Alpgiray Kelem/iStock
「デジャヴ(deja-vu)」という言葉を耳にしたことがある人は多いだろう。
デジャヴは、人がある光景や物を目にした時、またその状況を、過去に経験したことがあると感じる現象(既視感)として知られている。
科学者によると「実際に目にしているものは、以前に見たことがあると信じているものと完全に同一というわけではなく、似た形や光景、または状況が、時にエキサイティングな形で現れることで、脳により認識づけられる現象」なのだそうだ。
デジャヴに関しては科学者らが今も研究を続けているが、今回フランスの科学者チームは、「デジャレヴ(deja-reve)」という現象が脳内に起こることを明らかにした。
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デジャレヴとは?
デジャレヴは、夢で見たと信じられているシーンや記憶もしくは単なる感情が、目覚めている時に脳内で再現されるというミステリアスな現象だ。人は脳に電気刺激が与えられると、古い夢や悪夢を脳内で再体験することができるという。
これまで「これ、前に体験した…?」というような経験(既視感)は、全てデジャヴというカテゴリーの中に一括りにされてきた。しかしそれは、「経験的現象の理解と語彙不足によるものである」と2018年の脳神経刺激研究で研究者らが述べている。
今回、フランスのトゥールーズとナンシーにある大学およびフランス国立科学研究センターの研究者らが、過去60年の研究成果をもとに、複数の被験者に実験を行いデジャレヴ現象をより明らかにすることができた。
デジャヴとデジャレヴは経験的現象という意味では同じだが、その現象は実は複数のカテゴリーに分かれており、デジャヴとデジャレヴは根本的には異なるものだと研究者らは考えている。
被験者らに現れた夢の追体験
このデジャレヴは、部分発作のてんかんに罹患している人が発作を起こしている間に、しばしば引き起こされるということが、過去に判明していた。
そこで今回、研究者らは部分的てんかん発作を患う被験者を使って、彼らの脳内にデジャレヴを誘導することを試みた。
被験者らにインフォームド・コンセントに署名してもらい、目を覚ましている間に、長期記憶や夢を見る役割を担う側頭葉をはじめとする脳の様々な部分に電気的脳刺激を与える実験をしたところ、夢で見たとされる体験を追体験することが可能となり、あらゆる異常反応が記録されたという。
被験者23人の全員が、脳刺激実験によってこのようなデジャレヴを体験したことを研究者らは告白。その中の1人は、何年も前に見た悪夢が再現されたと話し、別の1人は2日前に夢で見たオレンジ色の特性を持つ部屋に閉じ込められた光景が再現されたと口にした。
また今回の実験では、脳のどの部分がデジャレヴという現象に積極的な役割を果たしているのかを特定することができただけでなく、デジャレヴが異なるカテゴリーに分類されていることも明らかになった。
デジャレヴを3つのカテゴリーに分類
脳内の異なる部分でみられるデジャレヴを3つのカテゴリーに区別すると、次のようになるという。
・中枢側頭葉にみられるエピソード的なデジャレヴ
基本的に、夢を見た日時や夢の内容など特定の夢をピンポイントで指摘できる最も明快な形である。夢の中で起こった状況や光景が鮮明に脳内で再現され、被験者はその状況をはっきりと口にすることができる。
・側頭葉全体にみられる親密性のあるデジャレヴ
ぼんやりした形のこのタイプは、再現された状況や物に対して、「前に夢でこれを見た」という認識はできるが、はっきりとした夢の日時や夢の中の光景を特定させることはできない。
・外側新皮質にみられる夢の状態のデジャレヴ
デジャレヴの中でも最も不思議な形とされ、実際に夢の中にいるような感覚を味わう。記憶に詳細が含まれておらず、自分自身がデジャヴに近い感覚になる。夢で見たとされることを追体験した時に、「夢で見た気がするが、これは夢なのか…?」という感覚に陥り、起きているにも関わらず、現実と夢の境界線が非常にぼやけてしまう。
実はこの「夢の状態」のデジャレヴを経験した被験者は、今回の実験ではたった1人だったそうだが、過去の実験では被験者に最も一般的に現れた現象だそうだ。
今回の研究で、それぞれ異なるタイプのデジャレヴが、脳内の異なる場所で起こるということが判明したことは、結果としては大きな一歩だったようだ。
科学者らは今後の更なるデジャレヴの研究が、てんかん治療や体験的現象、まだまだあるだろうデジャヴについてのミステリーなど、脳機能科学への理解に役立つ可能性があることを期待している。
References:Deja Reve: Video Explains the Creepier Version of Deja Vu | Inverse/ written by Scarlet / edited by parumo
実際は体験したことがないのに、すでにどこかで体験したことのように感じる現象が「デジャヴ」、夢の中で体験した出来事や記憶が脳内で再現されるのが「デジャレヴ」ということか。
更に、すでに体験しているにもかかわらず、まったく見知らぬことのように感じる「ジャメウ」というものがある。
・君は経験したことがあるか?デジャヴの逆の現象「ジャメヴ」 : カラパイア
人間の脳ってまだまだ不思議と謎に満ち溢れてるな。
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コメント
1. 匿名処理班
ガチ予知夢はないんですか!?
2. 匿名処理班
アボリジニーの言う『夢』のことだね。
ようやく科学が彼らに追いついたんだ。
良いことだよ。
3. 匿名処理班
デジャレブが具体的にどういうことか、この記事の説明だとピンと来ない
起きた直後に夢の内容を反芻することあるが、これは追体験てよりは思い出してるだけだから違うんだろうなーとは思うけど。
4. 匿名処理班
これ年に4,5回経験する 大抵1~2秒の出来事なんだけど
長いときは5秒くらい「あ コレ夢で見たわ」ってなる
5. 匿名処理班
これは夢なのか…現実なのか…
6. 匿名処理班
被験者たち、辛い夢ばかり思い出してるみたい。
まさに寝た子を起こすな状態なのでは。心のかさぶたを無理に剥がす実験のように見える。
7. 匿名処理班
※3
説明を読んだ限りだと、
「起きて生活している間に、唐突に脈絡もなく
(何かのはずみで脳に特定の電気信号が走ったとき)
以前の夢で見た内容がフラッシュバックする」
みたいなイメージ?
特に3番目の外側新皮質のやつは、
リアルに追体験して
「え? これ夢?現実?」と白昼夢状態になってる感じ?