ロリ「お姉ちゃん、あのね・・・ママって呼んでもいい?」女騎士(33)「ママか、ああいいぞ。私で良ければ」
女騎士「生き残りか!? 家族はどうした?」
ロリ「……やけた」
女騎士「っ、すまない。私たちがもう少し早く来ていれば」
ロリ「……」
女騎士「おいで、私たちと行こう」
ロリ「……」
女騎士「嫌なのか? ここにいても……もう、ここには暮らせないぞ。さあ」
ロリ「おはか」
女騎士「ああ、そうか。そうだな、作ってあげないとな……」
女騎士「ああ、ただいま。ふぅ」
ロリ「……」
女騎士「何度も言っただろう? ここは君の家だ、もっと寛いでいいんだ」
ロリ「きしさま」
女騎士「姉さん、だ」
ロリ「……おねえちゃん」
女騎士「どうした? 何かして遊ぶか?」
ロリ「おねえちゃん、おなかすいた」
女騎士「……はっはっは! そうだな、夕飯にしよう! 今夜は西の通りのバルに行こう、あそこは豚が美味い」
ロリ「お、おねえちゃん」
女騎士「ん? ははあ……遠慮することなんかない、何か食べたいものがあるんだろう?」
ロリ「……」
女騎士「はは、首を振ってばかりでは分からないぞ。そら、何が食べたい?」
ロリ「お、おねえちゃんと、ごはん」
女騎士「うん、一緒に食べような」
ロリ「んんー……」
女騎士「何だ何だ、違うのか?」
ロリ「いっしょに、あの……ふたりで、たべたいの」
女騎士「うん、二人で食べよう。さ、君も外套を」
ロリ「んんー!」
女騎士「あ、おい、そんなに引っ張って、どう……あー、二人だけで?」
ロリ「……えへへ!」
女騎士「そうか、なるほどな!……そうか、なるほどな」
女騎士「ど、どうだ?」
ロリ「おいしくない」
女騎士「はっはっは!」
ロリ「うぅ……」
女騎士「はぁ……あ、おい。もう食べなくていい、やっぱり外へ」
ロリ「あぐ、う、むぐう」
女騎士「お、お腹壊すぞ?」
ロリ「むぐ……おねえちゃんの、りょうりだもん。はむ」
女騎士「……」
ロリ「あむ、もぐっ」
女騎士「はむ、ムシャ……もぐもぐ、はぐっ」
ロリ「おねえちゃん」
女騎士「んぐ……ん?」
ロリ「ありがとー」
女騎士「どういたしまして!」
女騎士「はい、毎日スクスクと育っています。火傷も日に日に薄くなってきて、この分なら目立つ跡にはならないかと」
騎士団長「……征伐の話だ」
女騎士「は、申し訳ありません、つい」
騎士団長「何時頃になる?」
女騎士「3年あればどうにか、と言った所でしょうか」
騎士団長「それ以上は、難しいか」
女騎士「古参層の減った今、育成にまで回せる手は限られていますので」
騎士団長「いつ目覚めるか分からんが、この10年で確実に来る。時間は限られておるのだ」
女騎士「はい!」
騎士団長「頼むぞ、紅眼戦斧の乙女」
女騎士「……若いのに広めてるの、団長ですか?」
騎士団長「はてな?」
女騎士「はは、勇ましいな」
ロリ「いさまし?」
女騎士「強そうってことだ」
ロリ「えへへー」
女騎士「でも君は刃なんて持たなくていい。盾は刃を捨てる為、だ」
ロリ「?」
女騎士「私の居た家の家訓でな……いや、もう私とは関係のない人たちだがな、はははは」
ロリ「たてはやえばを」
女騎士「刃を、捨てる為。沢山の大切なものを貰ったが、その中で一番だ。父と呼んでいた人から何度も聞かされた」
ロリ「たては、やいばをすてるため……」
新人騎士「うお、戦斧! 紅眼戦斧の乙女だ!」
新人騎士「紅眼戦斧様ー! 麗しきそのお顔を一目、一目!
