祖父「漫画に出てくるような強いジジイになりたいんじゃが」孫娘「ついにボケちゃったの?」
孫娘「でしょ~?」
祖父「ところで、相談なんじゃが」
孫娘「なに?」
祖父「漫画にはよく強いジジイが出てくるじゃろ」
孫娘「そうだね。師匠だったり仙人だったり組織のトップだったり……」
祖父「ワシもああいう強いジジイになりたいんじゃが」
孫娘「へ?」
祖父「いや、ボケてなどおらん。ボケてにはよく投稿しとるが……」
祖父「あいつら、ワシのボケをちっとも評価せんのじゃ!」
孫娘「おじいちゃんのボケ、昭和にも程があるから……」
祖父「それはさておき、これからは老人も自分で自分を守らねばならん時代じゃ」
祖父「“ワシだって戦える!”って主人公の足を引っぱるようなポジションはゴメンなんじゃよ」
孫娘「そういう台詞はどっちかっていえば子供キャラの気が」
祖父「とにかく! 強くなりたいんじゃよ!」
祖父「なにか問題があるのか?」
孫娘「漫画に出てくる強いジジイってさ、大抵若い頃から強いんだよね」
孫娘「ようするに若い頃超強くて、その貯金があるから、強いジジイになれるわけ」
孫娘「おじいちゃん、若い頃は強かったの?」
祖父「そりゃもう、メチャクチャ強かったぞ!」
孫娘「へぇ~、意外!」
祖父「いや……特に」
孫娘「体を鍛えてたとか?」
祖父「あんまり……」
孫娘「肉体労働してた?」
祖父「入社から定年まで事務職一筋じゃったのう」
孫娘「どこら辺がメチャクチャ強いのよ!?」
祖父「いや、ほら……心意気とか」
孫娘「頭痛くなってきた……」
祖父「あ、柔道なら学校でやったぞ」
孫娘「そんなのやってるうちに入らないから!」
孫娘「腕相撲やろっか」
祖父「望むところじゃ! 負けても泣くでないぞ!」
ガシッ!
祖父「むんっ!」
孫娘「えいっ!」
バタンッ
孫娘「おじいちゃん……あんた弱すぎる」
祖父「むむむ……こんなはずじゃ……」
孫娘「かよわいあたしに勝てないようじゃ、強いジジイになるなんてとてもとても……」
祖父「かよわい?」
孫娘「あ?」
祖父「す、すまん。しかしワシは諦めんぞ!」
祖父「今からだって遅くはない! トレーニングして強くなるんじゃ!」
孫娘「トレーニングって……おじいちゃん年考えてよ! 体壊してかえって弱くなるだけだって!」
祖父「年老いてから、若い嫁をゲットした漢もいる……何事にも遅すぎるということはないんじゃ」
孫娘「どういうたとえよ」
祖父「そうと決まれば、さっそく準備開始じゃ!」
孫娘「しょうがないな、あたしも付き合うよ」
祖父「おおっ、なんという優しい孫じゃ!」ウルッ…
孫娘「ていうか、一人でやらせてポックリいかれても困るしね」
祖父「ガックリじゃわい」
孫娘「オー!」
タッタッタッ…
祖父「はぁ、はぁ、はぁ……」ヨロヨロ…
孫娘「あーあ、いわんこっちゃない! ほら少し休もうよ!」
祖父「いや……なんのこれしき!」ダッ
孫娘「おおっ、すごいダッシュ!」
祖父「とりあえず、あの川の向こうまで走るぞ!」
孫娘「川? 川なんかどこにも……」ハッ
孫娘「ダメーッ! そっち行っちゃダメーッ!」
孫娘「こんなの買っちゃって……」
祖父「まず、お前からやってみい」
孫娘「うん」
孫娘「えいっ、えいっ」バスッ ボスッ
祖父「なかなかいいパンチじゃ。次はワシじゃな」
祖父「どおりゃ!!!」ズドンッ
孫娘「いい音!」
祖父「……」
祖父「いってえ……」
孫娘「サンドバッグに殴られてどーすんの!」
