【モバマス】ちとせ「あなたの魔法にかけられて」
モバP(以下 P)「ちとせ、千夜」
千夜「なんですか、急に」
P「まぁお前らをプロデュース始めてだいぶ経ったよなってな」
千夜「はぁ……何を言っているのですか? 今日の予定を話すのでしょう?」
ちとせ「まぁまぁ千夜ちゃん、魔法使いさんも何か話があるんじゃない?」
P「なら、先に今日の予定から話すか……その前に。千夜、今日のちとせは?」
千夜「特に問題なく。 朝食も全て食べておいででしたし、屋敷から事務所までも元気に歩いて」
P「心拍は?」
千夜「正常です。息切れもなし」
千夜「無論です。お前に心配される必要もありません」
ちとせ「二人とも、いつも言っているけどそこまで管理されるのは……私、窮屈は嫌いだよ?」
P「別にちとせに何か強要はしてないだろう」
千夜「お嬢さま、このプロデューサーが無理なスケジュールを立てないよう管理は必要です」
ちとせ「もう……この人が無茶なスケジュール立てたことなんて一度もないでしょう?」
千夜「ですが……」
ちとせ「私、そこまで心配されるほどに見えるのかな?」
P「お前がいきなり倒れたりしたのが悪い、とりあえず二人ともいつものとこだ。準備してくれ」
千夜「う、いつもの……とは……」
ちとせ「はーい、千夜ちゃん行こっか」
千夜「はい、お嬢さま」(キリッ
P「切り替えはえーな」
千夜「うるさいですよ、全く……」
P「今日から二人をプロデュースすることになった。二人とも、宜しくな」
ちとせ「はーい、私を退屈させないでね?」
千夜「……」(お辞儀
P「千夜、言うことがあるようなら言え」
千夜「お前にお嬢さまの一端でも任せるのが不安で仕方ないです」
ちとせ「千夜ちゃん、いきなりそういうこと」
P「まぁそうだろうな、俺もちとせのことは詳しく知らん。ここから知っていくところだ」
千夜「……認めるのですね、それならどうすると?」
ちとせ「あら、予想外の返し」
P「あんま言いたかないけど月のモノとかも俺には判断しようがないからなぁ」
千夜「セクハラで訴えますよ?」
P「まぁそれは冗談としてだ。 ちとせがそういうアレってのは資料で見てる。見てるが程度が俺にはわからん」
P「だから千夜、お前に聞くし、お前に判断を仰いだ方がいい。最初のうちはその方がやりやすい。そうだろ?」
ちとせ「あの、プロデューサー?」
P「どうしたちとせ?」
P「自分のことは自分が一番わかるっていうやつは大抵倒れてから気づくもんだ」
千夜「……わかりました。お嬢さまの身を尊重するのであれば手を貸しましょう」
ちとせ「千夜ちゃん? 私そんなに信用ない?」
千夜「お嬢さま、アイドル活動というものがどれほどのものか、私達にはわかりません。 万全を期すべきかと」
P「まぁ新人に無理させる気はないけどな」
千夜「それを判断するのは私とお嬢さまです」
P「最初のうちは、な。とりあえず千夜。ちとせの運動能力教えろ、お前もな」
千夜「……了解です。お嬢さまは……」
ちとせ(へぇ、千夜ちゃんが当然のようにプロデュースに前向きになってる……)
P「どうしたちとせ」
ちとせ「ううん、あなたはやっぱり魔法使いなんだなって」
ちとせ「あら手の早い。どんなお仕事?」
P「クラシックは多少いけるな? 黒川千秋さんのクラシック紹介番組にねじ込んだ」
ちとせ「クラシックかー、確かに多少はいけると思うけど……」
千夜「私は? 何もなければお嬢さまに同行しますが」
P「お前も同じ場所だ、一緒に行ってこい。準備は……」
