image credit:TABASCO/Instagram
メキシコ・タバスコ州原産の辛味調味料で、ピリッとした刺激的な辛さと酸味が特徴の「タバスコ」は、世界で最も有名なホットソースとして知られている。
ほんの数滴垂らすだけで酸味のあるスパイシーさを付加できるタバスコは、味に変化を加えたい時にはもってこいのアイテムだ。
そんなタバスコには、150年以上という長い歴史がある。そこには、今まで知らなかったという事実もあるかもしれないので、今回はタバスコに関する12の事実を紹介しよう。
スポンサードリンク
1.タバスコの本社はアメリカのルイジアナ州エイブリー島
元来、メキシコの唐辛子を使って製造されたとされるタバスコの製造元は、メキシコにあると勘違いされやすいが、実はアメリカのルイジアナ州エイブリー島にある。
島といっても、実際にはルイジアナ南部にある湿地帯地域で、家族経営のマキルヘニー社で、5世代にわたり、実に150年以上もここに拠点を置いて、タバスコの生産を続けている。
ニューオーリンズからわずか2時間ほどの距離にあるエイブリー島には、全ての赤唐辛子の種がまだ栽培されており、世界最大級の岩塩採取地であることから、タバスコの成分に必要な塩も地元のものを使用。
タバスコ工場の敷地内は見学が可能で、館内レストランではタバスコで味付けしたスパイシーなケイジャン料理や、伝統的な南部料理が楽しめるという。
2.含まれている成分は3つのみ
タバスコのレシピは、創業開始の1868年以降ほとんど変わっていないそうだ。タバスコ作りに必要なものは、赤唐辛子と塩、蒸留酢の3つのみ。
エイブリー島で栽培される赤唐辛子の種は、全国の生産施設に出荷されている。タバスコの赤い色は、もちろん自然色だ。
3.タバスコソースは1本の瓶に720滴
1800年代、有名なマキルヘニー社のソースは、開拓時代だったアメリカ南部の多くに普及していた当たり障りのない食事を蘇らせた。
タバスコが、刺激ある濃厚な風味に食事を変えたことを知った人々の多くがタバスコを買い求めるようになった。
当初生産された628本のボトルは、1ドル単位で販売されたという。インフレを考慮すると、今日の値段ではなんと17ドル(約1850円)相当にも上ったようだ。
4.もともとはコロン(香水)用の瓶に詰められていたという噂
長い間、タバスコの最初の生産品は、使用済みもしくは廃棄済みのコロン(香水)用ボトルに詰められているという噂があった。
しかしマキルヘニー社は、ボトルは委託業務先の新品のブランドであることを明かした。
また、ボトルにスプリンクラーキャップを取りつけ、使いやす用にボトルを改良。これは、当初のボトルでタバスコを誤ってかけ過ぎるという人々が増えすぎたための対策とされている。
5.イギリスの王室御用達商品に2009年に認定される
タバスコは、イギリスのバッキンガム宮殿でも定期的に使用されるようになった。というのも、エリザベス女王がクランペットにタバスコをほんの少し振りかけて食べることを好んだからだ。
2009年には、タバスコは名誉に値する商品として、英国王室御用達(Royal Warrant)に認定されるほどの高い評価を受けた。
6.宇宙飛行士とアメリカ陸軍も大好きなタバスコ
味気の無い凍結乾燥された宇宙飛行食にスパイスと風味を与えるため、1970年代にタバスコは宇宙飛行士とともに宇宙へ飛んだ。
また、1980年代からはアメリカ陸軍のMRE(戦闘糧食)にも使用されている。
7.マキルヘニー社、鍵をかけた金庫に最高の唐辛子の種を保存
1800年代初頭に、ルイジアナ州に最初に持ち込まれた唐辛子の種は、製造元にとって家宝も同然だ。
同社が、よりよりタバスコ作りを求めて毎年最高の種子を選び、翌年のために種子を半分ずつに分けて、それぞれ未公開の場所とエイブリー島の施錠された金庫に大切に保管しているという話は、長きにわたり語り継がれているようだ。
8.バーボンのように樽で熟成させる
タバスコは、150年以上にわたり生産されているが、そのレシピは変わらぬままだ。
