男「ハンマーブロスに憧れてハンマー投げまくってたら通りがかりの女に当てちゃって人生が変わった」
- 2019年11月02日 21:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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ドッサリ
男「ハンマー投げ、開始ィーッ!」
男「そりゃっ! うりゃっ! てりゃっ!」
ポイッ ポイッ ポポポイッ
男「うっひゃーっ! たっのしーっ! 気分はハンマーブロスッ!」
ポイッ ポイッ ポイッ ポイポイッ
男「――ん!?」
男(やべっ、誰か歩いてる!)
ガンッ!
男「やっちまった……! 当てちゃったよ……!」
女隊長「……ん」ムクッ
男「よかった、生きてた!」
女隊長「敵襲かと思い伏せたが、なんだ今のは?」
男「ハンマーです。俺、ハンマー投げてて……」
女隊長「なるほど、ヘルメットがなければ即死だったな」カポッ
男「ヘルメットつけてたんですか……」
男「返す言葉もありません」
女隊長「なぜ、こんなことを?」
男「スーパーマリオブラザーズって知ってますか?」
女隊長「一応な」
男「俺、あれに出てくるハンマーブロスが大好きで、長年憧れてて……」
男「いつしか真似して、たまにこうやってハンマーを投げまくるようになったんです」
女隊長「ハハハ、面白い奴だ」
男「どうも……」
男「まちまちですよ。数百グラムのもあれば、数キロのもあります」
女隊長「ほう……」
女隊長(これほどの量のハンマーを長時間投げ続けられるパワーとスタミナ……)
女隊長(そしてなにより、凶器にもなるハンマーを平然と投げられる精神性!)
女隊長「気に入った!」
女隊長「どうだ、私のいる特殊部隊に入ってみないか! 貴様をスカウトしたい!」
男「へ?」
男「今の俺はしがないバイト暮らしですし、願ってもない話ですけど……」
男「一つだけ条件があります」
女隊長「なんだ?」
男「あなた、まるでメットみたいなんで……“メット隊長”って呼んでもいいですか?」
女隊長「……好きにしろ」
女隊長「紹介しよう。私がスカウトし、今日からこの部隊に入ることになった」
男「よろしくお願いします」ペコッ
先輩「スカウトって、こりゃまたずいぶん急な話ですねえ!」
メガネ「よろしく」クイッ
狙撃手「よろしく……」ジロッ
女隊長「他にもメンバーはいるが、当面は私とこの三人についてもらうことになるだろう」
男「分かりました」
先輩「隊長のスカウトとはいえ、俺はお前みたいな野郎は認めねえ!」
男「なかなかトゲがある人ですね。“トゲゾー先輩”って呼んでいいですか?」
先輩「ふざけんな!」
メガネ「作戦立案や情報分析担当のメガネだ。期待してるよ」
男「ジュゲムそっくりなんで、“ジュゲムさん”って呼んでいいですか?」
メガネ「ま、まあどうぞ」
狙撃手「……狙撃手だ」
男「遠くから標的を狙うわけですか。“キラーさん”って呼んでいいですか?」
狙撃手「かまわん」
先輩「呼ばせるんじゃねえよ!」
女隊長「私の隊に任務が下った。貴様にとっては初陣となる」
男「はいっ! で、どのような任務でしょう?」
女隊長「立てこもる武装集団の掃討だ」
男「武装集団!? この平和な日本にそんなのがいるんですか!」
女隊長「もちろんだ。だが、表ざたになっては国民が不安を抱いてしまう」
女隊長「そうなれば、人々は出歩くことすら恐れ、経済活動は停滞してしまう」
女隊長「そこで、そういう輩をなるべく秘密裏に処理するのが我々の任務だ」
男「分かりました、メット隊長!」ビシッ
先輩「お、いやがった! メガネの情報通りだな!」
狙撃手「……さっそく作戦開始といくか」
男「俺は……どうすれば?」
女隊長「あの二人の攻撃で追い込まれ、アジトから逃げてきた連中をハンマー投げで倒すのだ」
女隊長「残党を逃がしてしまうと、厄介な勢力になることもあるのでな」
男「分かりました……!」
パァン! パァン! タタタタタタ… タタタタタタ…
男(戦闘が始まった……! トゲゾー先輩とキラーさんが敵を追い込んでる!)
武装兵B「とてもかなわねえ……ここは引き上げだ!」タタタッ
男(……来たっ!)
