ぐだ男「アーサー王の死?」マシュ「はい先輩。」
ぐだ男「何それ?」
マシュ「15世紀の後半にトマス・マロリーさんという方が執筆したアーサー王に関する伝説ですね。
アーサー王の出生からその最後までを記された大作ですよ。」
ぐだ子「ふーん。縁起でもないタイトルだけど、つまりアルトリアの一生が描かれているってこと?。」
マシュ「ええ、他にも円卓の騎士の皆さんのエピソードもたくさんあります。
せっかくですし先輩も一緒に読んでみますか?ひょっとしたら、いずれ会うことになるかもしれない方のお話かもしれませんよ?」
ぐだ男「面白そうだね。えーっとなになに、ある年の聖霊降臨祭の日の朝、キャメロットは不穏な空気に包まれておりました…。」
=====キャメロット=============
アルトリア「…ムスー」
ガウェイン「これは…」
ベデヴィエール「なんということでしょう。」
アグラヴェイン「我が王が、食べ物を前にして…」
ランスロット「朝食をお召し上がりになられようとされないとは!!」
ぐだ男「そう、その日アーサー王は、朝食を目の前にしても、一切手をつけようとされなかったのです!」
ぐだ子「…あれ?この伝説でもアルトリアって食いしん坊だったの?」
マシュ「ち、違います、これには訳がちゃんとありますから。」
ぐだ男「あ、本当だ。聖霊降臨祭の日、アーサー王が朝食を取ろうとするたびに、急な仕事が舞い込んでくるばっかりで、
この日何かが起こると予知した際、アーサー王はその雑務を済ませてから食事をとるという習慣があったんだって。」
マシュ「そうです!それで周りの皆さんも驚いているわけですね。では先輩、続きをどうぞ」
ぐだ男「うん。えーっと…」
4
ガウェイン「…つまり、我が王は今日何かがキャメロットに起こるということを、予期されておられるという訳ですね。」
アグラヴェイン「ああ、そしてそれが我らに、吉となるか、凶となるか…」
ぐだ男「円卓の騎士達が困惑する中、知らせが王のもとに届きます。」
粛清騎士「失礼いたします!我が王に、謁見をしたいという者がキャメロットに…」
アルトリア「…会いましょう。通しなさい。」
ぐだ男「王は席を立ち、臣下達に命じます。その来客こそが、王が予期した今日の事案であると察知した騎士たちは、すぐに
謁見の準備に取り掛かりました。」
5
=謁見の間=
マリー(?)「お初にお目にかかります、アーサー王様。」
アルトリア「よくぞ、キャメロットに参られた。」
ぐだ男「その日、アーサー王のもとに訪れたのは、背の高く、美しい若者でした。若者は従者の肩に両手を回し、
やっとのことで立っているほど疲弊した様子でしたが、気品のある風貌や美しい両手から育ちの良さが見て取れ、
高貴な出自であることが推察されました。」
マリ―(?)「申し訳ございませんが、私は自分の名や身分を明かすことはできません。
そのうえで厚かましいことですが、お願いを偉大なる陛下に聞いていただく
参りましたわ。」
アルトリア「ほう、何か事情があるのですね。わかりました。では貴公の願いを教えてもらおうか。」
マリ―(?)「それでは…どうか、食べ物を私にくださいません?」
アルトリア「…なんと?」
ぐだ男「王は、若者の願いが彼の身の丈にあっているものではないと考えましたが、そのうえで事情があることを察し、
聞きいれることにしました。若者は要求どおり、食べ物を得るために厨房に案内され、
そしてそのまま下働きとして働くようになりました。」
ぐだ子「えーっと、若者ってのがこのエピソードの主役?なんでマリーなの?」
ぐだ男「うーん。なんか虚月館の時みたいに、マリーのイメージが…」
マシュ「先輩のイメージ通り、ひょっとしたらこの人物はマリーさんのように周囲から愛された
素晴らしい人柄なのかもしれませんね。」
ぐだ子「でも名乗りもしない不審者の願いをそのまま聞いて、キャメロットに住まわせるなんて、
王様も結構大物ね。」
===厨房===============
マリ―(?)「~♪」
ベディヴィエール「結局、あれ以来そのまま厨房に住み込んでいるようですね。」
ランスロット「下働きとしてよく勤めているようだが…少し探りを入れてみるか。若者よ。少し時間をいただけぬか?」
マリ―(?)「はい。なにか御用かしら?」
ランスロット「単刀直入に聞こう。君は、どこか高貴な身の上ではないかな?それであれば、台所の下働きではない、
もっと君にふさわしい役目がこのキャメロットにはあるだろう。」
ガウェイン「それに…私にはどうも貴方が他人とも思えないのですね。…そう思いませんか?アグラウェイン卿。」
アグラウェイン「む?とにかくとして、素性の分からないものがこのキャメロットにいることは看過しがたいものである、が。」
マリ―(?)「ふふふ、今の私は何者でもないわ。多くの騎士を志す若者は、まず従者として
高貴なる方に側仕えをし、このような雑役をこなしながら騎士とはなにか学んでいくもの。
そういうものでしょう?」
8
ランスロット「しかし…」
イアソン(?)「おいこら!何さぼってるんだ!」
ベディヴィエール「貴公は…ケイ卿。」
ぐだ子「また新キャラ…って、今度はイアソン?」
マシュ「ケイ卿はアーサー王の育ての親、エクター卿の息子です。アーサー王の義兄にあたり、司厨長を務めています。
そのため、厨房の下働きになった若者を任されている立場になるわけですね。」
ぐだ子「イメージがイアソンってことは、性格が悪い人なのかしら。」
こいつが本当に高貴な身の上だというのなら、それこそ相応の武具や位をねだるだろう。
だが下賤な生まれだったからこそ、身の丈にあったこの程度のものしか願えなかったというわけさ。」
ランスロット「ケイ卿よ、言葉が過ぎるぞ。前途のある若者を粗末に扱うべきではない。」
イアソン(ケイ)「ふん。随分とかったものだな、ランスロット卿。確かにこいつのツラは立派かもしれないが、
一年もすれば、そのきれーな手も油をすってぶくぶくになり、
厨房の下働きにふさわしい小汚い恰好になっているだろうさ!」
マリ―(?)「まぁ!なんてことを。」
イアソン(ケイ)「なんだ、文句でもあるのか?それならば、そうだな…、
名前が無いのも不自由だから、この俺がお前に名を与えてやる。
その綺麗なお手てにあやかって、今日からお前は『ボーメイン』と名乗るがいい!!」
イアソン(ケイ)「下働きに相応しい薄汚れた醜い手になったらその名前で今のような美しい手だったことを思い出すがいいさ。
わかったなボーメイン。ハーッハッハッハ!!」
二人だけは彼の身を案じます。しかし、ボーメインは、上役のケイ卿にいびられながらも、下働きとして真面目に働きました。
そして徐々にその人柄と仕事ぶりで、周囲から一目置かれるようになっていきました。」
ぐだ子「…ぼーめいん?」
マシュ「ボーメインとは、フランス語で美しい手を意味します。武器や重いものをもったこともなさそうな綺麗な手をからかっての
あだ名という訳ですね。」
ぐだ子「それにしてもこのケイ卿って口が悪いのね。本当にアルトリアの義兄なの?」ソレトモイメージノセイ?
マシュ「確かにケイ卿は少し意地悪なところもあるようですね。ただ、その分痛い目にあったりしたり周囲を引き立てるような
汚れ役に徹する一面もあったようですよ。」
=キャメロット謁見の間=============
ジャンヌオルタ(?)「ああ、偉大なる陛下、どうか、私の姉をお救いください!!」
ぐだ男「乙女は、姉が赤い国の赤騎士と呼ばれる邪悪な男に見初められ、無理矢理妻にしようと居城が包囲されてしまったと訴えます。
どうか姉を救ってほしいとアーサー王に頼み込みますが、王はこの頼みに難色をしめしました。」
ガウェイン「赤い国の赤騎士といえば、日中において常人の7倍の力を発揮するというおそるべき騎士ですね。」
ランスロット「となると、円卓の騎士でも精鋭でなければ荷が重いだろうな。」
情報を得ることはできませんでしたな。それに赤い国は我々の支配の及んでいない国。これは蛮族同士の内輪もめかもしれませんな。」
ベデヴィエール「名のある騎士が下手に介入すれば、辺境勢力を刺激してしまうかもしれません。それに、不明確な情報でも鵜呑みにして
騎士を派遣するということが続けば、キャメロットの守りが疎かになっていく恐れもあります。」
アルトリア「…ふむ、どうしたものでしょうか?。」
ぐだ男「ライネットの救援要請について情報が断片的なものであったため、名のある騎士が出向くことに及び腰になってしまいます。
しかし、その場でボーメインが、名乗りをあげました。」
マリ―(ボーメイン)「はーい。お話は聞かせてもらったわ!ならばその任務、この私に任せてくださらないかしら?」
アルトリア「待ちなさいケイ卿。…そうだな、無名の騎士にならば任せても。」
イアソン(ケイ)「いや、それはおかしい、こいつは一年間、厨房で働いていて何か手柄を立てたわけでも、実力を見せた
訳でもない。そんな得たいの知れない奴を王がいきなり騎士に任ずるなんてとんでもないことだぞ!」
ベデヴィエール「そうですね。危険すぎますよ。」
ランスロット「…確かに、ケイ卿の言うことももっともだな。」
マリ―(ボーメイン)「…そ、そんな。ランスロット卿まで…」
ランスロット「ゆえに、ボーメイン。君が確かな実力を持つというのなら、私が王に代わって君を騎士に任命しようではないか。」
ガウェイン「…確かにランスロット卿。あなたが認めたとなれば、誰も文句はないでしょうね。」
ランスロット「如何かな?」
アルトリア「ええ、かまいません。」
マリ―(ボーメイン)「はい!ありがとうランスロット卿!」
ぐだ男「こうして、ランスロット卿は、ボーメインが騎士に相応しい力があるのならば自分が騎士に任命すると宣言し、
二人は、決闘の準備をするのでした。」
ぐだ子「単純に、ランスロットとかが出向いて終わり!って訳にはいかないのね。」
マシュ「赤騎士の悪名はキャメロットにも伝わっており、成敗するには手練れでなければなりません。
でも曖昧な情報で敵対勢力のもとに重鎮を派遣するのは難しかったのでしょうね。」
ぐだ男「そこで、無名だけど、実力がありそうなボーメインなら、なんとかなるんじゃないかって判断したわけだね。
まぁ、様子見にとりあえず送ってみるか、って感じもするけど。」
ぐだ子「なんか、捨て駒みたいな感じもするわねー。でも、ボーメインを騎士に任命するのは、アーサーじゃなくてランスロットなんだ。」
マシュ「はい、お話の中で、ボーメインは特にランスロット卿に騎士に任命されることを望んでいたそうですね。
下働きをする際に、ランスロットとガウェイン卿だけが自分の身を案じてくれたということで、とても尊敬していたのでしょうね。」
ぐだ男「下働きをいきなり騎士にするってのも確かに変だし、王が変に謗りを受けるのはよくないから、あえて
自分が騎士任命しようってのもランスロットは考えたのかな?」
ぐだ子「そういうとこランスロットって格好いいわよねー。ありそうありそう。」
マシュ「ま、まぁ…ランスロット卿は、基本的には優れた騎士ですからね。では続きをどうぞ。」
16
=決闘場===
ランスロット「ようやくあの若者の性情を知る機会が得られたが…ケイ卿、なぜ卿もここにいるのだ?」
イアソン(ケイ)「ふん、あんな小間使いに舐められてたまるか!俺が自ら叩きのめしてやる!」
ぐだ男「そうこうしている間に、ボーメインもまた決闘の場に姿を現しますが、二人は驚きました。
ボーメインはいつものみすぼらしい姿ではなく、全身を美しい武具で身に着けた荘厳な姿だったのです。」
マリ―(ボーメイン)「お待たせしたわ。ランスロット卿。」
イアソン(ケイ)「お、おい、俺を無視するなボーメイン!誰がお前の主なのかわかっているのか!?」
マリ―(ボーメイン)「私はこれから、ランスロット卿に騎士に任じられ、あのアーサー王に仕える身。
あなたを主と仰ぐことはありえないわ。もし、人から信頼を得たいのであれば、貴方は自分を省みることが必要よ。」
ランスロット「ケイ卿も乗り気だな。もちろん私も手加減出来るほどの器用さはない。本気で参られよ。」
マリ―(ボーメイン)「うふふ、よろしくてよ。」
ぐだ男「こうして決闘が始まりました。」
マリ―(ボーメイン)「そーれ♪」 ドーン
イアソン(ケイ)「ぐはぁ!」バタンキュ
ぐだ男「先にケイ卿がボーメインに襲い掛かりますが、あっけなく返り討ちにあい致命傷を負ってしまいます。
そして、ランスロット卿もまた、ボーメインにと立ち会うも、彼の強さに驚かされます。」
ランスロット「…決して、手を抜いたつもりはないが、どうやら君の実力は本物のようだ。
約束通り騎士に任命しよう。」
マリ―(ボーメイン)「ありがとう、ランスロット卿。感激よ!」
ぐだ男「こうして、ボーメインは、無事に騎士に任命され、始めての冒険の旅に出ようとするのでした。」
ぐだ子「ケイ卿弱っ!ってここで死んじゃうの?」
ぐだ男「いや、ランスロット卿に盾を担架に運ばれてく。」
マシュ「ただ、一部始終をライネットは見ていたようで、ボーメインが厨房の下働きだったことを知られてしまいます。
ボーメインとライネットは共に冒険の旅に出かけようとしますが、
ライネットは下男あがりのボーメインに拒否反応を示すようですね。」
なぜあなたのような厨房の小間使いが派遣されるのです!?全く冗談じゃないわよ!?」
マリ―(ボーメイン)「いーえ、今や私はあのランスロット卿に騎士に任じられた身です。
必ずあなたのお姉さまを救って見せるわ。」
邪ンヌ(ライネット)「ふん、下男風情がまるで高貴な騎士のような一丁前の口を利くのですね。
冗談じゃないわ。痛い目を見る前に、今すぐ元の住処にお帰りなさい。」
マリ―(ボーメイン)「そうはいかないわ。これはアーサー王から私に託された始めての大事な冒険。
冒険をやり遂げるか、さもなくば死ぬことがない限り、私は貴方とともに行くわ。」ぎゅっ
邪ンヌ(ライネット)「けっ、汚らわしい、寄らないで下さい!うう…どうしてこんな、
台所の臭いの染みついた小汚い下男を頼らなければならないのよ!…うう、姉さん…」
ぐだ男「このように、ライネットは口汚く罵りますが、ボーメインは嫌な顔をすることもなく、ニコニコと
彼女のあとをついてゆきました。」
ぐだ子「ケイにいびられ続けて罵倒耐性がついてたのかしら?それにしても、口が悪い人ばかりね。」
マシュ「ライネットの立場からすれば、邪悪な騎士から命からがら逃げだしてやっとキャメロットに辿り着いたのに、
アーサー王が寄越してくれたのは、下男あがりの無名の騎士…。絶望を感じるのも無理はないかもしれませんね。」
ぐだ男「そして、アーサー王が立派に統治するブリテンにおいても、辺境の地にはまだまだ盗賊が跋扈しておりました。
ボーメインは、賊からライネットを守りつつ、彼らを蹴散らしていきます。」
マリ―(ボーメイン)「そーれ!」 ドーン
盗賊「ひぃい、強すぎる、退散だぁ!」
マリ―(ボーメイン)「どう、ライネット。私、輝いてる?」
邪ンヌ(ライネット)「ふん。多少は心得があるようだけど、そんなことでよく浮かれていられるわね。
満足したら、とっととお家に帰って下さいません?それで、もし私のためになりたいのなら
自分の代わり立派な騎士を派遣してくれと貴方の王に頼みなさいな。」
マリ―(ボーメイン)「いーえ、それだけはできないわ。どうか、私にあなたを助けさせてね。」
邪ンヌ(ライネット)「本当にわからない人ね!よくお聞き!あの赤い国の赤騎士は恐ろしい男。
特に日の昇る間は、常人の7倍の力を発揮するという怪物よ。
それこそあのガウェイン卿やランスロット卿、ラモラック卿、それかコーンウォールのトリストラム卿
くらいでしか敵わないでしょう!多少腕があったところで、貴方はなんか、無残に殺されてしまうわよ!」
マリ―(ボーメイン)「…!。そう、わかったわ。」
邪ンヌ(ライネット)「物覚えの悪い厨房の雑用でも、やっと理解できたようね。まぁいいでしょう。
これからは、身の丈にあった仕事を選んで暮らすことね…」
マリ―(ボーメイン)「…ライネット、あなたは本当に、心の優しい、素晴らしい人だわ!」
邪ンヌ(ライネット)「…はい?」
マリ―(ボーメイン)「…そうやって厳しい言葉を投げかけてくるのも、私が自ら危険に近づかないようにと、
私の身を案じてのことだったのね。確かに、今の私は頼りなく思えるかもしれないわ。
でも安心して。あなたのお姉さまは、必ず私の手で救って見せるわ。」
邪ンヌ(ライネット)「どどど、どういう思考回路したらそんな発想になるのよ!それなら、いっそ先に
進みなさい!貴方が死ぬことがあれば、今度こそ私は立派な騎士を頼りにできるわ!」
ぐだ男「アーサー王の死が書かれたのって、いつ頃だっけ?」
マシュ「15世紀の後半ですね。」
ぐだ男「この時代から、ツンデレはあったのか…ともかく、賊や川辺に潜む追剥騎士を排除しつつ、罵倒とともに二人の旅路は
続いていきます。そして当たり一面真っ黒の土地に辿り着きました。」
==黒い国====
邪ンヌ(ライネット)「ここから先の土地を、私たちは黒い国と呼んでいるわ。」
マリ―(ボーメイン)「ここはアーサー王の支配が及んでいないようね。」
邪ンヌ(ライネット)「…ええ、赤騎士の支配地域というわけではないけれど、少なくともキャメロットの者は
目の敵にされていますからね!本当に、逃げ帰るなら今のうちよ?」
ぐだ子「王様って、ブリテン全土を統治できてたわけじゃないのね。」
マシュ「ええ、まだまだ辺境には、残存勢力も数多く残っていたようです。」
ぐだ男「もともと敵対関係のある土地柄だったから、ライネットもお姉さんの名前を告げることができなかったのかもね。」
クーフーリン(?)「ほう、ライネットじゃないか。戻ってきたのか。」
マリ―(ボーメイン)「何者です!」
邪ンヌ(ライネット)「あ、貴方は黒の騎士ぺルカード卿!」
どうやら、円卓の騎士ってのを引き連れてるようだしなぁ!」
邪ンヌ(ライネット)「ふん、それならばどんなによかったことか…。円卓の騎士の助力を求めたというのに、
アーサー王が供してくださったのは、配膳係の食卓の騎士なんですもの!」
クーフーリン(黒の騎士)「何?ハッハッハ、こいつは傑作だ。おいどうする坊主。
お前、本当に俺たちとやりあう気かい?命が惜しかったらとっとと失せな。
ここは、俺たちの縄張りだ。よそ者がでかい面していいところじゃないんだぜ。」
邪ンヌ(ライネット)「ボーメイン、わかっているでしょう。この騎士たちは、今まであなたが戦ってきた賊とは
文字通り格が違う相手、今ならまだ許してくれるかもしれないわよ。引き下がりなさい。」
マリ―(ボーメイン)「いえ、黒の騎士よ、私にはあの赤の国の赤騎士から危険の城を解放する使命があります。
それを阻もうというのなら、私は全力をもってあなたと戦うわ。」
クーフーリン(黒の騎士)「け、中央の小僧がよく言うぜ!その心臓もらい受ける!」
ぐだ男「ライネットは相も変わらずボーメインを罵倒しますが、ボーメインと黒騎士の戦いが始まります。結果、見事ボーメインは
黒の騎士を打ち取りました。」
クーフーリン(黒の騎士)「ぬ、抜かった……ぜ……」ガクッ
邪ンヌ(ライネット)「なっ、なっ、なんてこと、まぐれあたりとはいえ、立派な騎士が
こんな奴に殺されてしまうなんて!」
マリ―(ボーメイン)「…ライネット。」
邪ンヌ(ライネット)「も、もうお終いよ!この辺りはみな、今あなたが殺した騎士の兄弟たちが支配しているのよ!