孫娘「自信じゃなくて過信じゃないの? あとスパーリングね」
祖父「まず、ワシから攻めるぞ。そりゃ、ほいっ!」シュッシュッ
孫娘(まるでスローモーションみたいな動き……)
孫娘「じゃあ今度はこっちからいくから防御してね」
祖父「オッケー牧場!」
孫娘「だからギャグセンス古いっての……いくよ!」シュシュッ
祖父「ひえええっ!」ダダダッ
孫娘「逃げ足速っ!」
孫娘「プロテインね」
祖父「なんじゃこれ、粉末か」
孫娘「えーっと、水や牛乳に混ぜて飲むんだって」
祖父「どれどれ……」グビッ
祖父「うえっ! あんまりうまいもんじゃないのう……」
孫娘「そりゃあタンパク質だしね」
祖父「お茶と混ぜて飲もう」グビグビ
祖父「うん、うまい!」
孫娘「緑茶とプロテインて……うげえ」
孫娘「そだね」
祖父「分かる……分かるぞ、ワシの体がパワァアップしとるのが!」
祖父「こうして鍛錬を続けていけば、ワシもきっと強いジジイになれるはず!」
孫娘「ハハ……まあ、頑張って」
…………
……
祖父「体じゅうが痛いよぉぉぉぉぉ!!」
孫娘「あーあ、やっぱり……」
孫娘「病院行こっか」
祖父「いや、きっとこの痛みを耐えきれば、前の数倍の強さに……」
孫娘「サイヤ人じゃないんだからさ……」
医者「運動するのは結構ですが、ご年齢を考えて無理をしないように……」
祖父「はい……」
医者「一応、痛みがひどくなった時のためにお薬を出しておきます」
祖父「あ、できれば筋肉増強剤も……」
孫娘「おじいちゃん!!!」
祖父「ごめんなさい!」
祖父「やっと体がよくなってきたわい」
孫娘「本当にあんまり無理しないでよ、おじいちゃん」
孫娘「あたしはおじいちゃんが強くなくてもいい。元気でいれば十分なんだから」
祖父「ありがとう……」
祖父「さてと、今日は軽くウォーキングをしてから、トレーニングするかのう!」
孫娘「無理のないトレーニングをね!」
祖父「分かっとるわい」
祖父(あれから孫と一緒に、ちゃんとしたジムにも通い、トレーニングをしていくうち……)
祖父「ワシもだいぶたくましくなってきたわい!」
祖父「ほれ、ちょっと力こぶもできる!」ポコッ
孫娘「うん、今のおじいちゃん、同年代の中ならかなり若々しい体になってると思うよ」
祖父「ホントか!?」
祖父「よーし、誰でもいい! かかってこんかい!」ビシッ
孫娘「またすぐ調子に乗る……」
祖父「今年の敬老の日はKOの日じゃーっ!」
祖父「ハチョーッ! アチョーッ!」
祖父「ふぇ?」
DQN「今“誰でもいいからかかってこい”とかいってたよなぁ?」
金髪「随分イキってんなぁ、オイ」
祖父「はう!?」
祖父「あ、いや、あの……私、格闘アルツハイマーでして……。発作が出てしまいまして……」
DQN「なぁにが格闘アルツハイマーだぁ!?」
祖父「ひっ!?」
孫娘「おじいちゃん!」
DQN「ここは一つ、駆除してやらねえとなぁ!?」
金髪「おお、そりゃいいな!」
祖父「待って下さい! ワシ、悪い老害じゃないよ!」
DQN「うっせえ、やっちまえ!」
金髪「はらわたを食い尽くしてやるよ!」
祖父「許してぇぇぇ!!!」
祖父「!」
DQN「なんだ、てめえ」
孫娘「おじいちゃんに手出しはさせない!」
祖父「コラ……よしなさい……!」
DQN「ふぅ~ん、可愛い孫が俺らの相手をしてくれるってか?」
金髪「だったらたっぷり可愛がってやるよぉ!」
孫娘「くっ!」
ドカッ! バキッ! ドゴッ!
祖父「ああ~~~~~!!!」
祖父(最愛の孫が……! ワシのせいで……!)
