中華娘「に、似合てるか?」男「うおおおおおおおお! チャイナドレス最高ォォォォォ!!!」
中華娘「着てみたよ」
男「!」
中華娘「どう? に、似合てるか?」
男「うおおおおおおおおお!」
中華娘「!?」ビクッ
男「チャイナドレス最高ォォォォォ!!!」
男「シェイシェイ……シェイシェイ……」グスッ
中華娘「なにも泣くことないよ」
―中華料理店―
男「ちわーっす」
店主「いらっしゃい。大学の帰りかい?」
男「うん、今日は午前中だけだから。チャーハンセットね」
店主「あいよ!」
男「!」
男「あれおやっさん、女の子雇ったの?」
店主「ああ、中国から来た子でね。日本に勉強しにきてるんだって」
男「へぇ~……ニ、ニーハオ」
中華娘「こんにちは!」
男「あ、日本語……」
店主「チャーハン持ってった時、日本語だったじゃないか」
男「あ、そうだった」
アッハッハ……
男(さっきの子、可愛かったな)
男(中国の女の子ってのは、日本の女の子とはまた違った独特の色気があるっていうか)
男(あの子がスリットきいたチャイナドレス着たら最高だろうなぁ)
男「…………」
男「なぁんてアホなこと考えてないで、コンビニで飯でも買ってくるか」
ガチャッ
男「……ん?」
男「あ」
中華娘「あ」
男「君もこのアパートだったのか!」
中華娘「あなたも!」
男「え、えぇと……ニーハオ!」
中華娘「こんにちは」クスッ
男「あ、またやっちゃった」
男(こうして俺たちは仲良くなっていった――)
男「ありがとう……まさか頼んだら着てくれるとは思わなかった」
中華娘「いつも店来てくれるし、これぐらいお礼よ」
男「いやいや、“俺が買うからチャイナドレス着てくれ!”って頼んで、着てくれる人なんてまずいないって」
中華娘「そんなにチャイナドレス好きか」
男「もう大好き!!!」
男「漫画やらアニメのキャラでチャイナドレス着てるキャラがいたら確実に好きになるし」
男「テレビとかでチャイナドレス見かけたら、その日一日は何が起ころうと幸せだね!」
中華娘「す、すごい。本格的ね」
男「俺はあげちゃうかもしれない」
中華娘「あなたが総理なったら日本終わりね」
男「今日本がこうして平和なのは、俺が総理大臣を目指さなかったおかげなのかもしれないな」
中華娘「アハハ、おもしろい」
男「にしても、いやらしい目線抜きで、君はいい足してるよな。なにか運動やってるの?」
中華娘「ああ私、中国拳法やってる」
男「中国拳法!?」
中華娘「近くに道場あるよ」
男「へぇ~、知らなかった」
中華娘「今から二人でいてみる?」
男「うん、今日はもう予定ないし、面白そうだし、行ってみようかな」
中華娘「ただし着替えるね。これで出歩くのちょと恥ずかしいから」
男「残念……」
素早く突きや蹴りを繰り出す道場主。
師範「ハチャーッ! ホワチャァーッ!」
中華娘「師父!」
男(すげえ……ブルース・リーみたいな人だ)
師範「……ん」
中華娘「私の知り合い連れてきたよ。道場見学したいって」
師範「ホーイ!?」
男(ちょっと春巻も混じってんな)
男「ニ、ニーハオ」
師範「こんにちは」
男「あ、日本語OKですか」
師範「北関東さ」
男「日本人だったの!?」
中華娘「だけど師父、中国武術の達人よ」
男「たしかにさっきのはすごかった。どうやって身に付けたんです?」
師範「私はさまざまな中国拳法を研究し、そこにカンフー映画などの要素も取り入れミックスさせ」
師範「独自の拳法を編み出したのさ」
男「ようするに自己流と」
師範「そうともいう」
男「俺が? 拳法を? うーん……」
中華娘「いい運動になるよ、きっと」
男「そうだなぁ、入門させてもらおうかな」
中華娘「やた!」
男「というわけで、よろしくお願いします」
師範「いいだろう。ただし、一つだけ戒めをしておこう」
男「なんでしょう?」
師範「拳法をケンカに使わないこと!」
男「大丈夫ですよ」
男(俺みたいなヘタレがケンカなんかするわけない)