千夜「お嬢さま、私は外出の準備をして参りますので、ここで……コイツと待っててください」(部屋を出る
ちとせ「あれ? 千夜ちゃん? えっと……あなた、肝心のこと話して…….」
P「聞かないあいつが悪い」
P「別に裏切っちゃいないだろう、千夜本人からのリクエストなんだから」
千夜『私はお嬢さまのサポートに徹します』
ちとせ「だからって同じお仕事をもってくるなんて……」
P「……ん?」
ちとせ「え? 私何か変な事を言った?」
P「いや、えっとだな…………」
千秋「ならよかったわ。とりあえず曲を聴いて簡単な感想を言ってくれればいいわ」
ちとせ「これなら色々語れそう。自由に語っていいのなら千秋さんとも」
千秋「ふふ、それは楽しみ。ネット配信だしお堅い番組でもないから気軽に行きましょう?」
千夜「あの……私の台本はどこでしょう?」
ちとせ「え? 千夜ちゃんのお仕事はこっち」(台本手渡し
千夜「え? お嬢さま、アイツから何か聞いていたので……?」
千秋「私は今日の出演はちとせさんだけと聞いてるけど……?」
千夜「は? つまり私は……?」
仁奈「千夜おねーさん! 迎えに来たでごぜーますよ!」(手を取る
仁奈「千夜おねーさんは仁奈の新しい友達でやがりますよね?」
千夜「……いいえ、私の仕事はお嬢さまのサポートをすることだから……」
ちとせ「違うよ千夜ちゃん?」
千夜「お、お嬢さま?」
ちとせ「千夜ちゃんのお仕事は、ネコミミをつけて仁奈ちゃん達と可愛く踊ることだよ?」
千夜「え」
仁奈「じゃあ行くですよーレッツゴーアニマルネットにー!」
薫「せっつぞくー!」
千佳「せつぞくー!」
みりあ「せつぞくー!」
千夜「せ、接続ー!」
P「なんだよ、一言も同じ仕事とは言ってないだろ」
ちとせ「いやー、千夜ちゃんのネコミミ可愛かったぁ」(ニコニコ
P「大変だったんだぞ、出演平均年齢11歳くらいの配信に17歳ぶちこむの」
ちとせ「ふふっ、ちっさい子の中でぴょんぴょん跳ねる千夜ちゃん……」
P「中々ウケそうだからレギュラーもありえるかもなぁ」
千夜「お前は何を言っているのです、お嬢さまのことを考慮して……」
P「考慮した結果だ。新人二人をいきなり同じ仕事に入れられるわけ無いだろ」
P「その辺は二人のデビューライブで我慢してくれ。ユニットとして売るのは前に話したろう?」
ちとせ「ユニットとして売り込み始めたら一緒にお仕事することも増えるの?」
P「売れれば、な。単品売りの方が映えるようならそっちにシフト」
千夜「それは話が違います。私はお嬢さまのサポートに徹すると話したはずです」
P「だから同じ場所で仕事させたんだ。ちとせに何かあった時に千夜、お前がすぐ行けるように」
ちとせ「私、そこまでパタパタ倒れる予定はないけどなぁ?」
P「ならそう努めてくれればいいよ。千夜、同じ現場での仕事を探すのがどんだけ厳しいかはわかってるよな?」
千夜「……お前の営業努力次第でしょう。……後は私の問題ですか」
P「さっきも言ったようにセット売りが成功すりゃ世話ないけどな」
ちとせ「つまり、しばらくは千夜ちゃんか私がずーっとどっちかの現場と同じ仕事を探すってこと?」
P「まぁそうなる、そうなるとだな。当たり前だが入り好みなんかできないわけだ」
P「つまりどっちかが割りを食うことになるわけだが……ちとせにそのポジションはさせられないだろ?」
千夜「つまり私に道化になれと。どんな仕事でも受ける犬になれと言うことですか」
ちとせ「お仕事でつけたのはネコミミだけどね?」
千夜「お前に私の管理を預けろと……」
P「別に嫌なら構わないぞ、お前に合いそうな仕事のジャンルだって浮かぶしな」
