ!そう言えば前に由愛ちゃん達が事務所で少女マンガを読んでいたっけ、あれを参考にして…
夕美「こ、高校生の時なんだけどね」
藍子「はいっ」
うわー、藍子ちゃん瞳がキラキラ輝いてるよ。めちゃくちゃ期待しているよ。
夕美「私は園芸部に所属していて学校の花壇でお花を育てていたんだよ」
藍子「はいっ、はいっ」
こ、ここまでは本当の事だから大丈夫、問題はここから先だね。
夕美「その時はベゴニアを育てていたんだよ。あっ、ベゴニアっていうのはシュウカイドウ科シュウカイドウ属の植物で日本で良く育てられているのは四季咲きベコニアって言って白やピンクのお花が咲くんだけどちっちゃいバラみたいな形でとっても可愛らしいのっ!花言葉は」
藍子「“片想い”とか“幸福な日々”、白いベゴニアだと“親切”って意味もあるんでしたっけ」
夕美「そ、そう…藍子ちゃん詳しいね」
藍子「この前一緒にお散歩した時に夕美ちゃんが教えてくれたじゃないですか。それでベゴニアを育てて、何があったんですか」
しまった!お花の話でウヤムヤにしよう大作戦は失敗だよ。
夕美「え、えーと、花壇は学校のグラウンドの片隅にあったんだけどね」
藍子「うんっ、うんっ」
夕美「ある日、グラウンドで練習していたサッカー部のボールが飛んで来て、せっかく育てていたベゴニアの苗を押し潰しちゃったの」
藍子「ええっ、それは酷いですね」
夕美「その時ちょうど私も花壇でお花にお水をあげていたんだけどね、後ろから『危ないっ』って声がして、振り向いた私の頭に当たったボールが跳ねてそのまま花壇に入っちゃったんだよ」
藍子「えーっ、お花よりも夕美ちゃんにボールが当たった方が大事件じゃないですか」
夕美「そ、それもそうだね…、でもほらっ、私って自分の事よりもお花の事を優先するタイプだしね、ほらね」
藍子「もぅ、気をつけてくださいね。怪我とかしませんでしたか」
夕美「えーと、大きなタンコブが出来ていたかな」
藍子「大丈夫でしたか、保健室とか行った方がいいんじゃないですか」
夕美「う、うん…大丈夫だったよ。昔の話だしね」
本当は漫画の中の話なんだけど。
藍子「もおっ、ずいぶん軽いですね」
夕美「それが同じクラスの男の子でね」
藍子「その人、名前はなんて言うんですか?」
夕美「な、名前…」
あれっ、あのキャラクターなんて名前だっけ。読み切りだから【サッカー部のあいつ】としか呼ばれて無かったような…でも初めてのキスの相手の名前忘れるなんてありえないよね。
えーと、えーと…ここは誰かから名前を借りて…そうスポーツが得意でチョイ悪で、だけど根が優しくて皆から人気のある…
夕美「なか……、マサヒロくんって言うんだ」
先輩、ごめんなさいっ。
夕美「それで、その同じクラスでサッカー部所属のマサヒロくんがね」
藍子「なんか設定の確認っぽいですね」
夕美「そ、そ、そ、そんな事ないよっ!マサヒロくんが頭を抱えている私を見て『あれー、夕美じゃん』って言うから私が『夕美じゃん、じゃないでしょー、もう痛いなー』って言ったらマサヒロくんが私の手を払いながら『ちょっと見せてみろよ、こんなのツバ付けとけば治るって』って言って」
藍子「夕美ちゃん…なにか読んでますか?なんだかお芝居の台詞みたいですけど」
夕美「ま、まさかー、そんなことないよ!私はただ思い出を語っている、だけだからっ!」
藍子「そうですよね、ふふっ」
まずい、藍子ちゃんが予想以上に鋭いね。もっと体験談っぽく練り直さないと。
夕美「そ、それでね、私もカチンと来たからつい言い返しちゃったんだ。花壇に落ちたボールを指さして『私の事よりもお花が潰されちゃったじゃないっ!サッカーの練習するなら周りに気をつけてよね』」
藍子「うんうん、それでどうなりました?」
夕美「相手は頭を掻いてちょっと済まなそうにしながらね、『悪かったよ、ボールクリアミスってとんでもない方に飛んでっちまったんだ。花は弁償するから』って一応は誤ってくれたんだけどね」
藍子「うんうん、それで夕美ちゃんは許してあげたんですか?」
夕美「今思えば向こうにも悪気はなかったんだけど、私もお花の事になるとついカッとなっちゃってね『お金の話じゃないでしょっ!私が愛情込めて育ててもうすぐ蕾がつくところだったのに』って怒鳴っちゃった」
