hekakoskinen/iStock
菌(きん)と金(きん)?日本語にすると同じ読み方だが、かなりの関連性があったようだ。
オーストラリアで発見されたそのビーズのような菌は、周囲を分解して金のナノ粒子をポタポタ降らせることで、菌糸に金を付着させるのだという。
この菌のあるところに金ありってことで、もしかしたら新しい金脈の発見にもつながるかもしれない羽振りのいいヤツだ。
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金をまとう土壌生息性糸状菌
金をまとう菌「フザリウム・オクスポラム(fusarium oxsporum)」は西オーストラリアのボッディントン鉱山で発見された。
この菌自体は、土の中に一般的に存在する土壌生息性糸状菌で、トマトやバナナなど、作物を病気にすることで知られている。
しかしオーストラリア連邦科学産業研究機構のチン・ボフ博士が見つけたそれは、金で自分をコーティングするというちょっと不思議な習性を持っていた。
「金の微細な粒子を酸化させて、自分の菌糸にタレさせます。このプロセスを利用すれば、地表に存在する金などの元素の分布状況を分析できるかもしれません。」
金を身にまとう菌 、フザリウム・オクスポラム
image credit:CSIRO
金を分解することができる珍しい菌
菌が落ち葉や動物の死体といった有機物を分解・循環するばかりか、アルミ・鉄・マンガン・カルシウムといった金属の循環にも重要な役割を担っていることはよく知られている。
しかし金は化学的に不活発であって、そこに菌が介在していることは珍しい。「直接見るまでは信じられませんでした」とボフ博士。
フザリウム・オクスポラムは超酸化物という化学物質を作り、金を分解することができる。それをまた別の化学物質によって固体化し、ナノ粒子として体に付着させるのだ。
資産形成しても無駄そうなフザリウム・オクスポラムには、そもそもなぜこんな羨ましい能力があるのか?
その理由は、金によるコーティングに生物学的なアドバンテージがあるかららしい。こうすることで、土壌の中に潜む多様な生物コミュニティよりも大きく成長し、しかも速く繁殖できるようなのだ。
image credit:Ivan Boryshchak
金好きの菌が金脈のありかを示す?
発見地であるオーストラリアは世界第2位の金生産国。その産出量は2018年に最高記録に達したが、新しい金鉱が発見されない限り、近い将来減少へ向かうと予測されている。
こうした状況を受け、環境への影響が少ない次世代の金採掘ツールが求められている。
ボフ博士は現在この習性の分析とモデル化を進めている。じつはフザリウム・オクスポラムが、その下に大きな金鉱があることを示すサインである可能性があるからだ。
金でコーティングされた菌が金鉱の存在を告げているのだとしたら、人間から大いに歓迎されることだろう。
ユーカリやシロアリの巣も、金のサイン
ほかの革新的金サンプリング法としては、ユーカリの葉やシロアリの巣を利用したものがある。これらには微量の金が含まれていることがあり、その地下に眠る金鉱のサインとして使えるのだ。
またフザリウム・オクスポラムについては、金鉱を発見するサインとしてだけでなく、廃棄物から金を抽出するツールとしての利用も検討されている。
よし、オーストラリアにいって金をまとう菌を探しに行って一儲け!と旅の支度を始めたそこのあなた(私?)、だがちょっと待ってほしい。
残念なことに、金の粒子は顕微鏡を使わなければ見えないそうで、肉眼を頼りに素人が探すのは至難の業だそうだ。
まずは金の粒子をまとった菌がすぐに見分けられるアイテムの用意が先のようだ。
この研究は『Nature Communications』で紹介された。
References:csiro/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
菌メッキとな
2. 通りすがり
王水を使わないと溶けないと聞いていたのだが
まさか生物が…
力ずくで削ったり曲げたりする事なら出来ると思うが溶かすと言うとフィクション映画のエイリアン並みに変な生き物
3. 匿名処理班
チン・ボフ博士
4. 匿名処理班
金を酸化…? 翻訳のミスか?
5. 匿名処理班
意味がわからんな
菌が微小なら
最初から金を探したほうが早い
6. 匿名処理班
記事内に金と菌が入り乱れてだんだんわけわかんなくなってきたぜ…!
7. 匿名処理班
※5
だからその金鉱を探すための手がかりになるって記事じゃん。
虫眼鏡で菌と金を一緒くたに探すのかあんたは。
8. 匿名処理班
金を分解って・・・元素である金をどうやって分解するんだ?
9. 匿名処理班
しっかり金を作り上げているという点で、作りかけの小説や漫画がたくさんある俺よりすごい😂
10. 匿名処理班
金を纏う菌・・・
ダジャレか
11. 匿名処理班
金の固体状態をナノ粒子のサイズにまで分解するってことだろ?