女隊長「今だ、投げろっ!」
男「はいっ!」
ビュンビュンッ ビュンビュンッ ビュビュンッ
武装兵A「うわっ!」ガンッ
武装兵B「ぐわっ!」ゴンッ
女隊長「いいぞ、その調子だ!」
男「あっ!」
武装兵C「死ね!」パラララララッ
キキキキキキンッ
女隊長「私特製の防弾アーマーの前には無力だ」
男「メット隊長!」
女隊長「さあ、やれ! 最後の一投げだ!」
男「はいっ!」ビュオッ
武装兵C「ぎゃんっ!」ガンッ
男「ありがとうございます!」
先輩「ケッ、残り物をつまみ食いしただけじゃねえか。隊長に助けられてるしよ」
女隊長「よさんか!」
先輩「俺はこんな奴認めねえ……」スタスタ
男「……」
女隊長「さて遅れたが、貴様のことを特殊部隊全体の長である長官にも紹介しておきたい」
男「お願いします」
男「はいっ!」
長官「ガッハッハ、いいツラ構えだ。期待しておる。我が国の平和のため、頑張ってくれたまえ」
男「ありがとうございます!」
男「ところで長官!」
長官「なんだ?」
男「“クッパ長官”とお呼びしてもよろしいですか? あまりに雰囲気が似てるので……」
長官「クッパ? まあ、好きにせい」
メガネ「いいかい? この範囲にハンマーを投げてくれれば敵を一網打尽にできる」
男「ジュゲムさんの指示はいつも的確ですね!」
狙撃手「私が撃ち漏らした連中をすかさずハンマー投げで仕留めてくれ」
男「分かりました、キラーさん!」
女隊長「背後は私が守る。安心して投げろ!」
男「お願いします、メット隊長!」ビュンビュンッ
デブ「ういっす」
ガリ「どうも」
男「あの……」
デブガリ「?」
男「それぞれ“プクプクさん”、“ゲッソーさん”って呼んでもよろしいですか?」
デブ「別に……」
ガリ「いいけど……」
先輩(ちっ、このところあのハンマー野郎が戦果挙げててイケ好かねえ)
先輩(今日は俺一人で全部仕留めてやる!)ジャキッ
先輩「オラオラァ! 国の平和を乱すカルト信者どもォ! くたばりやがれェ!」ガガガガガガッ
「うぎゃあっ!」 「ぐわっ……!」 「ぐああっ!」
先輩「よし、あらかた片付いたか……」
信者「教祖様の仇!」ジャキッ
先輩(しまっ……! まだ残りがいやがったか!)
信者「ぐあっ!」ガンッ
男「大丈夫ですか、先輩!」
先輩「……」
男「すいません、余計なことを……」
先輩「いや……助かったぜ」
男「?」
先輩「俺のこと“トゲゾー”って呼んでいいぜ」
男「!」
先輩「……ハンマーブロス!」
男「ありがとうございます、トゲゾー先輩!」
男「はいっ!」タッタッタ
狙撃手「やれやれ……」タッタッタ
メガネ「なんで僕まで……!?」タッタッタ
女隊長(ハンマーブロスも経験を積み、逞しくなって、我が隊もだいぶまとまってきたな)
長官「集まってくれたようだな」
女隊長「はい」
長官「近年相次ぐ日本でのさまざまなテロ活動……その元凶ともいえる武器密売組織が判明した」
長官「日本は市民が銃を持たぬ国……ゆえに市場開拓しがいのある国ともいえる」
長官「奴らは反社会勢力に武器を供与し、この国の治安を乱すことで」
長官「日本に武器を蔓延させようと目論んでいるのだ」
長官「こんな蛮行を断じて許すわけにはいかんッ!」
長官「メット隊長を中心に、トゲゾー、キラー、ジュゲム、ハンマーブロス!」
長官「総力を挙げて、奴らの野望を粉砕してくれ!」
「はいっ!!!」
メガネ「ようやくアジトが分かりましたよ」
メガネ「奴ら、下水道にカモフラージュして地下に拠点を造っていたようです」
メガネ「おそらくここに、密売組織の長も住んでいるはず」
女隊長「どうりでなかなか見つからなかったわけだ……」
メガネ「部下は皆、銃器で武装しており、警備は厳重を極めています」
メガネ「近年でもっとも危険度の高い任務になることは間違いないでしょう」
女隊長「だからといって怖気づくわけにはいかん。私の隊でこの組織を必ず壊滅させてみせる!」
女隊長「トゲゾーは拠点に侵入し敵のかく乱、キラーはそのサポートを頼む」
女隊長「私とハンマーブロスは別働隊として、混乱した敵を逃さず討つ」
女隊長「各自、心してかかって欲しい」
先輩「はいっ!」
狙撃手「はい」
男「はいっ!」
男「トゲゾー先輩とキラーさんが戦闘を始めた!」
パンパンッ パパパンッ タタタタタッ…
女隊長「激しい戦闘が続いているな」
男「あの……メット隊長」
女隊長「なんだ」
男「俺も攻撃に参加させて下さい!」
男「しかし! このままじゃあの二人が!」
女隊長「隊長命令だぞ!」
男「ハンマーブロスは時として、前進しながらハンマーを投げる時もあるんです!」
女隊長「!」
男「お願いします! 突撃させて下さい!」
女隊長「分かった……」
男「ありがとうございます!」
女隊長「ただし、条件が一つだけ」
男「なんでしょう?」
女隊長「私が貴様を守る」
男「……よろしくお願いします!」
パパパンッ! パンッ! ガガガガガガ…!