これからは、周りすべてが復讐に燃え、私たちに襲いかかることでしょう!!」
ぐだ男「しかしライネットはボーメインを認めるどころかさらに罵倒し、むしろ相手の黒騎士の死を
悼んだようでした。」
ぐだ子「ランサーが死んだ…って流石にちょっとライネットひどくない?」
マシュ「ライネット視点では地元の名士がよそ者の下男に殺される形ですからね。」
ぐだ男「それに、懸念どおり、この黒の騎士の兄弟たちと戦うことになるようだよ。」
===
マリー(ボーメイン)「ライネット、下がって、また敵襲よ。」
プロトクーフーリン(?)「へ、お前が噂のアーサー王の手のものか。」
キャスタークーフーリン(?)「よくぞ俺たちの前に姿を現してくれたじゃねえか!」
マリ―(ボーメイン)「貴方たちは、あの黒騎士の兄弟の…」
邪ンヌ(ライネット)「…(ビク)」
プロトニキ(緑の騎士)「俺は緑の騎士パートレープ!」
キャスニキ(赤の騎士)「俺は赤の騎士ペリーモンズ!兄弟の仇、取らせてもらうぜ!」
マリー(ボーメイン)「立ちふさがるなら、蹴散らすわよ!」
ぐだ男「復讐に燃える黒の騎士の兄弟たちが立ちふさがります。が、またボーメインは見事返り討ちにします。」
ぐだ子「うーん。ボーメインが強すぎるのか、あるいは彼らが弱いのか。所詮田舎騎士なのか。」
プロトニキ(緑の騎士)「ぐあっ!」
キャスニキ(赤の騎士)「ぐああっ!」」
邪ンヌ(ライネット)「うぅ…(ビクビク)」
マリ―(ボーメイン)「…」
ぐだ男「しかしなぜかボーメインは黒の騎士のように彼らに止めを刺すことはせず、ライネットに目を向けるのでした。」
マリ―(ボーメイン)「ライネット、貴方は本当に、どこまでも心の優しい方なのね。」
マリ―(ボーメイン)「いえ、貴方は敵対関係のあった相手であっても、命が奪われるということを恐れているでしょう。」
邪ンヌ(ライネット)「…!!」
マリ―(ボーメイン)「緑の騎士に赤の騎士よ、私は、こんなに優しい心をもった乙女の心を苦しめた
あの赤騎士の行いは許しません。しかし、貴方達が彼と無関係か、あるいは縁を切って
悔い改めるのであれば、この場は剣をおさめるわ。」
プロトニキ(緑の騎士)「お、おい、兄者…」
キャスニキ(赤の騎士)「…ああ、こりゃどうやら完敗のようだな。わかった、これからはあんたに従うぜ。」
ぐだ男「こうしてライネットの優しさとボーメインの度量に感服した騎士たちは、ガレスに協力することを申し出ます。
騎士たちの案内により、一行は、藍色の領地にたどり着きます。」
ぐだ子「ゆ、許された!てか、赤の国の赤騎士と、この赤の騎士は別人かい!紛らわしいわ!」
===藍色の領地===========
プロトニキ(緑の騎士)「この藍色の領地を越えりゃ、危険の城は目前だ。だが、ここは俺たちの兄が治めている。
おーい、兄者ー!」
フェルグス(?)「はーっはっはっは。弟たちよ、どうやらこっぴどくやられたようだな」
キャスニキ(赤の騎士)「ああ、どうやら、こいつは本物ようだぜ叔父貴…じゃなくて、兄貴。」
邪ンヌ(ライネット)「藍色の騎士、パーサント卿…気をつけなさいボーメイン。彼は、このあたりの領主の中で
もっとも名声を集めている騎士。そして強さも折り紙つきよ。」
フェルグス(藍色の騎士)「ほほう。どうやら赤騎士め、目的を果たしおったか。誘い出されたのはガウェイン卿か?
あるいは、ランスロット卿か?」
マリー(ボーメイン)(目的?)ピクッ
マリー(ボーメイン)「いーえ、危険の城を救うのは、ガウェイン卿でも、ランスロット卿でもなくこの私です!」
マリー(ボーメイン)「それよりも藍色の騎士よ!今あなたが口にした、赤騎士の目的とは一体どういうこと?」
フェルグス(藍色の騎士)「はっはっは。そうか、貴公か。さぁ剣をとれ、騎士同士の流儀に言葉は無粋であろう!」
ぐだ男「こうして、ボーメインは危険の城への道の最後の障壁となる紫の騎士と戦います。戦いは
2時間にも及びますが、見事ボーメインは勝利をおさめます。」
フェルグス(藍色の騎士)「うむ、降参だ。流石弟たちを倒すだけのことはあるな。」
邪ンヌ(ライネット)「ボーメイン。この紫の騎士の命を奪うことはしないでよ。」
マリー(ボーメイン)「ええ、もちろんよ。」
フェルグス(藍色の騎士)「しかし、本当にお前はあの赤騎士と戦おうというのか?
あの男は強いぞ。無慈悲で、残酷なまでにな。」
マリー(ボーメイン)「それでも、私は必ず危険の城を救います。そのためにここまで冒険にきたのだから!」
フェルグス(藍色の騎士)「はっはっは。頼もしいことだ。
折角だ、今日のところはこの地で休んでいけ!」
ぐだ男「藍色の騎士パーサントもまた、ボーメインの力量を認め、彼に仕えることを望みます。
そして、二人は藍色の騎士のもとで休ませてもらうことになりました。」
==夜=========
邪ンヌ(ライネット)(いよいよ、明日にはあの赤騎士のもとに…姉さん。待っていて)
邪ンヌ(ライネット)(でも、本当にあの悪魔めいた騎士に、こんな得体の知れない奴が勝てるのかしら)チラリ
マリー(ボーメイン)「スー、スー」
邪ンヌ(ライネット)「全く、仮にも敵地の真ん中だっていうのに、よくもまぁぐっすり寝つけるものね。」
マリー(ボーメイン)「ライネット…ワタシハ…カナラズ」
邪ンヌ(ライネット)「…本当にただの間抜けなのか、大物なのか…調子を狂わせてくれるわね」
マリー(ボーメイン)「オニイサマ・・・ZZ」
邪ンヌ(ライネット)「…ZZ」
ぐだ子「それにしても、随分とカラフルな土地柄なのね。赤の騎士と赤騎士とか紛らわしいし。」
マシュ「ただ、最初の黒の騎士以外の騎士たちは、どうやらボーメインに感服し、友好的になったようですね。」
ぐだ男「うん。この藍色の騎士にいたっては、自分の娘をボーメインと結婚させようと
夜這いさせようとしてるしね。ボーメインの方は紳士的に手を出さなかったみたいだけど。」
ぐだ子「うへー、…そんなエピソードがあったら、実はボーメインは、女の子だったとかネタにされちゃいそうじゃない!」
ぐだ男「まっさか~。ともかく二人は出発し、危険の城に向かいます。そこで彼らが見たものは恐るべき光景でした。」
マリー(ボーメイン)「これは!」
邪ンヌ(ライネット)「なんて、ひどい…!」
オリオン(朽ち果てた騎士)「ウーン。」
オリオン?(かわりはてた騎士)「クーン。」
オリオンなの?(無残な騎士)「…ヒドイ。」
ぐだ男「そう、危険の城を解放せんと赤騎士に挑み、そして敗れた騎士たちの屍が無残にも
木々に吊るされ、辱められていたのです。」
マリー(ボーメイン)「こんな行い!許せないわ!」
ぐだ男「ボーメインは、怒りに燃え、危険の城に挑もうとします。すると囲みの近くに生えている木に、角笛が
かけられているのを見つけました。」
邪ンヌ(ライネット)「…あの角笛、おそらく敵襲を知らせるためのものでなくて?」
マリー(ボーメイン)「あれを吹けば、きっと赤騎士を誘いだすことができるわね。」
邪ンヌ(ライネット)「待ってボーメイン。今はまだちょうど日も昇るころ、赤騎士の力が
発揮できなくなる日暮れまで待つべきよ。」
マリー(ボーメイン)「いえ、そうはいかないわ」パフパフー!
ぐだ男「ライネットは制止しますが、ボーメインは一刻も早く危険の城を救いたいのか、
あるいは正々堂々と赤騎士と決着をつけたいのか、角笛をすぐに吹いてしまいます。すると、包囲陣営から、全身赤ずくめの
騎士があらわれました。」
クーフーリンオルタ(?)「…なんだ、なにものだ。」
マリー(ボーメイン)「私は貴方の暴虐を止める者よ。赤い国の赤騎士よ、なぜこのような非道を重ねるの!
どれほどの力を誇っても、そんな残虐な男に靡くような女性はどこにもいないわよ!」
オルタニキ(赤騎士)「ふん。そもそもあの女城主が目的ではない…が、どうやら円卓の騎士を呼び寄せる
ことも叶わなかったか。」
マリー(ボーメイン)「なにを!えーい!!」ヴゥン
オルタニキ(赤騎士)「フン!」バキッ
マリー(ボーメイン)(この騎士…強い!)
ぐだ男「ここまで、快進撃を続けてきたボーメインでしたが、赤騎士は今までの相手とは比べられないほどの力を
ほこり、ボーメインは苦戦を強いられます。」
マリー(ボーメイン)「ハァ、ハァ、さすがに強いのね。」
オルタニキ(赤騎士)「多少はやるようだな。お前をこの場でお前を屠り、その亡骸を辱めてやれば、
今度こそあの騎士たちをおびき寄せることができそうだ。」シュッ
マリー(ボーメイン)「させないわ!」ヴュン
邪ンヌ(ライネット)「…」
邪ンヌ(ライネット)「だから、だから言ったのに、いくら幸運が重なってここまでこれたとしても、
あの恐るべき騎士にかなう訳がないのに…」
邪ンヌ(ライネット)「こんな…こんな…」
邪ンヌ(ライネット)「…ギリッ」
ぐだ男「ライネットが固唾をのんで見守る中…ボーメインと赤騎士の一進一退の攻防が続きます。
そして、その膠着状態の中、ふいにその均衡が破られました」
オルタニキ(赤騎士)「!?」
マリー(ボーメイン)「ライネット!」
邪ンヌ(ライネット)「厨房の下男にすぎないくせに、貴方は私に約束したでしょう!
必ず姉さんを救ってくれると!あれを見なさい!」
ぐだ男「ライネットが指さす先…危険の城の窓辺で、一人の美しい女性が涙を浮かべ祈りをささげていたのです。」
ジャンヌ(?)「…」
マリー(ボーメイン)「あのご婦人が、あなたの姉の…」
邪ンヌ(ライネット)「ライオネス姉さんよ。ボーメイン卿、いくら大きな偶然や幸運と私の助力に恵まれたとはいえ、
私たちは姉さんを救いにここまで来れたわよね。今更私との約束と、姉さんの祈りを
裏切るようなこと、私は死んでも許さないわよ!さぁ、勝ちなさい!!」
ぐだ男「今まで、ずっと自分に悪態をついていたライネットは決戦の場において、とうとうボーメインを認め、
檄を飛ばします。乙女の応援と、婦人の祈りが、ボーメインにさらなる力を呼び起こしました。」
マリー(ボーメイン)「ええ、今こそ、ライネット、貴方との約束を果たします。さぁ、赤騎士よ覚悟いいわね!」
オルタニキ(赤騎士)「…この力は!」
マリー(ボーメイン)「さんざめく花のように、陽のように!」ギロチンブレイカー!!
オルタニキ(赤騎士)「ぐあぁああああ!」
ぐだ男「二人の思いを込めた一撃により、とうとうボーメインは赤騎士との闘いに勝利しました。」
ぐだ子「というより長時間戦って、時間経過で赤騎士の7倍期間が切れたんじゃないの?」
マシュ「先輩!それは言わないお約束です!」
オルタニキ(赤騎士)「…何故とどめをささない。」
マリー(ボーメイン)「赤騎士さん。これほどの力を持つ騎士が一体なんのために、
このような所業をなしたのか、私はそれを知らなければならないわ。
お願い。どうか話してくださいな。」
オルタニキ(赤騎士)「…いいだろう。」
==========================
水着スカサハ(?)「~♪」
オルタニキ(赤騎士)「なんのようだ?湖の乙女よ。俺を呼び出して。」チッ
水着スカサハ(湖の乙女)「ああ、アイアンサイド卿。お前は私を『あ・い・し・て』いるだろう?」ニマー
オルタニキ(赤騎士)「あぁん?」ブチッ
ドバキッ
水着スカサハ(湖の乙女)「愛しているだろう?」グッ(拳ニギリー)
オルタニキ(赤騎士)「…だったら、どーした?」イライラ
水着スカサハ(湖の乙女)「これを見ろ!アイアンサイド。」サッ
メイヴ(?) 「…チーン(槍にハリネズミにされている)」
水着メイヴ(?)「…アノアマ(同上)」
水着スカサハ(湖の乙女)「こいつらは私の親族なのだが、見ての通りこのように殺されてしまったのだ。(ぽいっ)
そして、この残虐な手口、どう考えても円卓の騎士ガウェイン卿か、ランスロット卿の仕業に
違いないだろう。」トイウコトニシテオケ
オルタニキ(赤騎士)「…それを俺に告げて、お前は俺に何を望む?」
水着スカサハ(湖の乙女)「はっはっは。(ぽい)皆まで言わせてくれるなアイアンサイド。当然お前は愛する私の敵討ちのために、
あの円卓の騎士ガウェイン卿か、ランスロット卿と命をかけて戦って、
奴らを討ち取ってくれるのだろう?」
オルタニキ(赤騎士)「…」
水着スカサハ(湖の乙女)「どうした黙って?私のために命がけで戦えることがうれしくて
照れているのか?カワイイヤツメ。」
ぐだ男「そう。赤騎士の真の目的は愛する湖の乙女の仇討のため、円卓の騎士を呼び寄せ討ち取ることだったのです!」
オルタニキ(赤騎士)「…というわけで俺は年齢不詳の妖怪ババア…じゃなくて、湖の乙女から、
騎士を討ち取り彼らの亡骸を辱める度に強くなるという呪い…もとい祝福を
賜った。これが、俺の日中7倍といわれる力の秘密だ。」
マリー(ボーメイン)「なるほど、危険の城を包囲したのも、あの兄弟達が貴方に協力したのも、円卓の騎士を
呼び寄せるためだったのね。」
邪ンヌ(ライネット)「そのために、姉さんを苦しめて…」
マリー(ボーメイン)「赤騎士さん。遺恨があるというのなら、キャメロットのガウェイン卿とランスロット卿に、
まず話し合いにいくべきだったわ。彼らは素晴らしい騎士。必ず真相を話してくれるはずよ。」
オルタニキ(赤騎士)「…かもな。だが今や詮無き事。さっさと[ピーーー]がいい。」
マリー(ボーメイン)「いえ、今からでも遅くないわ!キャメロットにお行きなさい。
そして、今回のことと、真相を本人からお聞きなさい。」
オルタニキ(赤騎士)「なに?これほどの殺戮をした俺をお前は許すというのか?」
マリー(ボーメイン)「許すのではありません。私は貴方の話を聞いて、真実を知ったわ。
だから貴方もまた、彼らから話を聞いて真実を知るべきよ。
すべての処遇は、真実が明らかになってからでなければならないわ。」
オルタニキ(赤騎士)「いいだろう。俺はお前に敗れた身だから従おう。だが、一つだけ教えてくれ。」
マリー(ボーメイン)「はい?」
オルタニキ(赤騎士)「俺は、赤の国の赤騎士、アイアンサイド。どうか、俺を倒した貴方の名前を教えてくれ。」
マリー(ボーメイン)「そうね…いいでしょう。」
マリー(ガレス)「今は亡きオークニーのロット王の息子、ガレスというわ。」
オルタニキ(赤騎士)「なんだと!あの、偉大なるロット王の…!」
邪ンヌ(ライネット)「ロ、ロット王ですって!?ボーメイン、なんでずっと黙っていたの!?」
マリー(ガレス)「…フフ。そうね、だって私のこととなると、
皆枕言葉にまずお父様がついてしまうのですもの。」
マシュ「そう!ボーメインとは、あのガウェイン卿の弟の、ガレス卿だったんですね。」
ぐだ子「ガレス?どっかで聞いたような…」
ぐだ男「確かベディがちゃん付けで読んでなかったっけ。」
ぐだ子「そういえばそれっぽい子にどこかで会ったような…ちなみにロット王って、もう亡くなっているの?」
マシュ「はい。伝説によってはアーサー王のよき協力者になるロット王ですが、
アーサー王の死の中では、ある理由によって反アーサー王の鬼となり、ペリノア王に
討ち取られたとされています。」
円卓の騎士たちが、どのような真相を語ったのかは記されておりませんが、赤騎士は二人の話に驚愕し、
逆恨みをしたことを詫びます。」
======キャメロット===========
オルタニキ(赤騎士)「アーサー王よ、俺は貴方の騎士に敗れた身。今後は貴方に剣を預け王と、その配下の騎士のために
戦うことを約束しよう。」
アルトリア「アイアンサイド卿よ。その荒ぶる心を抑え、正義のために力をふるうと誓うのならば、
我々は卿と、卿の配下のものたちを歓迎しましょう。」
ベデヴィエール「あ、あの赤騎士が、我が王に平服するとは」
アグラヴェイン「…まったく、たいしたものだな。」
ガウェイン(お見事ですね。まさかこれほどとは。)
ランスロット(ああ。)
ぐだ男「こうして、赤騎士達、ガレスに敗れた騎士たちは今後はキャメロットの恭順し、
アーサー王もまた、快く受け入れたのでした、と…」
ぐだ子「えーっと、黒の騎士は死んじゃったけど、他に緑の騎士と赤の騎士、それに藍色の騎士が仲間になって…
大手柄じゃない。」
マシュ「ええ、騎士たちの配下や領土もそのままキャメロットが併合されるわけですから、素晴らしい功績ですね。」
ぐだ子「でも、まだボーメインが何者か、アーサー王や皆は知らないのね。」
マシュ「ランスロット卿だけは、実は騎士に任命する際に教えてもらったそうですが、それでもガレスのために
秘匿しているようですね。」
ぐだ男「読む限りだとガウェインも気をつかっているから、内心気づいてそうだけどね。
…そしてとうとうボーメインの正体を知る人物が、キャメロットを現れました。」
アルトリア「只者ではない、ということは一目見てわかりましたが、まさかこれほどの活躍をしてくれるとは
いささか驚きですね。」
ガウェイン「全くですね。実に喜ばしいことです。ねぇ?ガヘリス卿、アグラウェイン卿。」
サンソン(ガヘリス)「ん?まぁ確かにすごいことだが」
アグラウェイン「その口ぶり。もしやガウェイン、卿はあのボーメインが何者なのか知っているのか?」
ガウェイン「…貴方たち、ひょっとしてガチで気づいていないのですか?彼は…」
ベデヴィエール「た、たた大変です。我が王!」
アルトリア「どうしました、ベデヴィエール卿。騎士がそのように慌てたら、周囲の者まで
動揺してしまいますよ」
ベデヴィエール「失礼、では申し上げます。オークーニーのロット王妃が、我が王にお会いしたいとおいでです!」
アグラウェイン「なっ!?」
アルトリア「なんだと!?すぐにもてなしなさい、丁重に!」
ぐだ男「ロット王妃は、それはそれは美しいご婦人でした。」
酒呑童子(?)「~♪」
アルトリア「…」
円卓の騎士's「…ゴクリ」
酒呑童子(?)「久しぶりやなぁ。アーサー。」
アルトリア「お久しぶりです姉上。ご機嫌麗しゅう。」
酒呑童子(?)「そんな固くならんとき。姉弟なんやから、もっとざっくばらんになぁ?(ふー)」
アルジュナ(?)「…ぐ、ぐはぁ!」
金時(?)「兄弟!?」
カルナ(?)「あんちゃん!?」
アルジュナ(?)「…じゃ、弱体無効が無ければ魅了だった…」
金時(?)「…あいつが、ロット王妃のモルゴースか。」
マシュ「アーサー王の死では、アーサー王には3人の異母姉。モルゴース、エレイン、モルガンがいることになっており、
長女のモルゴースがロット王妃になっています。とても美しい女性であり、
その気がなくても男性を魅了し、骨抜きにしてしまうほどだったそうです。」
ぐだ子「エッチな割に押しが弱そう…うーんなるほど。それで、モルガンとモルゴースは一緒くたにされたり
するってこと?」
マシュ「伝説によっては混同されます。しかし、モルゴースの名前の語源は『オークーニーのモルガン』だという
説もあるため、彼女はモルガンから派生して誕生した、ともいわれているようですね。」
ぐだ男「そこはなんか鶏と卵な気もしてくるね。」
アルジュナ(?)「聞きしに勝る美しさ…だが気をしっかり持たねば、
心身とも溶かされる…そんな鬼気迫る恐ろしさまで感じさせますね。」
金時(?)「おい、しっかりしろ兄弟。なんせあの兄弟達の母上だ。おっかない奴に違いねえぞ。」
アルトリア「それで、今日はなぜわざわざこのキャメロットに?」