男「はいっ!」
師範「我が拳法の極意は、とにかく声を出しながら突きや蹴りを出すこと! さあ、続け!」
師範「アチャーッ!」
中華娘「アチャーッ!」
男「アチャーッ!」
師範「ホチャーッ!」
中華娘「ホチャーッ!」
男「ホチャーッ!」
師範に合わせ、二人も突きや蹴りを放つ。
中華娘「メチャーッ!」
男「メチャーッ!」
師範「クチャーッ!」
中華娘「クチャーッ!」
男「クチャーッ!」
男「あの……なんなんですか、この掛け声」
師範「考えるな、感じろ」
男(あの名言がこんな胡散臭く聞こえる日が来るとは)
中華娘「大丈夫か?」
男「うん……なんとか……」
師範「では今日はこの辺にしておこう」
中華娘「ありがとうございました!」
男「ありがとう、ございました……」ゼェゼェ…
―中華料理店―
店主「お、いらっしゃい!」
中華娘「いらっしゃいませー!」
男「今日は豪勢にチンジャオロースのセットいってみようかな!」
店主「あいよ!」
中華娘「ご飯は私注ぐね!」
店主「頼むよ」
男「あれ、ご飯……」
中華娘「ちょと大盛りにしたね。ナイショよ」シーッ
男「……ありがとう」ボソッ
店主「どうせなら、もっと大盛りにしてもよかったのに」ニヤッ
二人「バレてた!」
男「はぁっ、はぁっ、はぁっ……もうダメ~!」バタリ
師範「うーむ、君はスジはいいんだが、根性が不足しているようだな」
男「なんといわれようと、もう動けません……」
中華娘「師父、休むのも大事よ。休憩、休憩」
師範「じゃあ少し休憩しようか」
中華娘「ふぅ~、あちあち。汗かいちゃった」パタパタ
男「!」
男(汗で……拳法着がいい感じに濡れて……)ゴクッ
男「アチャーッ! ハチャーッ!」
男「メチャーッ! クチャーッ!」
中華娘「おお、すごい」
師範「どうやら興奮すると、パワーアップするタイプなのかもしれないな」
男「いやー、今日は疲れたー!」
中華娘「でも、あなただいぶ上達してるよ」
男「そうかなぁ?」
男(だけどたしかに……道場通うようになってからだいぶ鍛えられた気がする。体型もがっしりしてきたし)
男「……ん?」
傷面「…………」ジロッ
男(なんだあいつ……。頬にキズがあって……こっちを……)
中華娘「どしたの?」
男「いや、なんでもないよ」
―アパート―
男「あ、あのさ」
中華娘「ん?」
男「大学の友達から、映画のチケットもらっちゃってさ……しかも二枚」
男「よかったら一緒に行かない?」
中華娘「いいの? 行く行く!」
男「やった! じゃあ今度の週末にでも!」
中華娘「うん!」
ワイワイ…
男「映画、面白かったね!」
中華娘「うん……」
男「主人公と幼馴染の純愛……20年ぶりに再会するとこなんて泣きそうになっちゃったよ」
中華娘「そうだね……」
男「いやぁ、幼馴染っていいもんだねえ」
中華娘「……全然よくない!」
男「え」
男「こっちこそ……変なこといっちゃったかな?」
中華娘「ううん、気にしないで」
男「それならいいんだけど」
男「また一緒に映画見よう。そん時は、悪をバッタバッタなぎ倒すカンフー映画みたいなのを!」
中華娘「そうしよう!」
―アパート―
ピンポーン
男(誰だ? こんな夜遅くに……非常識だな)
男「どなたですか?」
「私よ。開けてもらえるか?」
男「あっ! すぐ開けるよ!」
ガチャッ
男「どうしたの、こんな夜遅く――」
中華娘「チャイナドレス、着てきた……」
男「うおおおおおおおおおおっ!!! ……って近所迷惑だった」
男「どしたの!? さ、入って入って! 散らかってるけど!」
中華娘「お邪魔します」
男「好き好き! 大好き!」
中華娘「じゃあこの姿、忘れないでね」
男「忘れるもんか! 写真撮っていい?」
中華娘「もちろん。なんなら好きなポーズするよ」
男「マジですか!? じゃあ、チュンリーみたいに蹴りを……」
中華娘「こうか?」ビシッ
男(あかん……この脚線美、犯罪的すぎるっ……!)
