image credit: youtube
イギリスのロンドンにあるバッキンガム宮殿の見どころのひとつといえば、独特のユニフォームに身を包んだ、近衛兵の姿だろう。
彼らは、クマの毛皮でできた黒い帽子と赤いボタンジャケットを着用し、宮殿の門番として直立不動の姿勢を取っている他、大切な式典の際などには団体で行進する。
しかし、近年猛暑が続くイギリスでは、冬に適したユニフォームを年中装着している近衛兵の数人が失神する傾向にある。
そこで現在、英国陸軍研究チームは近衛兵が問題なく任務を遂行するためにも、どのような方法で失神を防ぐことができるかということをリサーチ中なのだという。
スポンサードリンク
Man Down! Member Of Queen's Guard Faints During Birthday Ceremony
特徴的なユニフォームを身にまとう近衛兵
エリザベス女王のお膝元、ロンドンのバッキンガム宮殿には多くの観光客が訪れるが、見どころのひとつとなるのは、やはり象徴的なユニフォームを着て行進する近衛兵の姿だ。
image credit: youtube
彼らは、職務中だから当然のことではあるが、笑顔ひとつ見せず黙々と任務をこなしている。今では、そんな姿も近衛兵のイメージとしてすっかり定着しているようだ。
中でも、クマの毛皮でできた黒の長い帽子と襟元まできっちりとボタンを締めた赤いジャケット、ウール製の厚いズボンといった近衛兵のユニフォームは特徴的だが、寒い冬の気候であれば暖かくても、夏の暑い時期には辛いことこの上なさそうである。
事実、近年猛暑が続くイギリスでは、数人の近衛兵が式典の最中に失神するという事態が起こっている。
image credit: youtube
過去にも、近衛兵のユニフォームが年中通して同じという点においては、苦情が出ていた。しかし、伝統的なユニフォームの改善はされないまま現在に至り、女王や王室メンバーの目前で倒れるとあっては、問題である。
image credit: youtube
image credit: youtube
イギリスに限らず全ての兵士は、熱中症が原因で失神することもたまにあるそうだが、(関連記事)現在英国陸軍研究チームは、王室の任務をスムーズに遂行するために、近衛兵の失神を防ぐ方法を模索している。
近衛兵の失神を防ぐ効果的な方法とは?
衛兵らによると、ユニフォームの不快さを避け、失神しないように普段心掛けていることは、朝食をしっかり摂り、毎日十分な水分補給をすることだという。
また、外気温が38度近くにも達する暑い日に長時間発ち続けると、失神のリスクが高くなることから、血行をよくするためにつま先を揺らし続けることも大切なのだそうだ。
image credit: youtube
しかし、それだけでは完璧な失神防止は難しい。近衛兵が任務中に失神することを非常に深刻な問題として受け止めている英国陸軍研究チームは、資金を研究に提供し、リサーチを続けている。
その中でリサーチチームは、通常の最大4倍の塩分を摂取すること、暑い中での運動が効果的であることを指摘している。
このアドバイスは、消防士や警察官など普段の任務で熱に晒されている人や、満員の通勤電車・バスに乗っている人々にも同様の効果があるとされている。
つまり、もし研究チームが近衛兵の効果的な失神防止法を考え出すことができれば、全ての人にとっても有益ということだ。
image credit: youtube
とはいえ、やはり暑い中冬に適した服装は近衛兵にとって不快でしかない。伝統も大切だが、失神防止法の研究よりも、せめてジャケットだけでもちょっと薄手の生地で夏用を作るとかしたほうが、かかる費用が低い気もするが、どうだろう。
References:CBS Evening Newsなど / written by Scarlet / edited by parumo
あわせて読みたい
式典中にバタバタと・・・ついに倒れてしまった兵士たち特集
お前は俺を怒らせた!イギリスの近衛兵にちょっかいを出した観光客のこの後すぐ!
イギリス近衛兵の進路上にいた男性のこの後すぐ!!