DQN「あが、が……」ピクピク…
金髪「ま、まいった……」ピクピク…
孫娘「おじいちゃん……あたし、こいつらやっつけちゃったみたい」
祖父「う、うむ……」
孫娘「あたし、おじいちゃんのトレーニングに付き合ってるうち、こんなに動けるようになってたんだ……」
祖父「元々運動神経はよかったが、こりゃあたまげたわい……」
………………
…………
……
実況『さあ、いよいよ決勝戦が始まります! 世界女子格闘技選手権!』
実況『五連覇中の米国の女王に挑むのは、なんと日本人!』
実況『小柄ながらスピーディなファイトで、海外の強敵を打ち倒して参りました!』
実況『応援席の最前列には、なんとおじい様が来てらっしゃいます!』
ワァァァ…… ワァァァ……
セコンド「勝てるぞ! 行ってこい!」
孫娘「はいっ!」
孫娘「おじいちゃーん、絶対勝つからねー!」
祖父「がんばれーっ!!!」
祖父「……」
祖父(ワシは強いジジイになれんかったが……孫が強い女の子になってくれてよかったわい)
― 完 ―
元スレ
祖父「漫画に出てくるような強いジジイになりたいんじゃが」孫娘「ついにボケちゃったの?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1567610229/
祖父「漫画に出てくるような強いジジイになりたいんじゃが」孫娘「ついにボケちゃったの?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1567610229/
「SS」カテゴリのおすすめ
- 伊織「お漏らしなんてした事ないわよ」 P「じゃあ宣言しろ!」
- 山城「扶桑姉様が改二になるわ!!!」提督「やったー!!!」
- ラオウ「うぬが俺のマスターか?」
- P「はーい、二人組作ってキスしてー」
- 息子「クソ親父、ブン殴ってやる!」父「ひいいっ!」
- 美希「ミキとデート、しよ?」P「断る」
- P「ざけんなよ……お前ら……」
- 春香「ほ~ら、響ちゃんのグラビア巻頭特集だよ!」
- 露伴「岸部露伴の楽しい木造建築」
- スネイプ「はいみんなおはようございまーす!」
- 八幡「No.101 S・H・Ark・Knight……」
- 「日誌 ロールシャッハ記 9月1日 ヨークシンシティ」
- 真田「アイドル共にテニスを教えろだと?」
- 妹「さわんな!」
- 佐天「すごいテニスが出来る能力かぁ」
「ランダム」カテゴリのおすすめ
- マミ「スカートの中からなんか出てきた」
- モバP「罰ゲーム!!!」ちひろ「イェーーーイ!!!」
- アキ「もう!ミカはホントにパチンカスなんだから!」
- 【モバマス安価】「クラリス懺悔室」
- 桐生一馬「もしもあの時…」
- 五代「大丈夫!俺クウガだもん!」撫子「・・・?」
- 世界のアシタカ「サンの時だけアホになります…1、2、ソナタァwwwwww」
- 【ミリマスSS】百合子「まるで二人だけの逃避行ですね!」P「大げさだな」
- アスカ「人形のくせに!!」レイ「他に代表作がないくせに」
- 男「答えを出す能力ですか」悪魔「そそっ!」
- 飛鳥「文香さんいいよね……」 ありす「いい……」
- メリー『私メリーさん、今名古屋駅にいるの』男『うち神奈川だけど』
- セイバー「失礼します」面接官「どうぞ」
- 男「まぁ待ちたまえよ」ガシッ 貞子「ひいっ!?」
- 智絵里「も、持ち込み企画を…」瑞樹「あら」
今週
先週
先々週
コメント一覧 (3)
-
- 2019年09月05日 10:57
- 僕はパワーだけは最強のかわいい女の子になりたいです
-
- 2019年09月05日 12:23
- 強いかは知らんが、世の中60手前とかからボディビル始めるじいさんも居るとかいないとか。
-
- 2019年09月05日 15:16
- 漫画のジジイも結局主人公を真の力に導く役目が本領だからある意味夢は叶ったんじゃないか
スポンサードリンク
デイリーランキング
ウィークリーランキング
マンスリーランキング
アンテナサイト
新着コメント
最新記事
読者登録
スポンサードリンク