女騎士「……はは、励んでいるかー?」
新人騎士「そりゃもう! オーガくらいなら俺一人でも十分ですよ!」
新人騎士「俺はキマイラを仕留められるぞ!」
新人騎士「クラーケンだって海の藻屑です!」
女騎士「ははは、頼もしいな。では一つ実践稽古と行こうか」
新人騎士「お、お願いします!」
新人騎士「馬鹿野郎、俺が先だ!」
新人騎士「私が先約だ、これは譲れない!」
女騎士「ははは、はっはっは」
新人騎士「ひ、ぃ」
新人騎士「もう無理ぃ……」
新人騎士「……ぐぅ」
女騎士「立て!!」
新人騎士「ひゃいい!」
新人騎士「う、うう」
新人騎士「げほっ」
女騎士「おい真ん中のお前、立てるのに何故もう無理などとほざいた」
新人騎士「ご、ごめんなさ、ぎゃ!」
女騎士「ほう、少しはハンサムになったな。何故もう無理などとほざいた」
新人騎士「……」
女騎士「ふん」
新人騎士「……あぐっ!?」
女騎士「次は鼻か? アゴか?」
新人騎士「か、勝へないと思ったからでふ」
女騎士「勝てなければ戦わないか、っ」
新人騎士「あぐっ」
女騎士「戦わなければこうして死ぬまで殴られる! もう無理か!」
新人騎士「た、戦えまふ!」
女騎士「もう無理だろう腰抜け!」
新人騎士「戦えまふ!」
女騎士「剣も盾も地面に捨てて戦える訳ないだろう! 死にたいのか!」
新人騎士「死にたくなひ! 戦えう!」
女騎士「構えろ! まとめて来い!」
女騎士「やはり男は強いものです、あっという間に腕を上げていく」
騎士団長「貴君の話だ」
女騎士「……先達に鍛えて貰った恩を、返しているだけです」
騎士団長「大槌のも、長弓のも、厳しかったからな」
女騎士「お陰で今も生きていられます」
騎士団長「やはり、3年かね」
女騎士「励んではいますが、どう尽くしてもその位はかかります。でなければ無駄死にをします」
騎士団長「そうか、ありがとう。時に貴君の拾った……」
女騎士「あの子の事も、そろそろ期限ですか」
騎士団長「騎士団という所は規律規律でどうにも、な。引退したお歴々とも相談したが」
女騎士「そう、ですか」
騎士団長「ああいや、筋さえ通っていればという、そういう話だ。何処か話の分かる商家の養女にして、夜は恩返しに騎士様の手伝いをしている、と。こういう具合ならまぁ大丈夫だろうと」
女騎士「……! あ、ですが、そんな商家は」
騎士団長「時に、貴君の宅の近くに騎士団と親交の深いパン屋があるのだが」
女騎士「……何と手際の良い。もしかして」
騎士団長「人を守る為に騎士になった人ばかりだ。多分、代々な」
ロリ「おかえりなさいー」
女騎士「お、お、お? どうしたんだそれ?」
ロリ「えへへ、なんでしょーう?」
女騎士「おいおい……まさかこれ、君が? 小父さんたちに習って?」
ロリ「うん! おねえちゃんおめでとう!」
女騎士「ははは、なんだおめでとうって」
ロリ「おねえちゃん、たんじょうびだもん! おめでとう!」
女騎士「ああ、そっか……すっかり忘れていたな、はっはっは! ありがとう、すごく嬉しい!」
ロリ「たべてー!」
女騎士「いただきます。はむ、うん、これは絶品だ! 世界一のパン屋になれるぞ、私が請け負おう!」
古参騎士「おい」
女騎士「む?」
古参騎士「風上から獣臭がする」
女騎士「ハウンドか?」
古参騎士「分からん。だが鉄臭さはない」
女騎士「ふむ……」
古参騎士「俺は3、4部隊に回る」
女騎士「ああ、それがいい。馬鹿どもが浮き足立っていたら躾けておいてくれ」