男「トゲゾー先輩!」
先輩「!」
男「とりゃああああっ!」ビュビュビュビュビュンッ
「ぐあっ!」 「うぎゃっ!」 「ぐあああっ!」
先輩「ハンマーブロス……!」
男「それは……」
女隊長「私が許可した。今回はハンマーブロスもアタックに参加させる」
先輩「隊長……! ったく、しょうがねえな!」
パンパンパンッ! イタゾー! パラララララッ!
女隊長「さすが敵の本拠地、次々に湧いてくるな」パンッ パンッ
男「三人で突破しましょう!」
先輩「いや……もう時間がかかりすぎてる。まともに相手すりゃボスに逃げられる恐れがある」
先輩「ここは俺が抑える! 二人は奥にいるボスを倒してくれ!」
男「トゲゾー先輩!」
先輩「心配すんな。あんなザコどもにやられる俺じゃねえさ。行けっ!」
男「はいっ!」
女隊長「すまんっ!」
男「ボスの部屋はここだな!」
女隊長「突入するぞ!」
バァンッ!
ヒゲ帽子「……もう来やがったか! 高飛びの準備はできてたってのによ!」
男「……!」
男(こいつが武器密売組織のボス……! この外見はまるで……!)
ヒゲ帽子「マリオ? ああ、よく言われるよ」
ヒゲ帽子「ニンテンドーのビデオゲームに登場するマリオに似てるってなァ!」
女隊長「なんという運命の巡り合わせ……私たちの敵があのマリオだとは」
男「いや、隊長……違いますよ」
男「こんなクズ野郎はマリオじゃない……マリオであってたまるものか!」
ヒゲ帽子「なんだと、てめえ!」
ヒゲ帽子「……へっ」
ヒゲ帽子「どっちもごめんだねえ!」ジャキッ
ボワァァァァァッ!!!
女隊長「くっ!」
男「火炎放射器!」
ヒゲ帽子「たしかに俺はマリオじゃねえ!」
ヒゲ帽子「あいつは火の球飛ばすだけだが、俺は炎をまき散らせるからなァ!」
ゴォワァァァァァッ!!!
男「うわっ――」
男「メット隊長!」
女隊長「私にかまうな! 投げろ、ハンマーブロス!」
男「はいっ!」
男「俺の鉄槌(ハンマー)を喰らえッ!!!」ビュオンッ
渾身の一投は――
ゴキャッ!
ヒゲ帽子「ぐはぁっ……!」ドザァッ
男「メット隊長!」
女隊長「貴様をスカウトして……よかった……」
男「隊長! しっかりして下さい!」
女隊長「よく、やった……ハンマーブロス……」ガクッ
男「!」
男「隊長……隊長ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
…………
……
医者「命に関わる部位は焼けていませんし、火傷の跡もほとんど残らないでしょう」
男「ありがとうございます、ありがとうございますっ!」
女隊長「まったく……勝手に死んだと勘違いして大騒ぎしおって……」
女隊長「私はメットだぞ? 炎で死ぬわけなかろう……」
男「すいません……」グスッ
狙撃手「組織のボスを倒すとは、MVP物だ」
メガネ「いい仕事してくれたよ!」
男「皆さん、ありがとうございます!」
女隊長「これからもどんどんハンマーを投げて、国の平和を守ってくれ!」
男「はいっ!」
男「なんたって俺はハンマーブロスですから!」
…………
……
女隊長「貴様も成長したので、今日からこの二人を部下につける。面倒を見てやってほしい」
新人「よろしくお願いします!」
女新人「お願いしまーっす!」
男「よろしく」
男(真面目そうな青年と、いかにも飛び跳ねそうな若い女の子のコンビか……)
男「あのー」
新人二人「はいっ!」
男「それぞれ“ノコノコ”と“パタパタ”って呼んでいい?」
新人二人「え!?」
女隊長(フフッ、相変わらずだな)
女隊長「トゲゾー、ハンマーブロスのチームはどうしている?」
先輩「ああ、こないだも成果挙げてましたし、上手くやってるみたいですよ。ただ……」
女隊長「ただ?」
先輩「ハンマーブロスの奴、部下の教育に結構苦労してるみたいで。クックック」
女隊長「どれどれ……」
女新人「そうです、私もノコノコももっとやれますって!」
男「わ、分かった分かった。次の任務ではもう少し重要な役割を与えるから……」
女隊長「……」
女隊長「ハンマーブロスだけあって、下からの突き上げには弱いようだな」
―おわり―
元スレ
男「ハンマーブロスに憧れてハンマー投げまくってたら通りがかりの女に当てちゃって人生が変わった」
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