ちとせ「え? どういうの? 私それ聞いてみたいな」
P「まぁ掃除が苦手らしいからちとせのために五十嵐さん辺りから学ぶとか……」
ちとせ「あら素敵」
千夜「話はわかりました。その方向で受け入れましょう」
P「ん?どっちだ?」(料理番組とバラエティ番組の台本
千夜「…………こっちを」(バラエティの台本を取る
ちとせ「ありがとうね、プロデューサー」
P「なんの話だ?」
ちとせ「さっきの話、千夜ちゃんが私のためにって色々とお仕事を受けてくれるようになったでしょう?」
P「まぁそうなるだろうと思ってたからな」
ちとせ「ジャンル構わず受けるなら、色んなアイドルと、色んな経験ができるもの。それは千夜ちゃんにとってとってもいいこと」
P「千夜もいい顔するだろうからな、無愛想じゃ貰える仕事も貰えない」
ちとせ「だからありがとう、なのよ。魔法使いさん」
P「何言ってんだ、この話はお前が一番大変なんだぞ?」
ちとせ「えっ?」
P「当たり前だろ? 『お前の仕事に』、千夜がついていくんだ。ちとせは間違いなく千夜より売れてなきゃいけないんだぞ?」
P「バカ言え、そんな方向転換認められるか」
ちとせ「変なところが厳しいのね、結構甘い人に見えたけど」
P「単純な話だよ」
P「千夜が『ちとせは間違いなくトップになる』って信じてるんだ。俺はそれを信じるだけだ」
P「最初に言ったろ? 判断を仰ぐって。だから俺は千夜の言葉を信じるさ」
ちとせ「それならファンのみんなを魅了していかないとね、千夜ちゃんのためにも」
P「吸血鬼なんだろ?なら眷属?ってやつにしてやれよ 楽になるんじゃないか?」
ちとせ「魅了も支配も、眷属とは違うものよ? 恋と愛くらい違うもの」
ちとせ「だーめ、私の僕ちゃんは千夜ちゃんだけなんだから。 ……今のところは」
P「今のところは?」
ちとせ「だって、プロデューサーっていうのは私の最初のファンなんでしょう?」
ちとせ「それならあなたを魅了して、支配して、僕ちゃんにするくらいのこと、できなきゃいけない。そうでしょ?」
ちとせ「どう? 私に跪く気になった?」
P「俺がお前に溺れても仕事がくるくらい売れたら考えてやるよ」
ちとせ「そう? ならちゃんと待ってきてね? 私にぴったりのお仕事を」
P「わかりましたよ、お嬢様」
ちとせ「ふふっ、よろしい」
ちとせ「おつかれさま、千夜ちゃん」
千夜「お嬢さまこそ、ファッションショーの撮影でしたか」
ちとせ「えぇ、薔薇とドレスなんてあの人も私のツボがわかってるみたい」
千夜「ですが変なことを言われていませんでしたか? よもや」
ちとせ「違う違う。光ちゃんにね、なんでか知らないけどマンホールを持ってくれってせがまれて」
千夜「………持てるものではないですよね?」
ちとせ「さすがに片手は無理かなぁ、でも千夜ちゃんは? お仕事どうだった?」
P「お、二人とも終わったか。迎えに来たぞ」
P「『ラブリー千夜りんのラブ卍占い』? あと、声がでかい」
ちとせ「千夜ちゃんラブリーだものね」(笑いを堪えてる
P「この前藤居さんに占い習ってたろ、実践だ実践」
千夜「コント番組の5分枠でしたが?」
P「素人の占いが当たるわけねぇだろ、帰るぞー車乗れー」
千夜「話はまだ終わって……お嬢さま、参りましょう」
ちとせ「はーい、千夜ちゃん、少し落ち着いて?」
千夜「……はい」
千夜「次は一体どんな……っ、VelvetRoseの仕事、ですか」
ちとせ「雑誌のインタビュー……結構大きいところだよね? ここ」