酒呑童子(モルゴース)「ああ、うちの息子、ガレスのことよ」
ガウェイン「…」
サンソン(ガヘリス)「!」
アグラヴェイン「ま、まさか…」
聞かんもんやからなぁ、うちも涙を呑んで送り出したんやけど…」
アルトリア「もしや…」
酒呑童子(モルゴース)「聞いた話ではまる一年も、厨房の下働きでこき使ってくれたんかい!一体どういう了見や!」
アルトリア「そうか異父姉上。彼は貴方の息子だったのですね。」
ぐだ子「ここで、ネタ晴らし!」
マシュ「はい。特に彼の兄たちは驚いたでしょうね。」
ガウェイン「はい。」
サンソン(ガヘリス)「う。」
アグラヴェイン「むむ。」
酒呑童子(モルゴース)「一年も一緒にいて、あの子が自分の弟だって気づきもしなかったんかい?」
アグラウェイン「え、ええ。しかし母上。最後にガレスと私たちがあったのはもう随分と昔で…」
酒呑童子(モルゴース)「…そうよなぁ。なんせあんたらが弟に出仕してからこの12年間一度も、
オークーニーに顔を見せにすら来んかったもんなぁ!?」
アグラヴェイン「そ、それは(ギクッ)」
酒呑童子(モルゴース)「あー。こんな息子たちに嫌われてもうて、うち悲しいわぁ。(はぁ~)」
円卓の騎士's「うぐあっ(魅了)」
ガウェイン「…ええ、母上。確かに我が王に仕えてから、私たちはオークーニーに戻りませんでした。
しかし、それは母上がオークーニーの地を立派に治めてくれていたからです。」
サンソン(ガヘリス)「我々が王のために力を尽くすことができているのも、
母上に故郷を安心して任せていられているからにほかなりません。」
アグラヴェイン「そこはその…感謝しておりますとも(ボソッ)」
ぐだ子「…あれ、意外と親子仲っていいの?これ」
マシュ「アーサー王の異父姉、モルガンは邪悪な魔女として描かれていますが、モルゴースは過去にひと悶着あったとはいえ、
アーサー王と比較的友好関係だったようですね。ガウェイン卿達もこの場では母親との再会を素直に喜んでおり、
親子仲は悪くなかったみたいですね。…少なくともこの時点では。」
酒呑童子(モルゴース)「全く、口ばっかり達者になって…本当に、ちゃんと役に立ってるんやろなぁ?」
アルトリア「ええ、彼らには何時も助けられております。」
ガウェイン「そして母上、一つ伺いたいのですが、母上がガレスを送り出すとき、どのような準備をされましたか?」
酒呑童子(モルゴース)「そりゃあもう、今は亡きあの人に恥じないよう、金銀財宝土産にさせて…」
ガウェイン「ははは、そうでしょうね。しかし、あの子がここを訪れたとき、彼はとてもそのような姿で
はありませんでした。ぼろぼろのように疲弊し、従者の肩をたよりやっとのことで辿り着いたような風体でした。」
酒呑童子(モルゴース)「なんやって?…それじゃあの子は。」
アグラヴェイン「いや、人の好さが災いしてだまし取られてしまったのかもしれん!」
ガウェイン「君たち、ちょっと黙ってなさい。」
アルトリア「彼は、自分の身分も、素性も頼りにせず、あくまで独力で円卓の騎士になりたかったんでしょうね。」
ぐだ男「このように事の真相は、ガレス卿がオークニーの王子であるとい素性に頼らず騎士に
なろうとしたからだ。とモルゴースは悟ります。」
マシュ「他の兄たちがアーサー王に仕えてしまったため、モルゴースはとくに手元に残ったガレスを
特に溺愛していたといわれています。だからこそ、過保護な母親から自立したいという思いも
ガレスにはあったのかもしれませんね。」
酒呑童子(モルゴース)「ほんに、あの子らしいけど…少しはうちの気持ちをくんでくれてもええのになぁ。」
アルトリア「…姉上。」
ぐだ男「ここで聡明なアーサー王はなぜ今頃になって、異父姉が自分のもとを訪れたのか察します。
そう、彼女は大きな手柄を上げ、今まさに円卓の一員として認められ祝福されようとする
ガレスを一目見るためにわざわざキャメロットにやってきたのでした。」
アルトリア「…このように、私たちは、ガレスの意思を尊重しその通りに扱い、ガレスもまたそれに応えてくれました。
そして、ついに冒険をやりとげ、今まさに我々は、彼を再び迎え入れようとしているところです。」
ベディヴィエール「そうですね。そしてガレス卿が来てから今日まで、彼を不当に扱おうとしたものはこのキャメロットに
ただ一人しかおりません。」
ランスロット「うむ。ケイ卿だけだな。」
ガウェイン「ケイ卿だけです。」
サンソン(ガヘリス)「ケイ卿だけか。」
アグラヴェイン「ケイ卿だけだな。」
アルトリア「ケイ卿だけですね。」
イアソン(ケイ)「え?」
酒呑童子(モルゴース)「…」
イアソン(ケイ)「ちょ、ちょっと待てお前たち!」
酒呑童子(モルゴース)「…その話。ゆっくりうちに聞かせてくれる?(ニマー)」
イアソン(ケイ)「おっ、お助けー!」ダダダ
酒呑童子(モルゴース)「にがさへんよぉ?」シュ
ランスロット「さぁ、ケイ卿が時間を稼いでいる間に、急いでガレスをキャメロットに呼び寄せよう!」
アルトリア「時間が惜しい。ここは私が直接危険の城に行く!」
===危険の城=======
ジャンヌ(ライオネス)「ガレス卿ですか?新しい冒険の旅に出かけましたよ?」
アルトリア「なんですって?」
ぐだ男「実は、アイアンサイド卿がキャメロットに向かっている間、危険の城でもひと悶着あったのです。」
==危険の城===========
邪ンヌ(ライネット)「駄目です。認めません。」
マリー(ガレス)「何故です?私はこのために、冒険をやりとげのよ?」」
ジャンヌ(ライオネス)「ライネット。あなたは私たちの結婚を許さないというのですか!」
邪ンヌ(ライネット)「たぐいまれな幸運と私の力添えがあったとはいえ、確かにガレス、あなたは私の姉を救ってくれました。
しかしだからといってすぐに結婚するというのは時期尚早です。いきなりすぎます。よくないです。」
ぐだ男「危険の城が解放されたあと、ガレスとライネットは、自分達の従者や、弟を通じて探りを入れあい、
お互いの素性、気持ちを確かめ合います。しかし、それでもすぐに結婚するのは早すぎないか、という結論になっていしまいました。」
マリー(ガレス)「でも私たち、相思相愛よ?」
ジャンヌ(ライオネス)「相思相愛ですよ。」
邪ンヌ(ライネット)「いいガレス。そもそも貴方は姉と結婚するには若いです。若すぎます。今はよくてもいずれ心が変わるかもしれないわ。
たとえば、自分にはもっと年齢相応の、若い乙女が似合うんじゃないか?とか…」
マリー(ガレス)「?」
ジャンヌ(ライオネス)「?」
邪ンヌ(ライネット)「と、ともかく、まずは健全なお付き合いから始めるべきです!結婚をするのはそれからでも遅くはないでしょう!」
マリー(ガレス)・ジャンヌ(ライオネス)「「はーい」」バタン
邪ンヌ(ライネット)「…まったく、なによ、あんなにデレデレしちゃってはしたない。ずっと
貴方を支えていたのは、誰だと思ってるのよ(ブツブツ)」
サンタリリィ(?)「支えていた?ずっと罵倒してたの間違いじゃないですか?」
邪ンヌ(ライネット)「…うるさいわねグリンガモー!生意気な弟よ。…これはそうね、
あのドラ〇エ5に例えれば、ビア○カじゃなくて、フロー〇を初回プレイで
選ぶような暴挙よ!全く信じられないわ!」
サンタリリィ(グリンガモー)「でも、それがガレスさんの旅の目的だったのですよ?」ロンパデス!
邪ンヌ(ライネット)「ぐぬぬ」
マリー(ガレス)「ええ、いい考えね。」ズズー
ジャンヌ(ライオネス)「…」
マリー(ガレス)「…」
ジャンヌ(ライオネス)「…ドキドキ」
マリー(ガレス)「…ドキドキ」
ジャンヌ(ライオネス)「…ガレス♥」
マリー(ガレス)「…ライオネス♥」そー
邪ンヌ(ライネット)「なにをふしだらな!!我が騎士よ!やっておしまいなさい!」
剣ジル(騎士)「エッチなのはいけませんぞー」ジャーン
マリー(ガレス)「…きゃあ!」スパーン!(騎士の首をはねる)
=====夜===============
ジャンヌ(ライオネス)「やれやれ、昼間にはひどい目にあいましたね。今日は休みましょうか。」(寝室に引っ込む)
マリー(ガレス)「ええ、おやすみなさい。」
マリー(ガレス)「…ドキドキ」
キィー(寝室のドアの開く音)
マリー(ガレス)「…ライオネス、少しいいかしら?」ヨバーイ…
ジャンヌ(ライオネス)「ああ、ガレス!来てくれたのね!」
邪ンヌ(ライネット)「破廉恥です!!我が騎士よ!今度こそ懲らしめてやりなさい!!」
術ジル(騎士)「婚前交渉はよくないですぞー」ジャーン
マリー(ガレス)「…きゃあ!」スパーン!(騎士の首をはねる)
ぐだ男「こうして、二人は結婚を先延ばしにします。そして、結婚するまでの間二人が貞淑であるように
ライネットは気をつかい、淫らなことをしないように配下の騎士をけしかけ、二人の貞節を守るのでした。」
ぐだ子「ひどいツンデレね。騎士たち首をはねられてるし。」
マシュ「はい、しかしこの騎士たちは、ライネットが治療をすると、すぐに息を吹き返します。
ライネットもまた、すごい癒し手か、あるいは魔術師のようですね。」
ぐだ男「そして、エッチなことをしようとする度にライネットが邪魔してくるものだから、
ガレスは欲求不満を晴らすために冒険に出てしまっていたのでした。」
===危険の城=======
アルトリア「それは、困ったことになりました。このままではケイ卿が骨抜きにされてしまう…。」
ジャンヌ(ライオネス)「陛下。ガレスを危険の城に呼び寄せるなら、いい方法がありますわ。
ただ、そのために陛下の力をお借りしたいのですが…」
アルトリア「お聞かせいただきましょう。」
ジャンヌ(ライオネス)「はい。実は…」
====キャメロット===============
ベデヴィエール「なるほど、ライオネス婦人は危険の城がアーサー王の支配下になったことを記念して、
槍試合を執り行いたいということですか。」
ランスロット「そして婦人はその優勝者と結婚をするつもりである…と。」
アグラウェイン「なるほど、それならばブリテンのどこにいたとしてもガレスは
これを聞きつけ、危険の城に戻ってくるでしょうな。」
アルトリア「ガレスの活躍により、多くの騎士が仲間になった。彼らの実力を測り、
また円卓の力を周囲に示すよい機会になるでしょう。」
ぐだ子「槍試合ってなに?」
マシュ「槍試合とは、騎士たちが武芸を示しあう中世騎士社会におけるビッグイベントですね。
優勝者は素晴らしい武具を賞品にもらったり、あるいは今回のように高貴な身分の女性と婚姻を結んだりして、
貴族達と血縁を結んだりしたそうです。名誉と地位を得るための大チャンスで、多くの騎士たちが
命をかけて競い合ったといわれています。」
アルトリア「よって、相応のメンバーを揃えたいところです。我が甥達よ、参加してくれるか?」
サンソン(ガヘリス)「いいとも。」
アグラヴェイン「無論です。」
アルトリア「それと、ガウェイン。もし、既婚者が優勝した場合には優勝者の奥方に対して、素晴らしい賞品を用意
されているそうだ。安心して妻のために奮闘してくれ。」
ガウェイン「勿論です。我が王のため(強調)、全身全霊を尽くします。」
アルトリア「…」
ぐだ子「ガウェインって妻帯者なんだっけ。」
ぐだ男「確かラグネルって女性と結婚してたって。」
マシュ「そうですね、アーサー王の死において、ガウェイン卿のお子さんも登場してますよ。
ただその子たちのお母さん、どうもラグネルじゃないらしいんですけどね。」
ぐだ子「へー…結構やるのね。ガウェインも」
貴公らも武勇も示してもらおうか。」
金時(ラモラック・ド・ゲール)「おう!任せてくれ大将!」
カルナ(パーシヴァル・ド・ゲール)「命令とあれば。」
ぐだ男「槍試合のため、まず、アーサー王の甥であるガウェイン卿、ガヘリス卿、アグラウェイン卿が名乗りをあげます。
そして、若いながらも優れた武勇をもつ、ド・ゲール兄弟などが、出場することとなりました。」
ぐだ子「流石によく知らない人たちもいるわね。まずガヘリスってのは?サンソンなのはマリーのつながり?」
マシュ「ガヘリス卿は、ガウェイン卿の弟騎士ですね。ガヘリス卿は優れた騎士ですが、
一方で政敵の排除のために非道な手段も辞さない苛烈な面もあったようです。
サンソンさんがイメージなのも、そのようなところからでないでしょうか。」
ぐだ男「うーん。はっきり言ってしまうと、無防備な女性の首を刎ねるのがうまそうな気がする。」
マシュ「先輩!」
ぐだ子「あとド・ゲール兄弟っていうラモラックとパーシヴァル。パーシヴァルは聞いたような気がするけど。」
マシュ「このお二人はペリノア王の息子とされています。お兄さんの赤の盾の騎士ラモラック卿は、若いながらもランスロット卿や
トリスタン卿と並び評された、円卓最強と呼ばれる騎士のおひとりだそうですね。」
ぐだ男「のわりには、聞いたことないなぁ。」
マシュ「ええ…実はこのラモラック卿、若さ故のおごりか、かなり傲岸不遜な面があったようでランスロット卿や
トリスタン卿など、多くの騎士と衝突を繰り返したそうです。しかし乱暴ですが根は正義感の強い人柄で、
最終的には多くの騎士と友情をつちかっていくことが伝説に記るされています。」
ぐだ子「なるほど、ちょっと幼い腕白ヒーローってことね。んで、パーシヴァルが彼の弟なのね。
配役がカルナなら、とっても高潔な騎士に違いなさそうね。」
マシュ「そうですね、弟さんの聖杯の騎士パーシヴァル卿も、円卓の騎士の中で特に素晴らしい騎士とされています。
ただ、彼は他の騎士達とちょっと変わった経歴があるようです。」
ぐだ男「経歴?」
マシュ「はい。実はパーシヴァル卿のお母さんは、夫のペリノア王や子のラモラック卿が、いずれ謀殺されるであろうと
予期していたんです。」
ぐだ男・ぐだ子「「え」」
マシュ「パーシヴァルまで毒牙にかかってしまってはいけない、と判断した賢母の計らいにより、
幼少期は騎士社会から匿われ、野山を駆け巡ってパーシヴァル卿は育ちました。
そして後に聖杯探索において重要な役割を担うことになります。」
ぐだ男・ぐだ子「「ひどいネタバレを聞いた気がする。」」
=============
アルトリア「さて、あとのメンバーとしては…」
フィン(?)「はっはっは、お困りかなアーサー!」
アルトリア「ユーリエンス王ではありませんか。」
フィン(ユーリエンス)「話は全てわかっているよアーサー。槍試合を行うのだろう?
それならば、このユーリエンスもまた、一騎士として参加しようじゃないか!」
アルトリア「…よろしいのですか?」
フィン(ユーリエンス)「当然だ。かのアーサー王のもとに、このユーリエンス王あり!
それを内外に示す絶好の機会!さぁ、輝いてしまおうか!!」
ディルムッド(?)「申し訳ありません。陛下。我が王がこのような…」
アルトリア「いえ、願ってもないことですよ。アコロン。」
ディルムッド(アコロン)「ありがたきお言葉です。」
ぐだ子「他の参加者に…王様?アーサー王の他にも王様っているの?」
マシュ「ユーリエンス王は、ゴールの地を治める王と言われています。最初はアーサー王をブリテンの主と認めず、
他の諸侯たちと結託してアーサー王を苦しめたといわれています。
しかし、戦ううちにアーサー王の力量を認め、アーサー王側に鞍替えしたそうですね。」
ぐだ子「へぇ、随分としたたかなひとね。」
ぐだ男「王を名乗ってるのは、日本的に言えば、大名織田信長に従属している別の大名徳川家康、みたいな感じなのかな?」
マシュ「うーん。ニュアンス的にはどうなんでしょうか?ただ、ユーリエンス王が、アーサー王から信頼されていたのは
確かなようです。実は、このユーリエンス王、あの妖姫モルガンの夫なのです。」
ぐだ子「つまり、アーサー王のお義兄さん。」
マシュ「はい、ご存じモルガンは、アーサー王を憎んでいるため、様々ないじわるをして王を苦しめます。
そのため、息子のユーウェイン卿は、とばっちりのようにアーサー王に罰せられたりもしますが、
ユーリエンス王に対しては、特にそのようなことをしなかったそうです。」
ぐだ子「記述がないだけかもしれないけど…それで、アコロンってのは?」
マシュ「アコロン卿はゴールの騎士です。よって厳密には円卓の騎士でありません。
しかし、それでもアーサーの覚えのよい騎士だったようですね。」
ぐだ男「つまり、太閤豊臣秀吉(アーサー)と、戦国大名上杉景勝(ユーウェイン)、そして執政官直江兼続(アコロン)の関係・・・!」
マシュ「…か、どうかはわかりませんが、アコロン卿はとても心の優しい騎士だったそうです。
アーサーを憎む妖妃モルガンと、アーサーを信頼する王ユーリエンス。
二人の関係は冷え切ってしまっており、アコロン卿はそれをなんとかしようと努力し、
特に心をいためているモルガンを献身的に、心身ともに支えていたそうです。」
ぐだ子「そう。つまりモルガンの愛人なのね。」
マシュ「…ええ、そうともいいます。」
ぐだ男「ぶっちゃけ、この配役だと嫌いな妻を腹心の部下に押し付けてるようにすら見える。」
アルトリア「ふむ、大体メンバーが決まってきましたね。そうだ、ランスロット卿はどうです?」
ランスロット「…申し訳ありませんが、この試合、優勝するほどの活躍は私には…
(もし、優勝してしまったらライオネス婦人と結婚することになってしまう。
しかし、私には愛するあの方が・・・)」
アルトリア「!ああ、そういうことですか。」
ランスロット「ぎくっ」
ぐだ子「…そっか、ランスロットはギネヴィア王妃が大好きだから、他の女性と結婚したくないのね。」
マシュ「もし優勝しておいて、結婚を拒否するようなことをすれば、顔に泥を塗ることになりますから。」
卿はそれを邪魔したくないということですね。大丈夫ですよ。
いつものような活躍をしてくれなくても構いません。
ただ参加してくれるだけでも私は十分です。」
ランスロット「…ハハハ」
ガウェイン「…」
アグラヴェイン「っち。」
ぐだ子「ぶっちゃけ、王様ってランスロットとギネヴィアの関係、どこまで知ってるんだろう?」
マシュ「…」
ベデヴィエール「はい、我が王。槍試合の準備は私にお任せください。
アルトリア「何を言っている?裏方ではなく、貴公にも騎士として出場してほしいのだ。」
ベデヴィエール「な、私のような隻腕の騎士が、この晴れ舞台によろしいのですか?」
アルトリア「そのような舞台で円卓の古参衆が力を見せないでどうするというのです?
それとも調子がすぐれないのですか?」
ベデヴィエール「いえ王の望みとあらば、私は全身全霊を尽くします!」
ぐだ男「…このように、円卓の騎士のえりすぐりのメンバーが槍試合に出場することになるのでした。」
ぐだ子「なーんだ。ベディったら自分は手柄なんてないって言ってたけど、ちゃんと試合
とかに選ばれているのね。やるじゃん」
ぐだ男「…まぁ、結果が出るかは別だけど。それと一方危険の城では…と。」
邪ンヌ(ライネット)「ちょっと、どういうことよ姉さん!槍試合を行って、しかもその優勝者と結婚するだなんて!」
ジャンヌ(ライオネス)「そのままの意味よ。他にガレスをここにすぐに呼び寄せる方法はないでしょう。」
邪ンヌ(ライネット)「だけど、他の誰かが優勝したらどうするのよ!彼を愛しているのでしょう?
