image credit:Chinese Academy of Sciences
今からおよそ1億6300万年ほど前、ジュラ紀と呼ばれる時代の真っ只中において、羽毛を生やした恐竜が空へと飛び立ち始めた。
物をつかむために進化した爪の生えた腕は、やがて空力的な役割を担うようになり、羽毛の生えた手足は、重力に逆らうために羽ばたくためのものとなった。だが、恐竜がみな同じやり方で空を目指したわけではない。
中国遼寧省で発見された化石は、コウモリのような羽を持つ恐竜がいたことを明らかにしている――それは恐竜の飛行方法がさまざまであったことを示すものだ。
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コウモリのような翼を持つ恐竜
コウモリのような翼を持つ恐竜が初めて発見されたのは2015年のこと。中国語で「奇妙な翼」を意味する「イー・チー」は、体が産毛に覆われているものの、翼は主に指と指の間にはられた膜でできている。
その見た目は1億年以上後にならないと登場しないコウモリか、同時代の翼竜のそれだ。
今回『Nature』(5月8日付)で発表されたのは、2種目となるコウモリ似の恐竜で、「アンボプテリクス・ロンギブラキウム(Ambopteryx longibrachium)」と名付けられた。
骨格の保存状態は良好で、それを覆う産毛や体内の内臓まで残されている。
その姿はイー・チーによく似ており、どちらもスカンソリオプテリクス科という、非鳥類型恐竜の仲間に分類される。
しかし骨格に特徴があり、アンボプテリクスは前足が後ろ足よりも長い。また尻尾は長い羽を支えていたらしく、背椎と融合しているという特徴がある。
image credit:Chinese Academy of Sciences
翼をはばたきながら飛んでいたのか??
今の時点では、彼らがその翼をどのように使っていたのかは明らかではない。
論文の筆頭著者である中国科学院古脊椎動物学・古人類学研究所の王敏氏は、羽ばたけた可能性は低く、ちょうど現代のムササビやモモンガと同じく、グライダーのように滑空したのでは? と話す。
彼らが羽ばたいて空を飛んだのか、あるいは鳥との類似点の有無については、空を飛んだ恐竜の脳の解剖学的特徴から類推できるようにはなるかもしれない。
ただ、残念なことにアンボプテリクスの場合、悠久の時間が経過しているおかげでぺったりと潰れてしまっており、今の時点ではその特徴を詳しく調べることができない。
image credit:Chinese Academy of Sciences
木々を滑空しながら、なんでも食べた
だがこの化石で興味を惹かれるのは、それが羽ばたいて飛んだかどうかという点だけではない。
なにしろこの仲間のものとしては最高の化石であり、長年研究者の首を捻らせてきた不可思議なスカンソリオプテリクス科について詳しく調べる絶好のチャンスなのである。
たとえば、その腹腔内からは砂嚢のように食べものの消化を助ける小石が見つかっているほか、死ぬ直前に肉を食べていたらしく、骨のかけらも見つかっている。
また歯を見る限り、アンボプテリクスはおそらく雑食性であっただろうことが窺える。
足は木に止まりやすいような発達をしており、おそらく木を登っては、枝から枝へとグライダーのように滑空しながら、目につくものなんでも食べたと考えられる。
小鳥よりは、むしろムササビやモモンガに近い生き物だったと想像されるのだ。
A membranous-winged 163-million-year old non-avian theropod, Ambopteryx longibrachium, from China.
恐竜が空を飛ぶようになるまでの過程なのか?
アンボプテリクスの化石から明らかになった骨格が、最初の鳥を含む恐竜たちが羽ばたき、やがて飛び始めるようになった経緯を巡る議論で重要な鍵になることは間違いない。
王氏は、彼らについて、飛行の起源における「実験」であると呼んでいる――最終的には大空へ飛び立つことはなかったのだ。
アンポプテリクスとイーのような恐竜は、鳥が各地に広まり、いろいろな大きさの翼竜がまだ空を飛んでいた白亜紀後期になるまで見つかっていないのである。
彼らは恐竜が進化で手に入れた飛行方法の多様性を表すもので、おそらく木から木へと滑空するだけに過ぎなかった。
だが結局、その運命が辿り着く先は地面であった。そして現在の中国で発見されるまで1億6000万年も岩に閉じ込められていたのだ。
References:Newly Discovered Bat-Like Dinosaur Reveals the Intricacies of Prehistoric Flight/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ワイバーンみたいだ
2.
3. 匿名処理班
大気が現在と同じとして考えればね。どんな大気だったかわからないけど羽ばたかなくても飛べたかもしれないし。
4.
5. 匿名処理班
森で生きるのなら滑空能力だけでも相当なアドバンテージだもんね。
蛇やカエルですらある程度の滑空力を備えた種がいるくらいだし。
6. 匿名処理班
ぜひとも火を吐く証拠も見つけてください
7. 匿名処理班
石炭期〜ジュラ期には巨大な木々がありティタノサウルス等の超巨大恐竜でさえも養えるほど森が存在していた、虫も最盛期の石炭期のように全長数メートルのムカデは流石にいないが、小型犬ぐらいなら仕留められる土蜘蛛の仲間が居たそうで、小型の恐竜は比較的安全な木の上に棲息するようになった
8. 匿名処理班
飛膜を発達させて飛んだり滑空したりする生物は実はいろんな分類群で別々に発生してたんだな
と思うと鳥というか当時の恐竜が生み出した翼ってすんごいイノベーションだったんじゃないだろうか
他に同じように小パーツの集合体の羽で飛ぶやつも、大型飛行生物の地位に着こうとする競合もレベル何も発生してこないから
この恐竜が残っていたら、もしかしたらコウモリみたいな飛膜で飛ぶ鳥も翼を持つ鳥に混じって飛んでた未来もあったのかな?