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罪悪感を一切持たず、息を吐くように嘘をつく、他人への共感に著しく欠けるといわれているサイコパス(精神病質)。人類の歴史に記録されているもっとも凶悪な事件のいくつかは、サイコパスによって引き起こされたものだとされている。
「サイコパス(サイコパシー)」という用語が考案されて以降、まるで闇に魅入られたかのようなその特性は我々の関心を引き付けてきた。
反社会性パーソナリティー障害といわれるサイコパスだが、全員が犯罪者になるわけではない。その特性が優位に働く職種もある。
彼らの人格を作り出す原因については、昔から「生まれか? 育ちか?」という視点で論じられてきた。
これまでの研究から、多くの専門家は、そのふたつが複雑に絡み合った結果がサイコパスなのだと考えていたが、脳科学が発達した今、新たな研究結果も次々と報告されている。
ここでは、サイコパスを脳科学の観点からみていくことにしよう。
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サイコパス度が高い受刑者の脳を調査。通常の脳との違い
2011年、凶悪犯罪を犯して収監された犯罪者に、「ヘア・サイコパシー・チェックリスト」というサイコパス度を評価するテストを受けてもらった研究が発表された。
また2017年の別の研究では、サイコパス度が高いと評価された受刑者の脳をスキャンして、何か普通と違うところがあるのかどうか探ってみた。
これらの研究から明らかになったのは、サイコパスの脳は、「扁桃体」「前頭前皮質」「傍辺縁構造」「腹側線条体」が通常の人と違うということだ。
こうした差異は、サイコパス的な行動とどのように関連しているのだろうか?それぞれについて見ていくことにしよう。
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初期感情を司る扁桃体の活動の低下で恐怖を感じない
まず、扁桃体は感情の中枢だ。恐怖、怒り、悲しみ、愛情といった初期情動を司り、衝動や攻撃性のコントロール役も果たしている。
また学習にも重要な領域で、私たちが暮らしている社会について、つまりルールとその境界を教えてくれる。ほかにも危ないものを告げ、脅威と危険を認識する手助けもしてくれる。
今回の研究では、恐ろしい顔や非道徳的なことなど、サイコパスに一連の不快な画像を見てもらい、そのときの反応を調べた。
すると、あるサイコパスの脳では扁桃体の活動が著しく低下することがわかった。
これはサイコパスが、社会に定められたルールの範囲内で生きる方法を学んでいないということだ。
彼らは一般的なエチケットが何で、その境目がどこにあるのか認識していないし、怯えている人を見ても何も感じないのである。
扁桃体の活動の低下は、恐怖反応を抑える。また他人の恐怖に対する感情反応も鈍くなる。サイコパス度が高いほどに、扁桃体の活動も弱くなるようだ。
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人格の中枢である前頭前皮質が作動せず衝動にブレーキがきかない
次に、前頭前皮質は人格の中枢だ。衝動や計画、選択、自制心、長・短期の意思決定といったことを制御する。
また人を人たらしめ、人間を他の動物とは一線を画す存在にしている高度な機能をも司っている。
アメリカの鉄道建築技術者であったフィアネス・ゲージ(1823〜1860)という男性の有名な事例は、その機能の大切さをはっきりと教えてくれる。
ゲージはある事故のせいで、鉄棒が頭蓋骨を貫通してしまい、そのせいで大脳皮質に大きな損傷を負った。
これ以来、彼は豹変してしまった。本来のゲージは、礼儀正しく、勤勉な良き夫であった。それなのに事故以来、暴力的かつ攻撃的で、下品な俗物になってしまったのだ。
眼窩前頭皮質の灰白質が少ないことも影響
今回の研究では、サイコパスは、前頭前皮質の「眼窩前頭皮質」という領域の灰白質がかなり少ないことが明らかになっている。
眼窩前頭皮質は、衝動の制御や意思決定にかかわると考えられている領域だ。また報酬の連想にも重要だとされている。
前頭前皮質は、自分の行動を観察しており、必要なときはブレーキとして機能し、衝動を抑える。
普通の人であっても嫌な上司に殺意を覚えることはあるだろう。だが、それがいけないことであるとわかっているし、殺人をしてもロクなことにならないと予測できるので、想像するだけで実際に行動に移したりはしない。
だが、もしこのときに殺意のブレーキが作動しなかったとしたらどうだろうか? 前頭前皮質が機能しないということは、その人を後先考えずに行動させてしまうということなのだ。
それどころか、サイコパスは人が傷つけられたり、罰を受けたりしているところを見ると、ここが活発に発火する。
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傍辺縁系の体積が少なく体験した記憶を思い出せない
傍辺縁構造(paralimbic structure)は、想起と記憶を司り、短期記憶とエピソード記憶を管理している。
また感情を制御する扁桃体とも密接に結びついている。つまり、感情と記憶を密接に結び付けている。
サイコパスの脳では、傍辺縁系の体積が有意に少ないという結果が得られている。この領域が少ないと、エピソード記憶をなかなか思い出せなくなってしまう。
エピソード記憶とは、個人が経験した出来事に関する記憶のことだ。たとえば、昨日の夜、誰とどこで何を食べたかといった記憶がそれである。
もし自分の過去に何が起きたのかきちんと思い出せないとすれば、事実とは違うことを思い出すかもしれない。
過去の経験において、自分が果たした役割を過大評価し、他者の役割を過小評価するという可能性もある。
腹側線条体が活発で目先の報酬に飛びつく
最後に、腹側線条体は報酬と動機の処理を司る。期待、意思決定、報酬期待を制御しており、すぐ得られる満足にも関係する。
研究では、腹側線条体がもっとも活発だった受刑者は、サイコパス度も高かった。このことは、彼らが直ちに得られる満足を過大評価しており、物事を我慢できないということを意味する。
それだけでなく、研究では、腹側線条体と前頭前皮質との結合が弱いことも明らかになっている。
この領域には心のタイムマシンのような機能がある。つまりは未来の出来事を推測する手助けをしている。
普通の人は自分の行動の結果、どうなるのか予測することができるが、サイコパスはそれができないのだ。
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サイコパスの責任能力
こうした事実は、ある重要な疑問を提起している。
もしサイコパスの脳が普通と違うのであれば、彼らを扱う際にはそのことを考慮せねばならないのだろうか?