もしガレスが負けたら…あれ?」
邪ンヌ(ライネット)「そうよ…もし負けたら…」
===妄想==========
ガウェイン「この剣は太陽の現身。あらゆる不浄を清める焔の陽炎…」
ガウェイン「エクスカリバー・ガラティーン!!」ゴォォオ
マリー(ガレス)「きゃあああ!」
アルトリア「見事です。優勝はガウェイン卿です。」
ジャンヌ(ライオネス)「流石ガウェイン卿、素晴らしいです!」
ガウェイン「ははは、これも貴方を思ってのことです。レディ」
邪ンヌ(ライネット)「全く、無様ですね。ガレス卿」
マリー(ガレス)「ライネット…貴方も私を笑いにきたの?」
邪ンヌ(ライネット)「ふん、情けなさすぎて、笑う気にもなれないわ。
ガレス。あなたは確かに苦難を乗り越えて、姉さんを救ってくれました。
でも、あくまであなたは一つの冒険を乗り越えただけにすぎないわ。
それなのに、歴戦の騎士たちと渡り合おうなんて、笑止千万。もっての他よ。」
マリー(ガレス)「…そうね。確かに私は天狗になっていたかもしれないわ。」
邪ンヌ(ライネット)「…ただそれでも私は貴方がいずれ、歴戦の騎士をしのぐようになる素質がある
ってことは認めているわ。」
邪ンヌ(ライネット)「何よ、ずっと貴方と一緒に冒険をしてきた私の目を疑うというの?」
マリー(ガレス)「いえ、貴方が私をそんなに評価してくれていたなんて、嬉しくて…」
邪ンヌ(ライネット)「調子に乗ってはいけません。貴方はまだまだ半人前で、これから経験を積んでいかねばならないのだから。」
マリー(ガレス)「そうね、もう一度心を改めて、精進することにするわ。立派な騎士になるために。」
邪ンヌ(ライネット)「ええ、そうすべきです。た、ただその、わ、私はまぁ、貴方のことさっき言ったように評価してあげてるわ。
だ、だから…」
邪ンヌ(ライネット)「わ、わたしは、あ、貴方が本当に立派な騎士になれるように!一緒についていっても…構わないのよ!」
マリー(ガレス)「…ライネット…」
邪ンヌ(ライネット)「何よ!私は、貴方のその、ぱ、パートナーとして不服だっていうの?」
マリー(ガレス)「…そんなことないわライネット!ありがとう。本当に愛すべき人はこんなに、身近にいたなんて
私は本当に愚かだったわ!!(ぎゅうー)」(抱きつく)
邪ンヌ(ライネット)「そ、そこまで言うなら仕方ありませんね。貴方が本当に素晴らしい騎士に
なるように、ずっと、ずっと一緒にいてあげるわよ。もう!」ぎゅー
邪ンヌ(ライネット)「うえっへっへへ…」
ジャンヌ(ライオネス)(我が妹ながら、考えていることが透けて見えます。)
邪ンヌ(ライネット)「そういうことなら仕方ないわ!さぁ、ブリテン中に、この槍試合の開催を
知らしめるわよー!」(城から飛び出す)
ジャンヌ(ライオネス)「ふふふ。もう大丈夫のようですよ。ガレス」
ひょい。
マリー(ガレス)「うふふ。計画通りね。これで槍試合で私が優勝できれば、誰にも文句がつけようがなく、
貴方と結婚できるわね。」
ジャンヌ(ライオネス)「ええ、頑張ってくださいね。ガレス卿」
ぐだ男「こうして、ガレスとライオネスの思惑通りに槍試合が開催されることとなりました。」
ぐだ子「この槍試合、ガレス達がとっとと結婚するための策謀だったのね。」
マシュ「なかなかライオネス婦人も強かですね。しかし、ライネットが調子にのって宣伝を
しまくったせいか、この槍試合はブリテン中に知れ渡ってしまいます。」
ぐだ男「そして、いよいよ槍試合が開かれることとなりました…」
===試合会場==========
ワーワー ギャーギャー
ベディヴィエール「物凄い歓声ですね。一体どれほどの参加者がいるんでしょう。」
子ギル(?)「我々アーサー王の騎士たちと肩を並べて試合をするというだけでも
これ以上にない名誉になりますからね。
まして、活躍をすれば円卓の騎士の一員となることも夢ではない。
ブリテン中の騎士が集っているといっても過言ではないでしょう。」
アーラシュ(?)「観客たちの数もすごいな。ベデヴィエール。空気にのまれず頑張って来いよ!」
アルトリア「ベデヴィエール。期待していますよ。」
ベディヴィエール「はい!頑張ります!」
イアソン(ケイ)「お、おい、古参組からは俺も参加してるからな!」
フィン(ユーリエンス)「ふむ。絶好の試合日和。私の力を存分に輝かせそうだ。」
マタハリ(?)「はぁーあ。馬鹿々々しい。」
ディルムッド(アコロン)「モルガン様そのようなこと…って、貴方この場面では登場しておりませんよね。」
マタハリ(モルガン)「それなら本来貴方はこの時点では(ピー)じゃない。今更よ。」
ディルムッド(アコロン)「…」
ぐだ子「そういえば、本のその章にのってないわよね?この二人。なんで出てきてるの?」
ぐだ男「…なんでかな?」
酒呑童子(モルゴース)「本当にガレスは来るんか?」
ガウェイン「間違いありませんね。ライオネス婦人のいる危険の城方に
ついて我々と戦うことになるでしょう。」
サンソン(ガヘリス)「しかし危険の城の陣営も、すごい数の騎士がひしめいているようだ。」
アグラヴェイン 「先に我らの軍門に下った赤騎士達が中心のはずだが、
はたしてガレスは、あれだけの騎士の中で名をあげることができるかな?」
酒呑童子(モルゴース)「あの子、槍試合の経験なんてないやろうしねぇ。」
ガウェイン「母上。そこは初陣でこのような大きい試合に臨めるのですから
冥利につきる、というものですよ。」
ぐだ男「一方、アーサー王の騎士と肩を並べて戦おうと多くの騎士が参陣したように、
危険の城側にも多くの騎士がはせ参じていたのです。しかもその中には、
円卓の騎士に匹敵するような騎士も混ざっていました。」
==危険の城=====================
フェルグス(藍色の騎士)「はっはっは、この盛況ぶり。流石は円卓の騎士ども。
まさかこれほどの試合に参加できるとはな。」
オルタニキ(赤騎士)「だが、ガレス卿が我々とともにある以上敗北は許されない。必ず勝つ。
優勝の栄誉を受けるのはガレス卿だ。」
プロトニキ(緑の騎士)「大丈夫だって、なんせガレス卿だけじゃなく、あの有名な騎士もこっちについてくれたからな。
勿論、俺もガレス卿以外の騎士負けるつもりはねーけどよ。」
キャスニキ(赤の騎士)「まぁ、そういこったな。だが頼りにしてるぜ?先生」
???「…ええ」
トリスタン「お任せください。」
危険の城側について試合に参加したのです!」
ぐだ子「えー?トリスタンがなんで危険の城についているの?円卓の騎士でしょ!」
マシュ「はい。ただし、トリスタン卿はもともとコーンウォールのマーク王の甥で、
この時点ではまだ円卓メンバーにはなっていなかったのですね。」
====ちょい過去=====================
エミヤオルタ(?)「おい、トリストラム。聞いたか?あの話」
トリスタン「危険の城の槍試合の話ですか。パロミデス卿。」
エミヤオルタ(パロミデス)「そうだ、それでお前も参加するつもりか?」
トリスタン「勿論ですとも。あのアーサー王の騎士と肩を並べて戦えるんですから。」
エミヤオルタ(パロミデス)「そうか。だがトリスタン。ここはあえて危険の城側につくのはどうだ?」
トリスタン「何故ですパロミデス?まさか、自分だけアーサー王の騎士側について、私を槍試合で討ち取ろうという
つもりですか?」
エミヤオルタ(パロミデス)「ふん。わざわざかのアーサー王の御前でお前と決着をつけるつもりはない。
俺がいいたいのは、あえて危険の城側について、アーサー王直属の円卓の騎士達を
倒して見せた方が、より名誉が得られるのではないか?ということだ。」
トリスタン「ふむ。それは確かに…なにより、円卓の騎士と直接戦うというのも、実に面白そうですね!」
マシュ「円卓騎士パロミデス卿。サラセン人の騎士と言われています。」
ぐだ男「トリスタンのライバルっぽい。」
マシュ「はい。彼らの因縁は、武者修行中のパロミデス卿がコーンウォールを訪れたことから始まります。
パロミデスは、マーク王の妻であるイゾルデに一目惚れをして、お琴のコーチとしてコーンウォールの宮廷に
転がりこむそうです。」
ぐだ子「人妻に一目惚れって…どっかで聞いたような気が」
マシュ「そして、レッスンの最中にイゾルデ(人妻)に向けられる情熱的なパロミデスの視線にトリスタンは
不思議な感情をいただいていきます。そしてその感情が嫉妬に似たものであり、自分もまたイゾルデ(人妻)
を愛していると気づきます。そして、トリスタンとパロミデスは、イゾルデ(人妻)の恋のライバル同士として
争うようになり複雑な三角関係に発展し…」
ぐだ子「はい、この話はやめましょう!」
ぐだ男「トリスタンはもともと別の伝説から、アーサー王の伝説に組み込まれた騎士。
当然他の騎士とは特別な扱いがされており、彼が登場したことで非常に会場は盛り上がります。」
パツシイ(観客)「見ろよ!あれはコーンウォールのトリスタン卿だ!」
ラヴィニア(観客)「トリストラム卿だわ…!」
トリスタン「ニコッ」(観客に手を振る)
ゲルダ(観客)「きゃー、こっちを向いてくださったわ!」
セルハン(観客)「おい、隣にはあのパロミデス卿までいるじゃねえか!」
ワー ワー
トーリーカースー! トーリーカースー!
イアソン(ケイ)「あ、あれはコーンウォールのトリスタン!あいつが危険の城についたってのか?」
ガウェイン「む、予想外のヒーローの登場で、危険の城側が盛り上がっている。これはよくない流れですね。」
ベデヴィエール「…」
ルトリア(ベデヴィエール。期待していますよ。)
ベデヴィエール「…ならば、私が相手になりましょう!いざ勝負!」ダッ
パツシイ(観客)「おい、円卓のベデヴィエール卿がトリスタン卿に仕掛けたぜ!」
ラヴィニア(観客)「い、いよいよ始まりね…!」
ぐだ男「こうして、戦いの口火が切られました。円卓の騎士ベデヴィエール卿が
トリスタン卿と勝負を始めます。」
トリスタン「ほう、左片手で大槍を…いや、その右腕はまさか…義手?」ヒョイ
ベデヴィエール「…」キィン
トリスタン「…隻腕の槍闘士!貴方が円卓に名高き、恐るべき膂力のベディヴィアか!」シュッ
ベデヴィエール「!まさか、かの高名なトリスタン卿が、私のことを存じておられるとは」カン
トリスタン「…騎士を志すもので貴方の名を知らぬものなど、このブリテンの地におりますまい!」チャキッ
ぐだ子「ベディとトリスタンって仲がいいけど、ファーストコンタクトって試合だったんだ!」
マシュ「ファーストコンタクトかどうかはともかく、この槍試合では、戦われたようすね。」
ぐだ男「そして、他の騎士達も戦いをはじめます。」
ガウェイン「ベデヴィエール卿め、やってくれましたね。私たちも遅れはとりませんよ!」
エミヤオルタ(パロミデス)「そうか、ならば俺の相手をしてもらおうか!」バキュン
ガウェイン「なっ貴公は、パロミデス卿か!」ザッ
エミヤオルタ(パロミデス)「アーサー王の甥にして側近中の側近ガウェイン卿。打ち倒せばこれ以上の名誉はあるまい。」ジャキッ
ランスロット「卿は藍色の騎士、パーサント卿か。」
フェルグス(藍色の騎士)「我らの主が尊敬する騎士、一体どれほどの強さなのだろうな。(ニヤァ)」
ランスロット「いいだろう。円卓の騎士、アーサー王の武をここに示す!」
オルタニキ(赤騎士)「ガレス卿の敵はすべて排除する…が、大物はほとんど戦いをはじめたか。
おいそこのガキ。お前、力だけなら上位の奴らに匹敵するんだったか?」
金時(ラモラック)「あん?さんざん女の子を泣かせてきたっつーお前にバカにされる筋合いはねぇぞ。
いっちょ地獄を見ていけや。」ダンッ
フィン(ユーリエンス)「ふむ、少し出遅れてしまったか…ん?」
ぐだ男「アーサー王の義兄ユーリエンス王は、危険の城側に、一人異彩を放つ騎士がいるのに気がつきます。」
謎の騎士「…」
フィン(ユーリエンス)「わかる。わかるぞ。君は大そうな実力を隠し持っているだろう。
ちょうどいい、この私が相手になってやろう!」タタッ
謎の騎士「…えーい!」ドーン!
フィン(ユーリエンス)「ぐはっ、なん…だと?」
ぐだ男「そして、ユーリエンス王はその騎士に勝負を挑みますが、なんと簡単に倒されてしまいました!」
アルトリア「なにっ?」
観客’s「ユ、ユーリエンス王がっ!?」
ディルムッド(アコロン)「わ、我が王!?」
マタハリ(モルガン)「やったー!♪」
パツシイ(観客)「なんてこった、あのユーリエンス王が一発でのされちまったぞ。何者なんだ?」
ラヴィニア(観客)「これは…新しいヒーローの登場だわ。」
ワーワー
マタハリ(モルガン)「ねぇ、見た?見たアコロン?あの無様な負けっぷり。
よし、あの宿六はここで死んだってことにして、貴方が代わりに…」
ディルムッド(アコロン)「いえ、試合ですから!生きてますから!」
マリー(謎の騎士)「…(作戦成功ね)」
ぐだ男「そう、この謎の騎士こそ、また正体を隠しているガレス卿だったのです。」
===ちょっと前==================
オルタニキ(赤騎士)「ガレス卿。できれば貴方に主将として、槍試合を仕切ってほしいのだが。」
フェルグス(藍色の騎士)「そうだな。卿がわざわざ戦わずとも、我々が手足となり活躍すれば、
それも立派な貴方の功績になるだろう。」
それにまだ私より、オークーニーの王子としての名前の方がずっとずうっと重いのよ。
だから私はまだ名を伏せて戦わなければならないの。お願い。どうか協力して。」
フェルグス(藍色の騎士)「そこまで言われたら仕方ない。わかった。お好きなように存分に戦われよ。」
マリー(ガレス)「ありがとう、パーサント卿、アイアンサイド卿。
ではライオネス、私もいってくるわ。」
ジャンヌ(ライオネス)「お待ちになってガレス卿、どうかこの指輪をお持ちになってください。」 アマデウスマスクー
マリー(ガレス)「この指輪は…」
ジャンヌ(ライオネス)「この指輪には、貴方の正体を秘匿する魔法が込められています。あなたの
助けになりますよ。」
ぐだ男「ライオネスからもらった魔法の指輪によって、ガレス卿は自分の正体を隠しつつ、
槍試合に参加していたのでした。」
ぐだ子「ガレスったら、まだ正体を隠してるのね。」
マシュ「はい。それにガレスはキャメロットにお母さんが来ていることもしらないですからね。」
ぐだ男「そして、激しい試合が行われる中、とうとうトリスタン卿と、ベデヴィエール卿の戦いに
決着がつきました。」
ベデヴィエール「…私の負け…です。流石はあのトリスタン卿。…お見事…です。」ハァハァ
トリスタン「いえ、私もここまで死を覚悟したのははじめてでした。流石は円卓の騎士、ですね。」フゥ
ぐだ男「トリスタン卿が見事勝利し、お互い讃えあいました。そして、その他の戦いはというと…」
ガウェイン「受けていただく!」ギャン!
エミヤオルタ(パロミデス)「甘いな!」シュリン
ぐだ男「実は、危険の城側に参加した騎士たちもまた、ほとんどが後に円卓の騎士として活躍する勇者ばっかりだったのです。
そのため、多くの試合でなかなか決着がつかず、拮抗してしまいます。そんな中、危険の城側の謎の騎士、ガレスだけが
たやすく円卓の騎士達から勝利をつかみ取っていきました。」
マリー(謎の騎士)「どうかしら?」ドォーン!
ダビデ(?)「うわ、きいたー!」バタリ
ゲルダ(観客)「御覧なさい!あの騎士様、また円卓の騎士を圧倒しましたわ!」
セルハン(観客)「あのメリアガーント卿までああもたやすく倒すとは、こりゃ全く驚きだぜ。」
ワーワー
===アーサー王陣営==========
アルトリア「まずいですね。円卓の騎士が、正体の不明の騎士に立て続けに敗れてしまうとは。
円卓の沽券に関わります。」
子ギル(?)「どうします?ランスロット卿を呼び戻しますか?」
アーラシュ(?)「…いや、ちょうど今、あの藍色の騎士に勝利して戻ってきたようだな。」
アルトリア「それはちょうどよい。ランスロット卿、お疲れのところ少しよろしいですか?」
ランスロット「ふむ。あの謎の騎士と戦え…という話ですか?」
アルトリア「そうです。あの凄まじさ、卿ほどの騎士でなければ相手はできないだろう。」
ランスロット「いえ、私の見込みが正しければ、私は、あの騎士と戦うことは許されないでしょう。」
子ギル(?)「…ああ、そういうことですか。」
アーラシュ(?)「なるほど、当初の目的はそうだったな。」
アルトリア「どういうことです?ですが、卿がそういのなら…」
ぐだ子「ひょっとして、王様当初の目的忘れてる?」
マシュ「戦いが熱狂して、ガレスのことはみんなすっかり忘れてしまっているようですね。」
ぐだ男「そうして、ガレスは多くの円卓の騎士達を倒していきますが、インターバルの際に、あるミスをしてしまいました。」
マリー(謎の騎士)「ふーう。これであと一息ね。」オミズゴクゴク
デオン(従者の小人)「…(我が主は、これほどの活躍をしているのに、誰も主の名前を知らないでいる。
もう正体を隠す必要もないだろう。)」
デオン(従者の小人)「…よし。」ひょい
ぐだ男「なんと、いつまでも正体を隠す主に、とうとう従者の小人は我慢できなくなり、なんと魔法の指輪を
とってしまったのです。そうとは知らない、ガレスは競技場に戻ってしまいます。」
マリー(ガレス)「さぁ、もうひと頑張りよ!」
==観客席==================
パツシイ(観客)「あれ…?さっきまで気づかなかったけど、よくみたらあの騎士、兜になにか書いてあるぜ?」
ラヴィニア(観客)「本当ね。ちっとも気づかなかったけど、何かしら?自分の名前でも書いているのかしら。」
ゲルダ(観客)「えーっと、あれは、が…レ…す?」
セルハン(観客)「ガレス…、ガレスだって!それはあの、オークーニーの王子様の名前じゃねぇか!!」
ワアアアアアアアアアアアアアア!!!
マリー(ガレス)「え、何何?」
ぐだ男「そう、お母さんが用意した兜だったからか、あるいは育ちがよいため自分の持ち物にちゃんと
名前を書く習慣があったのか…ともかく、なんとガレスの兜には彼の名前が彫られておりました。」
ラヴィニア(観客)「ガレス卿よ!」
マリー(ガレス)「え?」
ゲルダ(観客)「自分たちの正体を秘匿する乙女の情報を信じて、冒険に赴く勇気を持ち合わせているという!」
セルハン(観客)「ガレス卿だったのか!」
マリー(ガレス)「ええ?」
アーノルド(観客)「そして、救援を求める城を目指し、敵対勢力の地をものともせず突破したという!」
マーブル(観客)「ガレス卿だったのね!」
マリー(ガレス)「ええええ?」
シドゥリ(観客)「さらに城を救うだけでなく、敵対した騎士たちを説得し、許す寛大さを持つオークーニーの王子である…」
ランドルフ 「ガレス卿というわけか!」
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
マリー(ガレス)「なぜ!なんでばれてるのぉ?」
パツシイ (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」
ラヴィニア(観客)「ガーレースー!ガーレースー!」
ゲルダ (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」
セルハン (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」
アーノルド(観客)「ガーレースー!ガーレースー!」
マーブル (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」
シドゥリ (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」
ランドルフ(観客)「ガーレースー!ガーレースー!」
松平伊豆守(観客)「ガーレースー!ガーレースー!」
スルト (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」
ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
マリー(ガレス)「い、いやぁ、恥ずかしいわ!!」ダダダ
ぐだ男「正体不明のヒーローがガレス卿とばれてしまい、槍試合は凄まじい盛り上がりと
なってしまいます。それに驚いたのか、なんとガレスはその場から逃げてしまいました。」
イアソン(ケイ) 「あー、もうめちゃくちゃじゃねぇか!どうしてくれるんだこの状況!」
ベデヴィエール 「まずいです。結局試合はどうなるんだと、観客たちが暴徒になりそうです。」
アグラヴェイン 「くそ、とりあえず混乱を抑えるぞガヘリス卿!」
サンソン(ガヘリス)「…いや、まってくれアグラヴェイン。」
アグラヴェイン 「どうした?」
サンソン(ガヘリス)「いつの間にか、ガウェインもいなくなっているぞ。」
ぐだ子「とうとう正体がばれましたと。…さんざん皆を振り回しておいて、いざ自分に想定外なことが
起きると逃げ出すなんて、まだまだ子供ね」
ぐだ男「ちなみにこの危険の城、やっぱりまだ周囲に敵対勢力は残ってるんだけど、
ついでとばかりにガレスは城を攻め落としたりしてる。」
ぐだ子「完璧な八つ当たりね。」
==とある森====================
マリー(ガレス)「ああ、どうしましょう。最後の最後に失敗してしまったわ。
これから一体どうしましょう…あら?」
謎の騎士「…」
ぐだ男「そして、とある森を抜けようとしたときに、ガレスは謎の騎士と遭遇します。
異様なまでに殺気を放つ騎士に、ガレスは警戒します。」
マリー(ガレス)「貴方、なにもの!?」
謎の騎士「真っ向勝負と参りましょう。」チャキッ
マリー(ガレス)「戦う気ね!」サッ
ぐだ男「こうして、謎の騎士はガレスに決闘を挑みます。ガレスもそれに応じ、戦いがはじまります。」
ぐだ子「ここにきて、謎の騎士?一体誰なんだ…」
謎の騎士(ふむ)ギン
マリー(ガレス)「…強いわね。」ビュン
謎の騎士(なかなかの腕前。しかも彼の強みはそれだけではない。)゙
マリー(ガレス)「でも負けないわよ!」
謎の騎士(これほどの強さがあり、また、敵対した者たちを引き込む心を持つのであるならば)゙
マリー(ガレス)「さぁ、受けてみなさい!」」チャキ
謎の騎士(仮に私や、他の兄弟が魔道に堕ちたとしても、この子さえいれば…)カチッ
謎の騎士「お見事、私の負けです。ガレス卿。」
ズバァ!