人間だもの。厳粛な任務の中過ちをおかしてしまった衛兵たちの映像総集編
イギリス近衛兵の容赦ない仕打ち
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「知る」カテゴリの最新記事
「人類」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 2945 points | 「ヒキガエル・ハイ」ヒキガエルの分泌物を吸引すると、半数以上の人は1か月間ハッピーな気分になれる(オランダ研究) | |
2位 2224 points | バクテリアが紡ぎ出す人工のクモの糸でつくられた最強のダウンジャケット「ムーン・パーカ」がついに正式販売(日本) | |
3位 2043 points | 少年が崖の下に落としたサンダルを必死に拾ってくれたのは、なんと1羽のアヒルだった!(フィリピン) | |
4位 1609 points | もう無理、見てられない!几帳面な人の心をざわつかせる15の光景 | |
5位 1495 points | たった10分動物と触れ合うだけで、ストレスが大幅に軽減される(アメリカ研究) |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
近衛兵液体説が出そうなダウン具合
2. 匿名処理班
コスチューム変えられないなら、今のデザインのまま薄めの夏タイプ作ればいいのに
3. 匿名処理班
空調服にしてあげて
4. 匿名処理班
失神じゃない熱中症だ
5. 匿名処理班
ファン付きの作業着みたいに帽子にファン仕込めばすーすーする
6. 匿名処理班
どうしてもあの分厚い服装にこだわるなら空調服に改造しろよ。
7. 匿名処理班
ワークマンの送風ファン付き作業着だよね、誰か教えてあげて。
8. 匿名処理班
扇風機付きシャツを制服に導入するのはどうだろう?
9. 匿名処理班
夏服作ってあげなよ
しかもあの帽子クマの毛皮って!夏にあんなもん被ってたら死ぬぞ
昔と気候違うんだからさ何とかならないのかな
10. 匿名処理班
環境が変わるにつれ伝統も変わらざるを得ないんだねぇ
11. 匿名処理班
こんなに技術が進歩してるのに熱中症対策だけはずさんすぎるよね
12. 匿名処理班
確実に地球温暖化してるんだから伝統って言ってる場合じゃないよね
柔軟に対応したほうがいいのにね
13.
14. 匿名処理班
内側に保冷剤を仕込むくらいしか思いつかない…
15. 匿名処理班
ダウンジャケットやがな
16. 匿名処理班
オリンピックの熱中症対策→10月にやれや
近衛兵の熱中症対策→夏服作れや
17. 匿名処理班
空調服はモコモコしそうだから水冷式スーツのほうがいいんじゃないか?
18. 匿名処理班
「あの時助けていただいたマスカラです」
19.
20.
21. 匿名処理班
液冷式にして冷却パイプをズルズルと引っ張って歩けば良いんじゃないかな。
ケルゲレン撃ち落とすくらいまでは逝けるだろう・・・
22. 匿名処理班
アサガオを置いてみたらどうだろう
23. 匿名処理班
死人が出てからじゃあ、遅いっしょ。出てないよね?はよ対策取ってあげんしゃい!
24. 匿名処理班
イギリスにはクールビズって考え方はないのかな?
真っ黒なクマの毛皮って、頭に熱がこもって
ぼぉ〜…ってなりそうだ。
っていうか、熊の毛皮なんか使ってたんだ。
25. 匿名処理班
東京オリンピックとか運動会のせいか日本だけが旧態依然で恥ずかしいって思い込んでいたけど、外国でも苦労してると知って、不謹慎ながら安心してしまった。英国の若者も苦しんでいるのね。
良い夏服を正式導入した方がいいと思う。
26. 匿名処理班
何のためにそこまでしてあの格好と任務にこだわるんだ・・・
伝統だとしても時代に合わせて工夫するくらいは許されると思うんだが
27. 匿名処理班
帽子被るだけでも熱中症になりそう…
28. 匿名処理班
めっちゃ可哀想だし、
ユニフォーム自体を改善してほしい。
伝統より命の方が大事だと思う。
もしも、彼らが命を落としたら、
親御さんの悲しみは計り知れないよ。
29. 匿名処理班
軍人を観光資源にするのやめたげて
30. 匿名処理班
いやあ今までこの服で耐えてた精神力のほうが強い
無理しちゃだめだ
31. 匿名処理班
冷房仕込めばいいんじゃね?
王国の権威としてそう簡単に変えることは出来ないのだから小細工するしかねえだろ
歴史が力になるのは確かだし
32. 匿名処理班
帽子に空調ファンとストロー付き麦茶セットすればいい
33. 匿名処理班
人工の雪を降らせるのはどうだろうか?