中華娘「どうだた?」
男「いやーもう、最高だよ!」
男「今なら中国から俺めがけてミサイルが飛んできても悔いないね! 笑って爆死できる!」
中華娘「こっちこそいい思い出、できたよ」
男「俺もだよ! 本当にありがとう、ありがとう! シェイシェイ!」
中華娘「じゃあ……再見(さよなら)」
男「う、うん、ツァイツェン!」
バタン…
男「…………」
男(結局聞きそびれたけど、なんでいきなりこんなことを……?)
男「えっ、辞めた!?」
店主「ああ、急に辞めなきゃいけないって……」
男「なんで……どうしてですか!?」
店主「あんまり詳しくは話してくれなかったけど……別の人のお世話になるから……って」
男「別の人?」
店主「分からないけど……同じ中国の人とかかねえ? 昔からの知り合いとか……」
男(同じ中国人で昔からの知り合い……)
中華娘『……全然よくない!』
男(あの時のリアクション……まるで自分には“よくない幼馴染”がいるって感じだったな)
店主「そいつが悪い奴じゃなきゃいいんだけど。あの子いい子だし、ちょっと心配だよ」
男(悪い奴……)ハッ
男「おやっさん!」
店主「なんだい?」
男「ここらへんで悪い奴らがたむろしてる場所っていうと、どこだろう!?」
店主「繁華街の北の一角は、そんな感じだけど……しょっちゅう警察沙汰が起こってるよ」
男「きっとそこだ! ありがとう、おやっさん!」ダッ
店主「お、おいっ! あんなとこうかつに立ち入るもんじゃ――」
タタタッ
店主「気をつけなよ……」
男「ここらへんだ……! 電話は繋がらないし、捜すしかない!」キョロキョロ
客引き「お兄さん、ちょっと楽しんでかない? 安くしとくよ!」
男「あのっ! 頬にキズのある男、知りませんか? すっごい目つき悪い奴」
客引き「ああ、あいつ? 近頃ここらででかい顔するようになった中国人だろ?」
男「! そいつだっ!」
客引き「いつもチンピラ引き連れて、我が物顔でここらへん歩いてるよ」
男「そいつ……今日はどこにいます!?」
客引き「さっきも女連れて、あっちの路地入ってったけど」
男「ありがとうございます!」ダッ
傷面「…………!」グイッ
中華娘「…………!」
男(いたっ! なにやら中国語で言い合いしてる!)
男「待てーっ!」タタタッ
中華娘「あっ!」
傷面「…………」ジロッ
男「ニ、ニーハオ」
傷面「なんだお前、日本人か」
男(またかよ!)
傷面「こいつか? こいつ、オレの幼馴染。日本来てやっと見つけたから、これから一緒に仕事する」
男「どんな仕事だよ!」
傷面「オレの店で働いてもらう。お酒注いだり、客と話したり、稼げるし楽しいお仕事よ」
男「どうせそれだけじゃないんだろ? もっと……」
傷面「だたらどうするね?」
傷面「いっとくけど、オレ中国マフィアとも繋がりある。その気なれば、お前なんか即コンクリ詰めよ」
傷面「ケーサツ駆け込んでも同じ運命な。中国マフィア、殺す決めたら絶対殺すよ」
男「…………!」
傷面「だとさ。忠告受け入れる、これ大事よ」
男「……逃げない」
傷面「へ?」
男「お前なんかにその子は渡さない! 返してもらう!」
男「うおおおおおおおおっ!」ダッ
傷面「日本人、勝てない戦に酔う。それ悪いクセね」ブオッ
バキィッ!
