プレミアムフライデーな、近距離恋愛の話
とあるマンションの一室で、女の子が唄ってる
ヒロインの女の子「プレミアムフライデ~、プレミアムフレイデ~♪」
ヒロインの女の子「今日は~、月に一度の~、プレミアムフライデ~♪」
(※以下 女)
女「いつも~、残業多くて午前様で~、なかなか時間が合わないケド~♪」
女「今日は~、たっぷり~、イチャイチャできるルララ~♪」
女「アタシは~、大学も~、早く終わったから~♪」
女「2人で~、食べるお夕飯を~、今作ってるルララ~♪」
女「おいしく~、できると~、いいけどな~♪」
女「さかなのフライで~、さかなのフライで~♪」
女「アイツの~、ハートも~、アゲアゲに~、するのだ~♪」
女「ふわっふわっ、じゅわわ~♪」
女「ふわっふわっ、じゅわわわ~♪」
女「同棲後~、初めて2人で過ごせる~、プレミアムフライデ~♪」
女「夕飯のあとは~、積みゲーを~、一緒にするんだ~♪」
女「格ゲーで~、アイツを~、ボコボコに~♪」
女「その後は、話題の大河ドラマを見て~♪」
女「あー、あ~♪」
女「とにかく~、ひたすらイチャイチャパラダイス~♪」
女「誰が考えたのか知らんケド~♪」
女「特にお礼もしないケド~♪」
女「作ってくれてマジ感謝~♪」
女「あー、プレミアムフライデ~♪」
女「お~いえ~、プレミアムフライデ~♪」
女「……」
女「やっべ、名曲ができた!やばくない?!」
女「アタシもボ○ロPの才能あったりして!!」
女「おっとっと、鍋に火ぃ点けっぱなしだった」
女「これじゃ炎上してしまう……」
女「さて、ご飯も炊けた。フライもできた!」
女「みそ汁もあるし、サラダも作った!」
女「後はアイツを待つばかり!」
女「えへへ、早く帰って来ないかナー///」
女「……」ワクワク♪
女「……」
女「……」
女「……」
女「……来ないな」
女「連絡も、こない」
女「テレビでも、付けよう」
女「お、久々のころばし屋!」
女「白い犬っていいよね~」
女「アタシもいつか犬飼いたいなー……」
女「ふふふふ~ん♪」
女「ふふふふふふ~ん♪」
女「……」モグモグ
女「うん。ちゃんとおいしい」
女「アジの、味がする」
女「……」
女「……ハァ」
女「……さみしい」
女「うぅ……」
ピッポッパ♪
プルルルル♪
友女『はい? もしもし??』
女「どうしよう、トモナ?!」
友女『ん? 何かあったの? ヒロ子??』
女「うん……アイツが、彼氏が帰って来ないんよ」
友女『えっと同棲してる、新入社員なのにいつも残業で帰りの遅い彼氏?』
女「そう。連絡も無いん」
友女『えっ、でもそれ、いつも通りじゃね?』
女「いつも通りだけど、今日も遅いとか有り得なくない?!」
友女『は? どゆこと?』
女「だって今日は、プレミアムフライデーじゃん!」
友女『あ、あー。今日プレ金だったか……』
友女『えっ? でもそれで??』
女「プレミアムフライデーは、早く帰れる日のはずじゃない!」
女「早く帰れるプレミアムフライデーなのに、帰りが遅いとかおかしいよ!」
友女『!?』
女「どうしたんだろ? 事故とかじゃないといいけど……」
友女『えっ、ヒロ子は、プレミアムフライデーが早く帰れる日だと思ってんの??』
女「そ、そうでしょ???」
友女『じょ、情弱ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!』
女「!?」
友女『で、でたーーー!』
友女『プレミアムフライデーだから、早く帰れると思って奴~~~~~~!』
女「えええええええ!???」
女「ちょっと酷いよ、そんな言い方!」
女「……って、プレミアムフライデーは、早く帰れる日じゃないの???」
