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古代ギリシャの沈没船から見つかった紀元前87年の精工なマシン「アンティキティラ島の機械」 : カラパイア

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 古代ギリシャ時代の沈没船には、とてつもない宝が積まれていた。それは、紀元前87年頃のギリシャ文化がわたしたちの想像以上に進んでいたことをはっきり示していた。

 この沈没船は、全長およそ40メートルの商船と思われ、クレタ島とペロポネソス島の間の海峡にあるアルギラ島沖で難破した。

 そこには、天体運行を計算するため作られた歯車式機械であると推定されている精工なマシンが残されていたのである。そう、我々が「アンティキティラ島の機械」と呼ぶものだ。
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貴重な遺物が残されていた沈没船の積み荷


 この船は、エーゲ海の端、クレタ島北西のギリシャ、アンティキティラ島沖に沈んでいた。それが初めて発見され、引き揚げられたのは1900年代始めのこと。その積み荷について、下記のように報告されている。

ワインやその他の日用品が入っていたであろう通常のアンフォラ壺に加えて、ブロンズと大理石の彫像、上等なグラス類があった。

等身大のブロンズ像は、1世紀かそれより前の古いものだったが、その他の格式高いものは比較的新しいものだった。

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アンティキティラの沈没船から見つかった品々

 この船の航海の目的は、外国の港に品物を届けることだったようだ。

 エーゲ海の大きな港、小アジアの海岸、複数の島同士を荷を積んで航行しており、船の沈没地点から、西地中海に向かっていたことがわかっている。アドリア海かさらに西側の港に積み荷を届けようとしていたのだろう。

古代のコンピューターとも言える、アンティキティラ島の機械


 この船の残骸から、ありえないような驚愕の積み荷が出てきた。世界初のコンピューターが発明されたのは20世紀に入ってからのはずだが、この沈没船には現代でいうコンピューターのような機械が積まれていたのだ。

 それは、靴の箱くらいのサイズと形状の、木材と金属でできた機械のようなものだった。彫像やガラス製品のように目を引くものではないが、非常に精巧で貴重な歯車式の装置だ。


The Antikythera Mechanism - 2D

 この機械はなんのためのものなのだろうか? その形態からすると、占星術を行うとき使う暦のようなもので、星など天体の位置を予想するためのものと思われる。また、古代の船乗りに不可欠だった天体の位置を見極めるのに役立つため、航行の際のナビゲーションとして使われた可能性がある。


そこには驚くべき技術が


 この機械のからくりにもまた、驚くべき技術が使われていた。

 前面と裏面には長方形のブロンズの板が使われ、まわりは木材で縁どられていて、木材部分の真ん中からノブかクランクのようなものが突き出ている。

 前面はふたつの同心円状のリング型目盛りで囲まれた円形のダイヤル盤が占めていて、中心から放射状に広がる指針が複雑に組み合わされている。

 裏面のほとんどには、目盛りが刻まれたふたつのらせん状の溝があり、さらにかなり複雑な構造の放射状の針と、シンプルな針をもつ三つの小さな丸いダイヤル盤がある。

 ダイヤル盤の目盛り周辺全体のスペース、さらには機械の表裏面にはめ込まれたそれぞれのブロンズ板が、カバーの機能を果たしているのかもしれない。石碑の文字に似ているがかなり小さいギリシャ文字で彫り込まれた文章が見える


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アンティキティラ島の機械、予想完成品

 2015年、スミソニアン博物館がこのアンティキティラの機械について詳細な記事を発表している。その描写は、まるで現代のスイスの時計店で作られた精密機械のようだ。

針は時間や分を示すのではなく、天体の時間を表わしている。針のひとつは太陽、もうひとつは月を示し、肉眼でも見える5つの惑星、水星、金星、火星、木星、土星のひとつを示す針もある。

回転している黒と銀の玉は、月齢を表わしている。刻まれている文字は、特定の日にどの星があがり、どの星が沈むのかを表わしている。

この機械の裏面には、ふたつのダイヤルがあり、レコートプレーヤーの針のように、それぞれ螺旋状の溝に沿ってピンがついている。ダイヤルのひとつは暦になっていて、もうひとつは月食や日食のタイミングを表わしている

 この機械は、古代ギリシャ人がどのように世界を見ていたかを、知る糸口も与えてくれる。

 古代ギリシャ人は、自然が機械のようにあらかじめ定義されたルールに従って機能すると信じるようになった。これは、現代の科学的見解の基礎を構築するアプローチと同じだ。

 この機械を見ていると、コンピューターは本当は20世紀に初めて登場した創造物なのだろうか?という疑問がわいてくる。

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 今日のわたしたちが自宅や職場で使っている先進的機械のヒントになったのは、確かに前世紀のものだ。

 だが、古代ギリシャ人もまた、彼らなりのコンピューターを持っていた。それは現在でも彼らの知識と技術に舌を巻くほどの、途方もないものだったのだ。

References:Antikythera mechanism/ smithsonianmag / written by konohazuku / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2019年10月26日 22:44
  • ID:BF8e.Fh70 #

全てにおいてワクワクする

2

2. 匿名処理班

  • 2019年10月26日 22:59
  • ID:YG1d4qbB0 #

たまたまそこに近代の何かがあっただけじゃね?

3

3. 匿名処理班

  • 2019年10月26日 23:04
  • ID:iSlarnrn0 #

ともすれば、文化とか技術は歴史の流れの上で、常に右肩上がりで上がっていく物って思いがちだけど、そうじゃないからね。
オカルト的な超古代文明という訳ではなく、一回習得した物が何かのきっかけで失われて長い間表舞台から消える事はあって、その後にまた再発見されたりする。有名な所で言うと、ローマン・コンクリートであったり、穴掘りの技術であったり、これであったり。
そう考えれば、あっても不思議じゃないというかね、さもありなんって感じ。

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4. 匿名処理班

  • 2019年10月26日 23:10
  • ID:ZcgpYpK90 #

SF作家のアーサー・C・クラークは、古代ギリシア文明について「この知識が継承されていたなら・・・いまごろ人類は近くの星に到達していたはずだ」と語ったそうだが、この「アンティキティラの機械」を見たら、そうだったろう、と思いたくなる。
(ただし古代ギリシアは都市国家同士で戦争が絶えなかったところだから、核戦争で人類が絶滅している可能性も高かった気がするがw)

5

5. 匿名処理班

  • 2019年10月26日 23:29
  • ID:MUuAj3QH0 #

本当にそれだけの技術があったのだ

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