古参騎士「あいよ」
新人騎士「キ、キ、キマイラとか?」
新人騎士「クラーケンかも! ひぃい……」
古参騎士「期待を裏切らねぇなあお前ら。森にクラーケンが出るかよ」
新人騎士「だって……」
古参騎士「ほら、構えてろ。合図だ」
新人騎士「!」
新人騎士「こここ、来れられるなら来てみてやがれ!」
古参騎士「何言ってんだお前。ほら肩の力は抜け、今は細く長い集中だ」
新人騎士「すぅー……はぁー……」
新人騎士「すぅー……はぁー……」
新人騎士「すうぅー……はあぁー……」
古参騎士「ちゃんと仕込まれてんねぇ、大したもんだ」
女騎士「……」
トロル「ォ、オ」
女騎士「……ふんっ」
トロル「……」
女騎士「よし、討伐完了。荷車だ」
古参騎士「お疲れさん」
女騎士「ああ、さっきは助かった。ありがとう」
古参騎士「子守なんて退屈な事、もうやらせるなよ?」
女騎士「どうだった」
古参騎士「良い面構えしてやがったなあ、半人前の癖に」
女騎士「彼等も騎士だからな」
古参騎士「嬉しそうじゃねえか」
女騎士「私も騎士だからな」
女将「いやーん! 紅眼戦斧ちゃーん!」
親父「うおー! 紅眼戦斧の乙女よォー!
女騎士「はっはっは」
新人騎士「くそぅ……」
古参騎士「泥だらけでも、俺が英雄様だって顔しろぃ」
新人騎士「でも滑って転んでなんて……」
古参騎士「格好悪くても胸張れ。暗い顔してちゃ怪我したのかって民が不安になるだろ」
新人騎士「……はいっ」
女騎士「はっはっは」
古参騎士「見ろ、アイツなんか下手な笑顔貼り付けてるだろ」
新人騎士「苦手なんだなあ」
新人騎士「荒れてるなぁ」
女騎士「飲め!」
新人騎士「ありがとうございます!」
女騎士「こんな三十路女が……乙女なんぞと……」
新人騎士「酔ってるのかなぁ」
新人騎士「照れてるのかなぁ」
女騎士「飲め!」
新人騎士「ありがとうございます!」
女騎士「お前も!」
新人騎士「ありがとうございます!」
古参騎士「顔真っ赤じゃねぇか、うはは」
女騎士「飲め!」
古参騎士「はいどーも、御返杯だ」
女騎士「んぐっ、んくっ、んくっ……ふはぁーあ」
古参騎士「大丈夫かおい」
女騎士「飲め!」
古参騎士「荒れてんなぁ」
ロリ「おねえちゃん!?」
女騎士「はっはっは、英雄様のご帰還だあ」
ロリ「お、おかえりなさい……だいじょうぶ?」
女騎士「うん、君がいればなんだってヘーキら」
ロリ「ちょ、苦しいってばー、もー」
女騎士「はっはっは、離さないぞー」
ロリ「おねえちゃんったら、えへへ!」
女騎士「……なぁ」
ロリ「うふふ、んー? なにー?」
女騎士「修道院とかなら、友達いっぱい出来たかも知れないなぁ」
ロリ「おねえちゃん?」
女騎士「孤児院だって、本当はそんなに悪い所じゃないのかも知れないし」
ロリ「……」
ロリ「……」
女騎士「ごめんなぁ、君の、君はもっと幸せになって、なるべき、なってほしいのに、わ、私は……」
ロリ「おねーえちゃん?」
女騎士「……ぐすっ」
ロリ「わたし、おねえちゃんのこと、だいすき」
女騎士「う、うう」
ロリ「えへへ」
女騎士「うっ」
ロリ「ふふ」
女騎士「うぅ~……!」
ロリ「よしよし。しょーがないですねー」
女騎士「ああ、おはよう」
ロリ「今日は小父さんが新しいパン教えてくれたんだ! ほらこれ!」
女騎士「おお、焼き立てのいい香りだ。中に具が入っているのか? いただきま」