レッドタバスコペッパーと塩を砕いて、バーボンのように3年間熟成させた後は蒸留酢と混ぜ合わせ、高濃度のソースとなって私たちのよく知るボトルへと詰められる。
9.害虫駆除にも役立つ
タバスコを使って希釈スプレーを作り、植物を荒す害虫から守ることも可能だ。中にはスプリンクラーにタバスコを混ぜて撒く人もいるのだとか。
1894年には、タバスコを題材にしたバーレスクオペラまで上演されたそうだ。
このオペラは、ボストンのタバスコを愛するボランティア民兵が基金イベントとして行ったものであり、マキルヘニー社は知らなかったという。
食べ物の風味とスパイスを見出すため魔法の成分を見つけようとする出来損ないのシェフのストーリー仕立てになったこのオペラ、最後に登場する魔法の成分が何かは容易に想像できるだろう。
この上演にあたっては、タバスコのロゴ使用許可と引き換えに、ショー中にタバスコのサンプルが配られたということだ。
2018年には、タバスコ生誕150周年を記念して、ニューオーリンズで当時の内容を少し変えたオペラが再演された。
11.マクドナルドよりも世界中で愛されている
タバスコは、マクドナルドよりも多くの国で使用され、流通している。世界の195か国以上の地域でタバスコを目にすることができるが、マクドナルドは店舗数こそ各国には多いが、国の数でいうと120か国ほどで、タバスコが置かれている国の方が圧倒的に多い。
また、タバスコには25か国の言語をカバーするラベルがついている。
12. 日本での普及の裏にあのプロレスラーが!
日本にタバスコが最初に入って来たのは、第2次世界大戦後の1940年代と言われている。
1970年代、プロレスラーのアントニオ猪木が設立した貿易会社、アントン・トレーディング社がマキルヘニー社と代理店契約を結び販売権を得て、日本人にその味を定着させたそうだ。
その当時、激辛ブームや宅配ピザが広まりタバスコの需要が大幅に伸びた。ただしアントニオ猪木は、別件で借金を抱えたため後に販売権を手放している。
結局のところ、世界で最も有名なソースは、ほどよい刺激と酸味を引き起こして世界中の人々をやみつきにさせているようだ。
私は子供の頃は苦手だったが、今はピザやトマト風味のパスタ、グラタンやドリアなどの味変用として使っている。お店にタバスコがないとちょっとがっかりしたりなかもする。
References:neatoramaなど / written by Scarlet / edited by parumo
あわせて読みたい
タバスコができるまで
世界一辛い唐辛子の記録がまた更新か?ギネス認定も間近。そのまま食べたら死すら予感する 「ペッパー・X(エックス)」が誕生
唐辛子に関する10のトリビア
世界最辛の記録がまた更新。気道が焼かれ皮膚をマヒさせる、殺人兵器となりうる激辛トウガラシ「ドラゴンの吐息」
世界一辛いトウガラシ、辛さの秘密は「ミミズ」にあった
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「知る」カテゴリの最新記事
「グッズ・商品」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 12062 points | 足の大モフ感!カナダオオヤマネコの魅力にズームイン | |
2位 4341 points | 世界初の完全サイボーグ化手術を行う決断をした、末期の病に冒されたロボット科学者(イギリス) | |
3位 2637 points | アメリカで導入されたロボット警官「ロボコップ」、助けを求めた女性を無視して「邪魔だからどいてください」 | |
4位 1523 points | 噴火で炭化してしまった古代のパピルスの巻物を最新のAI技術で広げることなく解読する試み(英研究) | |
5位 1343 points | 寝ていると鳥たちがあつまる止まり木としての猫 |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
まあホントは猪木じゃないけど、そこはダーしてくれ。
2. 匿名処理班
台湾だか香港だかの人が牡蠣にあうソースを考えたのがタバスコじゃなかったっけ?
