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イソップの逸話に「北風と太陽」という話がある。北風と太陽、どちらが旅人の上着を脱がせることができるかの勝負で、結局は太陽が勝った。そこから転じ、寛容的な対応が厳罰な対応に勝る、という教訓となっている。
北欧の受刑者に対するスタンスはまさに太陽側だろう。罪を憎んで人を憎まずの精神にのっとり、快適空間を実現していることで有名だ。
人道的でしかもセキュリティ管理もしっかりしており、下手をすれば企業のオフィスより快適そうに見えることもあるともいわれている。
そんなわけで、フィンランドの刑務所では刑務作業も最先端のようだ。
刑務作業といえば肉体労働を思い浮かべる人も多いはずだが、なんとノートPCを使った作業を行い、人工知能(AI)のスキルを刑務所に居ながらにして学べるという。
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刑務作業はノートPCでデータ選別
スタートアップ企業・Vainuは、仕事を請け負ってくれる相手を探すための包括的なビジネス向けデータベースを構築している。
そのためには膨大なニュースを読み、それを分類するという作業(たとえば「アップル」は企業名か果物かなど)を人間の手で行わねばならない。
こうした作業は英語ならば比較的容易だ。アマゾンの「メカニカルターク」なるウェブサービスを利用できるからだ。しかし、フィンランド語のような英語以外の言語となると途端に厄介なものとなる。そこでVainuが目をつけたのが、フィンランドの受刑者たちだった。
Vainuはヘルシンキとトゥルクの刑務所にそれぞれ10台ほどノートPCを送り、作業を依頼。刑務所側は大喜びだった。
何しろAIのスキルはますます重要性を高めているのだ。受刑者にしてみれば、そんな最先端の技術を身につけられる上にお金を稼ぐこともできる。
また作業に必要なのはノートPCだけなので、直接的に危険な武器として利用される心配もない。まさにウィン・ウィンで、今では毎日100人弱の受刑者がVainuのプロジェクトに参加しているという。
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フィンランドには受刑者向けのAIコースを学べる刑務所も
フィンランドは先進的な刑務所政策で知られている国だ。
同国の刑務所の3分の1は「オープン・プリズン」となっており、受刑者たちは服役中でありながら一般人と一緒に生活し、仕事をしている。
そんなフィンランド南部の都市トゥルクでは、また新しいスマートプロジェクトが実験されている。
その都市の刑務所では部屋や図書室にノートPCやタブレットが置かれており、これを使って受刑者はニュースを読んだり、数学を学んだり、さらには人工知能のスキルアップコースを受けたりすることができるのだ。
コースはヘルシンキ大学がコンピューター科学の学生向けに用意した初級AIカリキュラムをよりわかりやすく仕上げたもので、最後まで終えれば大学の単位を取得することも可能だ。
刑罰局のプロジェクトマネージャー、ピア・プオラッカ氏は自分自身がAIコースを受講してから、刑務所のような施設でも実施可能であるかどうか考えるようになったという。
彼女が提出した企画書は2019年5月に正式に認可され、トゥルクの受刑者はネットを通じて本コースを受講できるようになった。
学校じゃ数学が得意だったもんで、こいつに興味を惹かれてね。でも今まで勉強したこととは全然違うな
と試験棟でコースを受講する10人の受刑者のうちの1人は話す。
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釈放された受刑者が労働市場に参入するためのITスキルを
フィンランド政府はこの制度を、ITスキルの需要が高い労働市場で、釈放された受刑者がきちんと競争力を身につけられる入っていくための支援として活用している。
受刑者はこうした分野の発展からは取り残されがちだ。経済の変化は目まぐるしいから、出所したらまったく違う労働環境に変わっていたなんてこともある
と本プロジェクトのコンサルタントであるミーガン・シーブル氏は話す。
この秋からは、さらに3つの刑務所でも導入されることになる。シーブル氏はこうした試みから、出席率や終了までの長さなど今後どのように改善できるかデータを収集できればと考えている。
フィンランド政府は、人口の1パーセント以上にAIの基礎を習得させるという目標を立てているそうだ。
References: The vergeなど / written by hiroching / edited by usagi
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コメント
1. 匿名処理班
色々と異論はありそうだけど、結果としてこのやり方が上手くいってるんだとしたら、見習う余地はありそう。
国にとっても、出所→仕事がない→再犯の流れより、出所→AI技師の方が遥かにマシだろうし。
強いて言えば、その教育を一般市民にも受けさせてくれってのは思う。
2. 匿名処理班
囚人にも居場所と存在意義があれば再犯は減るかなと思う反面、これで罪が償われるのかどうか疑問にも思ってしまう
社会的にはいいとしても被害者の感情とかも含めるとちょっとね
3. 匿名処理班
福祉や教育を徹底して社会復帰を望める人作りが出来ているから巧くいくんだろうな。
学習意欲が高いのは将来への展望を失ってない証拠。再犯率が低いのも納得。
ドライに金勘定するとしても、大人になるまでたっぷりとコスト掛けた人間を腐らせておくのは無駄と言うもの。
都合の悪いものの掃き溜めではなく、ちゃんと社会システムの一部になってる。
被害者支援も手厚いようだし、理想的では。
4. 匿名処理班
自分の家族を害されたりしてない人はいつも寛容寛容って言うよね。
死刑反対派の弁護士が、家族を亡くしてから死刑賛成派に転じた有名な話があるのになあ。
まず、犯罪を犯していない人たちを真っ当に正しく生きるように導く方が大事でしょ。
5. 匿名処理班
※1
犯罪発生率から言ってその方法は得策じゃないと思うね
人口に対する犯罪発生率が多いから捕まえる人も多くなる。根本的な発生率を策によって減らす事が出来ないから、発生した後の対処法でせめて再犯を低くしようって話だから。言ってみれば、事態に対処するフェーズ2の方策。
日本は色んなデータから見ても、人口に対する犯罪発生率が極端に低い。この事は、犯罪に対して心理的なハードルが高い事を示してる。つまり、起きてからそれに対する方策を充実させるより、そもそも犯罪者にならないような方策を取った方が効果的だという事だ。フェーズ1の方策だね。
犯罪者になって捕まる事が無いようならば、再犯防止の為にこのような策をする必要も無い。
フィンランドにしろ日本にしろ、どんな方策を取ろうが再犯してしまう部類の人は居るので、その辺りは考えに入れなくても良いと思う。
6. 匿名処理班
手に職という意味だけでなく、論理的思考を身につけさせる意味でも再犯の抑止になると思うね。
軽犯罪だろうが問答無用で死刑の世界でもない限り、再犯しなくなるようになるのが一番いいよ。