ロリ「行儀悪いよ騎士様ー? ほら着替えて! 顔洗って! ほんとに手のかかるお姉ちゃんなんだから!」
女騎士「はっはっは、冷めない内に食べなくてはな」
女騎士「いただきます」
ロリ「ね、どう? どう?」
女騎士「うん、絶品だ! 世界一の」
ロリ「パン屋になる、私が請け負おう!」
女騎士「……取られてしまったな」
ロリ「お姉ちゃんそればっかりなんだもん」
女騎士「本当に美味しいんだもん」
ロリ「もう……えへへ」
女騎士「はっはっは」
女騎士「ああ、いよいよ煮詰まってきてな。これからはかなり遅くなる」
ロリ「そっか……」
女騎士「何、ほんの少しの間だけだ。先に寝ててくれ」
ロリ「ううん、待ってる」
女騎士「寝ーてーてーくーれー」
ロリ「……お姉ちゃん、無理してない?」
女騎士「今が無理のし時なんだ」
ロリ「……うん」
女騎士「すまないな」
ロリ「騎士様、だもんね」
女騎士「ああ」
ロリ「……」
女騎士「すまないな」
女騎士「装備の発注と修繕は?」
新人騎士「後2日で全て整います」
女騎士「怪我人」
新人騎士「皆万全の状態です」
女騎士「支援」
新人騎士「地方貴族達から金貨1袋ほど、計8袋です」
女騎士「……ふぅ」
騎士団長「上にも事の重大さが伝わっている様で何よりだ。知っての通り、これまでにない間隔での征伐となる。まだ新人と己では思っているかも知れないが、貴君らは騎士だ」
新人騎士「……」
女騎士「……」
騎士団長「我が騎士団は民を守る盾だ。今一度その事を胸に刻み、備えておいて欲しい」
伝令「報告です、居場所を確認しました! 東部城壁より北東の丘、その洞窟の中です」
騎士団長「間違いないか?」
伝令「はい、記録の通りの体躯と翼、爪。間違いなく、ドラゴンです」
女騎士「まだ起きてたのか。ただいま」
ロリ「おかえりって言いたいもん」
女騎士「はっはっは、いつもありがとうな」
ロリ「……」
女騎士「うん?」
ロリ「今日、一緒に寝ようよ」
女騎士「大きくなったと思っていたが、やっぱりまだまだ子供だな」
ロリ「子供だもん」
女騎士「はっはっは」
ロリ「えへへ」
女騎士「……もう寝たよ」
ロリ「そっか」
女騎士「ああ」
ロリ「……おやすみなさい」
女騎士「おやすみ」
女騎士「……」
ロリ「何処かに行っちゃわないでね」
女騎士「……」
ロリ「私、独りぼっちはもうやだよ?」
女騎士「離さない」
ロリ「そっかぁ。よかったぁ」
女騎士「……」
ロリ「……」
女騎士「おはよう」
ロリ「わっ、どうしたのお姉ちゃん?」
女騎士「うん? 何だ、何処かおかしいか?」
ロリ「なんか、なんて言うか」
女騎士「どうした、そんなに目を白黒させて」
ロリ「紅眼戦斧の乙女……」
女騎士「……君だけは言わないでいてくれると思っていたのになぁ」
ロリ「だって、なんか、すっごく綺麗なんだもん」
女騎士「ぷ、はっはっは! そうかそうか、ありがとう」
ロリ「あ。もしかしてー、今日?」
女騎士「ああ」
ロリ「そっ、か」
女騎士「行ってきます」
ロリ「……行ってらっしゃい!」
古参騎士「了解。引き続き避難誘導願います」
警備兵「はっ!」
女騎士「寂しいものだな」
古参騎士「いつもの賑わいを知ってるとな」
女騎士「守れるだろうか」
古参騎士「弱気だな」
女騎士「……こ、紅眼戦斧のとは言え、乙女だからな」
古参騎士「何だ、自分でも言ってみたかったんじゃねえか!」
女騎士「……」
古参騎士「最後かも知れねぇもんな」