友女『あぁ、ごめんごめん』
友女『あと。プレミアムフライデーは、早く帰れる日じゃありません!』
女「ええっ。じゃぁどうしてプレミアムフライデーなんて存在するの??」
友女『んー、全員が早く帰れる訳じゃない、って方が正確かな?』
友女『一部の、ごくごくレアなホワイト企業だけが導入してる制度』
友女『とりあえず早く帰れる人がチョットいて、そういう人が買い物とかして、消費がチョットと活性化するカモってアレ』
女「ふーん」
友女『実際は、政府のやってるアピールだよね~。焼け石に水っぷりが強いから』
友女『お偉いさんとか、一般人の生活サイクルが分かってないのよ』
友女『現実的に厳しい話。月終わり、しかも金曜日って切羽詰まった時に早退とか、9割無理っしょ!』
女「ほぇ~」
友女「取引先のプレ金に合わせる為に、前倒しする必要あって残業する、とか本末転倒も聞くしさ」
女「そう、なんだ……」
友女『ってか、何でヒロ子はプレ金の存在知らないの。もう始まって3年くらいよ?』
友女『両親とかの働いてるペース見たら、分かるでしょ?』
女「あー、私の両親……5年前に交通事故でお星さまになっちゃって」
女「同居前は、おじいとおばあと、保険金や年金で暮らしてたので……」
友女『……ごめん』
女「あ、いや」
女「でも。それでも、彼氏は言ってたんだけどね」
「転職先の会社はプレミアムフライデーを導入してて、今日だけは早く帰れるはず」
女「ってさ」
友女「ヒロ子の彼氏も情弱ねぇ……」
友女『新入社員にいつも残業させる会社が、プレ金できる訳ないじゃない?』
友女『プレ金やってても見かけだけで……会社は早退しても、近くの喫茶店で仕事してたり』
友女『タイムカード切った後に、職場に戻って働くとかも、ちょくちょく聞くけどね~』
女「……彼氏も、まだ働かされてるのかな。そういう風に」
友女『さぁ? 電話とかしてみなよ』
女「してるけど、電源切ってあるんだ」
女「仕事の機密保持のため、自前の携帯は帰宅まで使用禁止なんだってさ」
友女『は~。管理が厳しいところやねぇ……』
友女『まぁ、そのうち帰ってくるでしょ。もういい時間だから、さ』
女「だね。相談乗ってくれてアリガト。また明日ね」
友女『はいはい。お休み~』
女「……」
女「……私も、寝ようか」
女「レンジでチンして、フライとか食べれる準備はしておこう」
女「作った温かいうちに、食べて欲しかったな……」
女「よし。これでいいね」
女「わ。気づけばもう12時か」
女「やっぱり今日も、帰ってくるのは遅いんだ」
女「プレミアムフライデーだったのに」
女「……あぁ。残念」
女「ふぁぁぁ」
女「眠いけど、やっぱりもうちょっと起きてたいな」
女「せめて」
女「せめて頑張って働いて、ようやく帰って来たアイツを」
女「『おかえりなさい』って、迎えてあげたい」
女「まだかなー」
女「……」
女「……」
女「」
女「」zzz
【翌朝】
女「はっ!寝てた!!」
女「今何時……って、もう朝じゃん!」
女「うわっ、バイトあるのに。急いで支度しないと!」
女「やば! とりあえず、とりあえず朝食を……」
女「って、アレ?」
女「テーブルの上に、」
女「オニギリに、目玉焼きベーコンに、野菜ジュースに……」
女「……置き手紙がある」
女「……どれどれ?」
パシッ
ヒロ子へ
昨晩も、遅くなってごめんなさい
プレミアムフライデーだったけど、月末で納期が近い仕事があったのと
課長にお子さんが生まれて、部署の皆で早く帰らせる為に、
課長の仕事を手助けしてて遅くなりました(泣)
晩御飯ありがとう。アジフライ、美味しかったよ!
アジの、味がした!