34. 匿名処理班
くるみ割り人形のおもちゃの兵隊さんみたいよ
普通に夏服verでいいじゃない
英王室も変わらないと。エリザベス女王はきっと兵隊さんたちが倒れるのに心を痛めてらっしゃると思うぞ
35. 匿名処理班
優秀な人材を浪費する贅沢
36. 匿名処理班
帽子の中に冷却材仕込もう
37. 匿名処理班
あの格好が採用されたのは、わりと寒い時期だった18世紀ぐらいだから、むしろ寒くないのが重要だったわけだがw
※24
17〜19世紀のヨーロッパの軍服の流行りのひとつで、熊の毛皮帽子は擲弾兵(エリート歩兵)の証。そこから親衛隊やらなんやらもかぶるようになったみたい。
38. 匿名処理班
シッパーの中にドライアイス敷き詰めてその中に立ってろよ
39. 匿名処理班
不謹慎ながら倒れている姿が何故かかわいい...と思ってしまった。
40. 匿名処理班
どの国でも伝統が優先されて利便性や合理性が無視されることあるんだなぁって
41. 匿名処理班
あの黒帽子に麦わらのつばを付けてみたらどうだろう
42. 匿名処理班
なぜこんな頑なに夏用の制服を作らないの?w
43. 匿名処理班
帽子の頭頂部をハゲにすれば少しは涼しくなるよ
あとハゲにPepper君を売りつけさせるとか
44. 匿名処理班
歩哨中に寝るのはどんな事情があろうと絶対死刑が古代ローマからの伝統だろ?これも銃殺刑か?
45. 匿名処理班
目的が「女王を守ること」から「伝統を守ること」に入れ替わってる
46. 匿名処理班
※37
なるほど、昔の軍服のスタイルなわけですね。
勉強になります。
47. 匿名処理班
倒れたら罰金バッキンガムよ!
・
・
・
でもあれだ、倒れなくなる方法って結局無茶してでも働かせられる方法ってわけで、働く側のマージンをいかに削っていくかって事だよなぁ
48. 匿名処理班
同じ場所に立ちっぱだから地面に冷風の吹き出し口付ければいいんじゃない。靴の底もメッシュ状にしてさ。
49. 匿名処理班
伝統も大事だが、近衛兵も大事だろうに。
暑さ対策が我慢する事しかないのなら、いずれ近衛兵になる人がいなくなるぞ?
見た目が大事というなら、見た目そのままに涼しくなる服にすればいい。
50. 匿名処理班
可哀相!
夏も冬も同じだったんだね。
どなたかカッコいい夏服デザインしてあげてほしい。
デザイナーさ〜ん!
とにかく熱中症を馬鹿にしたらいかん。
死ぬ事もあるんだから。
51. 匿名処理班
優秀な人材、それもエリート中のエリートでしょう。国民の命を守らないなんて、ひどい国だわ。
52. 匿名処理班
日本の工場用のファン付き作業服改良したら良いんじゃないかな?
頭の帽子の中を涼しくするのと、背中を涼しくするだけでもかなり効果があると思う
53. 匿名処理班
※34
周りに朝顔を植えることも忘れてはいけない
54. 匿名処理班
人権侵害だからなくなってほしい。警備中の兵士がまったく動かないのとかも、前は面白いと思ってたけどだんだん見てるの辛くなってきた。
失神って軽く見てるけどただごとじゃないよ、それで命を落としたり一生障害が残ったりもするんだからさ…
55. 匿名処理班
確かに倒れたくはないだろうけど、下手に軽装の夏服とかデザインしても、あの近衛兵に任命される人たちは少なからずあの伝統のスタイルに身を包んで勤めることに誇りを抱いていると思うんで歓迎されるとは限らないように思う。外見はほとんど変わらずに涼しく、というふうにできればいいんだけどね。
56. 匿名処理班
伝統の名の元に人を苦しめるってほんとどうかしてるわ
最近は伝統を口にする奴は碌なものじゃないと感じるようになって来たよ
57. 匿名処理班
>>22
人工雪もいいぞ
58. 匿名処理班
もう昔と気候が違うんだから薄手の保冷ベスト内蔵できるとか帽子の中に頭を冷やす装置を付けるとかなんとかしてやれよ!
59. 匿名処理班
近衛兵さんが倒れてそれを近衛兵さんが整然とタンカーで運ぶって、なんかシュールアニメを見ているようだ。💂♀️
環境に合わなくなってきているんだから猛暑に対応した服にすべきだよ、見た目は一緒でも今のテクノロジーで上手いこと出来そうなのに。
60. 匿名処理班
イギリス式のシュールなギャグなのかと感じざるを得ない…
61. 匿名処理班
いや、デザインを変えずに生地を変更したら?
今は熱中症対策の生地はいくらでもあるでしょう
62. 匿名処理班
塩分とるとかそれ日本じゃん
63. 匿名処理班
全員志願兵でわかったうえでやってんだから外野がとやかく言うことではない
まあ、服の中に冷却材仕込むとかかな
夏服いうても、例えTシャツ短パンにしたってやっぱ暑いからな
64. 亡国の某国
帽子のなかと股間に氷嚢
65. 匿名処理班
※3
そんな事では女王陛下は守れない ボンド! ジェームズ ボンド!