P「まぁ事務所で大々的に広告したしな。 インタビューに答えられるようにしておけよ?」
千夜「……無論です。お嬢さまとの仕事を失敗などするものですか」
ちとせ「はーい。ちなみにどんなこと聞かれるの?」
千夜「それくらいなら軽く打ち合わせればいけますね、お嬢さま」
ちとせ「そうね千夜ちゃん。お互いのことならいくらでも語れちゃいそう」
P「あと、最近の仕事のことな」
千夜「最近の……仕事?」
ちとせ「だいぶファンもついてきたから楽しみかな、直接顔を見るのはライブ以来だし?」
P「ファンの顔を見たいと思えるようになったならアイドルとして成長してる証だな」
ちとせ「そう? 今ならあなたを魅了できる?」
P「されてるされてる。ドームでライブしたら跪いてやるよ」
ちとせ「あら約束しちゃっていいの? 私記憶力はいいのよ?」
P「はいはい、そこまで行けたら俺のプロデュースも一流ってことだ」
千夜「……それでいいのですか? 不本意ながらも仕事は他にもしているのに」
P「雑多過ぎて一個一個言えないだろ、メインもほとんど無しでゲスト出演ばっかりなんだから」
ちとせ「つまり私がユニットのこと以外を話して、千夜ちゃんがユニット活動のことを話せばいいってことね?」
P「そういうこと。そっちの方楽だろ?」
千夜「そう、ですね。お嬢さまとの活動を語るのであれば問題はありません」
ちとせ「ふふ、千夜ちゃんもやる気出てきたみたい?」
千夜「屋し」
ちとせ「今日はちょっと歩いて帰りたいな。……大丈夫だよ。 今日は調子がいいし、もう夜だから」
千夜「わかりました。お供します。 聞きましたね、事務所に」
P「了解、千夜、ちとせになんかあったら即連絡しろ。車すぐ回すから」
ちとせ「もう……ほんと過保護なんだから、魔法使いさんは」
〜帰り道〜
ちとせ「ふふっ」
千夜「どうかしましたか」
ちとせ「ううん。お気に入りの散歩コースだったのに、最近は走ってばかりだったから」
千夜「そうですね」
ちとせ「どうしたの千夜ちゃん、せっかく二人なんだからもっと話さない?」
千夜「……いえ、考えていました。インタビューのことを」
千夜「ですが、私は空っぽな人間です。 お嬢さまのことだけを語って許されるほどでもないことは、わかっています」
ちとせ「そしたら私がその分千夜ちゃんのことを話してあげるから。安心して?」
千夜「……はい。お嬢さま」
千夜「はい」
ちとせ「アイドル、どう?」
千夜「私には、まだわかりません。歌もダンスもバラエティも、全てはお嬢さまと同じ場所にいたいからです」
ちとせ「そう、私は千夜ちゃんが色んなお仕事をしてるところが見られて楽しいの」
ちとせ「千夜ちゃん、だからね。アイドル、続けて?」
千夜「それがお望みならば。 私はお嬢さまと共にあります」
ちとせ「気づいてないなぁ、千夜ちゃん」
ちとせ「インタビューのこと、ユニットのこともさ、先の、未来のことなんだよ」
ちとせ「千夜ちゃんが前を向いて、私は期待よりもずっと……先のことが楽しみになっちゃってるの」
ちとせ「……ホント、魔法をかけられちゃったのかな」
ちとせ「ううん、独り言。売れちゃったら変装しないといけないかもね?」
千夜「その時になれば、私がお嬢さまをお守りします」
ちとせ「わかった。じゃあ明日も頑張ろうね、千夜ちゃん」
千夜「はい、お嬢さま」
おわり
プロデュース方針的なSSになってましたがこれが続くのかは不明。
でもこういう方針も面白いと思います。
依頼出してきます。
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