お礼のかわりに、朝ごはん作っておきました。
今はこれくらいしかできないけど、
僕も料理の練習してバリエーション増やしたいと思います。
急遽、また土曜出勤になったので、
いつも通りの時間に行ってきます。
バイトの方、遅れないように
女「ふおおおお///」
女「あぁ、会えないけれど、こういうやり取りだけで、めっちゃ愛しい」
女「ってイカン。感傷に浸る場合ではない」
女「バイトまで時間がない、急がなきゃ」
女「まずは、いただきまーす!」
20分後
女「よしっ! じゃぁ行きますか」
女「いやー、ちょっと遅刻しちゃうかな?」
女「急げ急げ~!」
【夜】
女「ふぃぃ。よーやく帰宅~」
女「あー、慌ただしい1日だった」
女「「誰でもできる簡単なバイトです」って紹介だったのに」
女「もうヘトヘトだよ。どこが簡単やねん……」
女「カレも転職したはいいけど、待遇とか説明とだいぶ違うしさ……」
女「バイトでも就職でも、プレミアムフライデーとかも、」
女「詐欺みたいな事は無くなって欲しいわ……ほんと」
女「ただいま~」
女「おっ? カレーの匂いと、また置き手紙??」
パシッ
ヒロ子へ
あんまり料理できないけれど、晩御飯に
頑張ってカレーを作ってみました!
召し上がれ(o≧▽゜)o
申し訳ないけど、昨日は殆ど徹夜だったので
ちょっと先に寝させてもらいます。ごめんね
明日は日曜日。一緒にドコか行きたいね!
女「…………ぅ」
女「うおおおおおお///」
女「先に寝てるってことは、寝室かな?」
ガチャッ
女「……」
男「……」zzz
女(いたーっ///)
女「ただいまー。帰って来たよ~」
男「……」zzz
女「えへへ。かわいい寝顔///」
男「……」zzz
女「ぁぁ……」
女「こんな至近距離で寝顔を見れる。しあわせ~」
男「……」zzz
女「ふふふ。同棲始めてよかった~」
ピンポーン♪
女「お、はいはーい!」
女「もー、いいトコなのに!」
女「どなたですか~?」ガチャッ
勧誘員「夜分遅く申し訳ありませ~ん!」
勧誘員「私、この地域を担当させて頂いておりますものです!」
勧誘員「この度、こちらのお宅が我が地域に越してきたとのことで~!」
女「はい?」
勧誘員「ぜひ一度、ご挨拶に伺おうと思いまして~!」
女「あの、どういうご用件で?」
勧誘員「はい! 申し訳ございません!」
勧誘員「宗教に、興味はございませんか?!」
女「あー、そういう……」
勧誘員「私どもの宗派は、大変に歴史が深く~」
女「す、すみません。同居人が寝ているので、ちょっと……」
勧誘員「ごめんなさい~。では、小声で説明いたします」ボソボソ
女「あっ、はい」
勧誘員「規模も全国に広がり、その信者数は~……」
勧誘員「……という、会長のお言葉があるのです」
女(な、長い。もう一時間くらい経つのに……)
勧誘員「どうです。素晴らしいでしょう!」
女「は、はぁ……」
勧誘員「いや~。ご理解頂き感謝します」
勧誘員「こちら、教本とパンフレットになります。お渡ししますね」
女「あ、どうも……」
勧誘員「私どもの支部では、生活相談なども行っておりまして~」
勧誘員「もし宜しければ、一度いらしてくださいな」
勧誘員「困ったこと。何でも伺いますので!」
女「あ、あはは……」
女(今、長話されるのが困ってます!)
勧誘員「どうです。何かありますか?」
女「じゃぁ、彼が残業が多くて帰りが遅いんですよ……」
勧誘員「おお、それは良いことだ!」
勧誘員「労働というのは尊いものです。他者の為に尽くことは、修行で徳を積む行為と変わりません」
女「……」
勧誘員「他には?」
女「あ、いえ」
勧誘員「それにしても、お嬢さんは良い方だ」
女「はぁ……」
勧誘員「きっと、神仏のご加護があることでしょう!」
勧誘員「信じましょう! 信じるものは、救われます!」
女「……」
勧誘員「では、失礼します」
勧誘員「また会いましょう~!」
バタン!