66. 匿名処理班
夏用帽子を竹とか籐で編んだのにすればどうかな。
67.
68. 匿名処理班
扇風機付きの空調服にすればいい。
ビジネスチャンスです。
69. 匿名処理班
あのデカい帽子の中に冷却機構を仕込めばいいだけじゃないの?
空冷でも水冷でもなんでも
70. 匿名処理班
日本の高校野球にも通ずる無能さを感じる
(球児の事じゃないですよ、スケジュールとかの話です。念の為)
71. 匿名処理班
女王なり王室からの鶴の一声はないのか?
72. 安房守
日本より湿度が驚くほど低いから、軍服からくる体内温度上昇か強い日差しが原因ですね。
差し詰め2年前4月中旬から5月下旬。40日間欧州を行った際。上着は紺ラシャのフランス軍のジャケットを着て歩き回りまして。ハンガリー・ルーマニア・クロアチア・スロヴェニアの気温は30度台。夏服に着替えることなく着てきたので通しましたね。すべての荷物を持って宿探したりしましたね。
ルーマニアで警察に手招きされて近づく。(内心職質と疑う)どうも面白い奴が歩いてるから呼んだ感じで、10数分ほど「服はどこで買った?」「どこの国の人か?」「どんなところか?」質問攻め。別れはパトカーの前で肩組んで、あちらはスマホ。私はデジカメで記念撮影をしましたね・・・。行き交う市民は怪訝な顔でした。
73. 匿名処理班
※16
あと2カ月ズラせばいいだけなのに利権絡みで強行突破とかね…
世界中から来るメダリストがバタバタ倒れて責任取れんのかと
ほんとオリンピックに関してはこの記事を笑えない
74. 匿名処理班
日本のオリンピック対策と良い勝負だ
75. 匿名処理班
メンズビキニにして頭だけクマ毛皮の帽子にしたらイギリスっぽい
首から下は見えても見てないことにしたらロイヤルマナーっぽい
76. 匿名処理班
オリンピック並みの転倒ぶりが笑えるし謎のシンパシーを感じるわw
77. 匿名処理班
地球温暖化
78. 安房守
※37バッキンガム宮殿にいる。近衛兵の軍服はナポレオン戦争後の1850年頃からです。オーストリア継承戦争からナポレオン戦争後までは、今でいう燕尾服調の軍服を着てました。イギリスのトレードカラーの赤はアメリカ独立戦争中の独立派は「赤服野郎」と言い。幕末日本でも「赤服のエゲレス、青服のフランス」と残るくらい有名です。
この頃の軍服は今では考えられない位。鮮やかな派手な肩章や金ボタンが付き近衛兵なら背の高い熊毛の帽子。戦列兵なら背の高いシャコー帽(今でも鼓笛隊がかぶっていたり)。これは黒色火薬の白煙や砂ぼこりでも後方にいる、司令官が彼我の動きを把握するためだけではなく、対峙する敵兵に威圧感を与える効果もあったと言う。おもちゃの兵隊と言う代名詞はこの時代が当てはまる。戦い方もバラバラと進むのではなく、縦隊や横隊を組み、軍楽隊のメロディーに合わせ(ナポレオン戦争前は1分80歩。ナポレオン登場後は1分120歩)銃弾・砲弾が飛び交う中前進する。
マスケット銃からパーカッションロックライフル(さらに進化してボルトアクション)が主流になるにつれ、燕尾服調の軍服は丈の短いジャケットタイプの軍服に、それでも色合いは変わらず。第一次世界大戦までにはほとんどの国の軍服はカーキやグレーに紺と言った大地に溶け込みやすい色になっていく。
79. 匿名処理班
合理的じゃない軍隊ってなんだかなぁ
80. 匿名処理班
>>2
丸っと同意
伝統を履き違えてる
81. 匿名処理班
あの帽子、熱吸収効率がよさそう
82. 匿名処理班
伝統は大事だが重んじ過ぎれば痛い目を見るというのをロイヤルネイビーで学ばなかったのか?
83. 匿名処理班
ヴァチカンだって、スイス衛兵の兜を3Dプリンターで軽量化してるんだから、伝統に現代のテクノロジーを取り入れるべきだろ。
ただでさえ温暖化で夏ヤバイって世界的に分かってることなんだから。時代に合わせるべき。
デザイナーに空調服をデザインさせるんだよ。それこそプロの仕事、出番だろ。
84. 匿名処理班
そもそも当時のイギリス人夏場にわざわざこんな厚着してたのか?別に夏服無かったの?
85. 匿名処理班
>>2
イギリスの王室近衛連隊の制服は歴史上何度も変わってます