女騎士「守ろう」
古参騎士「守ろう」
警備兵「全区、避難終わりました。どうか、ご武運を!」
古参騎士「了解。有事の際に備えた配置へ願います。ありがとな兄ちゃん」
女騎士「感謝する」
伝令「1、3部隊、配置に着きました」
伝令「2、4、5部隊、配置に着きました」
伝令「6部隊、配置に着きました」
騎士団長「……ありがとう。これより、第82次国家脅威征伐を開始する! 点火ァー!!」
古参騎士「へへっ」
ドラゴン「ぐるるぁ……」
新人騎士「うわぁ!」
古参騎士「くそったれ! 射掛けろ、針山にしてやれー!」
ドラゴン「おぉーーーーん!」
新人騎士「ひぇえ、大迫力だ」
古参騎士「おう、お前も肝が座って来たなぁ!」
中堅騎士「硬すぎです、ってば!」
ドラゴン「ぐる、ぐるるる」
中堅騎士「あっ」
新人騎士「退け、退けぇー! 」
ドラゴン「ぐ、ぐる、ごあぁ!」
新人騎士「ひ……あ、ぁあー!? あ゛あ゛あ゛あ゛!
!」
新人騎士「負傷者を後方に!」
女騎士「くそっ、もうこんなに……!」
騎士団長「降りてくる! 陣形、組めー!」
古参騎士「陣形、組めーい!!」
ドラゴン「ぐるるるぁ!!」
ドラゴン「るるるぅ……」
古参騎士「っだらぁ !」
ドラゴン「ぐるるぁ!」
新人騎士「シッ!」
ドラゴン「がうるる」
女騎士「おぉおお!」
ドラゴン「ぐるるぅるらぁー!」
女騎士「あっ、が……! ぎ、ひぃ」
騎士団長「今助ける!」
女騎士「はっはっは! うぐ、はははははっげほ、げほ!」
古参騎士「離しやがれぇ!」
騎士団長「トカゲの化け物が!!」
新人騎士「このっ、このぉ!」
女騎士「うぁ゛あ゛あ゛あ゛!?」
ドラゴン「ぐぅるるる……がぁ! がるるぁ!」
騎士団長「ぐっ!?」
古参騎士「ぉ、お……!!」
ドラゴン「るる、くるるぅ」
新人騎士「あ、ああ、ひぃ……」
ドラゴン「くるぅ、くるるるぅ……」
新人騎士「たす、助け、て」
ドラゴン「ぐるるる」
女騎士「おい、げほっ、かは……紅眼戦斧の、ステーキは、はぁ、はぁ、美味い、か」
新人騎士「え? い、まだ、生きて」
女騎士「答えろ、私の左手は、美味いか……」
ドラゴン「ぐる、ぐ、るるる」
新人騎士「助け、て……いま、助けてさしあげます!」
ドラゴン「ぐるるるる、ごぁああー!!」
ドラゴン「ぎゃるるるぁ!? がるるぁあ!!」
女騎士「あ゛あ゛あ゛!? ぐっ、ふ、ははははは!!」
ドラゴン「がぅがるるぁ! ぎゃう、ごぁあ!」
新人騎士「この、離せぇ!」
女騎士「まだ、ごほっ! 戦える、私はぁ! うぐ、げほ!」
新人騎士「くたばりやがれ、化け物めぇー!!」
ドラゴン「がぅるるるぐるるぁあー!!」
女騎士「……、っ!」
ドラゴン「が」
女騎士「……」
新人騎士「……」
ドラゴン「……」
女騎士「ぁ、だ」
新人騎士「……」
女騎士「だぃ、82次、こ、あ……? ぁ、ぅ……」
新人騎士「! だ、第82次国家脅威征伐、完了ぉー!」
医者「離れて」
看護婦「さ、こっちへ」
ロリ「お姉ちゃん! お願い、お願いします! お姉ちゃんを助けてください! お姉ちゃぁん!!」
医者「分かってるとも。こんな英雄を死なせてたまるか……!」
騎士団長「貴君は上段から叩き潰されたのかね? あ、元からか。ははは」
古参騎士「ははは!」
騎士団長「ははは!」
古参騎士「だーっはっはっは!」
騎士団長「わーっはっはっは!」
古参騎士「あいててて……!」
騎士団長「あいたたた……!」