マリー(ガレス)「…え?」
謎の騎士の兜が割れ、その正体が明らかになりました。」
マリー(ガレス)「そ、そんな!」
ガウェイン「…」
マリー(ガレス)「お、お兄様!何故どうして、こんなことを!」
ガウェイン「ははは、やっと昔のように、私を兄と呼んでくれましたね、ガレス。」
マリー(ガレス)「な、何を言っているのよ、こんな、こんなぁ!!」グスー
ガウェイン「…貴方と同じですよ。ガレス。私は貴方と同じことがしたかったのです。」
ガウェイン「私も、純粋に貴方の力を計りたかったのですよ。だからガレス。すべてが私の望んだことの結果。
この敗北も私に責任があることですから、貴方が気に病むことはありません。」
マリー(ガレス)「え…あ…。」
ガウェイン「…」
マリー(ガレス)「…ごめんなさい。」
マリー(ガレス)「…ごめんなさい。ごめんなさい!私、私…」
マリー(ガレス)「こんな風にずっと、心配をかけてきてしまったのね!お兄様に、お母様に、
そして周りのみんなに!、ごめんなさい!私、そんなつもりじゃ…」
ここでガウェインの行いは責められないよね。」
マシュ「結果は残しておりますが、自分の都合で奇行に走っていた側面は否定できませんからね。
良くも悪くも、周囲を振り回してしまいましたから。」
ぐだ男「ただ、そこは流石キャメロット、そういう未熟な若者の暴走を受け入れる
寛容があったんだね。」
ガウェイン「…大丈夫ですよ。ガレス」(むくり)
ガウェイン「確かに私も、母上も、我が王もずっとあなたを案じていました。
しかし、あなたは今そのことを反省できたから、皆それを許すでしょう。」
ガウェイン「さぁ、帰りましょうガレス、我が王のもとに。」
マリー(ガレス)「…はい。ありがとうお兄様!これからはずっと、ずうっと一緒に行きましょう!」ズビー
ガウェイン「…。ええ、そうでありたいものですね…。」
====アーサー王陣営========
ワイワイ
ワイワイ
アルトリア「多少混乱は落ち着いてきましたね。」
イアソン(ケイ)「ったく、あのクソガキめ。本当に迷惑ばっかかけやがって。ブツブツ」
ベデヴィエール「おまけにガウェイン卿まで、どこかに行ってしまったようですよ?」
アーラシュ(?)「いやまった、向こうの森から誰か来るぞ、あれは、ガウェイン卿と…
ガレス卿だ!二人が戻ってくるようだぞ!」
パツシイ (観客)「おーい、皆!今日の主役、ガレス卿が、ガウェイン卿と一緒に戻ってきたぞ!」
セルハン (観客)「はっはっは本当に大した小僧だぜ。よーしみんな!英雄様のご帰還だ。
準備はいいな!」
ワァァァァア ガレスー! ガレスー! ガレスチャーン!
ガウェイン 「全くすごい歓声ですね。心の準備は大丈夫ですか?サー・ガレス。」
マリー(ガレス)「だ、大丈夫よ!お兄様こそその傷、浅くはないのですからしっかりと。」
ぐだ男「周囲の人間が一様になって祝福する中、ガレス卿はガウェイン卿と馬を並べて行進します。」
フィン(ユーリエンス)「…ふむ、あのロット王の息子だったというわけか。そしてこの歓声、
いずれ、あのような若者が世を支えていくことになるのだろうな。」
マタハリ(モルガン) 「老害に居場所なんてあるわけないわよねー。」
フィン(ユーリエンス)「…そういう意味でユーリエンス王は、今日新時代の若者礎として
重要な役目を担ったということだな。」
マタハリ(モルガン) 「あーら、それなら素直におっ死んでさっぱり消えてしまえば
サマになるのに」
フィン(ユーリエンス)「そう思うだろう?アコロン。」 ハハハ
マタハリ(モルガン) 「そう思うでしょう?アコロン。」フフフ
ディルムッド(アコロン)「二人とも、そんなにギスギスしないでください!」
酒呑童子(モルゴース)「…ええ、そうやねぇ(くらっ)」
バタン
アルトリア「あ、姉上!大丈夫でせすか、」
酒呑童子(モルゴース)「あかんなぁ…かなわんなぁ。うちの汚れた身には、ほんに…あの子は…
あの子はまぶしすぎるわぁ…。(ツー)」
アルトリア「…姉上。お疲れのようですね。誰か!
姉上を休める場所に。」
粛清騎士「はっ!」
金時(ラモラック) 「…」
金時(ラモラック) (なんだよ、あの王妃、泣いていたのか?…調子狂うじゃねえか。)
カルナ(パーシヴァル)「どうした?あんちゃん。ぼーっとして」
アルジュナ(?)「何かありましたか?兄上。」
金時(ラモラック) 「な、なんでもねぇ!なんでもねぇったらよ!」ギクッ
ぐだ男「歓声の中アーサー王の元に赴くガレス卿はとても立派な姿でした。それを見たロット王妃は喜びのあまり
気絶してしまうほどでした。そして、アーサー王はこの槍試合で、ガレス卿がもっとも活躍したことを認め、
ガレスとライオネルは無事に結婚するのでした。…めでたしめでたし。」
ぐだ男「ガヘリスと結婚するみたい。」
ぐだ子「えー、なんか可哀想。」
マシュ「フフフ、実は先輩と同じ感想を持った人もいたのか、19世紀半ばにかかれた国王牧歌という伝説では、
なんとガレスの結婚相手は、ライネットに変更されているそうですよ。」
ぐだ男「それにしてもガレスって、ガウェインと本当に仲がよさそうなんだね。」
マシュ「とても大切にされていたようでしたね。少しネタバレになりますが、アーサー王の死において、
ガウェイン卿は必ずしも善良なだけの人物と描かれているわけではなく、謀略を仕掛けるところもあったりします。
ただ、ほかの兄弟達はガウェイン卿に同調するものの、ガレスだけは一切かかわらなかったとされています。」
ぐだ男「ひょっとしたら、ガレスはかかわらなかったじゃなくて、
ガウェインが関わらせようとしなかったのかもしれないね。」
マシュ「ええ…年の離れた弟で、周囲の皆に愛された騎士だったので、自分や他の兄弟達が
悪に堕ちたとしても、ガレスだけはアーサー王のもと、正しき道を歩んで行ってくれる…。
そんな期待がガウェイン卿にあったのかもしれないですね。」
ぐだ子「そっかー。まぁ、ランスロットともめちゃくちゃ仲がいいみたいだしこのガレスちゃん。きっと
さぞや立派な死に方をしたんだろうねー。」
マシュ「…あの先輩、それは…」
ぐだ子「?」
完
ぐだ男「それじゃ、またお話を読んでみようか。」
ぐだ子「そうねー。今回はランスロットのところを見てみましょう。」
マシュ「え?」
ぐだ子「不倫関係なのに、このまえのガレスちゃんから尊敬されたり、王様から
信頼されたりって、不思議じゃない?こう、みんなが納得するような格好いいエピソードとか…」
マシュ「うーん。気が進まないですけど、ランスロット卿とギネヴィア妃の関係はどうでしょうか。」
ぐだ男「了解…えーっと、パラパラ。話は聖杯探索の終わりまで飛んで…と。」
ぐだ男「ランスロット卿は、アーサー王のお妃さま、ギネヴィア王妃が大好きです。
また、ギネヴィアもランスロットが大好きなので、二人はよく会ったりしていました。」
=====王妃の部屋============
天の衣(?)「いつもありがとね。ランスロット卿。次はいつお会いできるかしら?」
ランスロット「…ギネヴィア様。」
天の衣(ギネヴィア)「どうしたの?そんな顔をして。」
ランスロット「…私は、少しキャメロットを離れようと思っております。」
天の衣(ギネヴィア)「…え?」
ぐだ男「しかしある日ランスロットは、ギネヴィア王妃にキャメロットから距離をおくつもりであると告げます。」
ラモラック卿が謀殺され、トリスタン卿が王のもとを去り、
また先の聖杯探索により、我が息子ギャラハッドやパーシヴァル卿をはじめ、
多くの騎士が離脱しました。」
天の衣(ギネヴィア)「ええ、そうね。だからこそあなたがいてくれないと困るでしょう。」
ランスロット「…しかし最近、アグラヴェインとモルドレットが、私のことをよく監視する
ようになりました。」
天の衣(ギネヴィア)「ガウェイン卿の弟の?」
ランスロット「…あの二人は、私を失脚させれば自分たちの天下とばかりに、悪い噂を流しています。
私はこれまでギネヴィア様に、わずかばかりでもお力になれるようお傍に仕え尽力してまいりましたが、
この行動をも不貞ではないかと中傷してきています。このままでは、王妃の、
そして我が王の名誉まで傷つけてしまいます。」
ランスロット「…彼らには邪悪な面もありますが我が王の甥であり、円卓の中心にあるべき騎士です。
円卓の力が弱まりつつある今、彼らと対立するわけにはいきません。
故に一時この身を引き、ギネヴィア様とも距離を置くつもりでございます。」
ぐだ男「ランスロット卿は、王妃とこっそり会うことを繰り返していましたが、アグラヴェイン卿やモードレット卿が、
次第に監視してくるようになったので、一度王妃と距離をおき、潔白を証明しようと考えていたのです。」
ぐだ子「なんだ、ランスロットってばちゃんとしてるじゃない。」
マシュ「違います先輩!それは、先輩の解釈が著しく好意的にされているからにすぎません!」
ダヴィンチちゃん「聖杯探索の後ランスロット卿と王妃は、より頻度をあげて会うようになったといわれている。
まぁ、つまり…ギャラハッド卿が、天に召されてからタガが外れたように、とも
いえるかもしれないかな。」
マシュ「そして、アグラヴェイン卿が、ランスロット卿の監視をするようになったというのも、
二人がよく逢瀬をするようになったからです。」
ぐだ男「うーん。息子がいなくなったとたん、主君の妻とよく会おうとする騎士…。」
マシュ「普通に考えれば本当に、最低です!」
なるったけこう…いいところもある!って感じに見ていこうじゃない。」
マシュ「ま、まぁ先輩がそういうのなら…」
ぐだ男「んじゃ、続き続き…」
天の衣(ギネヴィア)「…」
ランスロット「ギネヴィア様?」
天の衣(ギネヴィア)「…そう。私のことなんて、どうでもよくなったのね。」
ランスロット「…いえ!そのような…ことは決して!」
天の衣(ギネヴィア)「もうあなたのことなんて、知らない!出ていきなさーい!」
ぐだ男「が、王妃は、ランスロットは自分のことを嫌いになったのだと怒り、
ランスロットはキャメロットから叩き出したのでした。」
小次郎(?)「それで叩きだされ申したか。」
ランスロット「違う!…ギネヴィア様は、素晴らしいお方だ。
少しでも未練をみせたら、私の覚悟が揺らいでしまうとみて、
あえて強いお言葉で拒絶してくださったのだ。」
小次郎(?)「え~本当でござるか~?」
ランスロット「…。」
ランスロット「うっ、うっ、うっ…ギネヴィア様…」
小次郎(?)「難儀な御人よなぁ。」
ランスロット「ボールス…。私が不在のあいだギネヴィア様の力になってくれ…」
小次郎(ボールス)「心得た…が、無論貴公程とはいかぬ故、ほとぼりが冷めたら
またお戻りくだされよ。」
ランスロット「ああ…。ぐすん。」
マシュ「ここは自業自得とはいえ、ちょっとランスロット卿がかわいそうかもしれませんね…。」
ぐだ子「そうそう。そんなかんじよ。」
ぐだ男「さて、それから、ギネヴィア王妃は円卓の騎士達の晩餐会を開くことになりました。」
====キャメロット============
アルトリア「ふー…。」ドサッ
ベディヴィエール「お疲れですか?我が王。少し休まれた方が…」
アルトリア「いえ、いくさや先の聖杯探索で、円卓の騎士達にも大きな被害が出てしまいました。
その補填、復興ののためにも、今は休んでいられる場合ではありません。」おしごとおしごと
イリア(?)「それでも、今日くらいは羽を伸ばされてもいいのではないですか?」
アルトリア「なぜです。コンスタンチン?」
ベディヴィエール「ギネヴィア様が功のあった円卓の騎士達を招き、晩餐会を催されて
おります。」
アルトリア「ああ、今日でしたね。ギネヴィアにも本当に力になってもらっています。彼女や騎士達が
安心してくつろげるためにも、もうひと頑張りしないといけませんね。」
イリア(コンスタンチン)「…ランスロット卿がキャメロットを離れられて…ギネヴィア様は
アーサー様にこそいらしてほしいのに…」ボソッ
=====晩餐会会場==========
マリー(ガレス)「今日もランスロット卿はおいでになられていないようね。」
アグラヴェイン「ふん。殊勝なことではないか。ようやくあの男も己を立場をわきまえるように
なったのだからな。」
モードレット「そーそー。これでキャメロットに俺たちに対抗できるやつは
いなくなったじゃねえか。」
ガウェイン「いずれ戻ってくるにせよ、ランスロットに頼りきるわけにもいきません。
我々だけでもキャメロットを支えていけるくらい、頑張っていきますよ。」
アグラヴェイン「うむ。」
茨城童子(?)「…ギリッ」
ぐだ男「しかし、その晩餐会に参加した騎士に、邪なことを考える騎士がいました。」
茨城童子(?)(忌まわしきガウェインめ、今日こそ吾が従兄ラモラックの仇をとってやる!)
茨城童子(?)(本来ならば、吾が手で血祭にあげてやるところではあるが…)
茨城童子(?)(誇り高きラモラックは我が王の甥を手にかけることをよろしくとせず、
死ぬその時まで彼奴らへの怒りを己の中に抑え込んだ男…)
茨城童子(?)(だのに、吾が直接手にかけては、面目たたぬ。)シュン
茨城童子(?)(…。)
茨城童子(?)(故に…暗殺をする。)キリッ
ぐだ男「ピネル卿は、敬愛する従兄ラモラック卿がガウェイン卿とその兄弟達に嬲り殺しにされたため、
この晩餐会で復讐をしようと企んでいたのです。」
茨城童子(ピネル)「ふっふっふ」(リンゴを取り出す。)
果実をたくさん山盛りにして準備しておりました。」
ぐだ子「果物?じゃがいもじゃなくって?」
マシュ「果物がごちそうで、ジャガイモが主食だったんでしょうね。」
茨城童子(ピネル)(この果実の山に、この毒林檎を混ぜてやる。ククク己の強欲さを悔い、地獄に落ちるがよい!」(ひょい。)
ぐだ男「ガウェイン卿のために、用意された果実の山に、ピネルは毒林檎をまぜてしまいました。しかし…」
アタランテ(?)「おお…たわわな果実が山積みに!」
アタランテ(?)「一つくらいいただいてもよいだろう。いっただっきま~す。」ぱくっ
ぐだ男「晩餐会に参加したアイルランドの勇士パトリス卿が、毒林檎を食べてしまいました。」
茨城童子(ピネル)(な、なにっ!)
アキレウス(?)「お、おいどうしたパトリス!!しっかりしてくれ!」
アグラヴェイン「何だ?何があった?」
アタランテ(パトリス)「ぐっ、り、りんごが…ぐふっ」
エミヤオルタ(パロミデス)「林檎…これは、毒入りか?」
サンソン(ガヘリス)「晩餐会の馳走は、すべてギネヴィア王妃が用意されたものだが…」
茨城童子(ピネル)「そ、そしてこの果物の山は、ガウェイン卿のために特別に用意されたものであろう!!」
アキレウス(?)「ってことは…王妃がガウェイン卿の暗殺をたくらんだんだな!それでパトリスが犠牲に…
許せねぇ!」
アキレウス(マドール)「このマドール卿が、ギネヴィア王妃!あんたを暗殺の罪で告発するぜ!!」
天の衣(ギネヴィア)「そ、そんな!」
ぐだ男「毒林檎によりパトリス卿は死んでしまいました。
晩餐会を準備したギネヴィア王妃が暗殺をしくんだとして、マドール卿が王妃を告発します。」
ぐだ子「山とつまれた果物をガウェインは一人で全部食べるつもりだったのかしら?」
ダヴィンチちゃん「まさか。ゴリラじゃあるまいし。」
ぐだ男「アーサー王は暗殺事件を聞きつけ、すぐに駆け付けました。そして事情を聞き、
王妃の弁護をしてくれるよう期待し、円卓の騎士達に問いかけます。」
==========
アルトリア「残念なことが起きてしまった。何者かが暗殺を企み、パトリス卿が犠牲になりました。
そして卿らは、晩餐会を開いたギネヴィアが犯人だと考えているようだが、私は
ギネヴィアは無実と考えています。どうか我が妃の無実を訴えてくれる騎士は名乗りをあげてくれまいか?」
イアソン(ケイ)「…」
サンソン(ガヘリス)「…」
マリー(ガレス)(ねぇ、パーサント卿、アイアンサイド卿…王妃様がお兄様の命を狙う理由があるかしら?)
オルタニキ(赤騎士)(理由か。あるといえば…あるだろう。)
マリー(ガレス)(やっぱり、ランスロット卿関係かしら?)
フェルグス(藍色の騎士)(もしガウェイン卿がいなくなれば、さすがにランスロット卿を
キャメロットに呼びもどさざるをえなくなるだろうな。)
オルタニキ(赤騎士)(あるいは、ランスロット卿不在のうちに、彼の政敵となりうるガウェイン卿を
排除したかったか。)
マリー(ガレス)(…王妃様。本当にそこまでランスロット卿を?)
アグラヴェイン(…ありえなくは、ない。)
モードレット(とはいえ、口にはできない。王の御前で王妃とランスロットの関係に言及すれば
父上の名誉をも傷つける。)
モードレット(いっそ擁護するか?王妃は対ランスロットのカードになるぞ?)
アグラヴェイン(…いや。どういった形であれ、ランスロットと王妃の繋がりが立たれるのであれば、
いっそのこと…。)
モードレット(たとえ真実でなくてもこの場で処刑されてくれりゃ、それが一番父上の顔が立つ、か?)
アルトリア「だ、誰も擁護する気はないということですか?」
エミヤオルタ(パロミデス)「…」
ぐだ男「円卓の騎士達は、お互いを庇いあい、一様に口をつぐみました。王妃が無実であると主張するものは
誰一人としておりませんでした。」
アルトリア「ああ…、もしここにランスロットがいれば、誰よりも早く妃の名誉のため名乗りをあげてくれたのに。」
アグラヴェイン(またあの男を頼りに…)
ぐだ子「うーん。王妃様って嫌われていたの?」
マシュ「そういうわけではなかったと思いますが、同胞に暗殺者がいるという事実を、円卓の騎士達
は認めたくなかったようですね。」
天の衣(ギネヴィア)「お願いボールス、力を貸して!」
小次郎(ボールス)「拙者が、でござるか?」
ぐだ男「ギネヴィアはランスロットの甥、ボールスの力を借りることにしました。」
小次郎(ボールス)「…ランスロット殿より、王妃殿に力を貸すように申し付けられております故。」
小次郎(ボールス)「真に王妃殿の潔白をはらさんという騎士が現れぬ限りは、お力になりましょうぞ。」
天の衣(ギネヴィア)「ありがとう。でも…私の力になってくれる騎士なんていないわよ。誰も私を擁護してくれないし…」
小次郎(ボールス)「…かつては、ござったはずでありますなぁ」
天の衣(ギネヴィア)「ううう…わかってるわよ。意地悪ね。」
ワイワイ
アルトリア「…」コソッ
アルトリア「…ボールスが引き受けてくれるか。ならばひとまずは安心ですね。」
イリヤ(コンスタンチン)「本当にいいの?アーサー様。ギネヴィア様のため…
アーサー様が直接擁護すればいいじゃないですか!」
アルトリア「前にもいったはずです。王は訴えに対し裁きを与える立場。妻といえども、
個人の擁護に回ることはできません。」
イリヤ(コンスタンチン)「だからってギネヴィア様のこと、ずっとランスロット卿に任せっきりで…
ランスロット卿がいなくなってもほったらかしで、それでこんなことが起きて!