3. 匿名処理班
いいなー、辛いもの、ボクは辛い物大好きなんだけど、ち、に点々のあの病気だから食べられないの、タバスコたっぷりチーズ増し増しのピザトースト食べたいな、でもそんなことしたら明日の朝には、トイレから衛星軌道に撃ち上がっちゃうけどね。
4. 匿名処理班
今日も元気だタバスコがうまい
5. 匿名処理班
タバスコはもともと生牡蠣用って話なかったっけ?てっきり紹介されてると思ったのに
6. 匿名処理班
関連記事が不穏すぎるw辛さ更新しすぎ
7. 匿名処理班
ピザ食べる時は絶対にかけてる
8. 匿名処理班
タバスコはその風味もさることながら、
ラベルも魅力的!
9. 匿名処理班
緑色のハラペーニョはサラダやら揚げ物によく合うから愛用してる
10. 匿名処理班
70歳の母親が若いころ初めてナポリタンにタバスコ使った際ケチャップと勘違いして
大変な思いをしたと聞いた
11. 匿名処理班
タバスコは大人の食べ物扱いで成人になった今でも
ビビって近寄れない
それでもこの匂いはそそられるんだよな・・
12. 匿名処理班
タバスコの酢がちょっと苦手。でもピザにかけるとおいしいね。
エリザベス女王、けっこう食の趣味がすごい。
13. 匿名処理班
塩ラーメンに使うと美味い
14. 匿名処理班
猪木の話はけっこう有名だけど、ネタっぽくてあまり信じてなかった。けどやはり本当だったのか!
15. 匿名処理班
ピザにタバスコ使うのは日本が主。
16. 匿名処理班
使いやすように
17. 匿名処理班
アントン社時代にはラベルに猪木の似顔絵マークが描かれていたよね。
大人になった今ではピザとパスタには欠かせなくなったなぁ〜
ちなみに元ヴァン・ヘイレンのマイケル・アンソニーは「秘技タバスコ一気飲み」の伝説があるけど本当なのかな?(笑)
18. 匿名処理班
タバスコは子供の時ダメだったが、今は大好きになった調味料第一位だな
個人的には程好い辛さで丁度いい
19. 匿名処理班
3年も熟成させるのか……道理で味わい深いわけだ
20. 匿名処理班
※15
東南アジアではピザやスパゲティは日本を
経由して広まった料理なので、タバスコが
一緒に出てくる(最近は本格志向のお店も
多いので、そういうお店は日本と同じで、
タバスコは置いてない)。
バンコクなんかでもピザ屋行くとタバスコが
出てくるけど、タイ人には辛さが物足りない
らしくて、乾燥唐辛子も出てくる。日本でも
乾燥した唐辛子を置いてあるお店があるけど、
タイのは辛さが半端ないので気をつけてねw
21. 匿名処理班
12.を書こうと思っていたが上げられてしまっていた。
スナックとしてヒマワリの種も売ってたんだぜ
22. 匿名処理班
>私は子供の頃は苦手だったが、(中略)お店にタバスコがないとちょっとがっかりしたりなかもする。
わかるわかる!なんか酸っぱ辛い風味が苦手だったのになぁ。ファミレスでパスタ頼んで出てこないとケチくさと思ってしまう^^;
にしても、タバスコって言ったらこの会社が超有名だよね。他の会社でも販売してたりするのかしら
23. 匿名処理班
※22
タバスコはマキルヘニー社の商標
一般的にはホットソースとか呼ぶ
タバスコのほかにはブレアデスソースなどが有名
24. 匿名処理班
※22
タバスコはホットソースの代名詞みたいなもんですけど、この名前は商標なのでマキルヘニー社の商品しか名乗れません。なので、類似の商品は違った名前で販売しています。ホチキスとステープラーの関係と同じですw
25. 匿名処理班
昔のタバスコは箱に入って売られていて猪木の写真が印刷されていた。