強烈な右拳が炸裂した。
男「ぶげっ!」
男(つ、強……!)
傷面「どしたどした? カラテでもジュードーでも見せてみろ、日本人」
男「げ、げほっ……!」
中華娘「≪もうやめて!≫」ガシッ
傷面「!」
中華娘「≪一生あんたについてくから! この人を傷つけないで!≫」
傷面「≪ふん、分かりゃいいんだ≫」
傷面「おい日本人、ととと帰れ」ペッ
男「う、ううう……」
男(中国語は分からないが……あの子に助けられたってことは分かる……)
男(もうちょっとやれるもんだと思ってた……うぬぼれてた……)
男(だけど本物の喧嘩慣れしてる奴には全然敵わなかった……)
男(こんな痛い思いしたの、生まれて初めてだ……)
本来ならば、大人しく家に帰るか、病院や警察に向かうべきなのだろう。
しかし、彼の足は自然と“ある場所”に向かっていた。
師範「ホーイ!? どうしたんだい、その怪我は!?」
男「ちょっと転びまして……それより」
師範「それより?」
男「俺をもっと強くして下さい! ――今すぐに!」
師範「今すぐって……」
男「お願いします! お願いします! お願いします!」ガンガンガンッ
土下座して、頭を床に叩きつける。
師範「……分かった。とりあえず稽古をしよう。かかってきなさい」
男「ありがとうございます!」
師範「…………」
男の攻撃を受け流し、見極める師範。
男「ど、どうです!?」
師範「前にいったとおり、スジは悪くない。君は十分強いよ」
師範「だが、攻撃にどこか爆発力が足りないんだ。こればかりは私が教えることはできない」
男「くっ……!」
ゴトッ
師範「あ、スマホ落としたよ」
男「すみません」
男(スマホをポケットに入れたまま稽古するなんて、バカだな俺は)サッ
師範「どうした?」
男「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
男「燃えてきたあっ! 燃えてきたああああっ!!!」
師範「!?」
師範(こんな光景、たしか前にも見たような……)
師範「君、その状態のまま、もう一度かかってきなさい!」
男「分かりました! ハチャーッ!」
師範「今の君なら、たとえばそこらを歩いてるヤンキーなんかには負けはしないだろう」
男「本当ですか!?」
師範「しかし、いったい何をするつもりだ? まさかケンカじゃないだろうな?」
男「そ、それは……」
師範「…………」
師範「行くがいい。大切なものを取り戻すための戦い、それはケンカなどとは呼ばない」
男「!」
師範「師範として命じる。必ず取り戻してこいッ!」
男「はいっ!」
中華娘は、中華風の装飾が施された怪しい店に連れてこられていた。
中華娘「汚い店……」
チンピラA「おっ、この女を働かせるのか」
チンピラB「なかなか美人じゃねえか。こりゃ稼げそうだ」
傷面「オレの幼馴染ね。日本来てからもオレが恋しくて追ってきたよ」
中華娘「誰が!」
中華娘「それで、私はどんなことするの?」
傷面「簡単よ。色ぽい服着て、来た客に料理運んだり、酒注いだり……」
チンピラA「客としゃべったり、胸触らせたり、揉ませたり……」
チンピラB「この中華テーブルにハダカのまま寝そべってグルグル回されたり……」
傷面「それ、お客大喜びな」
ハハハハ… ヒヒヒヒ…
中華娘「…………!」
中華娘「私が日本来たの、こんなことするためじゃない! ちゃんと学んで……」
傷面「ダメ。もうお前逃げられない。一生オレのもとで働く。それに……」
傷面「≪もしも逃げたら、さっきの男も死ぬことになるぞ?≫」ジロッ
中華娘「…………!」
中華娘「分かった……ここで働く。私、逃げない」
チンピラA「お~、物分かりいいぜぇ!」
チンピラB「ここらはヤーさんも目ぇつけてねえし。大儲けしてやろうぜぇ!」
ハハハハ… ヒヒヒヒ…
傷面「お、さっそくお客来たね。お前、とりあえず接客しろ」
中華娘「……いらっしゃいませ――」
中華娘「…………!」
男「やあ、また来ちゃった。場所はそこら辺の人に聞いたらすぐ分かったよ」
傷面「な……! またお前か!」
チンピラA「なんだこいつ?」
チンピラB「怪我してんじゃねえか」
中華娘「どうして!? どうして来ちゃうの! せっかく逃げれたのに!」
男「中国の故事に“臥薪嘗胆”ってあるけど、俺せっかちだからああいうの無理みたいだから」
男「かもな」
チンピラA「客じゃねえんなら……」パキポキ
チンピラB「とっとと出ていってもらわなきゃな!」
中華娘「やめてぇ!」
傷面「やてしまえ! 殺してもいいぞ! 死体出てもどうせバレるない!」
チンピラ二人が襲いかかる。
男「うおほおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
チンピラA「!?」ギョッ
チンピラB「なんだこいつ!?」
ドゴッ!