いいんですか!こんなの!!」
アルトリア「コンスタンチン!あなたもいずれ王となる立場です。
王たるものが私情に任せて判断をあやまってはなりません。」
ぐだ男「王様はボールスが、ギネヴィアの力になってくれると安心し、裁判を開くことにするのでした。」
====裁判会場================
アキレウス(マドール)「さぁ、ボールス、決着をつけようぜ!」
小次郎(ボールス)「あいや、またれい。」
アキレウス(マドール)「何だと。臆したか?」
小次郎(ボールス)「貴殿の望みは、暗殺犯の処刑であろう、決闘するにせよそれを整えてからでも遅くはないであろう。」
アキレウス(マドール)「…それもそうか、よし」テキパキテキパキ
ぐだ子「決闘?裁判ではなくって?」
ダヴィンチちゃん「決闘裁判といって、被告と原告が決闘をすることで判決を決めていたのさ。
王妃は決闘できないから、その役目をボールスに頼んだということだね。」
ぐだ子「物騒ね…。」
サンソン(ガヘリス)「火刑の準備はできたぞ。」
アキレウス(マドール)「さあ、ボールス、これでいいな!いくぜ!!」
小次郎(ボールス)「折角だし、決着と同時に、すぐ執行できるようにもしておくべきでござろう。」
アキレウス(マドール)「それもそうか?…じゃあ王妃、こっちへ!」
天の衣(ギネヴィア)「えー…」
サンソン(ガヘリス)「恐ろしいですか?」
天の衣(ギネヴィア)「死を恐れはしないわ。恐れるのは真実が闇に葬られてしまうことよ。」
ガウェイン「流石は、王妃。ご立派な覚悟です。
あ、猿轡をどうぞ。」
天の衣(ギネヴィア)「…」ぎゅー
アキレウス(マドール)「よし、これでいつでも執行できるな。さぁ…」
小次郎(ボールス)「待たれよ。腹が減っては決闘ができぬゆえ。今弁当を食っておる」もぐもぐ
アキレウス(マドール)「お前さん、いい加減に…」
小次郎(ボールス)「貴殿の分もあるぞ?」もぐもぐ
アキレウス(マドール)「お、おう…」ムシャムシャ
…
アキレウス(マドール)「…さぁ、これもうやり残したことはないな!」
小次郎(ボールス)「うむ。潮時よな。では…拙者は身を引くとしよう。」
アキレウス(マドール)「!」
アルトリア「なっ…!」
天の衣(ギネヴィア)「むー!むー!(ちょ、ちょっとどういうことボールス!)」
ぐだ男「決闘するにあたり、ボールスはマドールを待たせておいて、辞退することを宣言します。」
小次郎(ボールス)「王妃殿、最初に申したはず。真に王妃殿の潔白をはらさんという騎士が現れば拙者は身を引くと!」
天の衣(ギネヴィア)「むむー!(な、なんですって!)」
ぐだ男「そう、自分が王妃のために戦うと謎の騎士が裁判の場に乱入したのです。」
??(謎の騎士)「Arrrrrrrrr!」
アキレウス(マドール)「ほう、お前が王妃の代わりに戦うということか、相手をしてやろう!」
??(謎の騎士)「oooooa!」ダダダダダダダダ
アルトリア「そこまで!!」
アキレウス(マドール)「ま、負けた、この俺が!!」
??(謎の騎士)「Arr…」
天の衣(ギネヴィア)「ぷはぁっ…あ、あなたは…一体誰?。まさか…」
ぐだ男「敗北により、マドールは王妃の無罪を認めます。それに喜んだアーサー王と、ギネヴィアは
謎の騎士に何者か問うと騎士はおもむろに兜を外しました。」
アルトリア「ランスロット!!」
ランスロット「肝心な時にお傍にいることかなわず、申し訳ございませぬ。」
天の衣(ギネヴィア)「そんなこと!むしろ私は、あの時ひどいことを言ってしまったのに!」
ぐだ男「そう、騎士の正体は、一度キャメロットを叩きだされたランスロットだったのです!」
アキレウス(マドール)「しかし、王妃が犯人でないとすると、パトリスは一体誰に…」
スカサハ(?)「知りたいのならこの場を見渡してみるがいい。」
アルトリア「ニュミエ?」
スカサハ(ニュミエ)「都合が悪いのか、決着と同時に逃げたものがいるようだ。」
モードレット「(きょろきょろ)そういえば、ピネルがいないぞ。」
ガウェイン「お見事です。ランスロット卿。私達は無実の王妃を処刑してしまうところでした。」
マリー(ガレス)「流石ランスロット卿だわ!」
ランスロット「いや、君らは先にギネヴィア様に詫びをいれなさい。」
アルトリア「いえ、私からも礼いいます。ランスロット卿。」
ランスロット「我が王!」
アルトリア「今後も、どうか我妻の支えになってくれないか。」
ランスロット「そ、それはその…もちろん。」
天の衣(ギネヴィア)「本当にありがとう!ランスロット!」
アグラヴェイン(…どうしてこうなった!)
ぐだ男「そして、真相が判明し犯人のピネルは逃げ出しました。ギネヴィアは窮地に陥ったなか、円卓の騎士達が
誰も味方になってくれない状況でランスロットだけが、ひどい仕打ちを受けたのにも関わらず駆け付けてくれた
ことに深い後悔と感謝の念ををもち、二人の絆はより一層強化されたのでした。めでたしめでたし?。」
日常的に味方はいなかったのかしら?」
マシュ「日常的にどうだったかはともかく、アーサー王は、マーリンの反対を押しのけてまで、
ギネヴィア王妃を妻として迎えたといわれていますから大事に思っていたのは間違いないはずです。」
ダヴィンチちゃん「もちろん結婚する際に、マーリンからいずれランスロットと不倫することも予言されているよ。」
ぐだ子「そこまでいわれても、アーサー王はギネヴィアを王妃に迎えたのね。」
ダヴィンチちゃん「そしてギネヴィアは王に信頼されたよ。例えば、アーサー王がローマに遠征する際には、
ブリテンのことは王妃ギネヴィアに託された。ギネヴィアをアーサー王の後継である
コンスタンチンと、老臣ボードウィンが補佐する体制になっていたようだからね。」
ぐだ子「プライベートはともかく、公的な面では頼りにされていたのね。どっちかというとキャリアウーマン?」
マシュ「アーサー王がギネヴィア王妃と結婚する際に、誰よりも立派な女性と評価していますので、能力のある方だったんでしょう。
しかし、そのプライベートにおけるランスロット卿とのことで、円卓は崩壊に向かっていきます。」
ぐだ男「モーさんが何かするんだっけ。えーっと(ペラペラ)ある日、アーサー王のお部屋で
ガウェイン卿が、兄弟達とおしゃべりしていました。」
===アーサー王のお部屋=========----
アグラヴェイン「卿らはランスロットとギネヴィア王妃は不倫をしていることと、それを我が王が
黙認されていることをどう考えている。」
マリー(ガレス)「我が王が黙認されておられるのなら、そこまでの関係ということでしょう。
王妃が、王が最も信頼する騎士から奉公を受けることも、
騎士が、敬愛する王の妻から祝福を受けることを至上の喜びとすることも、
それにとどまることなのであればなにも恥じることはないわ。」
アグラヴェイン「…」
サンソン(ガヘリス)「まぁ、実際どうなのかは本人達しか預かり知らぬことだ。」
モードレット「知ろうとした者もいるだろうに誰も知らないということなら、それは
そういうことだろうがよ。」
ガウェイン「その話題をするということはアグラヴェイン卿。あなたは王の名誉を守りたいのですか?
それとも醜聞を理由にランスロット卿を排斥したいということですか。」
アグラヴェイン「先のガウェインの暗殺未遂事件。そしてメリアガーントによる誘拐事件。
二人の関係がガレスの言以上になるという懸念は十分にある。故に
奴を失脚させる必要がある。」
サンソン(ガヘリス)「馬鹿を言うな。ランスロットは国を保つ上で、重要な男だ。
それがわからぬお前ではあるまい。」
マリー(ガレス)「そうよ。なんて乱暴なことをおっしゃるの!アグラヴェインお兄様は
ランスロット卿を信用できないの?」
アグラヴェイン「王の妻と密通するような男を、なぜ信用できる!」
ガウェイン「…面白いものですね。」
モードレット「あん?」
ガウェイン「アグラヴェイン卿。ランスロットは逆にあなたを信用していなさそうですからね。」
アグラヴェイン「…何?」
しかし二人の王に対する思いが100であっても、ランスロット卿は周囲の人間…いや、
見知らぬ民草相手であっても80くらいはある騎士。一方でアグラヴェイン卿は、
よほど仲良くなければ限りなく0に近い…といったところですね。」
アグラヴェイン「…」
ガウェイン「だから、ランスロット卿は、周囲や目下の人間にすら愛をもって接することのできない
アグラヴェイン卿が、どうして主君である王を敬愛することができるかと疑っています。」
アグラヴェイン「だが、奴は…!
ガウェイン「ランスロットのように周囲に分け隔てなく接するような男であれば、敬愛の対象もいつか王から
別の誰かにうつるかもしれない、と怖がっているのでしょう。」
アグラヴェイン「…ああ、そうだ。だから奴は危険すぎる。」
ガウェイン「はぁ。いいですか?あっくん。考え方からして水と油のあなた達に、今更わかりあえとは
言いません。あなたとて、ランスロットの必要性は理解できているでしょう。それを劇薬と
とらえるかもしれませんが。」
アグラヴェイン「…いや、しかしだな。」
マリー(ガレス)「どういうこと?」
モードレット「ランスロットの王に対する忠誠は本物かもしれない。
だが、それはブリテンに対しての忠誠ではない。決してな」
アグラヴェイン「…そうだ。そのとおりだ。」
モードレット「それこそ、お優しいランスロットがブリテンの在り方そのものに対して
異議を唱えたら、父上は果たしてどうされるかね。」
ガウェイン「…」
ガウェイン「アグラヴェイン卿、モードレット卿。分をわきまえるのであるのならば、
ランスロットがあなた達をどれほど非難しようとも私はあなた達を守ります。
しかし、彼を排斥しようとするのならば、その報いを受けることになるでしょうね。」
サンソン(ガヘリス)「そもそもお前ら如きがランスロットをどうこうできるとでも思っているのか?」
ぐだ男「すると、そこにアーサー王が戻ってきました。」
アルトリア「おや、卿達はここで一体何を話し合っているのです。」
ガウェイン「いえ、話は終わりました。失礼します。」
サンソン(ガヘリス)「…ふん。あいつらが馬鹿をしたら、円卓も終わりだな。」
ぐだ男「ガウェイン達は退室し、残ったアグラヴェインに対しアーサー王は尋ねます。」
アルトリア「ランスロット卿と、ギネヴィアの件について、ですか。」
アグラヴェイン「はい。二人は不貞の関係にあり、我が王が黙認されていらっしゃいます。
私はこれを由々しき自体だと考えております。」
アルトリア「面と向かって妻を侮辱されると私も穏やかではいられぬが。」
アグラヴェイン「故に私も死を覚悟して申し上げます。」
崩壊につながりかねないということも理解していますか?」
アグラヴェイン「逆に言えば、瑕疵を正すには今しかないと考えております。」
アグラヴェイン「不義を黙認することは、我が王の理想とかけ離れていると理解しております。
黎明期では、確かにそのようなことも必要だったでしょう。しかし、ブリテンが形作られつつある今
永遠にそれを内包することがあってはなりません。」
アグラヴェイン「円卓を再建しなければならない状況です。
今黙認されてきた過ちを排除することができれば、より我が王の
理想にそった形で再び築き上げることができるでしょう。」
アグラヴェイン「王よ、お願いがございます。一度だけで構いません。どうか私に機会をお与えください。」
アルトリア「そこまでの覚悟があるなら、いいでしょう。今度狩猟でその日は帰らないと
ギネヴィアに伝えましょう。」
アグラヴェイン「…感謝いたします。」
ぐだ男「アグラヴェインは、アーサーにランスロットとギネヴィアの不貞について、
訴えます。そしてアーサーは訴えを認めアグラヴェインにチャンスを与えるのでした。」
ぐだ子「…アグラヴェインは嫌な奴だったけど、ガウェイン達と相談しているし、ちゃんと
王様に訴えているし、独断専行はしていないのね。」
マシュ「暗殺事件の時のように、決闘裁判を申し付けることもできたはずですが、
この伝説では、アーサー王も現場をおさえるよう協力しているようですね。」
ぐだ子「決闘裁判だと、相手が間違いなくランスロットになるものね…。」
ぐだ男「チャンスを得たアグラヴェインは、モードレットとともに浮気現場を取り押さえる準備をします。」
モードレット「父上はどうだった?」
アグラヴェイン「訴えは認めていただけた。今度、我が王に狩猟に出かけた晩、浮気現場を抑えるぞ。」
モードレット「上々。こっちも協力してくれそうなやつを募っといたぜ。」
メカエリチャンⅠ(?)「いよいよです。外様の不倫男を排除して、正しき円卓を取り戻します。」
メカエリチャンⅡ(?)「まったくです。そもそも王の親族がよそ者の機嫌を伺うようなことあってはなりません。」
アグラヴェイン「ラヴェルにフローレンス!ガウェインは承知しているのか?」
メカエリⅠ(ラヴェル) 「お父様は反対しましたが、この機を逃すことはできません。」
メカエリⅡ(フローレンス)「お父様は甘いところがありますので、私たちでなしとげます。」
ぐだ男「アグラヴェイン達は、ガウェインの息子等、10名程の仲間とともに、武装して王妃の
部屋まで向かいました。」
====王妃の部屋======
天の衣(ギネヴィア)「ランスロット…」
ランスロット「王妃様…」
このまえ誘拐されたときも、貴方が私を助けてくれた。
…もう私にはあなたしかいないのかもしれない…」
ランスロット「ギネヴィア様…」
モードレット 「様子はどうかな…と」じー
アグラヴェイン「どうやら話をしているようだ。」じろり
モードレット 「言い逃れのできない状況で、確保するってことでいいな。」
アグラヴェイン「うむ。まだ決定的ではない。」
モードレット 「…」
アグラヴェイン「…」
モードレット 「…」
アグラヴェイン「…」
モードレット 「…!!」
アグラヴェイン「…!!!」
モードレット 「…そこまでだ!!」
アグラヴェイン「…そこまでだ!!!」
ぐだ男「とうとうランスロットとギネヴィアは、現場をおさえられてしまいました。」
アグラヴェイン「ランスロット…そして、王妃!!やはり我が王を裏切っていたな!
この、不埒物が!!」
天の衣(ギネヴィア)「わ、私は…」
ランスロット「…裏切り…?不埒物…だと?」ブチッ
ランスロット「王妃が今までどれだけ王に尽くし、また心を痛めてきたかも知らずに侮辱する気か!」
ランスロット「ほざくなアグラヴェイン!」
ぐだ男「ランスロットは、現場を取り押さえた騎士達と戦い、やっつけました。
しかし、モードレットだけは重傷をおいつつも逃げることに成功し、このことを王に報告しました。」
ぐだ子「えーっと。MINAGOROSHI?ガウェインのお子さんも?」
マシュ「はい。」
アグラヴェイン「む、無念」ガクッ
ランスロット「…ギネヴィア様。お怪我はありませんか?」
天の衣(ギネヴィア)「平気よ。…でも、これからどうするの?」
ランスロット「王の騎士を殺めた以上、私は王に裁かれなくてはなりません。
…ギネヴィア様、いそぎボールスをお頼りください。彼ならあなたを
フランスまで逃がしてくれるでしょう。」
天の衣(ギネヴィア)「いえ、アーサーに裁かれなければならないのは私の方よ。
王妃として、私はこれ以上あの人を裏切れないわ!