藍子「わあ…夕美ちゃんってお花が絡むと怖いですね」
夕美「む、昔の話だよ。今はそんな事ないからね」
藍子「悪い人じゃなかったんですね」
夕美「うん、もともと明るくてクラスのまとめ役、みたいな感じだったんだけどね。一緒にお花を育てるうちにお喋りとかするようになって仲良くなったんだ」
藍子「わぁ、なんだかそういうの素敵ですね」
夕美「私もね、時々サッカー部の練習を見に行ったりするようになったんだよ」
藍子「それでそれで、どうなったんですか?告白とかされたんですか?」
夕美「うん、マサヒロくんがお花の世話を手伝ってくれるようになってしばらくして、サッカー部の全国大会の地区予選が始まってね、うちの学校はいいところまで進んだんだけど準々決勝で負けちゃってね」
藍子「あー、それは残念ですね」
夕美「試合は日曜日でお昼頃に終わったから、私は家に帰る前に学校に寄ってお花のお世話をしようと思ったんだよ。そうしたら花壇のところでユニフォームを着たままのマサヒロくんが座り込んでいたの」
藍子「それは…夕美ちゃんを待って…?」
夕美「うん、とっても落ち込んでいたから私もなんて声をかけたらいいか分からなくてね、しばらく向かい合うように立っていたんだけど」
藍子「どうなりましたっ!?」
夕美「うん、そのうち彼がポツリと『終わっちまった』って。で私はね、やっぱり試合の事には触れないほうがいいかなって思ってこう言ったんだ」
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あ、あのね。花壇のお世話手伝ってくれてありがとう。
おかげで綺麗なお花がいっぱい咲いたよ。
もし良かったら…その…来年もこうして一緒にお花を育ててくれたら嬉しいな
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夕美「ど、どうしたの藍子ちゃん、いきなり両手で机を叩いたりして」
藍子「それはもう告白じゃないですか相葉さんっ!」
なんだか藍子ちゃんが興奮してるっ!
藍子「それでっ、彼は、マサヒロくんはなんて答えたんですかっ!OKですよね、夕美ちゃんみたいな可愛い女の子にそこまで言われて応えなければ男じゃないですよねっ!」
なぜか頭の中にスーツを着たニブチンの顔が浮かんで来た。まったくあの人はこっちの気持ちに気づいてるんだかいないんだか、そのくせ時々ドキッとするような事をしでかして。ハロウィンで吸血鬼の格好した時だって…
藍子「あのう…夕美ちゃん?」
いやいや、今はこんな事を考えている場合じゃなくて。ここまでは上手くいってるよね、あとは仕上げを間違えなければ…。
夕美「そ、それでね……」
藍子「はいっ、マサヒロくんは何て言ったんですかっ?」
夕美「うん、しばらく黙っていたけど立ち上がってね、私の方に手を置いてそのまま顔を近づけて来て…」
藍子「……………」
夕美「…夕美…って一言小さな声で私の名前を呟くとそのまま唇を…」
藍子「キャーッッ!!」
バンバンバンバン
夕美「あ、藍子ちゃん机叩きすぎだよっ、壊れちゃう」
藍子「したんですかっ?キスしたんですかっ?どんな感じでしたっ!?レモンの味ですかっ!?カルピスの味ですかっ!?」
夕美「と、突然だったから分からなかったよ。気がついたら彼は私に背中を向けて走り去っちゃって」
藍子「それでそれで、その後二人はどうなったんですかっ!お付き合いしたんですかっ!」
夕美「あ、あのね…次の日には彼は学校に来なかったんだ…先生がね、マサヒロくんはお父さんのお仕事の都合で東京に引っ越したって」
藍子「ええぇーっ」
夕美「サッカーの大会が終わるまではって約束でうちの高校に残っていたみたいなの、だからそれから逢えていないんだ」
藍子「そうなんですかぁ…でもあれですね、夕美ちゃんはそれから花壇でお花のお世話する度に彼の事を思い出したりするんですね。はぁ…ロマンチックだなぁ…」
あ、藍子ちゃんが日菜子ちゃんみたいな蕩けた顔をしてる。
でもこれで私のファーストキス体験は問題なく語れたみたいだね。これで年上の威厳は守られたよっ!
ありがとう、月刊少女ロマンス増刊号!