看護婦「何やってるんですか貴方たち」
騎士団長「仕方なく遊んであげているという訳ですよご婦人」
看護婦「早く自宅療養になってくれないかしら」
新人騎士「団長殿、ただいま戻りました」
騎士団長「おお、待ち侘びたよ貴君。さ、ご婦人もご相伴に」
看護婦「あら、素敵な」
騎士団長「良いケーキだろう? 瑞々しさ美しさと言ったら貴女の様」
看護婦「素敵なお方。貴方も騎士様でいらっしゃるの?」
新人騎士「え、俺!? お、おれ、おれお」
古参騎士「……」
新人騎士「! お、俺様が街を救った騎士様だい!」
看護婦「あらやだ、街を救ったのは紅眼戦斧様よ。嘘吐きな方に興味ありませんわ」
新人騎士「えぇ……」
古参騎士「バカ」
新人騎士「ああ、はいはい。じゃ、ケーキここに置いて置きますからね団長殿」
騎士団長「ああ、ありがとう」
新人騎士「あんまり喧嘩して看護婦さんに迷惑かけんで下さいねー! 騎士団の名に泥が付きますのでー!」
騎士団長「……」
古参騎士「へへへっ」
騎士団長「騎士団の規律はどうなっているのかね」
古参騎士「代替わりの時期って事じゃねえですかねぇ」
女騎士「ああ、開けてくれ」
新人騎士「あの、本当にお会いになるんですね?」
女騎士「ああ、驚かない様にとだけ伝えて欲しい」
ロリ「……」
新人騎士「そういうことだから、ね。ゆっくり深呼吸して……大丈夫そうかい?」
ロリ「う、うん」
新人騎士「じゃあ……」
女騎士「久しぶり、というのも変か。ははは」
ロリ「うそ」
新人騎士「……外しますね」
女騎士「初めて会った時、君もこんな風に火傷を負っていたな。覚えているか?」
ロリ「お姉、ちゃん」
女騎士「自慢の髪もチリチリだ、ははは」
ロリ「お姉ちゃん!」
女騎士「ああ、左腕は食わせてやったんだ。食い意地の張ったドラゴンでな、牙に突き刺してあっちこっち振り回されて大変だったん」
ロリ「っお姉ちゃん!!」
女騎士「……ごめん」
ロリ「違うよぅ、謝らないでよぅ……!」
女騎士「……ごめんなさい」
ロリ「何で!」
女騎士「な、何でって」
ロリ「何で、お姉ちゃんは泣かないの!? 泣いてよ! 痛かった、苦しかったって! 辛い時は辛いって言ってよぅ!」
ロリ「お姉ちゃん……」
女騎士「う、うぅ……くっ、ぅ、うぁあ……うぅ、ぅぁああ゛あ゛あ゛……!」
ロリ「そっか」
女騎士「盾も持てないし、自慢の戦斧も片腕じゃな」
ロリ「うん」
女騎士「これからは紅眼の乙女とでも呼ばれるかもな、はっはっは」
ロリ「お姉ちゃんはね」
女騎士「……うん」
ロリ「街のみんなを守った凄い騎士様なんだよ」
女騎士「そっか」
ロリ「お姉ちゃんがいなかったらー……」
女騎士「いなかったら?」
ロリ「やっぱり、それでも街を守る為にもっと沢山の人たちが戦ったと思う。ドラゴンもやっつけられてたと思う」
女騎士「ああ、きっとそうだな」
ロリ「でもお姉ちゃんがいてくれたから、今日も明日も、私はパンを焼けるんだ」
女騎士「……そっかぁ」
ロリ「えへへ」
女騎士「はっはっは」
ロリ「あ、前にも言ってた家訓」
女騎士「む、君に話した事があったか?」
ロリ「酔っ払ってる時にちょっとだけね。ねぇ、どういう意味なの?」
女騎士「……騎士は、民に刃を振るわせない為に戦う。戦いに巻き込まない為に戦う。兵にしない為に戦う。平和な世で、筆や楽器や、パン生地を持ってもらう為に、な」
ロリ「……」