だから、ランスロットあなたは逃げて。」
ランスロット「…申し訳ございません!」
ぐだ男「ランスロットは逃げようと提案しましたが、王妃はアーサー王の裁きを受けなければ
ならないといい、ランスロットは一人で逃げました。」
ランスロット「いずれアグラヴェインとは、こうなるかもしれない予見があったが、
ガウェイン卿の息子まで手にかけてしまうとは…」トボトボ
ぐだ男「そして、ランスロットは甥のボールスと再会を果たします。」
小次郎(ボールス)「やぁランスロット殿。此度の件。おどろかしてくださいますな。」
ランスロット「ボールス…!すまぬ。」
メディア(?)「全く、滅茶苦茶するんだから。」
ランスロット「不甲斐なき叔父を許してくれ、ライオネル」
エミヤオルタ(パロミデス)「ふっ、それにしてもうまくやったものだな。」
ランスロット「…パロミデス。卿も一緒か。どうか皮肉を言ってくれるな。」
メドゥーサ(?)「兄様…本当に大変な騒ぎになっていますよ。」
ランスロット「そうだろうな。エクター。」
ランスロット「このような大罪を犯し、許されぬ身だ。
身内や友に捕縛されるのならば、それも運命かもしれんな。」
メディア(ライオネル)「…はい?」
小次郎(ボールス)「…この御人はなにを言っておられるのだ?」
ランスロット「卿らは、王の騎士を殺めた私を捕縛にきたのだろう。」
メドゥーサ(エクター)「えーっと…いや、その…
すみませんこれ、どういうことなんです?」
エミヤオルタ(パロミデス)「貴様自分がおかれている状況をわかっていないようだな。」
ランスロット「…なぜだ。話がかみ合わぬ。」
メディア(ライオネル)「…いや、ランスロット卿。あなた、王に取り巻く奸臣を
成敗したんじゃないの?」
ランスロット「…何を言っている!私はギネヴィア様との…その逢瀬を…抑えられ」
メドゥーサ(エクター)「義兄様、だから、今はもうそんなこと言っている場合じゃないんです!」
エミヤオルタ(パロミデス)「…こういうことだ。ランスロット。」
ランスロット「?」
===楽しいブリテン一家====
アナタスシア(領民)「ああ、ひもじい。貧しいわカドック。どうして
こんなに生活が苦しいのかしら。」シクシク
カドック(領民)「それは、あのアーサー陛下の甥たちが、偉大なる王を欺いて好き勝手にしている
からに決まっているさ。」
カドック(領民)「とんでもない。奴らは、王の甥の立場を利用して、邪魔になる立派な騎士を
ころしたりしているんだぞ。」
アナタスシア(領民)「まぁ、信じられないわ。」スリスリ
カドック(領民)「それだけじゃない。陰謀ばっかり企んで、騎士として研鑽を怠り、
王の御前で、サラセン人相手に兄弟まとめて敗北してしまったりしたじゃないか。」
アナタスシア(領民)「あれは本当にひどかったわ。混迷する暗黒の時代に、守るべき教えを
くれたアーサー王の甥が、それを汚すなんてあってはならないわ。」ギュー
カドック(領民)「それに、このまえ聖杯探索で円卓の騎士達が大勢なくなったけど、
あれもガウェイン卿が真っ先に手を挙げたらしいんだ。」
アナタスシア(領民)「まぁ!王の甥が手をあげるのであれば、ほかの騎士達は、それがどんな危険な任務で
あっても甥にならって手をあげざるをえないじゃない!」チュ
カドック(領民)「アーサー陛下もそれに苦言を呈したらしいからね。よっぽどさ。」
ベリル(領民)「おい、大変だカドックどん!」ガラッ
カドック(領民)「何があったベリルどん!」
ベリル(領民)「あのガウェイン卿の弟、アグラヴェイン卿とモードレット卿が、ランスロット卿を
失脚させようと謀略をしかけたそうだ!」
カドック(領民)「なんてことだ、円卓一素晴らしいといわれているあのランスロット卿をか!」
ベリル(領民)「おう。しかもそれなんだが、ランスロット卿ってギネヴィア王妃と不倫しているって噂があるじゃないか。
奴ら、それを告発しようとしたらしいぜ!」
アナタスシア(領民)「信じられないわ。そんなゴシップを?王妃様や、王様の名誉を著しく傷つけるような
謀略を企てるなんて、本当にあの立派な王の甥だというの?」
ベリル(領民)「ああ、だが、そこは流石のランスロット卿だ。見事アグラヴェイン達を返り討ちにしてやっつけたらしい!」
カドック(領民)「流石あのランスロット卿だ!…だがベリルどん、ランスロット卿が王の甥を倒したってことは…」
ベリル(領民)「そうだ、ついにあのランスロット卿が、これからは俺たちのために立ち上がってくれるんだよ!」
ベリル(領民)「ランスロット卿は立派な騎士だったが、それゆえ、今までは悪い奴らでも王の甥たちを
ないがしろにはせず、ずっと我慢して顔を立ててきた…」
カドック(領民)「だが、とうとう堪忍袋の緒が切れて誅殺したんだ!これからランスロット卿は、
王をとりまく悪い奴らをやっつけてくれるに違いない!」
ベリル(領民)「ああ、俺たちも応援しなきゃな!」
アナタスシア(領民)「ラーン―スー!ラーンースー!」
ランスロット「…」
エミヤオルタ(パロミデス)「…」
ランスロット「…あの、これは。」
メドゥーサ(エクター)「はい兄様。残念ながら民衆はこんなかんじです。」
小次郎(ボールス)「ほれランスロット卿。あちらをご覧くだされ。」
粛清騎士の群れ ザッザッザッ
粛清騎士「ウェールズから来ました。」
兵士「コーンウォールから来ました。」
エミヤオルタ(パロミデス)「はっきり言う。国中の反ガウェイン派の連中がお前を旗頭にと集まってきている。」
ランスロット「…。」
ランスロット「そ、そうだ。ギネヴィア様は、我が王の裁きを待つ身…。」
エミヤオルタ(パロミデス)「そして、万が一の際王妃を救うにあたり、平身低頭で許しを請うのと、
ある程度の対抗勢力を率いて交渉するのと、どちらが有効か」
ランスロット「むむ…やむを得んか。」
エミヤオルタ(パロミデス)「先手を打って示威行動に出てもよいと思うが。…どうだ?」
ランスロット「それはできん!我が王に弓引く真似は決して行わない!」
ぐだ男「ランスロットはボールスと会い、味方を探しました。すると、円卓騎士のパロミデスなど、
多くの騎士が仲間になりました。」
ぐだ子「…この場面で、アグラヴェインって別に悪いことはしてないわよね。」
マシュ「はい。」
ぐだ子「言い逃れのしようもない状況だけど、ランスロットのもとにも仲間が集うのは…ちょっと意外ね。
日頃の行いかしら?こっちの方のアグラヴェインとモーさんって少なくとも
人の理解を得ようするタイプじゃなかったけど、嫌われていたのかもしれないわね。」
ダヴィンチちゃん「あるいは、ランスロット卿を見殺しにできなかったのか。じゃ、王様の方を見てみようか。」
=====キャメロット======
アルトリア「…」
イアソン(ケイ)「身内であるボールス、ライオネル、マリスあたりは
あっち側か。他に情報はあるか、グリフレッド。」
子ギル(グリフレッド)「パロミデス卿と…弟のサフィアもランスロット卿についたようですね。
それと今は亡きトリスタンとラモラックの旧臣もランスロット卿のもとに集っているそうです。」
アーラシュ(?)「ランスロットが王を裏切っただの、ランスロットが王のために立ち上がっただの
民衆には混乱が広がっている。諸侯も混乱を抑えるのに手いっぱいだな。」
子ギル(グリフレッド)「ですが少なくとも、我が王を中傷し、これに弓を引こうというような
愚かな反乱は誘発しておりません。」
イアソン(ケイ)「対処を誤らなければ、穏便に抑えられるだろう。」
ベデヴィエール「…それとギネヴィア様の件ですが」
アルトリア「結果として、アグラヴェインをはじめ、多くの騎士が犠牲なりました。
また、不貞が白日のもととなった今、ギネヴィアの死刑は免れないでしょう。」
イアソン(ケイ)「おい、本気か?」
子ギル(グリフレッド)「ギネヴィア様を処刑すれば、ランスロット卿との和解は絶望的になるでしょう。
王は、今回の騒動をすべて、力によってのみ解決を図るおつもりですか?」
ガウェイン「…我が王。私もギネヴィア王妃の処刑には反対します。」
アルトリア「…なぜです。アグラウェインが死に、モードレットも重症を負い、あなたの子供たちも
ランスロットに殺されました。引き金になったギネヴィアを許すというのですか?」
ガウェイン「いえ、なぜならば今回の騒動の原因は我が兄弟にあるからです。ご存知のとおり我々が謀略をもって
同胞排除を試みたのは、今回が初めてではありません。」
アルトリア「…。」
子ギル(グリフレッド)「あぁ、そうでした。あの悲しみの子が、あなた達を恐れてキャメロットに近寄らなく
なったのもその頃でしたね。」
ガウェイン「私達兄弟は、我が王とブリテンのために全力を尽くしてまいりました。しかし、その過程で、
騎士道に反する行いもありました。時に我が王の甥という立場を利用し、不満を押さえつけました。」
ガウェイン「王の威光と成果により、悪しき行いを覆い隠しておりました。」
ガウェイン「今回、ここまでブリテン全土に渡る混乱に発展したのは、今までの我ら兄弟が関わったブリテンの統治が、
ランスロット卿の働きにより完璧でなかったことが暴かれたからにすぎません。」
ガウェイン「我が兄弟のやり方に、皆が不満を持っていた。今回の件でそれがはじけた。我々兄弟の不徳のなすところで
ある故に過ちを認め、彼らに寛大に接しなければなりません。」
ガウェイン「だからランスロット卿との和解は可能です。いえ、和解しなければなりません。
そのためにどうか、王妃の処刑だけはご再考ください。」
イアソン(ケイ)「ふん。わかってたのかよ。」ボソッ
アルトリア「…ガウェイン卿。そなたの考えはわかりました。
しかし、王妃の件は、また不義の件。この騒動とは別に、ケリをつけねばなりません。」
イリヤ(コンスタンチン)「この非常時に、まだこだわるんですか!」
アルトリア「…グリフレッド。執行に関しては任せます。近日中に。
ガウェイン卿も立ち合いを。」
子ギル(グリフレッド)「…はい。」
ガウェイン「…我が王よ。」
マリー(ガレス)「いえ、立ち合いは私のやらせて。」
ガウェイン「ガレス…?」
マリー(ガレス)「王妃様が処刑されるとなれば、必ずランスロット卿は助けにくるわ。
その時、ランスロット卿を私が、説得します。」
サンソン(ガヘリス)「…まて、ガレス。僕も行く。」
マリー(ガレス)「…兄様。」
サンソン(ガヘリス)「今回の件、多少なりとも、僕も責任は感じている。」
ぐだ男「王様は、王妃様を処刑することにしました。ガウェイン卿は反対しましたが、
王は考えを改めず、逆にガウェインに立ち会いを命じました。でもガウェインは、
嫌だったので、ガヘリス・ガレスの兄弟に代わってもらいました。」
ぐだ子「…うーん。緊急事態なのにちょっと固くないかな?王様。
でも、子供まで殺されても、ガウェイン卿は冷静ね。覚悟が決まっているというか、
なんというか…」
=====キャメロット==========
アルトリア「…まだ何かありますか?グリフレッド」
子ギル(グリフレッド)「…あなたは、本当に妻を殺したいのですか?」
アルトリア「…指示なら先ほど示したはずです。」
子ギル(グリフレッド)「偉大なる王、アーサー・ペンドラゴンには聞いておりません。
かつてのわが友、アーサーに聞いています。」
アルトリア「…」
子ギル(グリフレッド)「…最近偶に思います。もしあなたが石に刺さった剣を抜く前のように
友のままでいれたのなら、少しはあなたの苦しみを背負えたかもしれないと。」
アルトリア「あなたは騎士になることを望み、私はそれを認めた。それが嫌になったというのですか?」
子ギル(グリフレッド)「もちろんそのつもりはありません。今の僕は騎士ですから。
王の望みを果たすことに、全身全霊を尽くしましょう。」
子ギル(グリフレッド)「ただ少し、騎士というものの無力さが情けなくなります。どんなに勤めても、
周囲から助言者ともてはやされても、最後に決断を下すのは王であり、その苦悩を少しも
背負うことができないのですから。」
子ギル(グリフレッド)「…もしあなたにまた、友と呼べる存在ができたのであれば、
その時こそ、その方に本心をお話いただけることを切に願います。」 (ぺこり)
子ギル(グリフレッド)「…」スタスタ
イアソン(ケイ)「耄碌したか、グリフレッド?」
子ギル(グリフレッド)「…なんですか、ケイ卿。」
イアソン(ケイ)「お前のかつての友達ってのは、一度意地を張りだしたあとに、本音を吐いたことが
ただの一度でもあったっていうのか?」
子ギル(グリフレッド)「…!ああ、そうでしたね。まったく忘れていました。本当に、歳はとりたくないものですね。」
子ギル(グリフレッド)「ケイ…アーサーのこと、頼みますね。」
イアソン(ケイ)「…馬鹿が。」
====ランスロット陣営==========
ランスロット「大変だ!我が王は、やはりギネヴィア様を処刑なされるおつもりのようだ!」
エミヤオルタ(パロミデス)「じゃ、頑張ってこい。」
小次郎(ボールス)「健闘を祈るでござる。」
メドゥーサ(エクター)「あ、お弁当もっていきます?」
ランスロット「…ま、待てい!なんで卿らはそんなに冷静なんだ?」
メディア(ライオネル)「何でって…、どうせあなたは王妃様を助けにいくんでしょう?」
ランスロット「だ、だが、王も襲撃に備えているはず、おそらく円卓の騎士達が…」
小次郎(ボールス)「これはまた、ランスロット殿らしからぬ弱音よなぁ。」
メディア(ライオネル)「アグラウェインの一党を倒しといて今更何いってるのよ。」
ランスロット「な、何より王妃を救おうというのは我が王に対する反逆、それを黙認するのか?」
メドゥーサ(エクター)「我が王に対する反逆って…兄様は、本当に我が王が奥様を処刑したいと思っているのですか?」
ランスロット「いや、勿論我が王も苦しくも決断されたであろうが…」
メディア(ライオネル)「なら十分じゃない。王が立場上できないことを代わりにかなえることも騎士の役目でしょ。
騎士の役目は王の望みを果たすことなのだから」
ランスロット「む、いや王の為を考えれば当然王の決断を尊重し…」
エミヤオルタ(パロミデス)「余計なことを考えられるな。ランスロット。お前が何をしたいのかだけ考えろ。」
ランスロット「そ、それは、もちろん、ギネヴィア様を救うことだ。」
エミヤオルタ(パロミデス)「なら、とっとと行って来い。単純にお前はお前のやりたいと思ったことをなせ。
それが一番ためになるのだから。」
ランスロット「・・・どういうことだ?」
エミヤオルタ(パロミデス)「じきにわかる。籠城のための準備は整えといてやるからさっさといってこい。」
ランスロット「・・・ええい、わかった。ではいってくるぞ!」
メドゥーサ(エクター)「…全く。あれも天然なんでしょうか?」
小次郎(ボールス)「見ている分にはあれほど愉快な方もおるまいて。」
=========処刑場================
プロトニキ(緑の騎士)「おいガレス、なんだよその恰好は!」
キャスニキ(赤の騎士)「いつランスロット卿が来るかもしれないのに、武装もせずに!」
マリー(ガレス)「だからこそよ、ペリーモンズ。ランスロット卿と私達は和解しなければならないわ。
話し合いに武具は不要よ。」
キャスニキ(赤の騎士)「捨て身の信頼かよ…危険すぎるぜ。もし何かあったら…」
アルジュナ(?)「…ふん。本当にあの兄弟達は…む」
アルジュナ(?)「…来ましたね、ランスロット卿!!」
ドォン!!
マリー(ガレス)「な、なに?」
プロトニキ(緑の騎士)「下がってろガレス!敵襲だ!」
マリー(ガレス)「ランスロット卿…!」
ランスロット「アグロヴァル卿…立ちはだかるなら、容赦はせんぞ。」
アルジュナ(アグロヴァル)「…ふふ。ランスロット卿、あなたなら私の立場は理解してくれるはずでしょう。」
アルジュナ(アグロヴァル)「父と兄を謀殺され、弟パーシヴァルもまた騎士であることから退き、我が家系の
武名は地に落ちた!そして、今ようやく、汚名を晴らせる最高の機会を得られたというわけだ!」
ランスロット「それが、貴公の騎士道というわけか。」
アルジュナ(アグロヴァル)「ああ、そうだ。最強の騎士が本気で殺しにかかってくる戦いだ。
命を懸けるのにこれ以上の場面は二度とあるまい。…実にすばらしい!」
ぐだ男「ギネヴィア王妃が処刑されそうになるところ、ランスロット卿が、助けにきました。それを
妨害しようと、円卓の騎士達との激しい戦いが始まります。」
プロトニキ(緑の騎士)「逃げろガレス!ランスロットは本気だ!話し合いが通じる状況じゃねえ、
戦いに巻き込まれるぞ!!」
マリー(ガレス)「離してパートレープ!仲間同士でこんな、争いあってはいけないわ!」
ランスロット「騎士は徒手にて死せず!!」ダダダダダダダダダ!
バスッ
マリー(ガレス)「えっ…?これは、私の血?ランス…ロ…」ガクッ
プロトニキ(緑の騎士)「ガレス!そんな、流れ弾に当たって…!」
キャスニキ(赤の騎士)「ランスロット!てめぇえええ!」
ランスロット「貴様、ペリーモンズか!」ダダダダダダダダダ!
ぐだ男「激しい戦いの末、ランスロット卿は円卓の騎士達を倒しました。アーサー王が王になり、最初に
騎士に任命したグリフレッド卿、パーシヴァル卿の兄のアグロヴァル卿など、多くの騎士が犠牲になりました。」
ランスロット「よし、片付いたな、ギネヴィア様、今まいります!」
サンソン(ガヘリス)「…ぐっ…」
サンソン(ガヘリス)「ごほっ…ガ…ガレス。…ガレス。目を開けてくれ…」
マリー(ガレス)「…。」
サンソン(ガヘリス)「ふっ、…ははは、これが因果…か。」
サンソン(ガヘリス)「かあ…さ…」(ガクッ)
ぐだ男「また、ガウェイン卿の弟のガヘリス卿、ガレス卿は、武具を身に着けていなかったため、戦いに巻き込まれる
形で死にました。ランスロット卿は、残念ながら彼らを手にかけたことに気づくことすらありませんでした。」
ぐだ子「ああ、そんな。ガレスちゃんまで。」
マシュ「…あまりに激しい戦いだったのか、ランスロット卿は気づきもしなかったそうです。
これが、あの皆に愛されたガレス卿の最後とすると…悲しいですね。」
ぐだ男「さて、ランスロット卿は、ギネヴィア王妃を連れて、喜びの城に向かい、
仲間の騎士達とともに籠城しました。」
====喜びの城==========
小次郎(ボールス)「愛する者を救うために過去の同胞と厭わず戦い、見事救出する…
全く、絵にかいたような英雄でござるなぁ。」
ランスロット「やめてくれ、ボールス。もはや私は反逆者にすぎぬ。」
メドゥーサ(エクター)「ただ…困ったことにもなりましたね。外を見てください。」
~外~
ガウェイン「出てこい!臆病者め!その首、必ずこの手で叩き落してやるぞ!」
エミヤオルタ(パロミデス)「ガウェインめ、随分とご立腹のようだな。」
メディア(ライオネル)「はぁ、ランスロット卿、あなたガレスを殺したんですって?」
メドゥーサ(エクター)「残念ですね。あの子、兄様が説得したら多分味方になってくれましたよ。」
ランスロット「…すまない。まさか、あの場にガレスにいたことすら、気づくことができなかったのだ。」
イアソン(ケイ)「どうする気だアーサー?連中、亀の子みたいに引っ込んじまってるぜ。」
ベディヴィエール「あくまで、我が王に弓引くつもりはない、ということでしょうか。」
アルトリア「…力攻めは無謀です。包囲を固めしめあげていきます。」
アーラシュ(?)「…間違いなく、長期戦になるな。」
イアソン(ケイ)「落としどころは考えてるんだろうな。」
ガウェイン「ここまでの騒動をしでかしたのです。ランスロットを討ち取り、首をさらす以外にはないでしょう。」
イアソン(ケイ)「お前には聞いていない。そんなに戦いたいなら、挑発の一つでもして
奴らを誘い出してこい!」
ガウェイン「ふん。」
アルトリア「…」
城を包囲し、戦いを挑みます。ランスロットたちを城の外におびき出そうと、ガウェインは
外からランスロットの悪口をいいました。」
メディア(ライオネル)「流石にこうも挑発されっぱなしってのはよくないわね。
士気が下がりつつあるわ。」
小次郎(ボールス)「うむ。ここは一つ、うってでるべきでござる。」
ランスロット「戦うしかない、か。」
エミヤオルタ(パロミデス)「当然だな。交渉するにしろ、まず相手から敬意を勝ち取らねばなるまい。
騎士が敬意を勝ち取るのは、当然武勇を示すことによってだ。」
ランスロット「…我が王と、ガウェイン卿の命を奪うことはないようにな。」
メディア(ライオネル)「はいはい。」
ぐだ男「ランスロットは戦いたくなったのですが、とうとう出撃することにしました。
アーサー王たちは、迎え撃とうとします。」
アーラシュ(?)「ライオネルがうって出たぞ!」
ガウェイン「よし、ランスロットめ、今こそ討ち取ってやる。」
ベデヴィエール「…我が王、どうされます?」
アルトリア「当然、私も出ます。続きなさい。」
ベデヴィエール「…はい。」
ぐだ男「激しい戦いになり、アーサー王は乱戦に持ち込まれ、
ランスロットの甥ボールスに追い詰められてしました。」
小次郎(ボールス)「心、ここにあらず…といった具合でござるか?」
アルトリア「…くっ。」
小次郎(ボールス)「全力の我が王と戦うことがかなわぬのは残念至極…が、
ここでこの無益な戦を終わらすというのも、乙なものよな?」
アルトリア(ここまでか…みんな、すまない…)
??「待てい!!」
ぐだ男「ボールスが、アーサー王の首を落とそうとすると、誰かがそれを止めました。」
小次郎(ボールス)「これはこれは」
アルトリア「ランスロット!」
どうしてもというのならば、この場で私を倒してからにするのだな。」
小次郎(ボールス)「…ふむ。」
小次郎(ボールス)「ご無礼仕った。」チャッ
アルトリア「礼は言わぬぞ、ランスロット。」
ランスロット「…は。いずれ此度の戦い、卓を挟んで解決できることを願っております。」
アルトリア「…。」
ぐだ男「ランスロットは、敵になったのにアーサー王を助けたのでした。
アーサー王は、ランスロットと戦わなければならないことを、とても悲しく感じました。そして…」
===喜びの城=========
メディア(ライオネル)「いったたた…」
小次郎(ボールス)「流石に、ガウェイン卿を五体満足で抑えきるのは無理な話よな。」
ランスロット「…すまぬ。私の覚悟が足りぬ故、このような大けがを負わせてしまった。」
小次郎(ボールス)「いえ、相手の方にもしっかり深手を与えてやった故。」
メディア(ライオネル)「強硬派のガウェインが動けなければ、しばらく戦いは避けられるわ。
作戦は成功よ。…い、いたた。」
===アーサー王陣営========-
ガウェイン「まさか、ボールスめ。ここまで腕をあげていたとは…」
ベディヴィエール「しばらくは、戦いには出れそうもありませんね。」
ガウェイン「これしきの怪我…ぐっ。」
アルトリア「万全な状況でなければ勝てぬ相手とはわかっているはず。治療にあたりなさい。」
イアソン(ケイ)「…しばらくガウェインが動けない。今がチャンスだな。おい、ルーカン。」
アーラシュ(ルーカン)「わかった。任せておけ。」
ぐだ男「また、その後の戦いで、両軍の主力であったガウェイン卿、ボールス卿の双方が
深手を負い、お互い戦い避け、またにらみ合うようになりました。」
ぐだ子「あんなにランスロットと戦うのが嫌だったガウェインが、
こんなになっちゃって悲しいわね。」
マシュ「弟、息子を失ってなお抑えていたのですが、ガレス卿が殺されてしまい…
本当にガレス卿のことを大事に思っていたんでしょうね。」
ガウェイン「もう、怪我は大丈夫です。さぁ王よ。戦いを再開しましょう。」
アルトリア「…ええ。」
ベディヴィエール「…。」
イアソン(ケイ)「ちょっと待った!クックック。そうはいかなくなったようだ。」
ガウェイン「…なぜです?」
アーラシュ(ルーカン)「我が王に、お客さんだ。」
アルトリア「客?」
ガウェイン「何?この戦時下に一体…」
アーラシュ(ルーカン)「このお方だ!」
ロムルス(?)「…!」ドォーン
ガウェイン「…?」
アルトリア「…誰です?」
ロムルス(?)「ローマである!」
ガウェイン「ロ、ローマだと!なぜ?」
イアソン(ケイ)「まーった!教皇だ。ローマ教皇からの、使者だ!」
アルトリア「ローマ教皇?…和睦の仲裁ですか?」
ガウェイン「…紛らわしい。」
ロムルス(司祭)「それもまたローマである。」
ガウェイン「だまらっしゃい!」
ぐだ男「両軍のにらみ合いは、ヨーロッパにも伝わりました。事態をおもくみた
ローマ教皇は、勅使を派遣して和睦の仲裁を試みました。」
ぐだ子「よそから助け船がきたのね。これで解決するのかしら?」
アルトリア「ケイ卿、ルーカン卿。あなた達の差し金ですか?」
イアソン(ケイ)「さーって、な。」
アーラシュ(ルーカン)「どちらにせよ、ランスロットと和睦する機会だろう。」
アルトリア「これほどの混乱をよび、犠牲を出し今更ランスロット卿と和睦することが許されると
卿らは思っているのですか?」
イアソン(ケイ)「決めるのはお前だ。いつだってな。
グリフレッドもいってたじゃないか。俺たちは、無力だ。」
アルトリア「…。」
イアソン(ケイ)「そもそも何を迷っている?。この騒乱も予想していなかったわけではないだろう。」
アルトリア「どういうことです?」
アーラシュ(ルーカン)「…アグラヴェインが告発に動いたとき、ランスロットが王妃を守りきらないかと
期待しなかったか?
