第1279話「屋上でのスパー」

ゴンザレスを倒したい…かつてのライバルにして勝利することなく引退してしまった一歩を、倒したゴンザレスを倒したいという熱が、チャンピオンであるリカルドより多い…ゴンザレス＞リカルドという千堂武士。

そんな千堂は、一歩について協力をお願いした。協力というのは…まさか、一歩とのタッグか！？千堂のセコンドに一歩がくるのか！？

体験談を聞かせてほしい

違った。そりゃそうか…ジム違うもんな。突然一歩がナニワなジムのセコンド陣を乗り越えていきなりセコンドやらせたら、たまったもんじゃないもんな。一歩登場で鴨川ジムの宣伝になっちまう。そりゃたまったもんじゃねェ。

…で、千堂は一体何をお願いしたかったかというと…一歩がゴンザレスと戦ったときの印象、体験談を教えてほしいというもの。確かにゴンザレスとは試合映像でしか見たことがないだろうから、実際に戦った一歩の話を聞くのは大きいかもしれない。

確かに、ゴンザレスについて自分もあまり思うことがない。リカルドのようなパーフェクト超人みたいな存在という感じもなく、だけど強い。でも特徴聞かれるとあんま…

あ、でもゴンザレス、冷静型かと思ったら熱情型だったんだよな。急にボクシングスタイルを変えてきたイメージが…と思ったら、一歩そのこと伝えてた。

千堂に近い感覚…これは激情型にスイッチ切り替えたときの印象。普段は冷静、だけどこうなったときの本性むき出しの相手がスタイルも変化して…。まるで二重人格のような感じ。

一応いうと、メキシコ系ボクサーの特徴なのか、パンチの質も特殊。細く尖ったものが急所に的確に差し込んでくるという恐ろしさがあるんですよね。これで本性むき出しスタイルで襲ってくるとか、怖すぎる…。

でも千堂と相性良さそうな気がする

一歩もどちらかというと本性むき出してる感じはあるものの、でも基本スタイルを忠実にこなすコツコツタイプ。一方の千堂は、野性味あふれるファイトが特徴。もし互いに本気モード入ったら、すごい相性いいんじゃないでしょうか。少なくとも観客的意見からすると楽しみでしゃーない。

そのスタイルで噛み合う感じが楽しみであるが、それが勝因につながるかと聞かれたら…が、ここで千堂の過去の対戦相手を思い返してみると、変化するという点で似ている選手がいる。茂田晃という男だ。

右利きだけどサウスポーという変則的なスタイルを使うボクサーだった茂田は、千堂との対戦時に圧倒的優位に進めた。最終的には再起不能にまで追い込まれたものの、千堂とここまで接戦だった男はそういない。スピードスター冴木ですらすぐやられちゃったしね。

こういう変化相手のボクサー、千堂は苦手かもしれない。…が、別に頻繁に変化することはないだろうし、そもそもチェンジオブペース的なものを変えてくる選手については研究してる…はず。この辺は憶測というか希望なんだけども、違うかね？

そして千堂と一歩がミット打ちをする

そんなこんなで、話はゴンザレスのパンチを教えるため、軽くミット打ちすることになった。ああ不安だ不安。

まずは千堂がパンチ。その破壊力の高さに驚く一歩。でもこれじゃあ千堂の強さは分かるものの、ゴンザレスは分からんだろ…ということで、今後は一歩が千堂にミット打ちする。ああ不安だ不安。

両手両足につけた重りを外し、いざ千堂が持つミットへ左フック！受けるために手首固定（両手で）させておいて、一歩がパンチを繰り出す。

ああ不安だと思ってたら不安の通りになっちまったじゃねェか！

千堂、両手でミット打ちを受けたはずなのに、ミットがふっ飛ばされてしまった。一歩、とんでもなくパワーアップしていた…。

さあこれで一歩復帰だ！

「こんなにもパワーがあるなら復帰できるじゃないか！」「今なら世界穫れるで！」「千堂とのリベンジマッチもできそうだ！」…そんなこと言いたいんじゃない！

もう何度も何度も何度もいうけども、一歩はパンチドランカー疑惑でボクシングやめたの。自分の人生を終わらせたくないって思って、そして母親も含めて周りの人に迷惑かけたくないって思って、やめたの！や・め・た・の・！

パンチがすげェからって復帰するのは自分は正直…許したくありません。例えば超、精密検査してもう絶対に復帰しても問題ないって確定したら、自分は文句は言いませんし一歩応援しますよ。でもパンチの威力が上がったからって…ボクシングやって大丈夫です！？

ま、もちろん外野の自分があーだこーだ言ってもしゃーないですよ。ボクシングを引退するって決めた一歩が決めることだから、一歩が復帰するって言い出したら自分に止める術はないですよ。でも一歩復帰すべきじゃないとは全力で止めますけどね！とにかくパンチドランカー疑惑かなくならない限りは…。

ただ、あまり一歩に文句言いすぎてSWSバッシングした当時の週刊プロレスみたいにならないよう、自分も自重しよう…。手遅れかもしれないが…。

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森川 ジョージ

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