たとえば、脳に損傷を負った人間がそのせいで犯罪を犯した場合、責任能力なしとみなされ、おそらく刑務所に送られることはないだろう。
同じ理屈が、サイコパスにあてはまるのか?
2017年の研究を行なったジョシュ・バックホルツ氏は、サイコパスに対する認識を改めるべきだと述べている。
バックホルツ氏によれば、サイコパスは脳の障害のせいで衝動の制御や意思決定に問題を抱えた、助けを必要としている人々だという。
はたしてサイコパスは憎むべき怪物なのか、それとも手を差し伸べるべき社会的弱者か。あなたはどう思うだろうか?
References:Science daily / NCBI / Learning mindなど / written by hiroching / edited by usagi
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コメント
1. 匿名処理班
写真が全部怖い
2. 匿名処理班
後先考えず刹那的に行動する
動物みたいなものか
3. 匿名処理班
脳機能の奇形だから障害者とでも?
精神異常者=障害者?
罪には問われない・許される可能性があるってこと?
いい加減にしてほしい
4. 匿名処理班
>たとえば、脳に損傷を負った人間がそのせいで犯罪を犯した場合、責任能力なしとみなされ、おそらく刑務所に送られることはないだろう。
>同じ理屈が、サイコパスにあてはまるのか?
いち市民としては原因がなんであれ刑務所なり隔離施設に放り込んで欲しいけどね
5. 匿名処理班
確かに、人は生育環境で説明のつかない事が多過ぎる。
6. 匿名処理班
サイコだと判定されたら犯罪犯す前にロボトミーみたいに脳をいじればいいんじゃないの
100年後はそうなってそう
7.
8.
9.
10. 匿名処理班
いつから自分がサイコパスじゃないと錯覚していた?
11. 匿名処理班
※6
サイコでも最先端を走るような優秀な人って沢山いるし、それじゃどっちが犯罪なんだか
むしろ百年後にはもっとうまく付き合えるようになってるか、サイコパスなんて定義自体消えてると思う
12. 匿名処理班
それで生まれなの?育ちなの?
13. 匿名処理班
一般人でもシナプスが正常じゃない人なんて幾らでもいるからなあ
一時的な精神疾患掛かってる人なんてほとんどそう
サイコパスだからって特別扱いすべきじゃないだろ
犯罪と刑罰の認識があるなら普通に対応すべきだよ
こんなので特別扱いしてたらキリがない
14. 匿名処理班
サイコパスの幼少期の脳波データがあるなら別だけど罪を犯した後の脳を比べてもな。
罪を犯してから余計に共感とか良心が薄くなっていったのかもしれないし。
15.
16. 匿名処理班
生まれつきがサイコパス
環境によって生まれるのがソシオパス
って分類じゃないっけ?
17. 匿名処理班
生まれつきではあるものの、育て方や周りの環境によっては、サイコパスにならない場合もあるよってこと?
18. 匿名処理班
※6
それでは100年前に戻るようなもの。
ロボトミーが廃れた歴史を見ても、精神医学界がそちらに手を出すとは思えません。患者、施術者どちらにもリスクが大きすぎ。
19. 安房守
オウム事件の時もそうだったけど(結果として主だった幹部は死刑になったが、当時は死刑にすべき、すべきではないともめていたが)、刑罰を適応しないのなら、人権団体や擁護団体がしっかりと更生教育をして身元保証人になればよいと思う。そして再犯した場合身元保証人や団体に刑罰なりすればよい。それだけの信念と資金はあるのだから。
麻生の事件や相模原の養護施設殺傷事件。川崎老人ホーム連続殺人事件。首都圏連続不審死事件挙げればきりがない。必ずしも厳密にサイコパスと言う枠に入らないものもあるかもしれないが。
犯罪にも種類はある。多くの場合マスコミの取り上げるのは「なぜこうなったか?」「交友関係」「ひきこもりか否か?」「出生から今日まで」「猟奇性の有無」「精神疾患の通院歴」があるものだけ。首都圏連続不審死事件は容疑者の容姿と裁判中にやっていたおかしなエクササイズ(口の中で舌を左右にやる美容法とか?)が注目されてマスコミに取り上げられたが。
どうでもよいのだが、脳障害や精神疾患持ちの犯罪を無罪にするのではなく、ちゃんと刑罰に処すか、JPSを付けるなり、人権団体や支援団体に週一で通うのを義務化させるべきと思う。
ついで?と思うような判決を出す裁判官や光市母子殺人事件で?と言う発言させたイカレタ弁護士にも何かしらの罰は必要だと思う。何故なら世間に精神疾患者は危ないと言う偏見を増長させる気がしてならない。
20.
21.