ギネヴィアを処刑するときに、ひょっとしたら、ランスロットが彼女を救ってくれる
かもしれないと心のどこかで甘えていなかったか?」
イアソン(ケイ)「ランスロット本人が意識しているのかは知らないが、
あいつは、何時だってお前が本心で望んだことをやってきた。…違うか?」
アーラシュ(ルーカン)「だからこそ、ランスロット卿を友のように愛し、尊敬していたんだろう。」
アーラシュ(ルーカン)「…ケイもグリフレッドも友のままでいられなかった。俺もランスロットにはなれなかった。」
イアソン(ケイ)「だから、奴はお前が王であるために必要なはずだ。それじゃあな。」
アルトリア「…。」
子ギル(グリフレッド)(…もしあなたにまた、友と呼べる存在ができたのであれば、
その時こそ、その方に本心をお話いただけることを切に願います。)
アルトリア「グリフレッド…すまない。」
=====和睦会場===============
ランスロット「和睦の条件は二つ。第一にギネヴィア様の助命嘆願をします。これは譲れません。」
アルトリア「わかりました。」
ガウェイン「私としても異論はありません。」
ランスロット「もう一つは、私に協力した騎士たちにどうか寛大な処置を。
我が王に弓引くために集ったものはございません。」
アルトリア「いいでしょう。」
ガウェイン「当然。彼らには今後ともブリテンのため力を発揮していただく必要があります。」
アルトリア「では、最後に貴殿の処遇についてです。」
ランスロット「…王のお望みのままに。」
アルトリア「ならばもし私が卿に死を命じれば、おとなしく処されますか?」
ランスロット「…。」
アルトリア「卿が死ぬことにならば、ギネヴィアも自ら命を絶つでしょう。
それを命じれば最初の条件を破ることになります。」
アルトリア「ランスロット、再び私の力になるつもりはありますか?」
ランスロット「私は贖いきれぬほどの大罪を犯しました。あなたの妻と密通し、
また、あなたの甥をはじめ、多くの騎士達を殺めました。」
アルトリア「今回の件は貴殿だけの責任ではない。
…いや、責任は私にあります。ランスロット卿」
ランスロット「何をおっしゃられる、すべては、私の弱き心によるもので…」
アルトリア「そもそもです。ランスロット卿、あなたがギネヴィアと不義をなしたことすら、
それは私の咎にすぎません。」
ランスロット「…馬鹿な!なぜそのようなことをおっしゃられますか!」
アルトリア「そして、そんな在り方を私は妻に対しても押し付けてしまった。
本来求められるべき、正しい在り方で妻と接することができなかった。」
アルトリア「言ってしまえば、私の都合にギネヴィアを巻き込んでしまった。私の勝手で彼女を苦しめ続けてしまった。
私は己が幸せになるということは放棄した故、それを妻にまで強いたことを後悔していました。」
ランスロット「…馬鹿な!ギネヴィア様は、そんな我が王のことを理解されていた!
理解されたうえで、それが王妃の役目と受け止め精一杯あなたに尽くし、あなたの愛を受け止められておられました。
ただ少し…そこに、あった心の小さなわだかまりに、愚かな私がつけいってしまったのです。」
アルトリア「そうか。しかし、私は貴方とギネヴィアの関係を知ったとき、安心してしまいました。」
アルトリア「ランスロットならば私に代わって、正しい形でギネヴィアを幸せにしてくれるだろうと。
愛する妻を、親愛なる友に託せると」
アルトリア「私がやらなければならないことを、貴方におしつけてしまいました。
許してくれ、ランスロット卿」
ランスロット「そんなことは、ございません!貴方のためでなく、自分のために私はギネヴィア様を愛したのです。
むしろ、私は…、ギネヴィア様について、時に我が王に憎しみに近い感情すら…」
アルトリア「そうか。やはり貴方はいつもそうやって、私が本当にやりたかったことを、自らの本心でやってきて
くれたのですね。」
ランスロット「…そのようなこと、おっしゃらないでください。私は裏切り者です。あなたの大切な甥や
騎士達を自らの意思で殺めた不忠ものです。どうか、私を罰してください!」
アルトリア「あれも私に責があります。私はギネヴィアを処刑するかにあたり、私情を捨て己の立場に固執してしまった。
私が私情を捨てたからこそ、あなたは私情に固執しなければならなかった。私が立場に固執したからこそ、
あなたは己の立場を捨てざるをえなかった。本当に、罪深き役割を与えてしまった。」
アルトリア「全ては私が理想の王であろうとしたがゆえに歪みが発生した結果。
その歪みをランスロット、今までずっとあなたに押し付けてしまいました。
ランスロット許してくれ。そして、もしあなたがまだ私を王として認めてくれるなら、
友と思ってくれるのならまた力を貸してください。」
ランスロット「…私こそ愚か者です!いつも己のことばかりを考え、王に自分の理想を押し付け、
挙句己の名前ばかり高めてしまい、王の名誉すら傷つけ…こんな不忠者であっても、
本当に我が王が、必要だとおっしゃられるのなら…」
アルトリア「ランスロット卿…ランスロット―!」
ランスロット「…我が王ー!」
ぐだ男「和睦として、ギネヴィア王妃を助命すること、ランスロット一味の喜びの城からの安全な城外退去が認められました。
そして、アーサー王とランスロット卿はお互い仲直りをしようとしました。」
ガウェイン「そんな愚にもつかぬオチが許されるとでも思っているのですか?」
ランスロット「…」
アルトリア「ガウェイン…」
ガウェイン「貴様はガレスを殺めた。あんなに貴様を慕っていたあの子を。」
ランスロット「…ガウェイン卿。私とてガレス卿を[ピーーー]つもりはなかった。
せめて武装していてくれれば…」
ガウェイン「あの子は、話せばきっと貴様と分かり合えると信じていた。」
ランスロット「私とて、後悔している…今後、一生を王への奉公とガレスの弔いのために費やしてもよい。」
ガウェイン「ほんの少しでも申し訳ないと思うのなら今すぐ直接あの子に詫びを入れにいきなさい。」
ランスロット「死は恐れぬ…しかし、ギネヴィア様のためにも、命を絶つわけにはいかぬ。」
ガウェイン「…ランスロット。もしギネヴィア様が処刑されたら、我が王と和睦しようなどと考えますか?」
ランスロット「…!それは。」
ガウェイン「そういうことだ。もう貴様は私の生涯の敵だ。」
ぐだ男「しかし、ガウェイン卿が癇癪をおこしたので、アーサー王とランスロット卿は、
仲直りできませんでした。ランスロット卿とその一味は、喜びの城から退去し、
フランスに去っていきました。」
ぐだ子「これはまぁ、ガウェインからしたら、仕方ないわよね?」
マシュ「ええ。」
=====ウェールズ=======
イアソン(ケイ)「それで、ランスロットのいるフランスまで派兵するのか?」
アルトリア「そのつもりです。」
アーラシュ(ルーカン)「先の内戦で、とても遠征なんてできる状況じゃないぞ。」
アルトリア「和睦できなかった以上、このまま捨て置くこともできないでしょう。」
イアソン(ケイ)「なら、最低限の兵をつけ、ガウェインを大将にして出立させろ。
どうせ、あいつの意見だろ」
アルトリア「それでは、みすみすガウェインを死なせるようなものです!」
イアソン(ケイ)「…聞き分けないガキは死んでもらうしかないだろう。」
アルトリア「ケイ卿、なんてことを!」
イアソン(ケイ)「あの怒り、在りし日のロット王に瓜二つだ!ペリノアだって、あの憎しみがお前の滅びにつながると
言っていただろう。」
アーラシュ(ルーカン)「それに、ブリテンで厭戦感情が高まっているのはわかっているだろう。」
アーラシュ(ルーカン)「今までずっと王はブリテンを立派に統治し、戦い続けてきた。
ウーサー様が亡くなってからの暗黒の時代から、随分と世の中をよくしてきた。」
イアソン(ケイ)「だが、よくなるにしても変化には違いない。古くからの因習との決別は
ある種の負担になることは避けられない。」
アーラシュ(ルーカン)「そして俺たちは戦い続け、勝利の上に勝利を重ねることによって
その負担から目をそらさせ続けてきた。が、今回の件で
とうとうそれに陰りがでてしまった。」
アルトリア「これから、今までのツケが一気に跳ね返ってくるかもしれない、と?」
イアソン(ケイ)「そうだ。下手をすれば今まで積み上げてきたものが、一気に崩壊するかもしれないぞ。」
イアソン(ケイ)「それに今までの戦い…壁にぶつかることがあっても、必ずお前は乗り越えてきた。
だが、今回ばかりはランスロットとどう決着をつけるか落としどころがみえていないだろう。」
アーラシュ(ルーカン)「先の見えない戦いが続けば間違いなく民は動揺するだろう。
だからこそ、アーサー王は今回に限り戦ってはいけない。
ブリテンの中央で民を安んずることを優先すべきだ。」
アルトリア「…それは、できません。」
イアソン(ケイ)「なぜだ?今更メンツにこだわっているのか!
もうこれ以上落ちる余地があるとでも思っているのか…!?」
アルトリア「違う!私は…私は甥を、ガウェインを見捨てたくはない!!」
アーラシュ(ルーカン)「…」
アルトリア「…」
イアソン(ケイ)「意地を張ったお前が本音を吐くなんていつ以来だろうな?」
アーラシュ(ルーカン)「…わかったよ。それならいい。とことん付き合うよ。アーサー。」
アルトリア「すまないルーカン。…兄さん。」
イアソン(ケイ)「…ふん。」
ベディヴィエール「我が王、すみません。急ぎご報告したいことが。」
アルトリア「どうしました。ベディヴィエール?」
ベディヴィエール「…コンスタンチン卿が出仕を拒否しました。」
ベディヴィエール「今回の騒動、ギネヴィア王妃に近しい間柄なのに、防げなかったので
責任とって謹慎する…と。」
イアソン(ケイ)「あてつけか、あの小僧!」
ベディヴィエール「それに他のギネヴィア派の者もそれに倣っています。」
アーラシュ(ルーカン)「…それじゃ普段の遠征時の留守役はほとんどボイコットってことか?」
アルトリア「…ボ、ボードウィンは?」
イアソン(ケイ)「ちょっと前に引退したぞ。あの爺さん。」
ベディヴィエール「となると国の統治、誰を宰相に任せましょうか?」
アルトリア「えーっと…」
アルトリア「…ユーウェイン?」
イアソン(ケイ)「モルガンの子にブリテンを託す気か!」
アルトリア「」ガクッ
ぐだ男「ガウェインがうるさいので、王はランスロットのところに戦いにいくことをきめますが、
本当は仲良くなりたいランスロット卿と戦わなければならないことを悔やみ、
王様は気を失ってしまうでした…と。続く!」
マシュ「アーサー王と仲直りしたいランスロット卿
復讐にに燃えるガウェイン卿
ランスロット卿に未練をもちつつも、ガウェインを放っとけないアーサー王
複雑な関係になってしまいました。」
ぐだ子「ランスロット卿、こっちだとアーサー王伝説の負の象徴っていうけど、
この伝説でも、王であるがためアーサーが本心で望みつつもできなかったことを
担っていたって感じなのね。それにしてもやりすぎだけど。」
敬意を感じていたのかもしれませんね。彼だからこそ、託したいというように。
それでも甘すぎると思いますが!」
ぐだ男「逆に、この伝説におけるアグラヴェインはそれが許せなかった。ランスロットが憎かったというよりは、
王にはあくまで完璧な存在でいてほしかった。理想の王であってほしかったように見えるね。」
マシュ「どちらも、騎士としての在り方として間違っていないかもしれません。
だからこそ、円卓は崩壊に向かっていてしまいました。」
ぐだ子「…明確な悪者がいないというのも悲しいわ。」
マシュ「…ええ。ではこの争いは果たしてどのような結末を迎えるか、楽しみですね
先輩!」
ぐだ男「いや、オチはもうわかってるけど。」
マシュ「先輩!」
モードレット「へくしっ…?」
完
ぐだ子「このあと、アーサー王達がフランスに戦争に出向いている間に、留守を任された
モーさんが反逆するのよね?」
マシュ「そうですね。では、今回はアーサー王の死において、モードレット卿が
どのように誕生されたかから読んでいきましょうか。」
ぐだ男「うん。えーっと、円卓が成立する前まで遡るね。むかしむかし、まだアーサー王が諸侯達から認められてすら
いなかったある年の夏至の日のこと…」
粛清騎士「ヒソヒソ…」
兵士「フムフム…」
プロトアーサー(…なんだろう、この感じ?)
アーラシュ(ルーカン)「おいどうした、アーサー。怪訝な顔をして。」
プーサー「ルーカン。皆の様子がおかしくないか?どうも浮足だっているような。」
アーラシュ(ルーカン)「ああ、今ある噂でもちきりのようだぞ。」
プーサー「噂?」
アーラシュ(ルーカン)「なんでもだ、城下町にものすごく美しいご婦人がいらしてるんだってよ。」
ぐだ子「るーかん?そういえば前の話でも出てきてたわね。」
マシュ「ルーカン卿はベデヴィエール卿のお兄さんです。円卓成立以前からアーサー王に
仕えていた騎士の一人です。」
ぐだ男「ベディって弟キャラだったんだ。…そして、キャメロットにとても美しい婦人が
訪ねてきたと評判になっていたのです。」
プーサー「…うーん。どこかの間者だったりしないか?」
アーラシュ(ルーカン)「もちろんその線もあるだろうな。だが、そのご婦人は4人の子供をつれているそうだ。
従者も大勢連れているようだし密偵だとしたら、随分と悪目立ちしすぎな気もするな。」
プーサー「ちょっと気になるな。僕自身の目で確かめてこよう。」
ぐだ子「4人の子供?そして美女?ここから導かれる結論は…」
ガウェイン「…ここが、キャメロット。随分と活気のあるようですね。」
酒呑童子(モルゴース)「せやなぁ。これも王様の努力の賜物かしらねぇ。」
ぐだ子「やっぱり、モルゴースかー。家族旅行?それとも留学とか?」
ぐだ男「いや、そんな穏やかなものじゃなさそうだね。」
====少し前のオークニー===============-
槍ウラド(?)「クックック…。」
酒呑童子(モルゴース)「ロットはん?どうしたん?」
槍ウラド(ロット王)「我が妻よ。異民族共の侵略もようやく対処できたところだ。
今度こそあのアーサーなる小僧と決着をつけてみせよう。」
酒呑童子(モルゴース)「せやねぇ。…でもこういう時こそ、みんなで仲良く協力せんとあかんやないの?」
槍ウラド(ロット王)「そうはいかん。そもそもあの子倅めはフランスの王達と結び、彼らを
ブリテンの覇権争いに介入させておるではないか。あのヴォーディガンのように外国の兵を
引き入れ、己のものであるはずの民を手にかけさせているようなものだぞ。断じて捨て置けん。」
酒呑童子(モルゴース)「そないゆうたら、あんさんやってゴールの妹の旦那と組んどるやんけ。」
槍ウラド(ロット王)「…ユーリエンスは我が義弟。力を借りるのはおかしくあるまい。」
酒呑童子(モルゴース)「あの子もうちの弟よ。」
槍ウラド(ロット王)「そうだ。そして実の父親の仇の子であろう。」
酒呑童子(モルゴース)「…」
ぐだ子「父の仇?」
マシュ「ウーサー・ペンドラゴンは、モルゴースやモルガンの父親、コーンウォール公の妻イグレインを妻にしようとして、
そのために侵略したといわれています。そしてコーンウォール公は争いの中で死亡し、
イグレインはウーサーの妻になったそうです。」
ぐだ男「略奪婚ってわけか…」
酒呑童子(モルゴース)「…それが世のならいやろ?」
槍ウラド(ロット王)「だからこそ、世を正せねばなるまい。無論、俺自らの手でな。」
酒呑童子(モルゴース)「あんさんの人生なんだからまぁえーけど。
…覚悟決まっとるんならうちも一肌脱がんとなぁ。」
槍ウラド(ロット王)「うむ…感謝するぞ、妻よ。」
ぐだ男「モルゴースは、ロット王のスパイとして、派遣されてきていたのです。」
ぐだ子「正義か、野心か、仇討か…でもべつにロット王も悪人ってわけでもないのね。」
マシュ「ウーサー・ペンドラゴンは死の直前、アーサーを正式な後継とされていましたが、諸侯達にも
譲れないものがあったのでしょうね。」
====城下町=========
酒呑童子(モルゴース)(この子らがアーサーを気に入ってくれたら、あの人も無理に
対抗しなくなるやもなぁ)
サンソン(ガヘリス)「ははうえ。ははうえー。」
酒呑童子(モルゴース)「あら、どないした?」
マリー(ガレス)「あっちに、りっぱなきしさまが、おはなししたいって。」
酒呑童子(モルゴース)「なんやって?」
プーサー「ごきげんよう。ようこそキャメロットにお越しくださいました。」
酒呑童子(モルゴース)「あらあら、ご丁寧に(この感じ…間違いあらへん。この子こそ、弟の…)」
ぐだ子「モルゴースと一緒に来た4人の子、明言はされてないけど多分ガウェイン達よね。」
マシュ「そうかもしれませんね。ただアーサー王は即位後、さっそく治安維持に努め、
人事を整え、数年のうちに領土を広げ堅持しました。ガウェイン卿達が幼い頃にその姿を
目の当たりにしていたら、さぞ尊敬されたでしょうね」
ぐだ子「王が亡くなり、混迷する世に突然現れた正統な後継者たる若き英雄だもんね。こんなん惚れてまうやろ~。」
マシュ「ええ。」
ぐだ男「そして、アーサー王は、モルゴースがスパイと気づかず王宮まで招き入れ、なんとエッチなことをしてしまうのでした…と。」
ぐだ子「…」
マシュ「…」
ぐだ子「台無しじゃん!」
マシュ「…ええ。この時できた子こそ、モードレッドさんである。とアーサー王の死においては記されています。」
ぐだ男「えーっと、4人の子がガヴェイン達だとして…その裏でお母さんとってなると…」
ぐだ子「うっわあ…」
マシュ「…も、もちろんアーサー王は、モルゴースが異父姉と、この時点では知らなかったはずです。」
ぐだ子「そういう問題じゃないと思う。」
ダヴィンチちゃん「さて、ではなぜこのようなことが起きてしまったのかな?」
ぐだ男「ダヴィンチちゃん!」
マシュ「…そうですね。一説によると、モルゴースとアーサー王が出会った日の巡りが関係しているといわれています。」
ぐだ男「えっと、夏至の日だっけ。」
ダヴィンチちゃん「夏至の日は、一年のうち最も昼の時間が長く、またこの日を境に
昼が短くなっていく日だね。風水的に言えば、陽の気がもっとも高まるが、
この日を境に減退していく。縁起のいい日でもあるのだが、あらゆるものが
不安定になり、揺さぶられる日だからね。特に北半球ではある変化が人々に起きやすいとされている。」
ぐだ子「ある変化?」
ダヴィンチちゃん「性欲をかきたてる。」
ぐだ男「…」
マシュ「モルゴースは、非常に美しい女性でした。特に情報を引き出すためにアーサー王にも
その…相応のかたちで接したのではないでしょうか。夏至の日の衝動もあって、さしもの
アーサー王も…というのが、この伝説でのきっかけと推察されます。」
ダヴィンチちゃん「まぁ、その日にモードレッドくんが宿ったというのも
後々意味をなしていくことになるからね。」
ぐだ子「日の巡りね…運命かぁ。」
ぐだ男「…そして、案の定モルゴースは妊娠してしまいました。」
===オークニー==============
酒呑童子(モルゴース)「うぅ…!(あかん、これは…)」
槍ウラド(ロット王)「これはいったいどういうことだ。妻よ。」
槍ウラド(ロット王)「腹の中の子は…、まさか、あの子倅めか!」
酒呑童子(モルゴース)「あっ…あんたぁ…」
槍ウラド(ロット王)「おのれ…おのれ、おのれぇぇ!」
酒呑童子(モルゴース)「ひっ」
槍ウラド(ロット王)「あの小僧め!!よくも我が愛する妻に、このような業を背負わせてくれおったなぁ!!」
ぐだ男「こうして、ロット王は、アーサー王を以前にもまして、とても憎むようになりました。」
ぐだ子「虚月館の時もそうだったけど、近親(ぴー)って悪いこととされているのよね。」
マシュ「深く妻を愛していたロット王の憎しみは推して知るべし。