image credit:NASA / JPL-Caltech
土星の第2衛星「エンケラドゥス」の地下にたたえられている海で、生命が誕生するために必要となる基本的な素材が発見されたそうだ。
NASAによる解析結果が示しているのは、エンケラドゥスを覆う氷の下にある海から宇宙へと吹き上げられる水蒸気には有機化合物が含まれているということだ。
有機化合物内の窒素と酸素はアミノ酸が作り出されるうえで重要な働きを担っており、そしてアミノ酸は地球上の生命とって不可欠なタンパク質の素である。
エンケラドゥスの内部海に生命の材料がある可能性についてはかねてから疑われてきた。実際、昨年も今回とは別の有機分子が検出されている。
しかし、水に溶けたものが見つかったのは今回が初めてだ。
これはとても大切なことで、なぜなら内部海にこうした化合物が存在するということはそこで化学反応が起きてアミノ酸が作られているかもしれないからだ。
スポンサードリンク
カッシーニ収集の化学組成データから有機化合物の存在が判明
エンケラドゥスは、地殻の隙間から海水と氷のジェットを定期的に宇宙へと吹き上げている。
今回発見された窒素や酸素を含む有機化合物の存在は、土星探査機・カッシーニによって収集されたそうしたジェットの化学組成データから明らかになった。
NASAによるとそれらは地下に存在する海に溶けていたが地表の水と一緒に蒸発し、凝結してはやがて凍りついて氷の地殻になるという。
こうした化合物は、エンケラドゥスでも地球と同じような生命の誕生へといたるプロセスが存在するかもしれないことを示すサインだ。
image credit:Pixabay
エンケラドゥスにあるかもしれない熱水噴出孔が生命を育む鍵に
地球の海の奥底では、海水がマグマと混ざり合って海底の隙間から湧き上がっている。こうした場所を「熱水噴出孔」といい、そこからは370度もの熱いお湯が吹き出している。
熱水噴出孔から吹き出す水素をたっぷりと含んだ熱水は化学反応をうながし、有機化合物はアミノ酸へと変化する。アミノ酸はさらに互いに合体しあってタンパク質となる。
タンパク質は、生命の基本となる遺伝情報を複製するために欠かすことができない物質だ。このプロセスによって、生命は日光の助けを借りることなく発達することが可能になる。氷におおわれたエンケラドゥスは、せっかく届いた太陽の光を宇宙へと反射してしまう。
したがってエンケラドゥスに生命が誕生するとすれば闇の中で発達せねばならないため、このプロセスがとても重要である。
光に乏しいエンケラドゥスに存在するかもしれない熱水噴出孔が、地球のそれと同じ役割を果たしてくれるかもしれないのだ。
image credit:Pixabay
海面に浮いているだけでなく水に溶けた有機化合物を初めて確認
今回のNASAの研究グループは、昨年も有機分子を検出することに成功していた。
しかし、それは水に溶ける分子ではなくエンケラドゥスの海面に浮いていたものだと考えられている。化合物が熱水噴出孔と作用して生命が誕生するためには、それらは水に溶けていなければならない。
水に溶けた有機化合物もまたエンケラドゥスに存在するのかどうか不明だったが、今回それがはっきりと確かめられた形だ。
この研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(10月2日付)に掲載された。
References:NASA / Monthly Notices of the Royal Astronomical Society / written by hiroching / edited by usagi
あわせて読みたい
土星の衛星「タイタン」こそ人類が探すべき地球外生命体がいるかもしれない(米研究者)
土星の衛星タイタンの謎めいた地表が鮮明に。氷の堆積物や海の存在がわかるNASAが新たに公開したタイタンの写真
サウロンの目かな。新たに公開された土星のオーロラ写真(ハッブル宇宙望遠鏡)
土星探査機「カッシーニ」がついにガスの環に突入!史上初の土星接近画像が公開される
いよいよ未知との遭遇か?ヤツラがいる可能性が高い土星の衛星タイタンで生命を捜索するNASAの新ミッション
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「知る」カテゴリの最新記事
「自然・廃墟・宇宙」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 11089 points | 海洋汚染の元凶であるマイクロプラスチック。淡水に流れ出る6割が洗濯による糸くずであることが判明(米研究) | |
2位 5479 points | 「股間が大きすぎて怪しい」万引きを疑われた男性。無実を証明するために約25センチのイチモツを見せる(イギリス) | |
3位 2842 points | おばあちゃんの知恵袋。ヘアドライヤーを掲げて道路脇に座る。速度探知機と勘違いしたドライバーがスピードを落とす。 | |
4位 2029 points | あっカメラが海の底に!海底に沈んだGoProを拾って来てくれたベルーガ(シロイルカ) | |
5位 1527 points | ディズニーランドが大好きな介助犬。ドナルドダックに出会いぴったりと寄り添い、幸せの表情を見せる(アメリカ) |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
宇宙戦艦ヤマトで立ち寄った冥王星には生命体がいた。
宇宙戦艦ヤマト2199では希少資源採掘のためエンケラドゥスに立ち寄ってる。
しかし生命体はいなかった。
ヤマトの立ち寄る天体に生命体がいるらしいのは楽しい。
2. 匿名処理班
意外と近いところに居た
3. 匿名処理班
土星のエンケラドゥスか・・・ 熱源は土星の重力からくる潮汐力で発生してるのかな。
エウロパの方が近いけど、木星は土星よりも磁場がはるかに強いから放射線の問題(=磁場に引きつけられた荷電粒子による(バン=アレン帯のような)放射線帯)もあるしな。
エンケラドゥスの方が生命がいる可能性が高いのかもしれないね。 期待しとこw
4. 匿名処理班
地球の生命も最初は熱水噴出孔から始まったっていう説あったな
さすがに知的生命にまでは発展しそうにないが
5. 匿名処理班
ほんまかいな。
6. 匿名処理班
検索するとカッシーニが撮影した写真がいっぱい出てくるんだけど、鮮明で凄いよね。
7. 匿名処理班
地球外生命体って案外珍しくもないのかもな…(´・ω・`)
8. 匿名処理班
とにかく一例見つかって欲しい
9. 匿名処理班
※1
あそこには兄さんの「ゆきかぜ」が!
10.