鋭い突きが炸裂。
チンピラA「ぐへっ!」
男「ホワチャーッ!」
ドカァッ!
蹴りがチンピラの頭に命中。
チンピラB「ぎゃんっ!」
傷面「な……!?」
男「俺はチャイナドレスの可愛い女の子を見ると、興奮してパワーアップするんだよ!」
男「これぞ酔拳ならぬ“チャイナドレス拳”!」ビシッ
傷面「ハァ? お前ヘンタイか!?」
男「おう、ヘンタイよ! 日本男児、みなヘンタイ!」
チンピラA「くそっ……!」
チンピラB「やりやがったなァ!」
ドカッ! バキッ! ドゴッ!
攻防の末、チンピラ二人を撃沈する。
男「はぁ、はぁ、はぁ……さあ、もう一度勝負だ!」
傷面「フン……タイマンやてやるよ!」
男「ああ、頑張る!」
睨み合い、間合いを詰める二人。
ジリ… ジリ…
男「ハチャーッ!」
ガッ!
傷面「ぐっ……!」
傷面「ハイヤァッ!」ブオッ
ドガッ!
男(なんて鋭い回し蹴り……!)
ドカッ! ガッ! バキッ!
男「……うぐっ!」
傷面「フン、お前たしかに動きはキレあるよ。だけどやっぱり経験少ない……シロートね!」
男(もう一度写真を見て……)チラッ
男「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
興奮した勢いで突っ込むが――
ドゴッ!
男「ぐはっ……!」
男(ダメだ、画像じゃ興奮が足りない!)
中華娘(あの人はチャイナドレス大好き……そしてここはいやらしいお店……)
中華娘(もしかしたら!)ダッ
傷面「なんだあいつ。店の奥入ってったよ」
男「アチャーッ!」バッ
傷面「しつこい!」ドガッ
男「ぐあっ……!」
男(どうして店の奥へ……? 外に逃げてくれればよかったのに……)
ガッ! ドカッ! ガッ!
形勢は完全に頬キズの男に傾いていた。
傷面「お前ほどムカつく日本人はじめてね。ただ殴る殺すだけじゃ収まらないよ」
傷面「この中華包丁で脳天かっさばいてやるよ!」ギラッ
男「ううっ……!」
傷面「永別了(さらば)!」
巨大な包丁を振り上げる。
男「くっ……!」
中華娘「見てぇっ! 私を見てぇっ!」バッ
男「え……?」
傷面「ん?」
傷面「お前! 店の服(ドレス)を勝手に……!」
男「…………!」ビビビッ
男「俺が買った安物より、数段すごいじゃないか……!」ゴクリ
中華娘「う、うふぅ~ん」
精一杯のセクシーポーズを振る舞う。
男「!!!」ビビビッ
男「う……うをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
男「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
男「チャイナドレス最高ォォォォォォォォォォォ!!!!!」
傷面「!?」ビクッ
男「考えるな、感じろ」
傷面「ハァ!?」
男「諦めろ……彼女のあんなチャイナドレス姿を見てしまった以上、お前に勝ち目はない」
傷面「ふざけるなァ!」ダッ
ガッ! ゴッ! ドカッ!
