戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://karapaia.com/archives/52277654.html


リビングルームのど真ん中に墓がある家。そこには、故人の悲しい物語があった(ベトナム) : カラパイア

gravestone8_e
image credit: youtube

 ベトナムのベンチェ省にある小さな村の中に、一軒の大きな屋敷が建っている。外から見ると普通の邸宅のようだが、一旦正面玄関に足を踏み入れると、リビングルームに巨大な大理石の墓がある。

 この家はTomb Villa(墓の別荘)と呼ばれ、訪問者が絶えず訪れるという。

 故人の埋葬には厳しい法律が敷かれてあるベトナムで、なぜ、家の中に墓があるのか?この風変わりな邸宅の背景には、悲しい物語があった。
スポンサードリンク

異国で成功を収めた女性の心には、いつも故郷の家族の存在があった


 ベンチェ省タン・タック区にあるTomb Villa(墓の別荘)と呼ばれている一軒の邸宅は、地元の女性ダン・チ・ナンさんが1960年1月28日に産んだ、リエンさんという娘が建てたものだ。

 貧しい家庭で育ったリエンさんは、18歳の時に漁船の所有者と恋に落ち、3年後に“チャンスの国”アメリカへ移住。異国の地でネイリストになり、後に始めたインテリアデザインのビジネスが成功して、故郷の実家に仕送りができるほど豊かな生活を送れるまでになった。

 2000年初め、故郷を訪問したリエンさんは、母親ナンさんと3人の兄弟に、最終的には母国へ戻ってくる予定であることを伝えた。

 そして、再び家族一緒に暮らせるようにと、自分が育った古い小屋ではなく大きな邸宅を建てることを提案し、その建築費用を出すことを申し出た。

house_e
image credit: youtube

2006年に屋敷が完成するもリエンさんは病を患う


 当時のタン・タック区では、唯一の「家」と呼べる大きな屋敷が2006年に完成した。しかし残念ながら、リエンさんは自分が建てた立派な家で、ほんの数か月間しか住むことができなかった。

 リエンさんは2007年にアメリカから帰国後まもなくしてがんを患い、地元の医師に治療を求めるも、容態が悪化。結局、アメリカで治療を受けるために再び故郷を離れることになったのだ。

 生きてベトナムには戻って来られないことを悟ったリエンさんは、「この家でじゅうぶん暮らすことができなかった。私が死んだらこの家の中に埋めてほしい」と母親に思いを伝え、再び渡米した。


娘の遺志を引き継いだ家族、墓を家の中に造る


 リエンさんは2007年5月10日に帰らぬ人となった。家族は、リエンさんの遺体をベトナムへ持ち帰り、リエンさんの遺言通り家の中にリエンさんの墓を作る決心をした。

 業者に頼んでリビングの大理石の床に穴を掘り、リエンさんの墓を置いた。墓前には、リエンさんの写真を飾り、ろうそくや香を立て仏壇を作った。

gravestone5_e
image credit: youtube

 リエンさんの葬儀には、当局を含むタン・タック区のほとんどの住民が参加したそうだ。

 ベトナムの法律では、埋葬は墓地もしくは教会や寺院の聖地のみとなっている。それにも関わらず、家の中に墓を作って故人を埋葬するというリエンさん一家の違法行為に反対の声はほとんどあがらなかった。

 その理由は、恐らく苦労して異国の地で成功したリエンさんの再び故郷で家族一緒に暮らしたいという悲願が叶えられなかったことに対する、住民たちの大きな理解があったからだろうと言われている。


伝説となった邸宅で多くの訪問者を受け入れる家族


 現在、この家にはリエンさんの弟家族が住んでいる。リビングの真ん中に墓のある邸宅のニュースはベンチェ省で大きく報じられ、この屋敷で起こる原因不明の現象や幽霊の噂も流れ、多くの人がこの家を幽霊屋敷と呼んだ。

 しかし、リエンさんの家族はリエンさんが亡くなってから12年間この家に住み続けているが、何も変わったことはないと主張する。リエンさんの弟は、

リビングに墓がある別荘の伝説を確かめたいとやってくる訪問者らを除いては、この家での生活はいたって普通です。それに、私の最大の喜びはいつも亡き姉の側にいられることです。

と地元メディアの取材で話しており、母親ナンさんもまた、この家を訪れる人々に娘の物語を伝え聞かせているという。

gravestone3_e
image credit: youtube

この家は、娘が建ててくれたものだとみんなに話すことが、娘の思いを受け継ぐにふさわしいことだと思っていますから。

 家族と再び一緒に暮らせることを強く願っていたリエンさん。その思い通り、彼女は今も自分が建てた家の中で、家族に囲まれながら永遠の眠りについている。


Giải ma bi ẩn NGOI MỘ GIỮA PHONG KHACH CĂN BIỆT THỰ ở Bến Tre
written by Scarlet / edited by parumo
あわせて読みたい
ツタンカーメンのお墓には何が入っていたのか?今日保管されている15の品(エジプト)


墓地で撮影された15の不気味な心霊的写真


忘れ去られていった米国軍人たちの墓を清掃し続ける男がいた(アメリカ)


亡くなった飼い主の墓に口に供え物をくわえ、ほぼ毎日墓参りをする猫(イタリア)


ペットの墓地で犬が墓の上に現れた?その驚きの姿を撮影した写真。


この記事に関連するキーワード

キーワードから記事を探す

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
この記事をシェア :    

Facebook

コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2019年08月03日 22:49
  • ID:K319TjfO0 #

お金持ちのかわった趣味を無理ぐり美談にしてないかい?

2

2. 匿名処理班

  • 2019年08月03日 22:59
  • ID:FBy1z10.0 #

わがままで法律を曲げちゃ遺憾な

法律は例外を認めちゃあ遺憾な

3

3. 匿名処理班

  • 2019年08月03日 23:01
  • ID:bDKs65s50 #

火葬なのか土葬なのかが気になる

4

4. 匿名処理班

  • 2019年08月03日 23:15
  • ID:U5mzQx2.0 #

俺も親が生まれてからボロ小屋でまともな家に住んだこともなく
仕事で稼げるようになり注文住宅で新築に住ませることに成功
親も祖母も初めての新築に無茶苦茶喜んでたけど、数年後親も
祖母もある難病であぼーん
この人の気持ちよくわかるぜ

お名前
スポンサードリンク
記事検索
月別アーカイブ
スマートフォン版
スマートフォン版QRコード
「カラパイア」で検索!!
スポンサードリンク