女「……」
女「つかれた」
女「宗教かぁ。信じるものは、救われる……」
女「ああいうのが、必要な人も居るだろうけど、」
女「私たちを助けては、くれないよね」
女「信じられるものなんて、何もない」
男「……」zzz
女「とりあえずイマ必要なのは、手作りカレー! いただきまーす!」
モグモグモグ♪
女「……明日、どうしよう?」
女「ねぇ、どこ行きたい?」
男「……」zzz
女「うん。寝てたね」
女「もっと、おしゃべりしたいな~」
女「……父さんと母さん。生前の二人は、もっと喋ってたよね」
女「そこまで仲いい訳ではなかったけれど、晩御飯とか食卓囲んで、テレビ見たりして」
女「どーでもいい話を、アレコレしてた」
女「私たちとは、だいぶ違うよね」
男「……」zzz
女「私の大事な人は、私の眠ってる時間に起き出して、」
女「私が眠った後に、帰ってくる」
女「こんなに近くに居るのに、気持ちも繋がってる筈なのに、」
女「話をすることすら、叶わない」
女「どうして、こうなったんだろう?」
女「カレが新卒で入った会社が、粉飾決算の影響で倒産しなかったら……?」
女「もしくは転職先の求人詐欺に会わなかったら、もうちょっと、違ったかな?」
男「……」zzz
女「また仕事変えて貰うのも、厳しいよね?」
女「辞めたりしたら、今の会社の人が大変になっちゃうし、」
女「若いうちの転職は経歴にキズが付くって言うし、次の会社はもっと酷いかもしれない……」
女「私も大学卒業して、働くことになるだろうけど」
女「私も働きだしたら、会社や仕事の都合に、振り回されたりするんだろうな……」
女「そりゃお金貰うんだし、会社のルールは守んなきゃだけど」
女「これ以上、二人の時間が減るのはなぁ……」
女「同棲始めて、もうすぐ1ヶ月」
女「二人の時間。二人とも起きてる時間って、どれだけあったっけ?」
女「平日は殆ど全滅でしょ。土曜日も……先週と先々週の4時間だけ」
女「日曜日は二人とも、連日の疲労でお昼まで寝てるから……1日10時間くらい?」
女「1ヶ月が30日として」
女「同じ部屋に住んでたはずなのに、48時間。一ヶ月で2日分にしかならない……」
女「二人で過ごした時間って、こんだけなんだ」
男「……」zzz
女「私たちはきっと、この先もずっと一緒だろうけど」
女「あと、60年生きるとして。今のままのペースなら……」
女「あぁ。同じ時間を過ごせるのは、」
女「一生のうち、もうあと4年分位しか残ってないんだ。長くても」
女「……………………」
女「思ってたより、短いなぁ」
女「昔、2人が初めて出会った時は」
女「アタシが中学で、コイツが高校で」
男「……」zzz
女「アタシがイラスト描いて、」
女「コイツに素敵な曲と、合成音声を付けて貰って」
男「……」zzz
女「反対に作った曲に合わせて、イラスト描くとかして」
女「二人して一緒に、ウダウダしながら遊んでたけど」
女「この先は、もう……」
女「そういうのは、無理なのかな……?」
女「アタシに作曲のセンスとかあれば良かったんだろうけど、」
女「ガッカリクオリティな曲しか作れなさそうだし、」
女「もしセンスあったとしても、」
女「私1人だけで作るんじゃ、意味ないんだよねぇ……」
男「……」zzz
女「二人して手分けして、」
女「あーだこーだ喋くりあって」
女「時にはケンカもしたりして、」
女「面白いもの作る日々を……」
男「……」zzz
女「また、送りたいんですけど~」ツンツン
男「……うぅぅ」zzz
女「!」
男「……」
女「」
男「……」zzz
女「……寝てる、ね」
女「ふぅ。起こしちゃったかと思った」
男「……」zzz
女「……よし、らくがきしたろ♪」
ガサゴソ♪
キュッキュッ♪
男「……うぅ、うぅぅ」zzz
女「ふふふ♪」
女「ありがとね~」
男「……」zzz
女「それでもアンタの近くにいるだけで、アタシは幸せだからさ」
男「……」zzz
女「やっぱりもっと、おしゃべりとかしたいけど」
男「……ぅぅ」zzz
女「もの足りないよ。こんな生活」
女「もっと二人の時間も、もの作る時間も欲しい!」
女「この先もずっと、変わらないのかな?」
男「……」zzz
女「……神様とか信じれば、救われたりするのかな?」
男「……」zzz
女「どう思う?」
男「……」zzz
女「ないかな?」
男「……」zzz
このSSは、ここで終わりです
すまぬ……すまぬ…………
続きも考えてはいるけれど
現代人には、時間がない(´;ω;`)
ちなみに
今作は、このSS↓の前日譚だったりします
http://elephant.2chblog.jp/archives/52243232.html
5年後?くらいの話
とにかく
考える切っ掛けになって頂ければ!
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