女騎士「そしていつか、いつか本当に戦う必要のない日々が訪れたら……皆が刃を捨て、盾も捨てられる日が来る。そんな世界を作る為に私は盾を取っている」
ロリ「へー」
女騎士「ま、私はもう盾も刃も持てないしな。長年連れ添ってきたが、この辺りでこの家訓ともお別れかな」
ロリ「じゃあまた新しいの考えようよ、私たちの家訓! ……ねぇ、お姉ちゃん。お姉ちゃんは騎士を辞めるんだよね?」
女騎士「ああ、第二の人生の幕開けだ。これから何をしようかな、花屋さん……なんて柄じゃないかもしれないが、花を育てたりするのは結構」
ロリ「辞めるんだったらさ、もう騎士団の規律なんかも関係ないんだよね?」
女騎士「? うん」
ロリ「お姉ちゃん、あのね……ママって呼んでもいい?」
女騎士「ママか、ああいいぞ。私で良ければ」
おわり
元スレ
ロリ「お姉ちゃん、あのね・・・ママって呼んでもいい?」女騎士(33)「ママか、ああいいぞ。私で良ければ」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1564145934/
ロリ「お姉ちゃん、あのね・・・ママって呼んでもいい?」女騎士(33)「ママか、ああいいぞ。私で良ければ」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1564145934/
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- マミ「ひとりぼっちじゃない。もう何も恐くない」
今週
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先々週
コメント一覧 (11)
-
- 2019年07月27日 13:31
- オーク「グフフッ」
-
- 2019年07月27日 14:00
- 短いけど良い話だった
-
- 2019年07月27日 14:23
- >>1
やっぱ男なら不決断のおるすばんの様な展開からの帰ってきた女騎手も娘人質で母娘丼な展開期待するよな?
-
- 2019年07月27日 15:05
- >>3
ふざけないでくれ
殺害予告されたいのかい?
-
- 2019年07月27日 15:11
- タイトルからは想像出来ないしっかりとした話でくさ
出来れば同名キャラにはAとかBとか振って分かりやすくして欲しかったな
また次回作に期待してます
-
- 2019年07月27日 16:22
- ※3
通報しておいたぞ。震えて待て。
-
- 2019年07月27日 17:04
- 乗っ取りのクオリティじゃねえよこれ…
良い物読ませてもらった乙
-
- 2019年07月27日 17:51
- オーク「えぇ・・・くっ殺ないの?くっ殺が楽しみで開いたのになぁ・・・」
-
- 2019年07月27日 19:41
- 騎士団長登場 俺「お?来るか?」
商家の養女にしろ 俺「お?来るか?」
古参騎士登場 俺「お?来るか?」
俺「来なかった・・・」
-
- 2019年07月27日 20:46
- >>9
氷炎将軍「クックック…良かったじゃねぇか、最っ
高の焦らしプレイでよぉーっ!!」
-
- 2019年07月27日 22:36
- 女騎士「ロリにはパパも必要だと思うんだ」
オーク「たすけて」
この展開かと思った
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