ありがとう、夢野咲子先生!
夕美「んっ、何かな?」
藍子「夕美ちゃんの高校って神奈川ですよね、東京ならその気になればすぐに逢いに行けそうなんですけど」
うぐっ
藍子ちゃんのような勘のいいアイドルは嫌いだよ。
えーと、えーと、それは…
夕美「あ、あのねっ、東京といっても遠い…そうっ、八丈島なの」
藍子「八丈島!?」
夕美「か、彼のお父さんが海洋学者でね、八丈島にしか生息しない珍しいヒトデの研究をしなくちゃならないんだって、うん」
藍子「それは…遠いですね」
夕美「でしょ!だから逢いたくてもなかなか逢えないんだよね。あっ、それに今の私はアイドルだから、ねっ!」
藍子「でも」
夕美「ん?」
藍子「夕美ちゃんがアイドルとして活躍してもっと売れたら八丈島のマサヒロくんも気がついてくれるかもしれませんね」
夕美「そ、そうだね」
藍子「そうしたら向こうからイベントとかで逢いに来てくれるかもしれませんよ、泳いで」
夕美「泳いで!?」
そんな宇喜多秀家さんじゃあるまいし。
夕美「まあ、私達は今はアイドルだから恋愛とかはお芝居だけにしておこうね」
そう言いながらふと脳裏に浮かぶあの人の姿。
うーん、この件に関しては藍子ちゃんとライバルになるんだよね。いやもちろんアイドルとしてもライバルではあるんだけど。
絶対に勝てる、という自信があるわけじゃないしあの人が選ぶのが藍子ちゃんならそれはそれで仕方ないというか納得できなくも無い、って、あーやっぱり負けたくない。
あれ、ちょっと待って?
もし仮に藍子ちゃんがあの人とそういう関係になったとして、必ず私にその話をしに来るよね。
そうなると………
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【高森藍子の場合】
藍子「夕美ちゃん、私プロデューサーさんとキスしちゃいました」
夕美「わあ、おめでとう。どうだった?」
藍子「もう最高でした。好きな人とキスするのって本当に幸せな気分になれますね、うふふ」
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これはこれで良し。いや、あんまり素敵な未来じゃないけど今の問題はそこじゃない。
これが仮にめでたく私の方が結ばれたとしても………
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【相葉夕美の場合】
夕美「ねえ聞いて藍子ちゃん、私プロデューサーさんとキスしたんだよ」
藍子「わあ、おめでとうございます」
夕美「うふっ、ありがとう」
藍子「それで、プロデューサーさんのキスってマサヒロくんと比べてどうでしたか?」
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うん、これは最悪だ。
せっかくファーストキスを大好きな人としたとしても藍子ちゃんにしてみれば二人目に思われちゃう。
いや、別に藍子ちゃんに対して自慢したいとかそういうわけじゃ無いんだけれどなんとなくモヤモヤしてしまう。
あー、もう!
下手に見栄なんて張らなければ良かった。
かと言って今更あの話は嘘でした、なんて言えもしないし……
ちらり
藍子ちゃんはまだ夢見てるような瞳で宙を眺めている………
…………。
藍子「ん、なんですか?」
私は軽く拳を握るとそれを藍子ちゃんの額の上くらいに差し出す。
夕美「この隙間を見てもらえるかな」
藍子「えーと、指の間のことですか?はい」
夕美「じゃあそのまま軽く目を閉じてね」
藍子「はい、こうでしょうか」
軽く上を向いたまま目を閉じた藍子ちゃんの無防備でぷるぷるな唇。悪魔の囁きに身を委ねた私はそこに向かって顔を近づけていった。
チュッ
人生には取り返しのつかない時がある。 大切に育てていたお花を枯らしてしまった時、お気に入りのマグカップを落として割ってしまった時、見栄を張ってした事もない恋愛経験を語らなくてはならなくなった時。
そして…不意をついて親友のキスを奪ってしまった時………
あー、もぉっ、これからどんな顔して藍子ちゃんと向き合えばいいのぉー…
ううぅ……後ろを振り向けないよぉぉぉぉ……
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
最後の夕美ちゃんの握りこぶしのくだりはめぞん一刻が元ネタです。
http://i.imgur.com/r7F96gT.jpg
http://i.imgur.com/tgVxv5I.jpg
それでは依頼出してきます。
あいゆみバンザイ
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-
- 2019年04月15日 00:00
- 親友だと思っていた人にいきなりキスされた人の気持ちになるですよ・・・
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