破壊的なプレート運動にさらされながらも、大陸がきちんと安定していられることは、この惑星に暮らすあらゆる生命にとって絶対必要な条件だ。
新しい研究によれば、ダイヤモンドを利用することで、大陸が安定していられる秘密を解き明かすことができるそうだ。
宝石好きに大人気のダイヤモンドは、地質学者の大好物でもある。
地中の奥深くで形成されたダイヤモンドには、小さな鉱物の粒が閉じ込められていることがある。
これは宝石としての価値を下げてしまうのであるが、かわりにそれが形成されたときの状況を教えてくれるため、地質学者にとっては過去を知るツールなのだ。
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大陸の安定化装置「マントルの竜骨」
地表からおよそ150〜200キロメートルの地下には「マントルキール(竜骨)」という地質層があり、これが大陸地殻のスタビライザー(安定化装置)として作用している。
マントルキールが大陸を安定させるには、常に加わる地球のプレート運動の力に地表の陸塊が耐えられるよう、分厚く、安定し、かつ冷えており、頑丈な浮きとして機能できなければならない。
しかし、実際にどのような状況ならそうした地層が形成されるのかを巡っては諸説ある。
「その謎を解くことこそが、大陸が現在の形になり、活発な惑星であっても形を保っていられる理由を理解する鍵」とスティーブ・シャーレイ氏(米カーネギー研究所)は話す。
Happening now, a seminar by Steve Shirey from @carnegiescience titled "Superdeep diamonds: sampling Earth's mantle transition zone" #superdeepdiamonds #ucredgeinstitute pic.twitter.com/fDmxySsjkX
— The EDGE Institute (@ucrEDGEInst) 2019年4月8日
沈み込み起因説と吹き上げ起因説
一説によれば、マントルキールはプレートの沈み込みによって形成されたという。海底にあるプレートが、別のプレートの下に滑り込んでいったことで出来上がったというのだ。
他方、それとは逆に、地球奥深くから吹き上げてきた高温のマグマによる上向きのプロセスによって形成されたという説もある。
はたしてどちらの説が正しいのか? それを解く手がかりになるのがダイヤモンドである。
じつはマントルキールはダイヤモンドが形成されるにはぴったりの条件をそなえている。そして、ダイヤモンドに閉じ込められている鉱物の粒を調べ、その性質を明らかにすれば、マントルキールの起源も自ずと明らかになると考えられるのだ。
西アフリカは沈み込みが原因
今回、シエラレオネで採掘されたダイヤモンドに含まれていた硫化鉱物を解析したところ、この一帯は過去に2回沈み込みを経験していることが判明した。
そう断定できたのは、硫化鉱物の粒の化学的性質が、まだ酸素が大気にそれほど含まれていなかった25億年以上前の地球表面で採取されるサンプルでしか見られないものだったからだ。
このことは、硫化鉱物はかつて地表にあり、それから沈み込みによって地下のマントルに引き込まれたということを意味している。
ボツワナで採掘されたダイヤモンドとも比較されたが、マントルキールの形成は沈み込みによるものという似たような証拠が得られた。
カナダ北部では別の原因
ただしカナダ北部で採掘されたダイヤモンドの化学的性質は違っており、こちらの地域では地表の鉱物が混ざらないようにマントルキールが形成されたことを物語っていた。
これらの結果から、西アフリカの地下で大陸を支えるマントルキールは、かつてその部分が沈み込む海底プレートとぶつかり、圧縮されたことで形成されたことが窺える。
カナダ北部のキールでは少々事情が異なるようだが、ダイヤモンドの調査からは具体的なことまではわからなかった。
この研究は『Science』(4月26日付)に掲載された。
References:Diamonds reveal how continents are stabilized, key to Earth's habitability/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
最初の画像ってハーキマーダイヤモンド(=水晶)だよね
ダイヤって入ってるけどダイヤじゃないの