傷面「ぐっ……!」
傷面(なんなんだこの日本人はァッ!)
男(乱れた呼吸を整えて……)コォォ…
男「メチャーッ!!!」
バキィッ!
回し蹴りがクリーンヒット。
傷面「がは……ッ」ヨロッ…
男「クチャァーッ!!!」
全体重を乗せた突き。
ドゴォンッ!
傷面「ぐはあぁぁぁ……っ!」
ドザァッ!
男「滅茶苦茶拳!!!」ビシッ
男「いやぁ、そっちこそ……最高だったよ」
傷面「ぐ、ぐっ……!」
男「!」
傷面「バカ喜びして……こっちにはまだ仲間が控えてるんだ……」
傷面「おーい、みんな出てこいっ……!」
シーン…
男「なんだよ、いないじゃないか」
傷面「こんなはずは……!」
男(こいつがやられたからみんな逃げたのかな? 出てこなくてよかった……!)ホッ
傷面「!」
傷面「おお……やっぱりオレのところへ……」
中華娘「あんたには子供の頃からずっと困らされてきたけど……」
中華娘「もうあんたとは絶交! これからはあんたなんかにビクついたりしない!」
中華娘「彼が強くなったように、私も強くなる!」
中華娘「アチャーッ!!!」
ドガァッ!
傷面「ぎゃぶっ……!」ガクッ
男(おお……なんて美しい蹴りだ。ちょっと羨ましい)
中華娘「うん……!」
物陰では――
師範「フフ……いい戦いだったぞ。二人とも」
チンピラC「つ、強すぎ……」
チンピラD「ゲ、ゲホッ……」
チンピラE「10人以上、いたのに……」ガクッ
……
―中華料理店―
店主「二人とも無事でよかったよ!」
店主「だけど、この後報復なんかがなければいいが……」
男「それがあの傷男、マフィアがどうとかってのは全部ホラだったみたいで」
男「自分はマフィアと繋がりがあるっていって、あのあたりのチンピラを従えてたみたいです」
男「それで、あのいかがわしい店で、儲けようとしてたとか……」
中華娘「しかもやっぱりまともな手段で日本来てなかった……あいつもう日本いられないね」
店主「ってことは、これで一安心ってことだな。よかったよかった!」
店主「本当にハリウッド映画とか、カンフー映画の主人公みたいじゃないか」
男「いやぁ……」
中華娘「本当にありがとう!」
男「なんのなんの」
中華娘「こんなお礼、嬉しくないかもしれないけど……」
男「?」
中華娘「お礼」チュッ
男「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! キス最高ォォォォォ!!!」
中華娘「アイヤー!」
店主「君がどうやって悪者どもを倒したか、なんとなく分かったような気がするよ」
それからしばらくして――
男「映画、面白かったね!」
中華娘「うん、異世界に転生したカンフーマスターがバッタバッタと敵を倒して爽快だたよ!」
男「じゃ、今日は師範のところで稽古しようか」
中華娘「そだね!」
中華娘「で、稽古が終わったら……」
男「?」
男「うおおおおおおおおおおっ! ありがとぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
男「よーし、燃えてきた! 今日も二人で……」
男「メチャーッ!!!」
中華娘「クチャーッ!!!」
―劇終―
元スレ
中華娘「に、似合てるか?」男「うおおおおおおおお! チャイナドレス最高ォォォォォ!!!」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1573891507/
中華娘「に、似合てるか?」男「うおおおおおおおお! チャイナドレス最高ォォォォォ!!!」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1573891507/
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コメント一覧 (4)
-
- 2019年11月16日 21:58
- 画像を期待したのに・・・
-
- 2019年11月16日 22:12
- フェイフェイダヨー
-
- 2019年11月16日 23:02
- 主人公に無条件で惚れるのなんで?
-
- 2019年11月16日 23:54
- ※3
主人公に無条件で惚れるのではない
無条件で惚れられるから主人公なのだ
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